Movie Review 1999
◇Movie Index

エリザベス('98イギリス)-Jul 27.1999
[STORY]
英国王ヘンリー8世とアン・ブーリンの間に生まれたエリザベス(ケイト・ブランシェット)は、腹違いの姉メアリー女王の死後、25歳で女王となる。しかし他国からの攻撃、カトリックとの対立などで、誰が敵で誰が味方か分からない状態まで追いつめられる。そんな中、心の支えになったのがロバート卿(ジョセフ・ファインズ)だったが・・・。
監督シェカール・カプール(『女盗賊プーラン』)
−◇−◇−◇−
『恋に落ちたシェクスピア』よりも30年近く前の時代になりますが、出演者はかぶってます(笑)借金で首が回らない劇場主だったジェフリー・ラッシュは今回エリザベスを守るウォルシンガム卿に扮しているし、シェイクスピアだったファインズはエリザベスの恋人役。しかも(詳しくは書けないけど)「お前、またそういう役かぃ!」とツッコミ入れたくなってしまうくらい、役柄的にもちょっとかぶってる。また、アカデミー授賞式の時「ブランシェットっとパルトロウって顔が似てるよね」なんて言われてたので、あらゆる意味でかぶってる上に比較された作品でもありました(笑)

映画を見る時、できれば先入観なしに見たいものだけど、この映画に関しては見る前に登場人物の名前と顔くらいは一致させておいたほうがいいと思う。そしてさらにこの時代の予習もできればして下さい。エリザベス誕生前の事情を知るには映画『1000日のアン』を見るといいでしょうね。エリザベスの母アンが主人公の話だそうです。私はこれから見ます(泣)ていうか見とけば良かった。

というのも、この映画ではあまり説明がないので、詳しくない人が見たら分からないところが多くて、まごまごしてるうちにどんどん話が進んでしまうからなのだ。英国の人なら当たり前のように知ってることだろうけど、日本人でしかもこんな無知な人には無理!(笑)てなわけで自分の中で整理するためにも一応下にこれまでのことを書きます。これから見る予定の人は良かったら読んでみて下さい。

ヘンリー8世はキャサリン王妃という妻がいたんだけど、彼女はメアリー(後のメアリー女王)を生んだだけで男の子を生まなかったために離婚したいと思っていた。そんな時、ヘンリーはアン・ブーリンを見初めて結婚しようと思うんだけど、カトリックでは離婚を認めないため、ヘンリーは無理矢理、英国国教会というのを作って、強引に離婚し強引に結婚してしまう。でも皮肉なことにアンにも男の子は生まれず、やっぱりヘンリーは彼女とも離婚しようとしてしまう。でもアンは娘エリザベスの王位継承権を守るために離婚に同意せず、処刑されるまで王妃として生きたのでした(泣)ヘンリーは後にもいっぱい奥さんを娶るんだけど、男の子が生まれても夭折しちゃうし自分は死んじゃうし。結局キャサリンとの娘メアリーと、アンのと娘エリザベスが女王になっちゃって皮肉なもんです。しかも!その後の宗教対立やら何やらかんやらの問題の元を作った人ってことで、死んでからもメイワクな人だったのだな、ヘンリーって。
さて本編に移りましょう。監督は何とインド人です(笑)だからイングランドの映画ではあるけれど、どことなくインドらしさがある。薄布越しに人を映したり、ダンスシーンがまるで求愛しているように見えるところとかね。そしてさらに面白いのがエリザベスを演じているブランシェットはオーストラリア人だということ。そして彼女を助けるラッシュもオーストラリア人。今までの中世英国映画とはちょっと趣が違って新鮮だ。

