映画関連のニュースと新作公開情報を紹介するコーナーです。ネットでかき集めたニュースがほとんどなので、不確かな情報もあります。二次使用にはご注意ください。
エドワード・ヤンが、6月29日、7年間煩っていた癌の合併症のため、ビバリー・ヒルズの自宅で69歳の生涯を終えた。
癌だったとは初耳だし、アメリカに住んでいたことも知らなかった。『ヤンヤンの夏休み』以来7年ぶりとなる新作『The Wind』が、ジャッキー・チェン製作によるアニメ映画になる予定だったと聞いて、さらに驚いた。ジャッキーをモデルにしたカンフーの達人を描く映画になるはずだったという。ジャッキー・チェンはカンフーの指導もすることになっていたそうである。はたして、この新作がどの程度完成しているのか不明だが、完成していれば、それまでのエドワード・ヤンとは一線を画する作品になっていたはずだ。エドワード・ヤンの新時代が始まっていたかもしれないと考えると、残念でならない。
『ブーベの恋人』で知られるルイジ・コメンチーニがなくなった。『ブーベの恋人』はゴダールがベストテンに入れたりしているので見ているものの、正直いってそんなに関心をもっていた監督ではない。しかし、「リベラシオン」に載った追悼文や、フランスで出ている映画ガイドなどを読んでみると、その評価が非情に高いので驚かされる。考えてみれば、わたしは『ブーベの恋人』と『パンと恋と夢』ぐらいしかこの監督の作品は見ていない。メロドラマの傑作といわれる『天使の詩』、未公開だが代表作の一本とされている「Le Scopone scientifico」ぐらいは見ておかないと、正当な評価はできないようだ。それにしても、「リベラシオン」の記事その他で、テレビ映画『ピノッキオの冒険』の評価がやたら高いのだが、本当だろうか。
先頃亡くなったジャック・パランスについてなにか書かなければと思っていた矢先に、今日、ロバート・アルトマンが亡くなったことを知った。癌による合併症によるものだという。病気だったとは知らなかった。享年80歳。 正直いって、最近のアルトマン作品はあまりいいとは思えず、わたしのなかではアルトマンはフェイドアウトしつつあった。しかし、『ゴスフォード・パーク』などを見ると、まだまだいけそうな気がしていただけに、残念である。 いまDVDで見ることができるジャック・パランスとロバート・アルトマンの作品はここ。
日記にも書いたように、ダニエル・ユイレが他界しました。このニュースは日本のメディアではほとんど伝えられていないようですが、ブログなどを通じてつぎつぎと報告され、日本の映画ファンにも大きな衝撃を与えています。 幸い、日本では、ストローブ=ユイレの作品が続々DVD化されています。これがとぎれることなくつづいてほしいですね。
日活ロマンポルノの名匠として知られる田中登監督が4日に亡くなった模様。 『実録阿部定』、『人妻暴行致死事件』、『(秘)女郎責め地獄』など、田中登の名作は数多いが、わたしにとっては田中登はなによりも『(秘)色情めす市場』のひとだった。
グレン・フォードが30日死去した。90歳。死因は不明。
実は、このニュースを最初に聞いたときは、まだ生きていたのかと驚いた。ついこないだ、グレン・フォード主演の『ポケット一杯の幸福』について書いたばかりである。先日、たまたまテレビで『スーパーマン』(78)を見ていたので、ああ、グレン・フォードがでてる。このころは結構年を取ってたんだなと、思ったりしながら、その数分だけの出演にスターの貫禄を感じると同時に、なにか寂しい気持ちにさせられたことを思い出す。晩年はほとんどゲスト出演ばかりだった。 91年の『JFK』がたぶん最後の出演作だろう(どの役で出ていたのか思い出せない)。
幸い、『ギルダ』『決断の3時10分』『カウボーイ』『復讐は俺に任せろ』など、グレン・フォードの代表作の多くは日本版DVDで見ることができる。これにヴィンセント・ミネリが監督した『黙示録の四騎士』『けっさくなエディ』、ジャック・ターナーによる冒険活劇『地獄の道連れ』、ジョージ・マーシャルの『縄張り』などが加われば完璧だ(マーシャルの『掠奪の町』は『ザ・ウェスタン・ムービー Vol.3 』に収録されている)。ほかにも、リタ・ヘイワース主演の『カルメン』 などが日本でDVD化されている。
