映画の誘惑

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365日間映画日誌

日々の映画日記、というか備忘録です。暇な人だけ読んでください。

2003年10月〜12月

■12月21日

『赤い橋の下のぬるい水』(今村昌平)

『ブラッド&ワイン』(96年、ボブ・ラフェルソン)

『ビッグ・ケーヒル』(73年、アンドリュー・V・マクラグレン)
ジョン・ウェインの息子が強盗の仲間になり、アリバイを作るためにわざと牢屋に入って強盗を働き、また牢屋に戻る。

『オーロラの彼方へ』(00年、グレゴリー・ホブリット)

『エリン・ブロコビッチ』(00年、スティーヴン・ソダーバーグ)
この映画のジュリア・ロバーツは悪くない。

『フルメタル・ジャケット』(87年、スタンリー・キューブリック)
偉大な凡人キューブリックの凡人ぶりがとりわけ顕著に現れた戦争映画。後半の実践編よりは、訓練基地で鬼教官にいびられる新兵たちを描いた前半のほうがまだ面白い。罵り言葉のなかで、戦いや武器がしきりと性の問題と結びつけられている点が興味深かった。

『秘剣破り』(69年、大映)
『薄桜記』そっくりの話だなと思っていたら、やっぱりあれのリメイクだった。森一生版の方が数段上。

『大忠臣蔵』(57年、大曾根辰保)

『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(54年、大曾根辰保)

『スパイ・ゲーム』(01年、トニー・スコット)

『タップス』(81年、)

『禁断の木の実』(52年、アンリ・ベルヌイユ)
フェルナンデル主演(!)のシムノンもの。しかし、意外にそう悪くない。ミステリーではなく、『嘆きの天使』系列の中年の醜男が子供ぐらい年の離れた娘にいかれて、我を忘れてしまう話。フランソワーズ・アルヌールのかわいさが光る。

 

■12月2日

『雀鬼4』(95年、小沼勝)
桜井章一がだれかに負かしてほしいと思うようになっている。シリーズの終わりは近い? 見栄晴のキャラクターもなかなか面白かったし、シリーズ中ではいちばん楽しめた。

『ISOLA 多重人格少女』(水谷俊之)
途中で寝てしまったが、そこまでは全然つまらなかった。

『ワン・フロム・ザ・ハート』(82年、フランシス・F・コッポラ)

『いますぐ抱きしめたい』(88年、ウォン・カーウァイ)

■11月27日

○笙野頼子「タイムスリップ・コンビナート」

■11月23日

○黒沢清・篠崎誠「恐怖の映画史」

○笙野頼子「二百回忌」

○車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」

■11月16日

○中原昌也「エーガ界に捧ぐ」

■11月15日

『モンディアリート』(00年、ニコラ・バ・ディモフ)
ワールド・カップ。

『鳴門秘帖』(57年、衣笠貞之助)
波瀾万丈の話は面白いのだが、演出が鈍重。

『月の光の下に』(01年、レザ・ミル・キャリミ)
イラン製ホームレス映画。聖職者になるまで。

『金融破滅ニッポン・桃源郷の人々』 (02年、三池崇史)
これもホームレス映画。

『新・悪名』(62年、森一生)
戦死したモートルの貞とうり二つの弟が登場。闇市。

『濡れ髪剣法』(58年、加藤敏)
白黒の濡れ髪もの。剣術修行を描く貴種流離譚。

『地獄門』(53年、衣笠貞之助)
長谷川一夫が山形勲の妻、京マチ子に横恋慕して、結果的に殺してしまう。イーストマン・カラーを使った最初の作品。重々しく退屈。

『濡れ髪三度笠』(59年、田中徳三)
ヤクザの雷蔵が若君と一緒に旅することに。

『パコダテ人』(01年、高田哲)
『ユリイカ』『害虫』とはまるで別人の宮崎あおいがかわいい。 大した映画でもないが、それなりに楽しめる。

『パーフェクト・ストーム』(ウォルフガング・ペーターゼン)
愚作。

『お役者鮫』(58年、加藤敏)
長谷川一夫主演の時代劇ミステリー。雁治郎が一癖ありそうな犯人の劇作家を演じている。

○海野弘「プルーストの部屋」

■11月8日

『いつでも夢を』(63年、野村孝)

