Movie Review 2007
◇Movie Index

オーシャンズ13('07アメリカ)-Aug 12.2007
[STORY]
“オーシャンズ”のメンバー、ルーベン(エリオット・グールド)はホテル王のバンク(アル・パチーノ)と組んでラスベガスのホテルの共同経営を約束していた。しかし突然バンクに裏切られショックで倒れてしまう。知らせを聞いたダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)たちはバンクに復讐を誓い、バンクのホテルが邪魔なベネディクト(アンディ・ガルシア)も味方に引き入れる。そしてホテルのグランド・オープンに合わせた壮大なプロジェクトが幕を開いた――。
監督スティーヴン・ソダーバーグ(『オーシャンズ12』
−◇−◇−◇−
『オーシャンズ11』と『12』に続くシリーズ3作目。

前作のヨーロッパ編はオーシャンズがあちこち移動しまくったせいか作品も纏まりがなかったけど、本作は原点に戻ってラスベガスのホテルがターゲットになり、仲間の復讐という目的のはっきりした仕事だったおかげで落ち着いて楽しむことができた。あとジュリア・ロバーツが出演しなかったというのもワタシ的には嬉しい(あんまり好きじゃないのよね)ゼタ姉さんは見たかったけど。思わぬところでジュリアン・サンズの顔も拝めてよかった。

やはりチーム全員が揃うシーンはあまりなく、ドン・チードルが1人で地下に篭ってるシーンを見て「スケジュールの都合?」なんてつい思ってしまったりして、物語を楽しむというよりは俳優たちが楽しそうに演じてるところを見て楽しむ映画だね。でも今回は偏りなくどのメンバーも見せ場や活躍するシーンがあったと思う。特におバカ兄弟が今回いいわ〜。ケンカばっかりかと思いきや、やっぱり仲良しだなおまえら(笑)
あとガルシアも太ってダルダルだったのに、本作では少し痩せたのかイイ男ぶりが復活。バンクをハメるための演技をするシーンで、オレ今回は騙す側だぜ〜という嬉しそうな顔がちょっとカワイイ。・・・最後はやっぱりお約束が待ってるんだけどね。

パート1ではダニーが、パート2ではラスティー(ブラッド・ピット)がそれぞれ女性をゲットしてるので、今回はライナス(マット・デイモン)がアビゲイル(エレン・バーキン)に惚れちゃって、あれ?ちょっと、いやかなり年上?だけどライナスにはそれくらいの女性のほうが似合いそうだからいいか、でも彼女はバンクの部下兼愛人だから奪うのは大変そう、でもきっと金品と一緒に最後はゲットするに違いないわ〜と予告を見て勝手に思っていた私。何でそこまで思い込んでたんだ自分!(笑)予告を見て勝手に妄想を膨らませるのは、いい加減やめなきゃなぁ・・・。
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団('07イギリス=アメリカ)-Aug 8.2007
[STORY]
ホグワーツ魔法学校の5年生になるハリー(ダニエル・ラドクリフ)は、ダーズリー家で孤独な夏休みを過ごしていた。そこへディメンターが現れハリーは魔法を使って追い払うが、人間界で魔法を使ったことが魔法省に分かってしまい、ホグワーツを退学させられそうになる。ハリーはヴォルデモート(レイフ・ファインズ)が甦ったことを訴えるが、大臣は聞き入れない。しかしダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)のおかげで何とか処罰は免れる。新学期が始まり、ハリーたちは有志を集めて“ダンブルドア軍団”を結成し、密かに防衛術を練習し始める。
監督デヴィッド・イェーツ(『The Tichborne Claimant』)
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J・K・ローリング原作の同名小説の映画化で、『ハリー・ポッターと賢者の石』 『秘密の部屋』 『アズカバンの囚人』 『炎のゴブレット』に続くシリーズ5作目。

すでに原作本は読んでないんだけど、やっぱり続きは気になるので映画だけは欠かさず見ている。今回は私の好きなルーピン先生(デヴィッド・シューリス)もすっごい地味に復活(笑)セリフも少ないし映りも少ない!でも最後にハリーを抑えるところに萌え。出番が少ないキャストもちゃんと出演してくれるのがやっぱり嬉しいや。

役者たちの成長とともに(双子クンたちはスクリーンからはみ出そうなほど背が伸びたことに驚き、逆にハリーの身長がこのまま止まってしまうんじゃないかと心配)物語もいっそうダークになり、ちょうど思春期の年齢とも重なったハリーが苛立ち、苦悩しまくるという本作はかなりワタシ好み。『指輪』のシリーズもそうだったけど、心を蝕まれてもそれを跳ね返す精神力を身につけていく主人公を見るのが好きなのよ。ダニエル君も演技が上手くなったし、うなされるシーンでは色気も出てきて、見てるこっちはますますニヤリ(←アホ)あと新キャラクターのルーナ(イヴァナ・リンチ)がめちゃくちゃ可愛いわ〜。

