Movie Review 2001
◇Movie Index

バニラ・スカイ('01アメリカ)-Dec 28.2001
[STORY]
デヴィッド(トム・クルーズ)はニューヨークの出版社の社長。大金持ちでハンサムでな彼にはジュリー(キャメロン・ディアス)というガールフレンドがいた。ところが彼は親友が連れてきたソフィア(ペネロペ・クルス)というスペイン人ダンサーに心を奪われてしまう。それに気づいたジュリーは、デヴィッドをドライブに誘い、無理心中しようとする。
監督&脚本キャメロン・クロウ(『ザ・エージェント』
−◇−◇−◇−
97年のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』のリメイク。この映画を見たトム君が作品に惚れ込み、映画化権を取得し製作した。舞台はアメリカだが、ソフィア役のペネロペ・クルスが同じ役で登場している。

久々に見たトム君はやっぱり大スターオーラがすごかった。2時間以上も彼を見続けるとさすがにこっちの体力が消耗されますな。あの奥目に吸い込まれるんじゃないかと思いました(←おい)

さて冗談はさておき、彼がこの役をやりたがってると最初に聞いた時すごく嬉しくなった。ちゃんと自分のことよく分かってる人なんだなって。『オープン〜』で主人公セサルを演じたエドゥアルド・ノリエガと顔の系統が同じなこともあるが、あのオーラを活かせるぴったりな役柄じゃないですか。おまけに事故で顔が醜くなってしまうというのも、いかにもトム君がやりたがりそうだなぁと思ってニヤリとした。でも日本公開時での宣伝では全然それに触れてなかったような?私も見るまで顔が醜くなる設定を忘れてたもん。これから見る人に言いますけど(笑)醜い顔やマスク被ってるシーンもかなり多いっすよ。

しかしこの醜い顔がいまいちだったな。目をそむけたくなるほど酷くなかったし、そんな顔になってしまったデヴィッドの苦しみや悲しみ、孤独、恐怖なんかがほとんど伝わらなかった。マスクを顔の後ろにずらしたシーンは両作品ともあったが『オープン〜』でのセサルのシルエットは秀逸だった。それだけでセサルの絶望がよく分かったもの。本作ではデヴィッドの場合は怒りのほうが強かったかな。見てる方としては怒ってる人を見ると逆に引いちゃうのよね。おまけにそんな顔でもオーラ全開だし(笑)

ストーリーはほぼ同じ。しかし本作のほうが丁寧な説明があってとても分かりやすい。しかも説明は小出しじゃなくて「はい、ここからちゃんと説明するからよく聞いてね」ってな感じなので、途中混乱してしまった人でも大丈夫(笑)っていうかそれってどうなのよ?と思った。綺麗に纏めすぎて逆にこの作品をダメにしてないかしら。ちゃんと説明がついてるからイイ、と思う人もいると思うけど、ワタシ的には分からないほうが好きです。ということでリメイク前の作品に軍配。しかし冒頭の、デヴィッドが無人のニューヨークの街を走るシーンはすごく良かった。
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フォロウィング('98イギリス)-Dec 12.2001オススメ★
[STORY]
作家志望のビル(ジェレミー・セオボルド)は、創作のアイデアを得るために町を行き交う人の中で目に止まった人物を尾行していた。しかし、ビルがある男をつけていたところ、男にバレてしまう。だがその男コッブ(アレックス・ハウ)もまた他人のアパートに不法侵入しては私生活を覗き見するのが趣味で、ビルは男に誘われるままアパートに忍び込むようになる。そして、あるアパートに住むブロンドの女に興味を持つ。
監督&脚本クリストファー・ノーラン(長編1作目。2作目が『メメント』
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本作もまた『メメント』と同じく時間軸が交錯するストーリー。メメントは現在→過去と一直線だったが、本作はもっと複雑。あっち行ったりこっち行ったりするので混乱しそうになるが、でもとても分かりやすい目印を提示してくれている。それは主人公ビルのルックスで判断することができるということ。大きく分けると、髪も髭も伸び放題の時、髪を切ってスーツ姿、スーツ姿だけどなぜか顔にヒドイ傷、の3つだ。これを確認しながらストーリーを追っかけていくと、髪を切った理由やケガの原因が明らかになり、同時に時間の経過を理解できるようになる仕組み。うまいです。

さらにストーリーをバラバラにして組み替えたことで、かなりゴマカシも利いてるように見える。もしこの映画を時間通りに見れたとしたら、ストーリーがかなり端折られてるのが分かると思う。バラバラになってるから、繋ぎの部分を観客が想像で補うわけだし、気にならないと。これもうまいです。

てなわけで、すごく感心させられた作品だった。個人的には『メメント』より好きだな。内容そのものに関してはちょっと説明的なセリフが気になったし、理屈っぽい感じが鼻につくかつかないかギリギリなところなんだけど、こういう話が好きな私にとっては、多少の粗もOKでした。
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ハリー・ポッターと賢者の石('01アメリカ)-Dec 4.2001
[STORY]
生まれてすぐに両親を亡くしたハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は伯母家族に引き取られるが、食事も服も満足に与えられない生活をしていた。11歳の誕生日が近づいたある日、ハリー宛に手紙が届くが伯父に取られてしまう。それでも毎日手紙は届き続け、一家全員で家を空けても行く先々で手紙が届いていた。そしてハリーの誕生日当日、ハグリッド(ロビー・コルトレーン)という大男がやってきて手紙を渡す。それは何と魔法学校への入学許可証だった!
監督クリス・コロンバス(『ホーム・アローン』)
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すでに映画を見た人で、本を先に読んだほうがいいという意見が圧倒的に多かったので、先に読んでから見ることにした。そして私もやっぱり先に読んでおいて正解だと思った。これほど原作に忠実に、そしてイメージ通りに作ってある映画はほかにないと思った。アメリカ映画だが、撮影をイギリスで、そしてキャストも皆イギリス人を起用と徹底したところがエライ!

特にキャストはワタシ的に文句なし。子供たちもイメージ通りだし、先生たちもピッタリな上にとっても豪華ときてる(断ったら子供や孫に怒られるっていう役者さんが多かったようだ。微笑ましい)唯一難点を挙げるとすれば、マルフォイのオールバックっていうのはどうなのよ?ってところか(笑)
内容にしても、原作ではよく分からなかったカエルチョコがああいうものだということや、クィディッチというゲームがどういうものかもよく分かった。学校まで船で行くシーンや、ロウソクが宙に浮いているシーンなどは想像以上に美しいビジュアルだったし。

逆にこれだけ徹底したせいか“原作の再現VTR”と言い切れてもしまうところがあるな。さらに言うと映画としての面白さをあまり感じなかったと。すべてのエピソードをまんべんなく拾ってるせいか、何を一番見せたいのかが分からず、一本調子に見えた。これは原作を先に読んでしまったせいももちろんあるだろう。「次はこのシーンか」とか「あのエピソードは端折ったんだな」などと、常に冷静に見てしまったからね。しかし読んでなかったとして、この映画を面白いと感じただろうか?という気持ちもある。情報量が多すぎて混乱しそうだし、いつ話が終わるのか分からず2時間半も耐えられただろうかってね。知ってたって長かったもん(笑)

でもビデオ化の際には未公開シーンも入れること!(笑)ハリーがロンのママお手製セーターを貰うシーンがなかったもの(パンフの写真で着てるのに)
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