カルメロ・ベーネ
Carmelo Bene
(1937-2002 )
1937年、イタリアのプーリア州カンピに生まれる。映画・演劇界で役者、監督、作家として活躍。1967年、パゾリーニの『アポロンの地獄』でクレオン役を演じる。
続く1968年のヴェネチア映画祭で、二本のフィルムが衝撃を与える。ベルトルッチの『パートナー』とベーネの『トルコ人のノートルダム』である。ベーネの作品はこの年の審査員特別賞を受賞する。
脈略なく現れるバロック的イメージ、幻想と強迫観念の世界、コクトーをも魅了したであろう夢幻的な映画。かれの処女作『トルコ人のノートルダム』はセンセーションを巻き起こす。以後かれが発表する作品は、いずれも知的挑発に満ちていて、常に異端視され続けることになるだろう。
ベーネはよくアルトーと比較される。また、『ウィークエンド』のゴダールを引きあいに出してかれを語る人もいるが、ベーネ自身は、ブレッソン、キートン、タチなどの映画への親近感を語っている。
2002年の5月、ベーネが亡くなったとき、その早すぎる死を惜しんだものが多かったのは事実だが、この異端児の死にほっと胸をなで下ろしたものもまた多かったという。
Nostra signora dei
Turchi (1968)
Ermitage (1968)
Capricci (1969)
Don Giovanni (1970)
Il ventriloquo (1971)
Salomé (1972)
Un Amleto di meno (1973)
文献としては、ジル・ドゥルーズによる美しいベーネ論、「マイナー宣言」(『重合』法政大学出版局)が、おそらく日本語で読める唯一のベーネ論であろう。