『キャビン・フィーバー』のイーライ・ロスの新作『ホステル』が今秋公開される模様。アメリカの大学生が旅先のヨーロッパで体験する出来事を描いた映画らしいが、ホラーなのかどうかは不明。『キャビン・フィーバー』も正確にはホラーと呼んでいいのか迷ってしまうような作品だったから、今度もそういう映画になっているのかもしれない。タランティーノに激賞され、阿部和重・中原昌也も絶賛した『キャビン・フィーバー』だが、わたしにはいまひとつぴんとこなかった。とりあえず、『ホステル』を見るまでは保留ということにしておく。
長らく品切れ状態の続いていたロベール・ブレッソンの名著『シネマトグラフ覚書』(松浦寿輝訳)の復刊が決まった模様。9月に復刊するらしいという情報しかつかんでいない。
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/index.html
定価は2千円強なのに、Amazon のマーケットプレイスでは6万円なんてばかみたいに高い値段がふっかけてあります。復刊が決まってざまあ見ろって感じですね。まあ、わたしは持っているから関係ないんだけれど(ちなみに、わたしのブログのサブタイトルみたいにしてつけてある、"Notes sur le cinématographe" というのがこの本の原題です)。
とりあえず報告まで。
これからどんな映画が公開されるかをひさしぶりに調べてみた。なんとラウール・ルイスの『クリムト』が公開されるではないか。もう何年も前にホームページで紹介していた作品だが、いっこうに公開される気配がないのであきらめかけていたものだ。クリムトほどのビッグネームがからんだ作品でもだめなのだから、ラウール・ルイス映画祭なんて夢の夢かと思っていたのだが、とりあえずこれが見られるだけでもありがたい。
ベルイマンの『サラバンド』も公開されるようだ。ついでにジャン=クロード・ビエットの『サルタンバンク』も公開してもらえるとありがたいのだけれど。
5月17日より始まる第59回カンヌ映画祭は、話題の『ダ・ヴィンチ・コード』で幕を開ける。コンペ部門の注目作は、ソフィア・コッポラの『Marie-Antoinette』、リチャード・リンクレイターの『Fast Food Nation』、ペドロ・コスタの『Juventude em marcha』、アキ・カウリスマキの『Les Lumières du faubour』など。審査委員長はウォン・カーウァイ。コンペではないがほかの部門でモンテ・ヘルマンも審査員をつとめるらしい。
前に紹介した『DEATH NOTE』が映画化される模様。これってまだ完結していなかったと思うのだが・・・。9巻まで読んだが、最新刊の10巻で完結するとも思えない(したのか?)。主演が藤原竜也だというのはぴったりだ。しかし、あの話をどうやってまとめるつもりなのか。ワーナーがバックについての映画化ということらしいが、詳細は知らない。
女優のシェリー・ウィンタースが84才で亡くなった。40年のなかばにデビューして以来、つい最近になるまでずっと映画に出演しつづけた名女優だった。主役作品はほとんどなかったと思うが、脇役としてなくてはならない存在だった。キューカーの『二重生活』、『陽のあたる場所』、『狩人の夜』など、なぜか殺される役ばかりが記憶に残っている。そのほかの代表作は、『赤い河』『ウィンチェスター銃'73』『ビッグ・ナイフ(悪徳)』『拳銃の報酬』など。ロジャー・コーマンの『血まみれギャングママ』では珍しく主役を務めているようだが、実はまだ見ていない。惨めで、哀れっぽい女の役をやると実に様になった人だったが、ギャングママの彼女も見てみたい。
ダグラス・サークの『Scandal in Paris』『Accord final』ほか数作品が東京横浜などで上映される模様。ちなみに、『Scandal in Paris』はDVD上映。これはたぶんわたしがもっている北米版のDVDだと思う。2000円も出せば手に入るものだが、今回の上映では入場料に1200円も取るらしい(青山真治をゲストに呼んでのレクチャー付きだから、妥当な値段か)。
