なぜ、内容証明が送られて来たのでしょうか? 法的に重要な通知であれば、証拠を残したいという気持ちが相手にはあるのでしょう。または、普通の手紙では満足できず、強い決意や態度を表したいということで内容証明にしたという場合もあるでしょう。いずれにしても内容証明郵便である以上、その手紙がそのような内容で発送されたということは、公的に証明されています。ですから、「そんな手紙は知らない」なんていう言い逃れは、もはやできません。
しかし、あなたは、この『はじめての内容証明』を読んで、「確かに、内容証明郵便は証拠として残ったかもしれないが、法的な強制力は何もないそうじゃないか。返事を書く義務だってないんだろう? 安心したよ」って思ったかもしれませんね。
もし、そうだとしたら、あなたの不利になる恐れもあるので、念のため内容証明を受け取った人のための解説も書いておきます。
まず、法的な強制力がないと言っても、内容証明が法的な効果を生む意思表示や通知であった場合は、当然に法的な効果は発生しています。そして、その証拠が公的に証明されているということです。ですから、何もしないで放っておくと大変な事態になる可能性もあります。
次に、法的な効果を生む意思表示や通知でなかったとしても、何もしないで放っておくと、裁判になったときに「何の連絡もしなかったということは、内容証明に書いてあることが事実だから反論しなかったのだろう」という判断をされる可能性もあります。(なお、これは裁判になった場合の可能性という意味です。返事を出さなかったら相手の主張を認めたということに必ずなるわけではありません。)
確かに、内容証明には法的な強制力がありません。返事を出す義務もありません。でも、だからといって安心はできないのです。