(さて、ここからネタバレします)でも、確かにほかの歴史モノ系映画より見ごたえあって飽きることはなかったけれど、感動するまでに至らなかった。それは、ブランシェットも熱演してはいるものの、エリザベスが恋を断ち切って女王として生きるその1番重要なシーンが、いともあっさりしてたからかもしれない。その前に、エリザベスとロバートの恋そのものが熱く感じられなかった所為ではなかろうか。何となく冷たいというか、恋というより単に情事を重ねてるだけのように思えたというか。
また誰が敵で誰がそうでないのかを、もっとはっきりさせてほしかった。ウォルシンガムなんて「まだこの人には裏がありそうだ」と最後まで思っちゃったし・・・違ったけどね(笑)観客にもエリザベスと同じような状況を味わってほしかったのかもしれないが、かえって全体像がぼやけてしまったように思う。緊迫感も薄れてしまったし。
(ここまで)
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マイ・ネーム・イズ・ジョー('98イギリス)-Jul 25.1999
[STORY]
アル中だったジョー(ピーター・ミュラン)は断酒を始めて10ヶ月。今はサッカーチームのコーチとして楽しく過ごしている。ある時、サッカーチームのメンバーで、ヤク中だったリアム夫妻の元を訪ねた健康管理センター職員のセーラ(ルイーズ・グッドール)とジョーが出会い、恋に落ちた。
監督ケン・ローチ(『ケス』)
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ケン・ローチ作品は実は初めて見ました。今まで何となく見る気がしなかったのは、どこまでいっても貧乏で失業してて何かしらトラブルを抱えている人たちを底辺から見つめる映画だと思っていたからだ。何となく行き着く先が見えて、それだけでゲッソリしてしまいそうな気がしていたわけ。できれば映画は楽しくて夢のあるものを見たい、何故好んで辛い気持ちになりながら映画見なきゃなんないの?と正直思ってましたとも。でも今回は見てみようかな〜という気持ちになった。理由は分かりません。別に好きな俳優が出てたわけでもなし(あのカーライル主演の時だって結局見なかったしなぁ)で、見てみた感想は・・・やっぱり想像した通りだった(笑)だいたいはね。

つかの間の幸せから、どう転んでも必ず何かしらの不幸が襲ってくるところまで、ジョーや仲間が追いつめられていく。彼らに対して「そこで切り捨てればラクになるじゃん!何やってんだよ〜」と私なら叱り飛ばすだろうね。と最初は思ったんだけど、それができれば最初から貧乏でもどん底でもないわけであり・・・。見ているうちに、何で自分は彼らの「優しさ」をもっと分かってあげられないんだ!と反省してしまいました。

私たちの中にも「優しすぎる人」がたまにいるけれど、こういう人の本質を見ずに「ダメな人」と決め付けて、叱咤激励してるつもりがただの自己満足だったり、単に自分が上位に立ちたいだけだったり、一方的に言うことで快感を得ていたり、かえって傷つけてるだけの場合が往々にしてあるのだ。また、この映画のようにその弱さにつけ込む悪い奴等も必ずいる。ここまでくるとこれは人間が人間になる前の本能としか思えなくなってくる。弱者の臭いを嗅ぎ付けてそれを捕らえて喰らう者――。

ダメだ、ダークな気持ちになってきた(笑)それがイヤで見たくなかったのにね。でも、その「優しすぎる人」をさらに優しい目で描いているのがよく分かった。最悪の状態まで落ちてしまっても、仲間や恋人に支えられながらでいいから、その優しさを持ったまま這い上がって欲しいという気持ちが込められていたように思う。
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オープン・ユア・アイズ('97スペイン)-Jul 2.1999
[STORY]
ハンサムで金持ちなセサル(エドゥアルド・ノリエガ)は、友人が連れてきたソフィア(ペネロペ・クルス)に恋をする。しかしセサルに付きまとう女ヌリアが事故を起こし、セサルの顔が醜くなりソフィアにも冷たくされる。だが、ある時から状況は一変。顔の手術が成功して元どおりになり、ソフィアともうまくいくが・・・。
監督&脚本&音楽アレハンドロ・アメナーバル(『テシス 次に私が殺される』)
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東京国際映画祭グランプリ。そしてスピルバーグ絶賛&トム・クルーズがハリウッドリメイク化権獲得(『バニラ・スカイ』)と、第2作目にしてその天才ぶりを発揮しているアメナーバル監督は私と同い年らしい(笑)すごいっすね。

どれが現実でどれが夢だか分からない映像が次々と重ねられていって、セサルと同じくこちらもわけが分からなくなり、恐怖さえ感じるようになる。現在があり、過去の記憶を辿っていくような映画はさほど珍しくはないけれど、その過去の記憶さえも危ういというのがこの映画の面白いところ。セサルって男はどっちかといえば鼻持ちならないヤツなんだけど、彼がいつのまにか夢の迷宮に入った時から、彼がそこから抜け出せるよう応援してしまう。イコール、見てる自分もそこから早く抜け出したいわけだ。自分は今ここにいる。でもそれが夢か現実か分からない。こんな不安なことってないもの。