『スモーク』(95年、ウェイン・ワン)
ハーヴェイ・カイテル扮するたばこ屋が、毎日欠かさず朝八時に、同じ街角の同じアングルの写真を撮り続けているエピソード。サダム・フセイン。

『上を向いて歩こう』(62年、舛田利雄)
不良少年の更生。高橋英樹がちょっとした悪役で出ているところぐらいが見所。

『オータム・イン・ニューヨーク』(00年、ジョアン・チェン)
ただの難病もの。

■11月6日

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98年、ガイ・リッチー)
イギリス版『パルプ・フィクション』ふう。

『JM』(94年、ロバート・ロンゴ)

『グラディエーター』(00年、リドリー・スコット)
『ベン・ハー』?

○金井美恵子「彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄」

○蓮實重彦・山田宏一「傷だらけの映画史 ウーファからハリウッドまで」


■11月3日

『孔雀夫人』(36年、ウィリアム・ワイラー)
シンクレア・ルイスの原作。ヘンリー・ジェームズを多少思わせるアメリカ文化とヨーロッパ文化の対立。大自動車会社の社長を引退して、悠々自適の生活を送ろうとする野暮なアメリカ人を生き生きと演じるウォルター・ヒューストンを別として、役者がいかにも弱い。それにしてもウォルター・ヒューストンは根気がある。わたしならあんな女はさっさと見限ってしまっているが。ともかく最後の最後で踏ん切りをつけてくれたので溜飲が降りた。

『スターリングラード』(01年、ジャン・ジャック・アノー)
ジャン・ジャック・アノーなので、全然期待していなかったが、意外と面白かった。肉弾戦のなかでの一対一の対決を描いているところが新鮮。敵がエド・ハリスだと、相手として不足はない。


■11月2日

『偽りの花園』The Litte Foxes(41年、ウィリアム・ワイラー)
南部の腐りきったブルジョア一家を描く。リリアン・ヘルマンの緻密な脚本、ベティ・デイヴィス、ハーバート・マーシャル、テレサ・ライト、ダン・デュリエなどなど、それぞれの役者がそれぞれの場所に収まり、見応えがある。人物は型にはまり気味だが、みな存在感があるのでよしとしよう。『疑惑の影』のパトリシア・コンリッジとテレサ・ライトが、(義理の)母娘の関係。ダン・デュリエの馬鹿息子ぶりはちょっと行き過ぎ? 有名な階段での死の場面。ベティ・デイヴィスの背後で階段を這い上ってゆくハーバート・マーシャルにはわざとピントが合っていない(キャメラ、グレッグ・トーランド)。

と、書いたあとで、『映画千一夜』を読み返していたら、あの階段を上っていくのは実はハーバート・マーシャルじゃなくて、代役だったと書いてあった。マーシャルは義足なので、いったんフレームの外に出たところで代役と代わったらしい。バザンのワイラー論はこれで修正?


■11月1日

『大逆転』(83年、ジョン・ランディス)

『ザ・ヒットマン 危険な標的』(91年)

『ソロモンとシバの女王』(59年、キング・ヴィダー)
こういう映画を見ていると、金をかけるというのはこういうことなのだと思う。CGを使いまくった最近の「自称」超大作を見ると、まずちゃちいとしか思わない。それにくらべて、この映画のスペクタクル描写の堂に入っていること。なによりもセットの一つひとつに愛が感じられる。

『ティファニーで朝食を』(61年、ブレイク・エドワーズ)

『若者のすべて』(60年、ルキノ・ヴィスコンティ)

『太平洋ひとりぼっち』(63年、市川崑)

『かれらに音楽を』(39年、アーチ・メイヨ)

『セルピコ』(73年、シドニー・ルメット)

『赤いハンカチ』(64年、舛田利雄)
親友の刑事の裏切り。愛する女はその裏切り者の妻に。元ネタがありそうだが。ラストシーンは『第三の男』のパクリ。

『マルコ・ポーロの冒険』(38年、アーチ・メイヨ)
「残酷な東洋」をネタにした映画(舌を抜かれた男とか、床の落し戸の下に血に飢えた虎がいるとか)。取り立ててどこがいいというわけではないが、これはこれでよくできているし、楽しい。

