過去に紹介した映画DVDです。
すべて紀伊国屋から。
■『カール・Th・ドライヤー コレクション ゲアトルーズ 』
来年の話です。個人的には、もっとマイナーな作品を出してほしいところだが、この先に期待。
■ カルロス・サウラ『カラスの飼育 HDニューマスター』
べつに悪い映画じゃない。ただ、同時代にビクトル・エリセがいたことが不幸だった。 アナ・トレントが出ているというだけで、わたしは見入ってしまう。途中ちょっと退屈だが、長い夏休みが終わるその日、毒薬で殺したはずの叔母が何事もなかったかのように起きてき、一夜で突然大人びてしまったように見える姉が、夢のなかで象徴的な死を経験した話をしたあと、子供たちが学校に向かう姿をとらえたロングショットに、甘く切ない流行歌がかぶさるラスト、わたしは嫌いじゃなかった。
■『Max ophuls : lola montes ; madame de ; la ronde ; le plaisir』
前回、フランスで発売された DVD を紹介したとき、これを忘れていた。『Lola Montes』は、無論、長らく待たれていたデジタル修復版。修復作業にはスコセッシが関わっているとか、いないとか。オフュルスは Criterion からも続々と DVD が出ているところで、『Lola Montes』ももうすぐ出るとか、出ないとかいわれている。そちらを待つもよし。
■マルセル・レルビエ『Coffret Marcel L'herbier : Eldorado ; L'homme du large』
■ ジョン・ヒューストン『ファット・シティ』
■ リチャード・フライシャー『The Clay Pigeon』 手元にあるフランスの映画ガイドには "Série B intéressante seulement par la signature de Fleischer" とある。まあ、そういうことだ。大して評価が高い作品でもないのに、フライシャーという名前だけで、日本のシネフィルにも見てもらえる。
■ マリオ・モニチェリ『I soliti ignoti』
フライシャーにくらべると、このイタリア喜劇の巨匠の日本における扱いはあまりにも不当だ。代表作の多くは公開すらされていないし、今では名前もほとんど忘れられているといっていい。別に、マリオ・モニチェリが偉大な監督だと言うつもりはないけれど、イタリア喜劇の最高傑作のひとつと言われるこの作品すら公開されていないってのは、どうなんですかねぇ。 これはドジな連中による強盗計画の一部始終を描いたいかにもモニチェリらしいコメディ。Criterion からも "Big Deal on Madonna Street" のタイトルで DVD が出ている。 ちなみに、蓮實重彦はモニチェリの『ちゃちなブルジョア』をとあるベストテンに選んでいる。興味がわきましたか。
■ マリオ・モニチェリ『戦争・はだかの兵隊』
La grande guerra ちっぽけな人間たちの姑息な生き様が描かれているのはいつものモニチェリだが、ラストのあっけない処刑シーンには、他の彼の作品にはない生々しさがある。
■ リカルド・フレーダ/マリオ・バーヴァ『Les vampires』
これ見たいんだけど、たぶん大したことないんだろうなぁ。そんな気がする。マリオ・バーヴァが撮影を担当。
■ ジョゼフ・ペヴニー『千の顔を持つ男』
ロン・チャーニーの生涯を描いた伝記映画。そんなたいした映画でもないけれど、映画の世界が描かれているというだけで興味深い。
■ ジャック・ドワイヨン『Jacques Doillon : coffret 7 DVD』
■ オリヴェイラ『Le Miroir Magique』
「カイエ」での評価は高かった。日本で公開されるんだろうか。 (「カイエ」で思い出したが、編集長がいつの間にかミシェル・フロドンからステファーヌ・ドロルムに変わっていた。)
久しぶりに Amazon.fr の DVD をチェックしたら、気になるものがたくさんあった。ありすぎたので、何度かにわけて紹介しようと思う。
■ヘンリー・ハサウェイ『Ames a la mer』
■ フリッツ・ラング『リリオム』Liliom
フランス時代のフリッツ・ラング。
■ マリオ・バーヴァ『Duel au couteau』
■ ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『アナタハン』
■ ジョゼフ・フォン・スタンバーグ『罪と罰』
パリのシネマテークでこの映画を見ているとき、近くにいたオバサンが「あたしゃこれよりも、ピエール・シュナル版のほうが好きだね」と話しかけてきて、面倒くさかったことを覚えている(実際、このスタンバーグ版よりも、ピエール・シュナルの『罪と罰』のほうが、フランスでは圧倒的に評価が高いことを付け加えておく)。
■ ピエール・シュナル『L'assassin connaît la musique』
これはそのピエール・シュナルによるコメディ(未見)。
■ ジャン=ピエール・モッキー『"Snobs" ! & "Un drôle de paroissien"』
ジャン=ピエール・モッキーの時代いまだ来たらず。これは「Cahiers du Cinema」から出ている DVD シリーズのひとつ。前に紹介したケン・ローチの『Family Life』などもここから出ている(ちなみに、北野武もこのシリーズに入っている)。
■ アンソニー・マン『Desperate』
■ エリア・カザン『荒れ狂う河』
むかしテレビで一度見ただけ。ニューディールな作品だったという印象しかない。
■ マイケル・パウエル『Red ensign - Edition les films de ma vie』
マイケル・パウエルの映画は全部見たつもりになっていたが、見逃していた作品が、まだまだあった。
■ マイケル・パウエル『Phantom light - Edition les films de ma vie』
■ アラン・ドワン『Coffret allan dwan』
# - 『逮捕命令』Silver Lode
# - Tornade
# - 『バファロウ平原』Cattle Queen of Montana
# - 『辺境の追跡』Escape to Burma
# - 『南海の黒真珠』PEARL OF THE SOUTH PACIFIC
# - 『対決の一瞬』Tennessee's Partner
# - 『悪の対決』Slightly Scarlet
■ リチャード・フライシャー『Bodyguard』
■ ジョセフ・L・マンキーウィッツ『静かなるアメリカ人』
数年前に、リメイクが公開されたときに日本でも DVD になるんじゃないかと期待したが、そう思い通りには行かなかった。
■ ディノ・リージ『Le fanfaron』
昨年に亡くなってから、DVD 化が加速している模様。
■ ディノ・リージ『Au nom du peuple italien』
マルコ・フェレーリは日本でもそれなりに人気がある。しかし『Dillinger é morto』はなぜか公開されていない。私見では、これがフェレーリの最高傑作なのだが……。わたしの趣味と、日本の配給会社の趣味とはどうもずれているらしい。ゴダールが "mereveilleux de simple évidence" といって絶賛したと伝えられているこのすばらしいアンチ・ドラマには、68年という時代の空気が刻み込まれている。
■ サタジット・レイ『大都会』
1年以上前にこのブログでハマー・プロの映画について記事を書いたとき、戯れに「かいぶつたちのいるところ」というタイトルをつけた。言うまでもなく、モーリス・センダックの有名な絵本のタイトルをもじったのだが、わかる人にはわかるだろうし、わからない人にはわからなくていいかと思って、なにも説明しなかった。地味な内容だったので反響もなく(まあ、いつものことだが)、自分でもそんな記事を書いたことさえ、忘れていた。ところが、最近になって、どうもこのページがちょくちょく検索されている気配がする。変だなとは思いつつ、特に調べたりはしなかった。こないだテレビを見ていて、やっとその理由がわかった。アメリカでセンダックのこの絵本が映画化されていたのだ。こんな本を映画化するやつがいるとは思わなかった。ひょっとしたらティム・バートンかと思ったが、監督はスパイク・ジョーンズだった。ティム・バートンだとはまりすぎる。スパイク・ジョーンズというのは意外性があって逆に興味がわく。「かいじゅうたちのいるところ」という邦題ですでに公開が決まっている模様。
