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Rose Centifolia
Redoute, Pierre Joseph

木酢液


木酢液とは

 炭を焼く過程で、煙が出ますが、この煙を冷やして液化した部分(粗木酢液と呼ぶ)を放置しておくと、三つの層に分離します。一番上層に軽油質、一番下層にタール分が分離されますが、この両層にはさまれた部分が木酢液です。木酢液は紅茶色をした酸性の液体で、水を除く第一成分は酢酸(約3%)ですが、このほかにも推定200種以上の成分が含まれているといわれています。

 

 現在では、このような炭焼きがまから採取されるもの以外に、製材くず、かんなくず、おがくず、樹皮くず(バーク)、建設廃材などを原料に工業的に製造されるものもあります。

適切な原料は

 葉面散布に用いるには、広葉樹を原料にしたものが最も適切だといわれています。針葉樹を用いると、その精油成分(テルペン類)が、害になることがあります。また、輸入木材は海水に浸っている時間が長いため、塩素化合物が混入する可能性があり、建築廃材はペンキやシロアリ防虫剤などが混入する危険があります。
私はこれまでに4種類の木酢液を使用しました。3種類は広葉樹系、ひとつが、おがくず系です。おがくず系の方が安価ですが、臭いが明らかにきつく、高濃度の葉面散布用には疑問でしたので、これは土壌灌注用に使っています。

使い方

1.葉面散布

殺菌効果を狙うなら、希釈倍率は100倍未満と言われています。オールドローズでは、20倍で使用しておられる方もいます。私も最初は20倍でHTとFLに使っていましたが、これでもうどん粉病、黒点病は十分な制御はできませんでした。また、このような高濃度では、早朝散布を遵守しないと薬害発生の可能性が高くなります。一般的には200〜1000倍程度の濃度(つまり殺菌作用のない濃度範囲)で用いるのが安全と考えられます。

しかし、そもそも葉面散布で殺菌作用を期待するのは、無理があるように思えます。濃度的には上記のように、薬害発生濃度と殺菌効果の現れる濃度が接近していることが、その理由です。また、経験的には、木酢液単独の散布では、逆にうどん粉病の発生を助長する場合がありました。私の勝手な推測ですが、木酢液散布後のベタベタで、空中を浮遊するうどん粉病胞子をトラップしやすくし、また木酢液中のアミノ酸と、木酢散布に起因する葉中のアミノ酸濃度上昇が、うどん粉病胞子の発芽を促しているのではないかと思えます。

したがって、木酢液は植物の健康増進をはかるのを主眼に使用し、殺菌・殺虫はほかの物質を混合して用いるのがもっとも効果的ではないかと考えています。混合する物質は、通常の化学農薬から、天然の殺菌成分まで、酸性液体中でおかしな反応を起こさないものなら、たいていのものが使えるはずです。混合不可のものは、重曹、カリグリーン、ボルドー液など酸と反応してしまうアルカリ性のものです。また、ダコニールもpH5より酸性側では不安定になるので、混ぜないほうが無難です。なお、油との混合も、どのようなことになるか予想できません。かえって効果が高まることもあるかもしれませんが...

一部の液肥との混合も、長時間放置後に変色が進む場合があることから、積極的には勧められません。事前確認が必要です。

私は、ニンニクエキスとの混合で、良い結果を得ています。

2.土壌施用

植えつけまえの土壌に、殺菌目的で使用する場合は、20〜30倍程度の希釈率で十分にしみ込ませます。土壌に施用する場合は、ミミズなどがビックリして飛び出してくるのを目撃できるでしょう(ホントに「飛び出し」てきます)。施用は、植え込みの1週間以上前に、行っておくこと。

また、生育がおかしいとき100〜200倍に希釈して施すと、株がしゃんとすることがあります。液肥を与えている場合には、これに混合してやっても良いですが、前述の点に注意。

3.根頭癌腫病の治療

根頭癌腫病は、これまで治療不可能で、罹ったら、株を抜き取って焼却するのが唯一の処置と言われていました。しかし、最近、根頭癌腫病を治療したという報告がいくつか目につきます(下記)。

これらを眺めていて、ふと、「有機酸を試してみよう」と思いつきました。ちょうど折よく?(かどうか知りませんが...)癌腫を発見した株が一つありましたので、こいつを実験台に、有機酸の代表である木酢液を試してみました。原液で患部を洗うようにして20ccほどふりかけて様子を見たところ、数日後には患部の「こぶ」が縮小し始めました。その後月3回程度の頻度で、原液ふりかけを続けたところ、数カ月後には跡形もなく消滅しました。通常、癌腫病の患部は、時間とともにボロボロに崩れてくるといわれていますが、それとは異なった変化だと思います。この株は、その後再発もせず、今年も元気にしています。その後、数株が癌腫に侵されているのを発見しましたが、そのどれもが、木酢原液により治療できました。今年もすでに多くのつぼみをつけています。