まあどうでもいい。それより『Accord final』は関西では上映されないのだろうか。東京フィルメックスでの上映だから、今回だけの特別上映ということか。こういうときだけは、さすがに東京に住んでいるヤツがうらやましい。東京国際映画祭で上映される映画はあまり見たいとも思わないが、東京フィルメックスの上映作品には見たいものがいろいろある。国際映画祭の名にふさわしいのはむしろこっちのほうではないかという気がしてくる。 『サーク・オン・サーク』も出版されるそうだが、詳細はわからない。これもわたしは大昔に英語で読んでいる。自分で翻訳しようかと思ったこともあるが、売れそうにないのでやめた本だ。
サーク情報はここで。
ジョゼフ・ロージーの『できごと』 、『召使』、『恋』などで知られるイギリスの劇作家ハロルド・ピンターがノーベル文学賞を受賞した模様。
『ウェスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られるロバート・ワイズ監督が14日、亡くなった。 というか、まだ生きていたのかとちょっと驚いた。個人的には、物語の時間と映画の時間をシンクロさせて描いたボクシング映画(フィルム・ノワールといってもいい)の名作『罠』やSF『地球の静止する日』、黒沢清がホラー映画ベスト50の第9位に選んでいる『たたり』などが心に残っている。
RKOの編集者として出発し、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』と『偉大なるアンバーソン』の編集などを担当したのち、ヴァル・ニュートンの製作で『キャット・ピープルの呪い』を監督してデビューする。彼の代表作としては『ウェスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』が挙げられることが多いが、この二作がワイズの才能を十分に示しているかどうかは疑わしい。とりわけ、ミュージカル映画をある意味で終わらせてしまった『ウェスト・サイド物語』の功罪の罪の部分はもっと問われるべきだろう。この機会に『拳銃の報酬』をDVD化してほしい。
第62回ベネチア国際映画祭の授賞式が最終日の10日夜(日本時間11日未明)おこなわれ、金獅子賞は『グリーン・デスティニー』の名匠アン・リー監督のカナダ映画「ブロークバック・マウンテン」が選ばれた。「ブロークバック・マウンテン」は1960―80年代の米国を舞台に、愛し合う2人の男性が保守的な社会の現実に直面していく物語。 監督賞(銀獅子賞)は、フィリップ・ガレルの「エブリデー・ラバーズ」、審査員大賞は「マリア」(アベル・フェラーラ監督)が受賞した。 残念ながら、北野武監督の「TAKESHI’S(タケシズ)」は無冠に終わった。
パナソニックのDVDレコーダーの秋モデルが発表された。現行モデルに「どっちも録り」、二層DVD-Rなどが追加される模様。わたしが期待していたマニュアル・モードやXP+モード、2パス・ダビングなどは機能追加されないようだ。二層DVDにはいまはあまり魅力を感じないし(メディアがいっこうに安くならないし、まだまだ不安定らしいのも心配だ)、すでにあるレコーダーを使えば「どっちも録り」はそれほど必要でない。現行モデルよりも数万円よけいに払って買うこともないだろう。パイオニアの秋モデルに期待したいが、出るのは10月末ごろだろうし、それまで待てるだろうか。
こんなページを書いているが、実はあまり映画のニュースにそれほど気を配っているわけではない。『シンデレラマン』の監督がロン・ハワードだということも、ついさっき知ったばかりだ。 このサイトに来る人は基本的にみんな ROM ばかりなので、情報はひとりで集めている。というわけで、あまり大したネタはないのだが、最近入手した情報をいくつか書いておく。 ・先頃亡くなった石井輝男の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』がヴェネチア映画祭で追悼上映された模様。 ・テレンス・マリックの新作『The New World』の米公開日が延期。 ・新作 "Where the Truth Lies" のレイティングがNC-17とされたことに対し、アトム・エゴイヤンが裁判で争っていたが、結局破れた模様。