わたしがこの本のことを知ったのは、たしか金井美恵子の本の中だった。いや、天沢退二郎だったか。読んでみて、その不思議な物語とシュールな絵にすぐ魅せられたものだ。世界的に有名な作家だが、彼の作品はハリー・ポッターと違ってだれにも愛されるというものではない。その点では、いまだに知る人ぞ知る作家といえる。以前に公開されたホウ・シャオシェンの『珈琲時光』でも、この本は印象的に使われていたので、覚えている人もいるだろう。
久しぶりに読み返してみようかという気になったのだが、そういえばこの本は20年以上前に人にプレゼントしてしまって手元にないことを思い出した。その人とは音信不通になってるんだけど、あの本、返してくれないかなぁ。
☆ ☆ ☆
新作DVD(旧作も入ってるかも)
■プレストン・スタージェス『殺人幻想曲』
だいぶ前に出てたものだが、紹介し忘れていた気がするので。作品については説明する必要はないだろう。スクリューボール・サスペンス・コメディの傑作。
■ 『戦慄の七日間』
これもだいぶ前に出た DVD。テロリスト集団が核弾頭を盗み出すといった話は今では珍しくもないが、これは一人のオッサンが核爆弾を持ってロンドンをうろうろする話だ(オッサンといっても、優秀な科学者なんだけど)。『太陽を盗んだ男』の元ネタは案外これだったりして。
■ アーサー・ペン『逃亡地帯』
■ ルイス・ブニュエル『乱暴者』
■ エーリヒ・フォン・シュトローハイム『クィーン・ケリー クリティカル・エディション 』
わたしは米版を持ってるので、日本での発売は特にうれしいニュースでもないのだが、ともかくめでたい。
■ レニ・リーフェンシュタール『意志の勝利』
これも海外版を大昔に手に入れているので、日本で出ようが出まいがどうでもいいのだが、まだ見ていない人にはうれしいリリースだろう。善かれ悪しかれ見ておかなければならない一本。
■ ラオール・ウォルシュ『決斗!一対三』
二世代にわたる父と子の物語。
■ ジョージ・マーシャル『青い戦慄』
『拳銃貸します』と同じ、チャンドラー原作、アラン・ラッド、ヴェロニカ・レイク主演による犯罪映画。
■ 衣笠貞之助『十字路』
■ 佐藤真『SELF AND OTHERS』
■ 河瀬直美『追臆のダンス』
■ 深作欣二『解散式』、『暴走パニック 大激突』
米版の新作 DVD。気づいたものだけ。
■『Columbia Pictures Film Noir Classics, Vol. 1 』
(The Big Heat / 5 Against the House / The Lineup / Murder by Contract / The Sniper)
ドン・シーゲルの『殺人捜査線』、アーヴィング・ラーナーの『契約殺人』など、なかなか通好みのラインナップ。
■『The Film Noir Collection: Volume 2 』
(Pushover / Nightfall / The Brothers Rico / City of Fear / In a Lonely Place)
こちらも、ジャック・ターナーの『Nightfall』など、いいものが揃ってます。
■ドン・シーゲル『The Verdict 』
初期のシーゲル作品。無実の容疑者を死刑にしてしまって職を辞した元警視監シドニー・グリーンストリートが、直後に起きた殺人事件を独自に調査していく。ピーター・ローレをはじめ、怪しげな登場人物が何人も登場し、ミスリーディングを誘う。その後のシーゲルを知るものには、意外なほど本格ミステリーしている作品。
■サミュエル・フラー『The Sam Fuller Film Collection 』
ダグラス・サークの『Shockproof』など、脚本作品も多数含まれているところに注目。できれば『パーク・ロウ』を入れてほしかった。
■ウィリアム・カッスル『The William Castle Film Collection』 (13 Frightened Girls / 13 Ghosts / Homicidal / Strait-Jacket / The Old Dark House / Mr. Sardonicus / The Tingler / Zotz!) 万人にはお勧めできない。お好きな人だけ。
庄野潤三氏が亡くなりました。『プールサイド小景』を学生の頃読んですごいインパクトを受けたことを思い出します。『アメリカン・スクール』の小島信夫とかと並んで、一時期、わたしにとってとても重要な作家でした。
