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オットー・プレミンジャー

オットー・プレミンジャー

オットー・プレミンジャー
Otto Preminger (1906-1986)

経歴

1906年ウィーン生まれ。

法律家の父の影響で最初は法律の道に進むが、17歳の時、マックス・ラインハルト劇団の役者となる。ウィーン、ザルツブルク、プラハなどで演じたあと、25年に最初の演出を手がけ、31年には映画を一本監督する。33年から35年まで数々の芝居を演出するが、35年、フォックスの重役ジョゼフ・M・スケンクに招かれて渡米。フォックスのダリル・ザナックの下で地味な作品を何本か監督するが、ザナックとの関係がぎくしゃくし、数年のあいだほされたかたちでブロードウェイの芝居の演出に専念する。プレミンジャーはユダヤ人だったが、皮肉なことに、このころ舞台の上で何度もナチ役を演じた。だが、その演技が目にとまり、彼は映画の世界に復帰する。44年の「In the Meantime, Darling」以後、彼は自作のほとんどすべてを自分でプロデュースすることになるだろう。

彼の監督としての才能は次作『ローラ殺人事件』(44)で遺憾なく発揮されることになる。これに続いてこの時期撮られた『堕ちた天使』(45)『歩道の終わる所』(50)『天使の顔』(52)などのフィルム・ノワールにおいて、プレミンジャーは、このジャンルにいわばヨーロッパ的なニュアンスを付け加えることに成功し、ひとつの頂点を築く。その後も、唯一の西部劇、モンロー主演の『帰らざる河』(54)、『カルメン』『ペギーとベス』などのミュージカル、『聖女ジャンヌ』(57)のコスチュームプレイ、『或る殺人』(59)の裁判劇、『野望の系列』(62)の政治ドラマなど、あらゆるジャンルで並々ならぬ演出力を見せている。

『月蒼くして』(53)を境に、プレミンジャーは独立プロで映画を撮り始める。この作品では《virgin》や《pregnant》といった言葉を初めてスクリーンに登場させ、以後、『黄金の腕』(55)では麻薬問題を扱い、『栄光への脱出』(60)ではブラックリストの脚本家(ダルトン・トランボ)を起用するなど、様々な点で斬新でもあり物議を醸しもする作品を撮ってゆくことになる。

彼にはサディスティックな独裁者という演出家のイメージがなぜかついて回り、それはワイラーの『第十七捕虜収容所』でナチの将校を演じたことで、決定的ともなった。しかし彼は『歩道が終わるところ』のダナ・アンドリュースやジーン・ティアニー、『天使の顔』のジーン・シモンズなど、俳優からその資質を引き出すことにかけて抜群の才能を持っていた。『悲しみよこんにちは』(58)のジーン・セバーグの演技はゴダールに『勝手にしやがれ』の主演女優を発見させることになるだろう。

60年代後半に入ってプレミンジャーの活力は急速に衰え始め、スパイ映画『ヒューマン・ファクター』(79)を最後に、36年癌のためニューヨークでなくなるまで映画を撮ることはなかった。

フィルモグラフィー(DVD)

Große Liebe, Die (1931)
Under Your Spell (1936)
Danger-Love at Work (1937)
Margin for Error (1943)
In the Meantime, Darling (1944)
Laura 『ローラ殺人事件』(1944)
Royal Scandal, A (1945)
Fallen Angel (1945)
Centennial Summer (1946)
Daisy Kenyon 『哀しみの恋』(1947)
Forever Amber 『永遠のアンバー』(1947)
That Lady in Ermine (1948) (uncredited)
Whirlpool (1949)
Fan, The (1949)
Where the Sidewalk Ends 『歩道が終わる所』(1950)
13th Letter, The (1951)
Angel Face (1952)
Moon Is Blue, The 『月蒼くして』(1953)
River of No Return 『帰らざる河』(1954)
Carmen Jones 『カルメン』(1954)
Jungfrau auf dem Dach, Die (1954)
Man with the Golden Arm, The 『黄金の腕』(1955)
Court-Martial of Billy Mitchell, The 『軍法会議』(1955)
Saint Joan 『聖女ジャンヌ』(1957)
Bonjour tristesse 『悲しみよこんにちは』(1958)
Porgy and Bess 『ポギーとベス』(1959)
Anatomy of a Murder 『或る殺人』(1959)
Exodus 『栄光への脱出』(1960)
Advise and Consent 『野望の系列』(1962)
Cardinal, The 『枢機卿』(1963)
In Harm's Way 『危険な道』(1965)
Bunny Lake Is Missing 『バニーレークは行方不明』(1965)
Hurry Sundown 『夕陽よ急げ』(1967)
Skidoo (1968)
Tell Me That You Love Me, Junie Moon (1970)
Such Good Friends 『男と女のあいだ』(1971)
Rosebud 『ローズバッド』(1975)
Human Factor, The (1980)

参考文献

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