原作を纏めきれてないようなところがチラホラ見えたり、前作よりヴォルデモート(レイフ・ファインズ)がショボく見えたり、相変わらず後手後手な大人たちにイライラさせられたが、今回は作品にヘンなクセを感じなくて、そこが私は良かったと思う。やっぱりアルフォンソ・キュアロンの『アズカバン』がなぁ・・・。次回作『謎のプリンス』でもイェーツが監督するらしい、と聞いてひとまず安心だ。
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プロヴァンスの贈りもの('06アメリカ)-Aug 4.2007
[STORY]
ロンドンでトレーダーとして多忙な毎日を送っているマックス(ラッセル・クロウ)の元に、伯父のヘンリー(アルバート・フィニー)が亡くなったという知らせが届く。ヘンリーの遺産相続人となったマックスは、全て売却するつもりで彼が所有していたプロヴァンスのワイナリーへ下見に行く。しかし少年時代を過ごした家での思い出がよみがえり、地元の女性ファニー(マリオン・コティヤール)とも出逢い、ヘンリーの娘だと名乗る女性まで現れ、マックスはそのまま休暇を取ることに――。
監督リドリー・スコット(『キングダム・オブ・ヘブン』
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原作はプロヴァンス在住のイギリス人、ピーター・メイル(エッセイ『南仏プロヴァンスの12か月』は大ベストセラー)の同名小説。彼の親友であるリドリー・スコットが映画の話を持ちかけたそうだ。

いきなりだけど、話が致命的につまらない!ヘンリーが遺したこのワイナリーは実は・・・という秘密がチラチラと分かってくるのがその出し方がヘタクソ。明かされるタイミングも悪すぎる。マックスとファニーの恋も酷い。男に懲りているはずのファニーがマックスなら後腐れがないからといきなり言い出したり、ヘンリーの娘だと名乗るクリスティ(アビー・コーニッシュ)が突然現れても遺産問題でこじれたりしないし、映画としての面白さがぜんぜんないの。何でこんな映画になっちゃったの?

楽しみにしていたプロヴァンスの風景も、リドリー・スコットにかかると人工的になってしまうらしい。ロンドンではガラスが反射する青い光を強調していて、これは悪くない。プロヴァンスでも黄色い土の色や濃い緑を強調することでロンドンと対比させているんだけど、温度や湿度が伝わってこないというか、太陽や風を感じない無機質な映像に見えてしまった。特にマックスが携帯のカメラで写真を撮るシーンは、映像としては面白かったけど作り物っぽい、美術作品を見ているような感覚がした。

そしてこの私が!見終わってもワインが飲みたいと思わなかったというのが、この映画のダメさ加減をよく表していると言えるでしょ(笑)マックスがワインを好きじゃないという設定のせいか、おいしそうに見えなくて。おいしそうな料理も出てこないし、彼が最後にワインが好きになるというセリフでもあればまた違っただろうが、それもなく終わっちゃったし。なんか癒されるどころかフラストレーションが溜まる映画だったなぁ。

「ランス・アームストロング!」と叫びながら走り去るマックスや、フレッド・ペリーとラコステの対決、という小ネタは面白かったけどね。あとヘンリーと少年時代のマックス(フレディ・ハイモア)がやりとりをする回想シーンは面白かった。回想シーンを見てる間だけは、プロヴァンスのこの家に住みたくなったな。たとえサソリが出てもね。
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レミーのおいしいレストラン('07アメリカ)-Aug 4.2007ヨイ★
[STORY]
何でも嗅ぎ分ける嗅覚の持ち主で料理が大好きなドブネズミのレミー(声:パットン・オズワルト)は、今は亡き名シェフのグストーを尊敬し、巣のある老婆の家で彼の料理本を読むのが好きだった。しかしある時、老婆に見つかり逃げ出したレミーは家族とはぐれ、パリのレストランに辿り着く。そこは何とグストーの店で、今も彼の教えの通り料理人たちが腕を振るっていた。だが、最近は料理評論家のイーゴ(声:ピーター・オトゥール)に厳しく批評され、少々冴えない様子。さらに見習いのリングイニがスープを台無しにしているのを見たレミーは、こっそりスープを作り直してしまう。それを目撃していたリングイニは、レミーの力を借りて料理の練習を始める。
監督&脚本ブラッド・バード(『Mr.インクレディブル』
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字幕と吹替の料理翻訳監修を「クィーン・アリス」の石鍋裕が担当。
また本編の上映前に短編の『リフテッド』も上映。こちらはセリフがないアニメで、ものすっごい下らないけどものすっごい笑えるアニメでした。

