先生 :さて、法的な効果を発生させる重要な意思表示や通知を内容証明郵便で出しました。「これで、安心、安心」と、胸をなでおろしていると、受け取り拒否で戻って来てしまいました。さあ、君ならどうする?
A君 :別にいいんじゃないの? 受け取らないやつが悪いんだから。No problem !
B君 :A君は甘いなあ。民法97条を見てごらんよ。意思表示は、相手方に到達した時から効力が生じるんだよ。この場合、受け取ってないんだから効力なんて発生しないよ。だいたい相手は中身を見てないじゃん。へへへ。
先生 :B君、良いところに気がついたねえ。でもね、この場合の「到達」というのは、相手が中身を見ること(了知)は含まれていないんだ。つまり、相手が受け取った時、受け取り拒絶でも、その時が「到達」なんだよ。だから、相手が受け取りを拒否して返送されてきても、法律上は相手に到達したものとして、法的な効果はちゃんと発生するから大丈夫なんだ。
A君 :だから言っただろう。No problem !
B君 :A君はいつも調子いいなあ! ぷんぷん
先生 :それじゃあ、相手が留守で郵便配達員が配達できなかったらどうなると思う? 内容証明郵便もそうだけど、書留の場合は、相手が留守だとポストに不在者通知を入れるよね。そのとき、相手が郵便局の保管期間内に取りに来なかったら差出人に返送されてしまうわけだけど、この場合は法的な効果は発生すると思う?
A君 :別にいいんじゃないの? 受け取らないやつが悪いんだから。No problem !
B君 :A君はいつも同じ答えだなあ。それに、何が言いたいのか良くわかんないけど、まあいいや。僕は、この場合は「到達」してないと思うなあ。だって、例えば旅行に行っていて留守だったら受け取りようがないじゃん。受け取り拒否とは同じに論じることはできないよ。
先生 :うん、そうだね。この場合は「到達」にならないんだよ。相手が留守で返送されてきた場合は、法的な効果は発生しないんだ。こういう場合は、直接会いに行くとか訴訟を起こすとか、他の方法を考えないといけないね。
A君 :だから言っただろう。No problem !
B君 :嘘つけ!(怒)
先生 :ところで、受け取り拒否も留守の場合も、相手は通知の中身を見てないのだから、なんとか知らせるために、あとで普通郵便で送るというのも良い方法かもしれないよ。例えば、内容証明郵便のコピーを送るとかね……。
※(注意)相手が不在で返送されてきた場合に「到達」したと言えるのかどうかについては、裁判所の判例でも見解が分かれるところです。 |