アンドレ・バザン『映画とは何か』 (岩波文庫)
野崎歓新訳によるアンドレ・バザン『映画とは何か』がいよいよ出るらしい。何年も前から話は聞いていたが、全然出ないので話がたち切れになったのかとも思っていた。全訳ではなく抄訳のかたちだが、文庫上下2巻だから、主要論文はかなりカバーしているのではないだろうか。ちなみに、フランス本国でも、バザンのこの本は現在は抄訳でしか手に入らない。
■エリック・バーナウ『ドキュメンタリー映画史』
■川崎 公平『黒沢清と断続の映画』
■切通理作『本多猪四郎 無冠の巨匠』
■鈴木則文『下品こそ、この世の花: 映画・堕落論』
『トリュフォーの映画術』(アンヌ・ジラン)
一瞬、山田宏一が訳している本が出たのかと思ったが、違った。
山田宏一がたしかトリュフォーの書簡集を訳していると思うのだが、いつになったら出るんだろうか。聞くところによると、山田氏は、訳している映画の本のなかに、関係ないヨットの話がちょっと出てきただけで、ヨットの雑誌を何冊も取り寄せたりして調べまくるらしい。そりゃ、翻訳が進まないわけだ。
さて、この本は、トリュフォーの膨大なインタビューをまとめた500ページに渡る大作。とはいえ、インタビューはインタビュアーの資質で決まるので、長ければよいというものではない。これは、『ヒッチコック映画術』のように、トリュフォーのインタビューの決定版になるのだろうか。
『映像のカリスマ
増補改訂版』(黒沢清)
1973年から1992年までの評論、対談、脚本を収録した、黒沢清の初の著作がここに復刊。ボーナストラックとして、「アカルイミライ」「大いなる幻影」、そして幻の企画のシノプシス、その他初公開となる文章を多数収録。
『黒沢清の映画術』(黒沢清)
「映画のミライはどこにある? 伝説の自主映画集団「パロディアス・ユニティ」から最新作『LOFT』まで、映像の魔術師がすべての秘密を明かす決定的自伝!」──だそうです。
すでに「映画史」を出している黒沢清が、今度は「映画術」に挑んだということ。
『ルイス・ブニュエル著作集成』
この本には、幻の詩集『アンダルシーアの犬』草稿、映画作家ブニュエルの真髄を伝える映画論(ラング、ドライヤー、キートン)、シュルレアリスム時代を代表する実験的創作群(ブニュエル版「ハムレット」)、人形劇の歴史を縦横に語りつくす講演「ギニョル」、未映画化のシナリオやシノプシス(「アルバ公爵夫人とゴヤ」、「フルートの息子イレヒブレ」)、絶筆となったエッセイなどなどが収められており、ブニュエルのすべてを知ることができる内容となっている。
これを読めば、映画作家以外のブニュエルの顔も見えてくるかもしれない。
この機会に、あの荒唐無稽な自叙伝『映画、わが自由の幻想』も再販してほしいものだ。
『王になろうとした男』(ジョン・ヒューストン)
『マルタの鷹』『白鯨』『アフリカの女王』など、不朽の名作の製作秘話に加え、赤狩りに抵抗した不屈の反逆精神、ヘミングウェイ、サルトルなど芸術家たちとの友情、五度も結婚した波瀾に満ちた生涯を率直に語ったハリウッド・メモワールの最高傑作(だそうです)。
『映画旅日記パリー東京』(梅本洋一)
映画狂は東京のスクリーンを離れ、パリへと飛び出した。まだ無名だった黒沢清・青山真治を連れ出し、欧米の観客を驚天動地に突き落とすべく、体を張っていくつもの上映会を仕掛けた。映画への愛と怒りとが迸るドキュメント(だそうです)。
『サーク・オン・サーク』(ダグラス・サーク、ジョン・ホリディ)
ダグラス・サークのインタビュー本です。わたしは英語版の原書で読みましたが、すごく面白いです。
「成瀬巳喜男を観る」(平能哲也)
成瀬の本がまた一冊でました。
『何が映画を走らせるのか』(山田宏一)
山田宏一の映画史。
『現代映画講義』(大寺眞輔)
現代映画をめぐって黒沢清、青山真治などと交わされる興味深い対談を収めた本。
『ブルース・リー―李小龍の栄光と孤独』(四方田犬彦)
新たな視点からブルース・リーとその映画作品を読み解く本。
『ファスビンダー』(渋谷哲也,
平沢 剛)
ファスビンダーのインタビュー、四方田犬彦らの論功を収録した充実のファスビンダー研究本。
『香港映画の街角』(野崎歓)
2月刊なのでちょっと古い本です。この人の香港映画話はけっこう面白い。
『ニッポン解散 続・憂国呆談』
(田中康夫・浅田彰著、ダイヤモンド社)
郵政解散までの対談を収める。
『ゴダール革命』(蓮實重彦
著、筑摩書房)
蓮實重彦がこれまで書いてきたゴダール論と新たに書き下ろした論考を収めた本。
『成瀬巳喜男と映画の中の女優たち―生誕百年特別記念出版』
(ぴあ)
『シュルレアリズムと性』
(グザヴィエル・ゴーチエ、平凡社ライブラリー)
わたしは大昔に仏語版で読んだので、今更という気はするが、なかなか面白い本だ。フェミニストにおすすめ。
『映像の修辞学』(ロラン・バルト、ちくま学芸文庫)
かつて朝日出版社から出ていた単行本が文庫化。バルトは学生時代わたしがもっとも影響を受けた批評家。映画を記号論的に読み解く本。
『ラブレーの子供たち』(四方田犬彦、新潮社)
『成瀬巳喜男』(阿部嘉昭 著、河出書房新社)
『パレスチナとは何か』
(エドワード・W・サイード著、岩波現代文庫)
少し古い本だが、パレスチナを知るには、またサイードを知るには最適の入門書。
『小津安二郎と戦争』(田中眞澄 著、みすず書房)
『阿部和重対談集』(阿部和重著、講談社)
高橋源一郎、保坂和志、浅野忠信などとの対談を収めた本。
『アナ・トレントの鞄』(クラフト・エヴィング商會、新潮社)
『南回帰船』(中上健次 著、角川学芸出版)
『成瀬巳喜男の世界へ リュミエール叢書36』
(蓮實重彦・山根貞男 著、筑摩書房)
成瀬巳喜男の映画をさまざまな論者が多様な角度から論じた本。ベルナール・エイゼンシッツやジャン=ピエール・リモザンなど、海外の論者の論文も充実。
『魅せられて──作家論集』(蓮實重彦 著、河出書房新社)
『ペドロ・コスタ 世界へのまなざし』(せんだいメディアテーク)
『ヒッチコック『裏窓』 ミステリの映画学 理想の教室』
(加藤幹郎
著、みすず書房)
『見ることの塩 パレスチナ・ボスニア紀行』
(四方田犬彦 著、作品社)
『エーガ界に捧ぐ(続)』(中原昌也 著、扶桑社)