B君
:あ~~ぁ。(しょぼ~ん)
先生
:B君、元気ないね、どうしたの?
B君
:実は、A君にお金を貸したんだけど、全然返してくれないんだよ。
先生
:ここだけの話、A君は調子いいからなあ。はははは(笑)
B君
:先生、笑いごとじゃないよ。僕は、A君と絶交しても裁判所に訴えようかと思ってるんだ!
先生
:まあまあ、落ち着いて。私を信じて、どういういきさつか話してごらん?
C君
:あなた様は、どういうお方なのですか?
先生
:ご覧のとおり、旅の隠居です。ただ、少々おせっかいがすぎるところがありましてね~。
B君
:いつから水戸黄門になったんじゃ!(怒)
B君
:実は、1年前に、とくに返済期限も定めずに10万円を貸したんだけど、半年前から何度「返してくれ」って言っても、いまだに返してくれないんです。もう、裁判しかないと思ってるんです。内容証明も考えたんだけど、内容証明には法的強制力がないし、どうせA君のことだから、内容証明を出したって無視されるに決まってるんです。
先生
:う~ん。B君、いきなり裁判もいいけど、段階を踏んだ方がいいなあ。そもそもB君、証拠もないのに裁判やる気かい? 裁判をするにしても、証拠が必要だよね。証拠集めの一つに内容証明の利用もあるんだよ。それから、裁判の前にまずは内容証明を送ってみると、意外と解決してしまうことも多いんだよ。今回の場合も、A君の態度には次のことが考えられるね。
① A君は、B君のことをおとなしいやつだとなめているのかもしれない。あるいは、B君に甘えているのかもしれないよ。こういう場合には、内容証明を送ってB君の強い決意を見せれば、A君はびっくりして観念するなり反省するなりしてお金を返してくれる可能性があるよ。A君だって、裁判はしたくないって思うだろうしね。
② それから、弁済期限の定めのない債務は、請求されるまで支払う必要がないんだよ。確かに今まで請求したかもしれないけど、口頭で請求しても証拠がないでしょ。A君がこのことを知っていて無視していたとすれば悪質だけど、内容証明郵便で請求すれば、それが請求したという立派な証拠になるよね。こうなったらA君も観念してお金を返すしかないだろうね。
つまり、裁判の前にまずは内容証明で段階を踏むっていうのは、内容証明を出して裁判のための証拠作りをしたり、あるいは、内容証明を出せば、意外と裁判をやらずに解決してしまうことがあるっていうことなんだよ。
B君
:先生、ありがとう。よ~し、A君のやつ、俺の怒りを込めた筆圧100倍の内容証明郵便を送ってやるからな~!!
A君
:へ~っくしょん。
※(注意)裁判の前に内容証明を出すという上記の例は、全ての場合に当てはまるわけではありません。