『燃えつきた納屋』Les Granges brulees(73年、ジャン・シャポー)
『若者のすべて』のアラン・ドロンとレナート・サルヴァトーリ(ドロンの兄で自滅するボクサー役)が共演しているのが面白い。ドロンの方がずいぶん出世していて、主役の判事を演じている一方、レナートは宿屋の主人のちょい役にすぎないが。ジョルジュ・シムノンの原作っぽいと思ったが、違うらしい。雪に閉ざされた農村という設定はまあ悪くないのけれども、もっとねちねちと描いて欲しかった。


■10月29日

『パリで一緒に』(63年、リチャード・クワイン)
パリのホテルの一室で缶詰になってシナリオを執筆している映画脚本家(ウィリアム・ホールデン)と女タイピスト(オードリー・ヘプバーン)のラブ・ロマンス。随所に、当時フランスで話題になっていたヌーヴェル・ヴァーグへを揶揄する台詞が挟まれるのが興味深い(ほとんど理解しているようには思えないが)。基本的に、『アンリエットの巴里祭』のパクリ。この映画もパリ祭を目前にした雰囲気のなかで物語が展開する。

『クリミナル・ラヴァーズ』(99年、フランソワ・オゾン)
『夜の人々』+グリム童話? 学校、森、ホモセクシュアル。挑発の退屈さ。


■10月26日

『川上哲治物語 背番号16』(57年、滝沢英輔)

『ギャルソン』(83年、クロード・ソーテ)

『パッション・フィッシュ』(92年、ジョン・セイルズ)
半身不随となって自暴自棄となった人気テレビ女優が、黒人看護婦(元覚醒剤中毒者)との交流を通じて、生きる力を取り戻してゆく。悪くはない出来だが、話を聞いて予想されるイメージどおりの映画にしかなっていない。ルイジアナ。

『新・鞍馬天狗』(65年、安田公義)

『新・鞍馬天狗 五条坂の決闘』(65年、安田公義)

『アルビノ・アリゲーター』(96年、ケヴィン・スペイシー)
籠城物。こういう映画は人物描写と空間描写がちゃんとできなければ必ず退屈な映画になるという見本。

『みんな〜やってるか!』(94年、ビートたけし)
北野武の映画にはブニュエルの映画に一脈通じるところがあるように思う。不具者の頻出とか。この映画では、主人公の性欲をみたそうとする試みがことごとく失敗する様が描かれる。『ブルジョアジーの秘かな愉しみ』を思い出させる作品だ。大映の『座頭市』(この映画ですでに長い座頭市の場面が撮られていた。もっとも座頭市を演じるのはダンカンで、糞尿まみれのファルスに終わるのだが)、東映任侠映画(チャンバラトリオ)、東宝SF映画(蝿男)、日活アクション映画(銀行強盗)、そしてロマンポルノ等々への言及。


■10月25日

『新しき土』(37年、アーノルト・ファンク)
早川雪舟、原節子主演のドイツ映画。ドイツに留学して西洋にかぶれた主人公が日本に戻ってきて、日本人の魂に目覚める。日本娘と結婚した彼は、夫婦そろって「新しき土地」満州に移り住む。対独協力的伝統主義映画。

『忍者秘帖 梟の城』(63年、工藤栄一)
豊臣の天下統一のあと、忍者のモラルも乱れて・・・。

『乙女の湖』(33年、マルク・アレグレ)
湖の妖精のようなシモーヌ・シモンがかわいい。それだけ。

『木枯らし紋次郎』(72年、中島貞夫)
2/3は島流しの映画。

『カーマ・スートラ 最終章』(97年、B・スバーシュ)

『のど自慢』(98年、井筒和幸)

『トリック 劇場版』(02年、堤幸彦)

『警察日記』(55年、久松静治)
若き日の宍戸錠(ほっぺたがまだふくらんでいない)が警官役で出ている。貧しさゆえの子捨て、身売り、盗み等々。貧しい農村の生活が警察業務を通じて描かれる。意外とよくできている。

『寒い国から帰ったスパイ』(65年、マーティン・リット)
ジョン・ル・カレの原作。リチャード・バートンの演技に助けられて、そう悪くはないのだが、全体的に平板な印象を与える。

『ヴァンドーム広場』(88年、ニコール・ガルシア)

