あなたは、なぜ内容証明郵便を出したいと思ったのですか? 貸金や売買代金の請求がしたいのでしょうか、慰謝料の請求でしょうか、それとも、うらみつらみの手紙を送りたいのでしょうか。色々な理由があるにせよ、まず、『基本を教えて?』のコーナーの内容証明の説明を読んでみてください。それを読めば、あなたが内容証明を出したいと思ったことが、本当に有益なことか、それとも無駄なことなのか、その基本的な部分をわかっていただけると思います。
例えば、貸金の請求をしたい場合、内容証明郵便にしなくても、直接会って口頭で言うこともできるし、電話だってできます。普通のはがきや封筒で請求書を送ることだってできるわけです。それをあえて内容証明郵便にするのは、全くの無駄な行為です。内容証明には宣戦布告的な意味合いもありますので、例えば、もし借主が親しい間柄の人だった場合には、内容証明など送ったら、相手は頭に来て絶交だなんてことにもなりかねません。何でもかんでも内容証明というわけではないのです。(【参考】 債権回収の方法 参照)
それでは、貸金の請求で内容証明にすべき場合とは、どういう場合でしょうか。例えば、 電話や普通の手紙で何度も請求したが一向に返済してくれないので、心理的圧迫を加えるために内容証明を送る場合や、裁判を起こす前の最後通牒(宣戦布告)として内容証明を送る場合などがあるでしょう。また、請求した証拠を残すために内容証明を出す場合もあるでしょう。具体的には、返済期限の定めのない場合に貸金の請求をする場合(具体例)や 時効を中断する場合 があります。
このように、貸金の請求一つとっても、内容証明にする価値がある場合とない場合があるのです。
内容証明郵便というのは、手紙の内容の証明と差出日付の証明ですから、 法的な効果を生む意思表示や通知を内容証明郵便で送るというのはメリットがありますが、内容の証明も差出日付の証明も必要ない場合であれば、あえて「内容証明」にする必要などないわけです。単に、相手に確実に配達したいだけなら、普通の手紙を「書留」にすれば良いだけですし、配達されたことの証明だけが欲しいのなら、「配達証明」だけで良いわけです。
「あなたは、なぜ内容証明を出したいのか?」このことを冷静に考えてみてください。トラブルの内容や相手の性格にもよりますが、自分は裁判沙汰にするほどの気持ちはなく、単に心理的圧迫(脅し)のつもりで内容証明郵便を出しただけなのに、相手は内容証明郵便に驚き、弁護士を立てて応酬してくるなんてことも場合によってはあり得ます。内容証明郵便を出す前に、まずは、話し合い・電話・普通の手紙で解決できないかどうかを考えてみてください。
戦略を立てることが重要です。内容証明郵便を出す戦略、あるいは、出さない戦略。この点を、今一度考えてみる必要があると思います。 |