「ル・モンド」のWeb版に、ヴェネチア映画祭で上映されたオリヴェイラ、パク・チャン・ウォク、北野武の作品についての簡単なコメントが出た。武の作品については、サプライズ上映のことと作品の簡単な説明があったあとで、最後を「sympathique mais mineur」(「好感が持てるが、重要ではない小品」)という文句で結んであった。海外メディアの記事を読んだのはこれだけだが、おおかたはこういう評価になっているのではないかという気がする。 オリヴェイラの作品は悪くないようだが、真の驚きはグルジアの Gela Babluani が撮った『13 (Tzameti) 』だ、とこの記者は書いている。ガレルの新作の評判もかなりいいようだし、『TAKESHI'S』の受賞はきびしいだろう。
▽デジタルDVDレコーダーの行方
デジタル放送のコピー規制が緩和されるという話がある。そうなると、一部デジタルDVDレコーダーのなかには対応できなくなるものが出てくるらしい。ファーム・ウェアーでアップデートできるものもあれば、それではだめなものもあるということだ。とはいえ、わたしがつかんだ情報は曖昧なものが多いので、詳しく調べてみる必要がある。
武が新作を撮ったらしいということは、テレビの発言で知ってはいたのだが、まさかヴェネチアに出品されていたとは知らなかった。完成が間に合わなかったので、本人は出すつもりはなかったところ、ヴェネチア映画祭のスタッフがパイロット版を見て是非コンペにと向こうからいってきたという。映画祭では監督名を伏せて覆面上映され、大反響だったと日本のメディア(というかインターネットのメディア)は伝えている。実際はどうだったのか確認しようと思ったが、昨日上映されたばかりで、まだ Liberation や Le Monde には記事は出ていない。
その新作『TAKESHI'S』は、大物タレントビートたけしと、芸人を目指してコンビニでアルバイトする北野武の、同じで別の二人の武が対話しあうという破天荒な作りになっているという。ヒットするかどうかは全然考えず、あえて違和感のある作品をそれまでの集大成として作り上げ、次のステップへと踏み出そうということらしい。とんでもない失敗作になっているかもしれないが、こういうことができるのだから、まだまだ彼には可能性がある。
11月、全国松竹系ほかロードショー
公式ホームページ:http://www.office-kitano.co.jp/takeshis/
▽次世代DVDの規格統一が決裂
一週間ほど前、ソニー陣営と東芝陣営によって薦められていた次世代DVDの規格統一をめぐる話し合いが、決裂したとのニュースが流れた。両陣営はまだ話し合いはつづけるといっているが、事実上もうだめではというのがおおかたの見方だ。なんとなく予想はしていたが、これは困ったことになった。二つの企画が併存するということになれば、競争原理が働いてものが安くなることをのぞけば、ほかにまったくいいことはない。 さしあたっての問題は、2台目のDVDレコーダーをどうするかだ。だいぶ前からあれこれ悩んでいて、結局 Panasonic の DIGA の新機種(LPモードが綺麗というのを売りにしている)の BSチューナー付きのやつに決め、もう少し待てば秋モデルが出るというのも視野に入れて、値段がまだ下がるの待っていたのだが、こうなってくるとブルー・レイも念頭において考えておいたほうがいいのだろうか。
ルーヴルで撮影された映画についてこのあいだ少し触れたが、今度はルーヴル美術館がみずから出資して映画を製作するという企画が現在進行している。数作品が順次撮られる予定で、この企画においては、ストーリーにルーヴルをからませるという唯一の制約をのぞいて、あとは監督の自由に任せられる。 この企画の最初の監督として指名されたのが、ツァイ・ミンリャンだ。主演はすでに『ふたつの時、ふたりの時間』で共演しているリー・カンションとジャン=ピエール・レオ。2作目以後の監督もある程度決まっているらしいが、秘密とのこと。
物議をかもしているスピルバーグ監督の次回作のタイトルが「Munich」に決定した模様。内容は72年のミュンヘン・オリンピックで実際に起こったテロ組織「黒い9月」によるテロ事件を題材にしたもので、ピュリッツァー賞作家トニー・クシュナーが初の映画脚本を担当している。撮影はすでに開始されており、今年の12月23日に全米で公開される。新イスラエル的なスピルバーグが事件をどう描くか(だいたい予想はつくが)。ある意味『宇宙戦争』の続編的な映画になるかもしれない。 言うまでもないこととは思うが、「黒い九月」という名称は、ゴダールの『ヒア&ゼア』にも深い影を起こしている事件から取られている。