そして本編はというと、まず思ったのはすっごいチャレンジをしたな〜ということ。だってネズミ(ミッキーみたいなネズミじゃなくて、まさにドブに住んでるやつ)が料理を作るわけよ?見る前からドン引きする人が続出でしょう。それをじゅうぶん分かっていながら、あえて設定にしてるんだからね。ヤン・ピンカバが監督だった時はもう少し擬人化されたネズミだったらしいが、バードに交代なってからネズミらしくしたんだそうだから。
で、見終わって考えてみたんだけど、レミーと仲間のネズミが作った料理を食べてみたいか?というとやっぱり無理(笑)でもレミーがリングイニを操って作った料理なら食べてみたい、とそう思ってしまった。アニメでも衛生的なことが頭をよぎってしまって・・・まぁ人間だって綺麗とは言いがたいんだけどね。コレットのバサバサ髪だって不衛生だもん。アニメでもあの長さなら束ねてほしい。

監督が交代してから時間がなかったからかもしれないが、登場人物のキャラクター造形が大雑把な印象を受けた。レストランのリングイニ、スキナー、コレット以外は誰が誰だか覚えられないまま終わってしまい残念だっし、リングイニも準主役(でいいのかな?)の割には印象が薄い。というか、監督が明らかに思い入れのあるキャラクターはイーゴだろう。前作『インクレ』でも思ったけど、ルックスがデフォルメされているにもかかわらず、生身の人間と同じような仕草をするので、とてもリアルに感じる時がある。それを今回一番強く感じたのがイーゴだった(前作ではヘレンね)メガネを外してツルをたたむ仕草、レミーの料理を口に入れた時の驚愕の表情、どれもハッとさせられた。そしておそらく監督が一番主張したいことをイーゴに言わせている。というわけで、本作の中で最も好きになったキャラクターになってしまった。彼がつまらないキャラクターだったら、この映画をここまで好きになれなかったかもしれない。
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ファウンテン 永遠につづく愛('06アメリカ)-Jul 28.2007
[STORY]
病に冒された妻イジー(レイチェル・ワイズ)を救うため、新薬の研究に没頭する医師のトミー(ヒュー・ジャックマン)。そんな彼にイジーは自作の物語を手渡す。それは中世スペインの騎士トマス(ジャックマン)が、女王イザベル(ワイズ)の命令で“ファウンテン(生命の泉)”を探す旅に出るというもの。だが物語りは最後まで書かれておらず、残りをトミーに完成させてほしいという。
監督&脚本ダーレン・アロノフスキー(『レクイエム・フォー・ドリーム』
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当初はブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが主演する予定だったが降板となり製作が危ぶまれたが、新たにジャックマンとワイズを迎えて完成にこぎつけたという作品。監督的にはワイズと結ばれて子供まで生まれたんだからオールオッケイか(笑)第63回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。

ジャックマンの坊主姿に吹き出しそうになったことを始めとして、やっちゃった・・・な作品ではあったけど、アロノフスキーのワイズに対する愛はめちゃくちゃ感じた映画でした。つーかこれ公開ラブレターでしょ。久しぶりに監督の写真見たら何かやたら肥えてるし(笑)幸せなんだろうなぁ。きっともう『π』みたいなピリピリした映画は撮れなさそう。でもこういう路線も嫌いではないので次回作ももちろん楽しみにしている。

ただ本作のみたいな坊主はなぁ・・・。真面目にやってんだろうけど、間違って新興宗教の勧誘ビデオを見ちゃった気分。もしくはコント(笑)いろんな宗教を頼ってみても、決まっている寿命を延ばすことはできないという表現なのかもしれない。でもジャックマンが真面目な顔してあれをやってるだけで笑いがこみ上げてきてしまう。ホントにごめん。こればっかりはどうしようもないです。他のパートはこれに比べたら悪くはないけど、ちょっとジャックマンの泣きすぎる演技も鼻についてしまった。ワイズはこれ以上ないほどにナチュラルで美しくて、これも監督のおかげかしらね(笑)

音楽は『レクイエム』に引き続きクリント・マンセル。この人は同じフレーズを繰り返し使う人なんだけど、それがまるで滾々と湧き出る泉のようだった。本作ではほぼひっきりなしに音楽が使われているのだが、ときどき無音することで逆に観客の注意を引くという面白い使い方をしていた。ああ、またサントラを買ってしまいそう(笑)
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