『ビバリーヒルズ・バム』(86年、ニック・ノルティ)
『素晴らしき放浪者』のリメイク。ひどいの一言につきる。ここではオリジナルのセーヌ河がちっぽけなプールに置き換えて描かれる。このちっぽけさがすべてを象徴しているといっていい。最後は、放浪者ノルティが、いったんは金持ちの屋敷から追い出されるが、結局、また呼び戻されるというハッピー・エンド。いやはやお粗末。


■10月22日

『サン・スーシの女』La passante du Sans-Souci(82年、ジャック・ルーフィオ)
ケッセルの原作を現代に置きかえて脚色。ミシェル・ピコリによる不可解な殺人が回想形式によって解き明かされてゆく。ナチスの脅威が現在もつづく恐怖として描かれるのだが、あまり説得力はない。そもそも、わたしにはロミー・シュナイダーの魅力がまったくわからない。

『銭形平次捕物帖 死美人風呂』(56年、加戸敏)

『カラー・オブ・ハート』(98年、ゲイリー・ロス)
主人公の青年が姉と一緒に白黒テレビのなかのドラマの世界に入り込んでしまう話。つまらない映画だが、それなりに興味深い。 『キートンの探偵学入門』『ラスト・アクション・ヒーロー』などと比較せよ。

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(99年、スティーヴン・ソマーズ)
これは『ミイラ再生』のリメイクだそうだ。嘘だろ。中原昌也も書いているように、レイ・ハリーハウゼンの特撮が懐かしい。

○Julien Green『Leviathan』


■10月20日

『切られ与三郎』(60年、伊藤大輔)
歌舞伎の名作「与話情浮名横櫛」の映画化。ドライな人間関係が描かれる(淡路恵子、中村玉緒の裏切り)。兄と妹の物語。流しの三味線。屋根の別れ。「しがねえ恋の情けが仇、命の綱の切れたのを、どう取り留めてか木更津から、めぐる月日も三年(みとせ)越し・・・」

『胸に輝く星』(57年、アンソニー・マン)
最後は斜面+洞穴。

『夕なぎ セザールとロザリー』(72年、クロード・ソーテ)
『突然炎のごとく』にも似た三角関係の物語。

『ブラボー火星人』(98年、ドナルド・ペリー)

『離愁』(73年、ピエール・グラニエ・ドフェール)
ナチから逃れる列車の旅。フランスでは評価が高い映画。退屈。

『人肌牡丹』(59年、森一生)
山本富士子の5変化。女の貴種流離譚。

『オレゴン魂』(75年、スチュアート・ミラー)
聖書マニアのキャサリン・ヘップバーンとがさつな保安官ジョン・ウェインのコンビ。ウェインは『勇気ある追跡』同様に眼帯姿で登場。ヘップバーンとのコンビはいまいち、悪役も弱い。


■10月19日

○金井美恵子『小春日和』


■10月18日

『サン・フィアクル事件』(59年、ジャン・ドラノワ)
クライマックスで容疑者全員が席について、メグレが真相を暴いていき、最後に真犯人が暴露される。なかなか面白い演出だが、これって『影なき男』のパクリでは?

『ギャンブルの王様』(59年、ジャン・ドラノワ)

『北京的西瓜』(89年、大林宣彦)
天安門事件で中国ロケが不可能に。それに抗議して白画面を挿入。なんだかあざとくない?

『ミフネ』(99年、ソーレン・クラウ・ヤコブセン)
ドグマ95による第3作。ふつうの映画です。

『旅は気まぐれ風まかせ』(58年、田坂勝彦)

『グレン・グールド/27歳の記憶』(59年)

『本当のジャクリーヌ・デュ・プレ』(98年、アナンド・タッカー)

『ハート・オブ・ウーマン』(00年、ナンシー・メイヤーズ)

『クリムゾン・リバー』(00年、マチュー・カソヴィッツ)
『憎しみ』を見たときからそんな大した監督でもないと思っていたが、やっぱりこういうところに落ち着いてしまったか。ネオ・ナチがらみのサイコ・サスペンス登山映画。

『人間の証明』(77年、佐藤純彌)

『グッドマン・イン・アフリカ』(94年、ブルース・ベレスフォード)


■10月15日

なんかホームページもメルマガも面倒くさい。

『マンハッタン物語』(64年、ロバート・マリガン)