パイオニアの二層式DVD-R対応HDDレコーダー DVR-530H に食指が動いていたのだが、つい先日、ソニーからも二層式に対応した DVDレコーダー新「スゴ録」シリーズが売り出され、また選択肢がふえた。 今度の第3世代となる「スゴ録」は、二層式DVD+R 録画に加え、ダブル・チューナー搭載など、前の2世代に比べ大幅にヴァージョン・アップしている感がある。正直、心惹かれる内容なのだが、問題は、今回もマニュアル録画モードが見送られたこと。これさえあれば迷うことなくこれを買うのだが・・・。
「スゴ録」シリーズは録画画質の良さに加え、チューナーの性能が抜群にいいので、ハードディスク録画の画質に関してはピカイチちといっていい。ただ、そこまで画質にこだわりながら、DVD-R にダビングするときの画質にあまりこだわっているように見えないのが残念というか、謎である。今度の「スゴ録」でも、「2時間モード」の次は「2時間半モード」しかなく、たとえば2時間5分の映画でも、「2時間半モード」でダビングするしかない。この点で、マニュアル録画モードを当たり前のように備え、さらには従来の一層式DVD-Rに長時間映画を録画する際の画質にもとことんこだわっているパイオニア機は、わたしにはやはり魅力だ。 それから、「スゴ録」が対応している二層DVDメディアは DVD+R DL で、パイオニアのほうは DVD-R DL だという違いも見逃せない。
この二つの相違点は、わたしにはイマイチわからないのだが、どうもパイオニアの DVD-R DL のほうが互換性も高いし、将来性もあるように思える(もっとも、どちらも次世代DVD がでるまでのつなぎ的なものであることは、否めないが)。ソニーのホームページを見ても、DVD+R DL の互換性についてはなにも書いていないのも、不安を感じさせる。せめて、旧「スゴ録」で再生可能かどうかぐらいは書いておいてほしいものだ。ちなみに、パイオニアの DVD-R DL は第2、3世代の「スゴ録」では再生可能だが、わたしの持っている第1世代のでは、再生できないらしい(某レビューのページで実験の結果)。 どちらのメディアも今のところ千円強の値段で、あいかわらず結構な値段である。手頃な値段になるまでにはまだ時間がかかりそうだ。
偶然だが、先日、モンテ・ヘルマンの簡単なバイオグラフィーを書いてからしばらくして、フランスでヘルマンの『銃撃』『断絶』などがリヴァイヴァルされた。「リベラション」の web サイトにヘルマン自身による略歴が掲載されていたので、それを参考に「モンテ・ヘルマン」を一部加筆訂正した。そこにも書いたが、モンテ・ヘルマンが新作を準備中とのうれしい知らせがある。ダリオ・アルジェント、トビー・フーパーらとともに、ホラー・オムニバス映画『Trapped Ashes』という映画を撮っているらしい。 ちなみに、『バッドマン・ビギンズ』がフランスでも公開中なのだが、「ル・モンド」のレビューにも、「リベラション」のレビューにも、Ken Watanabe の名前は一言も出ていない。
あのサマリテーヌ百貨店が閉鎖するらしい。建物が安全基準を満たしていないとかで、これから6年間かけて改築するそうだ。6年間とは長すぎやしないか。実際、雇用者のあいだではこのままずっと閉鎖されたままになるのではないかという不安も広がっているという。『ポンヌフの恋人』の橋のたもとにも姿を見せていたあの瀟洒な姿が、これから見られなくなるのかと思うと残念だ。 ちなみにサマリテーヌの名は、ポン・ヌフ橋北側の岸に17世紀初めから19世紀初めまであった揚水ポンプの名前から来ている。そこからルーブルやチュイルリーに給水を行っていた。 la Samaritaine (サマリアの女) の名称自体は、 「ヨハネによる福音書」で、ユダヤ人と交際のないサマリア人の女にイエス・キリストが井戸の水を飲ませてほしいと頼み、不審に思う女に、「わたしが与える水を飲む者は渇くことがない」と生命の水について教える説話にちなんでいる。 むろん、キム・ギドクの『サマリア』も、この聖書に登場するサマリア人のエピソードからタイトルを取ってきている。が、こちらはむしろ、強盗に遭ってけがした男を祭司やレビ人は見て見ぬふりをして通りすぎるが、サマリア人は傷の手当をして宿屋まで連れてゆき、自分の費用で主人に世話を頼むという、「ルカによる福音書」が意識されているようだ。