☆ ☆ ☆
■ルイス・ブニュエル『のんき大将』、『アルチバルド・デ・ラクルスの犯罪的人生』
■河瀬直美『万華鏡(英語字幕版)』
見てません。
■フィリップ・カウフマン『ミネソタ大強盗団』(Thre Great Northfield Minnesota Raid)
ロバート・ベントンの『夕陽の群盗』などと並ぶ70年代西部劇の代表作の1つ。語り古されたジェシー・ジェームズの物語だが、描き込まれた歴史的ディテールが新鮮だ。自動車が出てくる西部劇はないわけではないけれど(ペキンパーの作品など)、野球が登場する西部劇は他に記憶がない。 ちなみに、ゴードン・ダグラスに『The Great Missouri Raid』という、同じくジェシー・ジェームズを描いた作品がある(豆知識)。
■オリヴィエ・アサイヤス『夏時間の庭』
■『ジョン・カサヴェテス 生誕80周年記念DVD-BOX HDリマスター版』
バラ売りもあり。
(英語が得意の人は、これよりも総収録時間が300分ほど長いのに、値段が半額近い Criterion の BOX を買った方が断然お得。こちらでは、『チャイニーズ・ブッキー』の異なる2ヴァージョンを見ることができる。)
■『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー BOX 5 (シナのルーレット/ペトラ・フォン・カントの苦い涙/悪魔のやから)』
『ペトラ・フォン・カント』はいかにもファスビンダーらしい密室劇の傑作。彼の作品のなかではとっつきやすい部類に属するだろう。『シナのルーレット』には、アンナ・カリーナとマーシャ・メリルという、ゴダールの名前と永遠に結びつけられている二人の女優が出ていることが注目だ(出てると知らずに見たので、申し訳ないが、二人の顔をすぐには認識できなかった)。混乱の極みとでもいうべき『悪魔のやから』は、ファスビンダー作品のなかで最もいらいらさせる一本かもしれない。それ故に興味深い作品だ(まあ、こういうのを撮ってるから、あまり人気がないんだけど)。
■ バーベット・シュローダー『陰獣』
見てません。
■『ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」』 以前、出たと思ったらすぐにリンクが消えてしまった DVD。
大統領選挙後の混乱のイラクから遠く離れたイタリアで、アッバス・キアロスタミがジュリエット・ビノシュ主演の映画を撮っているという話を聞いたときは、驚いたが、今は一刻も早く見たくてしようがない。
さて、約1ヶ月ぶりに、日本の新作 DVD を紹介する。別にたいしたものはない(たいしたものはないというのは、全部見ているものばかりで、驚くようなものは出ていないという意味だ)。
■エーリッヒ・フォン・シュトロハイム『愚かなる妻 クリティカル・エディション』
■河瀬直美『につつまれて/きゃからばあ』
■ジャン・ルノワール『ジャン・ルノワールの小劇場 』、『恋多き女』、『ラ・マルセイエーズ』、『素晴らしき放浪者』、『牝犬』
■ ルイス・ブニュエル『ロビンソン漂流記』、『それを暁と呼ぶ』 『それを暁と呼ぶ』を久しぶりに見直していて、タイトルの "Cela s'appelle l'aurore" という言葉は、たしか最後に執事がつぶやくんだよなと思ってみていると、そんな場面はなく、そうだ、あれはゴダールが『カルメンという女』で勝手に引用していたのだったと思い出す。それにしても美しいタイトルだ。ブニュエルらしくない物語ともいえるが、電柱のキリストや、祖父にいたずらされる少女など、彼らしい主題は随所に登場する。ブニュエルのお気に入りの作品だったらしいが、わたしもこの映画が大好きだ。どうでもいいが、ルチア・ボゼという名前は、わたしにとって、一時期、神話的な名前だった(ただたんに、名前の響きに惹かれただけで、別に好きな女優というわけではないのだが)。
■ ジョン・フォード『果てなき船路』
■ダルデンヌ兄弟『ロルナの祈り』
■エリック・ロメール『アストレとセラドン 我が至上の愛』
そういえば、ブニュエルは、若きロメールのことを「ファシスト」と呼んでいたのだった。
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