『濡れ髪喧嘩旅』(60年、森一生)
雷蔵主演の濡れ髪シリーズ。川崎敬三が荷が重い任務を負ってのずっこけ道中を描く。なかなか楽しい映画だ。

『栄光のル・マン』(71年、リー・H・カツィン)
ほとんどドキュメンタリーのようだが。意図がよくわからない。

『荒鷲の要塞』(68年、ブライアン・G・ハットン)
アリステア・マクリーン原作のスパイ・アクション。作戦指揮官のリチャード・バートンが一癖ある演技をしていて、最後まで敵なのか味方なのかがわからない。イーストウッドさえ翻弄されるしたたかさだ。大した映画ではないが、よくできていて楽しめる(とくに敵のスパイのリストをせしめるところ)。少し長いが。 便利なひも付き爆弾。ロープウェイのアクションなど。

『ザ・ビーチ』(00年、ダニー・ボイル)
これも、外部も内部だったというお話。出来はひどいが。

『踊る大走査線 THE MOVIE』(00年、本広克之)
前に見たことを忘れて途中まで見てしまった。宣伝で抜粋を見たのか、それとも全部見たかもわからなくなる映画。面白いかどうかは問題でない。

『バーティカル・リミット』(00年、マーティン・キャンベル)
最近はもっぱら、劇場で見逃した(というか見に行く気のしなかった)ハリウッド映画は、テレビで放映されたときに見る。ビデオで見る気も起こらないというのが、本当のところだ。というわけで、見る時期が一年以上ずれてることも多く、まわりの話題についていけなかったりするのだが、別に残念な気はしない。

このあいだ『バーティカル・リミット』という映画を見た。監督の名前は忘れた。出ていた俳優も、すでにはっきりしなくなっている。ベン・アフレックだったろうか。ジャンル的には、登山映画といっていい作品だ。ひどい映画だった。意味もなくニトログリセリンを3度も爆破させたり、くだらない見せ場はいっぱいあるわりには、基本がなんにも描いていない。「バーティカル・リミット」=「高さの限界」というタイトルがついてるんだから、せめてその高さだけは最低限描けよ、といいたくなる映画だ。

冒頭いきなり、セット丸出しの登山場面から始まって、いっきょに見る気をなくさせてしまうというすごい演出で、しかもそれが映画全体の人間関係を決定するきわめて重要な場面だと来ている。ロケで撮っている場面もあるんだろうが、本物の背景まで作り物に見えてくるという念の入れようだ。半世紀以上前に撮られたレニ・リーフェンシュタール主演の『聖山』のほうがよっぽど迫力があったぜ。イーストウッドの『アイガー・サンクション』の爪の垢でも煎じて飲めっていうの。これなら『八甲田山』にも負けてるだろ。

どうでもいいゴミみたいな映画だが、最近見た代表としてあげておく。『スピード』のくせに「スピード」がまったく描かれてないとか、タイトルに偽りありの映画ばかりで、うんざりする。大事なのは基本だよ。基本。

『濡れ髪牡丹』(61年、田中徳三)
おてんば姫が難癖つけて婿探し。おとぎ話のような話。 雷蔵のスーパーマンぶりが見物。

『太陽が知っている』(69年、ジャック・ドレー)
先日亡くなったジャック・ドレーの出世作。『太陽がいっぱい』のドロンとロネの共演。それとロミー・シュナイダー。何気ない三角関係からふとした殺意が生まれるまでが、一つの舞台で描かれる。フランスではやたら評価が高いのが解せない。わたしにはまったく退屈だった。第一、ロミー・シュナイダーが好きになれない。ただし、まだ若いジェーン・バーキンがめちゃめちゃセクシー。これだけはよかった。

○Julien Green『Christine』
 クリスティーンというなの作品には不吉なものが多いらしい。カーペンターの『クリスティーン』とか。これも、女がなんだったのか結局最後までわからない。たんに精神を病んでいた女らしいのだが、幽霊譚ぽい枠組みのなかで描かれるので、妙なオーラが漂う。

○小松和彦『京都魔界案内』


■10月5日

○谷崎潤一郎訳『源氏物語 巻二』


■10月4日

○香山リカ『サイコな愛に気をつけて』

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