冬の植えかえ時に発見したときは、上記処置を行うと同時に、根を洗った後で8倍程度に希釈した木酢液中に20〜30分浸けてから植え込みます。これはネマトーダ(せん虫)の駆除にも使えます。


散布上の注意(重要)

木酢液を噴霧器で散布する場合には、必ず以下の注意を守ってください。

(1)マスク、保護眼鏡の着用

木酢液中には、多くの有効成分のほかにフェノール、クレゾールなどの有害物質も微量ながら含まれています。また、十分精製されていない製品にはベンツピレンなどの発がん物質も残っています。また、フェノール類が含まれているということは、将来、環境ホルモンに指定されるであろう物質も含有されているかもしれないと見るのが安全です。したがって、この霧を直接吸い込むのは賢明とはいえません。これらのリスクを軽減するためには、高度精製された木酢液(たとえば入浴用木酢液など)を用いるの手もかもしれませんが、この場合には有効成分も少なくなっているのを覚悟すべきです。

マスクは活性炭入りがベストですが、なければ普通のマスクを水で湿らせて用います。
散布後にはうがいをして目を洗いましょう。

木酢液をバラ栽培で紹介されたことで有名な方が、最近発売されたガーデニングの某有名雑誌に看過できない記事を発表されました。

『木酢液には発ガン性があるのではないかという意見を聞いたことがあります。本当ですか。』という問いに対し、

『木酢液に発ガン物質が含まれているおそれがある、と いうのは、粗悪な木材が原料として使われた場合のこと でしょう。良質の木酢液は、原材料を吟味し、製造過程 をきちんと管理し、醸成期間をおいて精製されています。 信頼できる製品を選ぶことが一番です。』

だそうです。冗談じゃありません、呆れました。 ヾ(^△^;) どんな木からつくった木酢液でもちゃんと発ガン物質を含みます。

発ガン物質抜きの木酢液というのは、徹底して蒸留されて有効成分がトンでしまったものか、色の付いた酢酸液(つまりニセモノ)です。

どちらも園芸用としては使いものにならない代物ですので手を出さないようにしましょう。最近園芸店でもよくみかける「入浴用」なども、お金の無駄です。有害成分が除去されているということは、園芸用の有効成分も含まないただの色水だということです。

この方が使用されている製品も、このような気の抜けたものなのでしょうか? だから20倍でも薬害がでないのかもしれません...

(2)希釈濃度は原則100倍以上

「バラの園を夢見て」の影響で、高濃度散布を試して失敗する人が増えています。私自身20倍希釈で1シーズン試し、一定の効果は見ていますので、注意深く行えば、この濃度でも使えることは間違いではありません。しかし、

・早朝散布(朝6時以前)
・散布前(前夜あるいは数時間以上前)の十分な灌水

を厳守しない限り、葉の波打ちや茎の変色等の薬害を経験することがあります。

(3)ベランダで散布する時はコンクリートにかけない

コンクリートは酸を嫌います。コンクリートのアルカリ性を中和するからです。大量にかからないようにしましょう。こぼした場合は十分に水洗いしておきます。アルミサッシなどにかかった場合も、同様に洗浄します。


●木酢液の参考書

木酢液に関しては、一般書店で入手できる書籍が増えてきましたので、本ホームページでは、あまり詳しく扱いませんでしたが、本が増えたということは、ブームに便乗したワルのりインチキ本も、また増えたということです。書籍の選択には注意を要します。「なんでもかんでも木酢ありがたや!」は避けるようにしましょう。

・「木酢・炭で減農薬」使い方とつくり方、岸本定吉 監修、農文協 編、農文協

・炭・木酢液の利用事典、岸本定吉 監修、創森社

・木酢液の神秘、岸本定吉 監修、チャコールコミュニティ編、DHC

・炭・木酢大百科、岸本定吉 監修、チャコールコミュニティ編、DHC


●その他関連書

●20倍木酢液使用記
coverBises Books「バラの園を夢見て」、婦人生活社、P78

著者のひとり、梶みゆき氏は、木酢液や緑豊・碧露などの漢方系薬剤の紹介等で有名。

 

●アビオンCA参考書・連絡先
cover

「アビオン農法」、高倉志能、農文教

 


・アビオン化学研究所
   154 東京都世田谷区世田谷2丁目4−10   TEL 03−3429−7434


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