以前、自分のやっているメルマガで、大西巨人の『神聖喜劇』のことを紹介したことがある。映画ファン向けのメルマガだったので、わたしの短い紹介をきっかけにしてこの長い小説を読みはじめたという人は、皆無だったと思う。まあ、映画とは無縁の話だったのだが、最近、この小説を映画のシナリオに書き直した本が出ているのを、ジュンク堂で見つけた。出版されたのは去年の年末らしい。脚本家の荒井晴彦がシナリオ化したものだが、別に映画化の話が決まっているわけではなく、荒井がやりたくて勝手にやった仕事みたいだ。荒井晴彦と『神聖喜劇』というのは、わたしにはだいぶ違和感があるのだが、そのシナリオを実際に読んだわけではないので、コメントは控えよう。それにしても、『神聖喜劇』を映画化できる人間なんていまの日本にいるのだろうか。だれが監督しても、熱血軍隊ものみたいな映画になりそうで怖い。ストローブ=ユイレならたぶん・・・などと、あり得ないことをふと夢想する。 『神聖喜劇』は今のところ光文社文庫から出ているが、5巻本で本屋のスペースも取るので、近いうちに間違いなく絶版になると思う。買うならお早めに。
セガン島のルノー工場跡に美術館を作るという一大プロジェクトは挫折したらしい。日本の安藤忠雄のデザインが採用される予定だったというから、残念である。行政側の腰が重くて、プロジェクトがなかなか進行せず、結局中途で挫折したということだ。セガン島のルノー工場はフランス労働運動の聖地といわれてきた。ゴダールが『愛の世紀』の舞台の一つにここを選んだのは、むろんそうした歴史の記憶がこの場所に刻み込まれていたからだ。その工場はいまや完全に解体されて更地になってしまっている。美術館のプロジェクトも挫折してしまったし、しばらくこの状態が続きそうだ。『愛の世紀』がこの場所を最後にキャメラに収めた映画となったのだろうか。まだ工場が残っているあいだに一度訪れようと思っていたのだが、結局果たせずに終わってしまった。
フランスの映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」は今月号で600号を迎える。その記念すべき600号の編集企画を北野武が任されたらしい。武は609枚の写真をカイエに送り、様々なシネアストがそのなかから4枚の写真を選んで、それを使って1ページの " cine-manga" を作るというゲームを思いついた。このゲームに参加したのは、アサイヤス、デプレシャン、ドワヨン、クロード・ランズマン、ホン・サン・スー、ガス・ヴァン・サント、アピチャポン・ウィラーセクタン等々。そうそうたる顔ぶれだ。見てみたい。それにしてもこういうことがほとんど話題にならないとは、日本のマスコミにはほんとに感心する。(ちなみにカイエの400号はヴェンダースが、500号はスコセッシが編集した。) 長らく機能していなかった公式サイトのほうもまもなく再開するらしい。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の次回作は、社会主義的な活動に取り組んだことでも知られるアメリカ人作家、アプトン・シンクレアの小説『Oil』の映画化になる模様。『Oil』は、カリフォルニアの石油産業の闇に光を当てた、スキャンダルと裏切りと政治をめぐる物語とのこと。実現すれば、アンダーソンにとって初の原作ものとなる。
『ヴェルクマイスター・ハーモニー 』のベーラ・タルの新作は、ジョルジュ・シムノンの小説『ロンドンの男』の映画化に決まった模様。この小説の舞台はノルマンディーだが、ベーラは舞台をコルシカの港町バスティアに設定。2週間で古い港を駅の舞台装置に変えてしまい、撮影を行うという。原作は43年にアンリ・ドコワンによって映画化されているらしいが、日本では未公開のようだ。 これ以前のニュース&噂