私も夢はよく見るほうだけれど、いつもは現実との区別はつく(つかなかったらヤバイでしょう)けれど電車でうとうとした時に分からなくなってしまう時がある。それは夢か現実か、というよりも、どこまでが自分が眠るまでに考えていたことなのか、どこからが眠っている間に見ていた夢なのか、その境目が分からなくなってしまうのだ。「あれ?」と思った瞬間、ちょっと怖くなる時がある。この映画を見ていてそれを思い出した。人間の脳とは、記憶とは、そんな曖昧なものなのね(否、本当は正確に覚えられるらしいけど、パンクするからわざと覚えないとも聞いたことがある)

(さて、ここからネタバレします)しかしその夢の理由が急にSFチックになっちゃったところが「はあ?」という感じ。あまりにもぶっ飛んでて理解するまでに時間が掛かってしまった。ただの夢オチにならないところが面白いといえば面白いけど、もうちょっと現実味(というのもヘンだけど)があっても良かったのでは。まぁラストを見る限り、それも夢だったっぽいけどね。と、いうことは実は1番最初のシーンに戻るってことかしら。「Abre los ojos(目を覚まして)」というヌリアの声だったから。えーと、そうなると全部が夢だったってことか?えーだけどだけど・・・(→どうやら迷い込んだらしい(笑))(ここまで)

結局、自分が迷宮から抜け出せないまま映画館を後にしたのでありました(まる)
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スターウォーズ エピソード1('99アメリカ)-Jul 16.1999オススメ★
[STORY]
通商連合が惑星ナブーを占領した。ジェダイ騎士クワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)とオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)は彼らとの交渉に失敗するが、ナブーの女王アミダラ(ナタリー・ポートマン)を救出し、惑星から脱出する。途中、立ち寄った惑星タトゥーンで、彼らは9歳になる奴隷の少年アナキン・スカイウォーカーと出会ったのだった。
監督ジョージ・ルーカス(『スターウォーズ』)
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以下、全く内容に触れていませんので安心してお読み下さい。

エピソード4 5 6は日比谷で見たんだけど、今回は絶対にTHXの劇場で見たい!ということで、海老名のレイトに行ってきました。THXの劇場はまだ日本では4館しかなく、首都圏ではあと立川だけ。また4つの中でも海老名のスクリーンは日本で1番デカイらしいです。

やっぱり音が断然違う!!!あのテーマ曲が流れた瞬間、まるで目の前で演奏してるんじゃないかというくらい、音がくっきり。楽器の1つ1つがちゃんと別々のスピーカーから聞こえてくる。また、爆発シーンなどの大きな音は、座席の下からズズズズズーンと響くのだ(実際、揺れてるのかも)だから臨場感タップリ。自分も一緒に宇宙船に乗っているような気分になれる。ディズニーランドのスターツアーズみたいな感じかも。

と、満足度100%・・・と思いきや、実はここからが大変だった(泣)盛り上がりに盛り上がって残り20分くらいというところで、いきなり画面は「ドシュッ」という音とともに白っぽくなった。そしてメリメリッと画面が弾けた。最初はみんなこれもCGじゃないかと思ったらしく(もちろん私もそうだ)しばし呆然としていた。しかしスクリーンには溶けたフィルムの切れっぱしがピラピラと映ってるじゃないか。劇場は明るくなり「しばらくお待ち下さい」という係員の説明があった。そして数分後には「本日はこれ以上、上映できません」

何だとーーーーーーーーーーー?!いやぁ今まで映画見てきた中で、こんなことは初めてです。一瞬、画面が止まったり、音が出なかったり、ということはあったけれど、フィルムが溶けて上映不可能とは・・・。ちょうどダース・モールが出てるシーンだったので、彼の邪悪なフォースがフィルムを溶かしてしまったのかもしれない(笑)チケットはもちろん全額払い戻しで、なおかつタダ券を貰えたけれど、残り20分、どうにかならなかったのかなぁ・・・。他の観客からもクレームやら愚痴やらがたくさん漏れてました。これが昼間ならもう1回って思うけど、時刻は既に0時を回っていて、こんな消化不良のまま帰途につかなきゃいけないのかと思うと言いたくもなる。ある意味めったにない、貴重な経験したけれど(笑)この時ばかりはガッカリしましたさ・・・。

でも今度はこのタダ券を使ってもう1度この劇場で見る予定。だから今回は内容に触れてないのdeath!

そして2度目の感想はこちら
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恋はワンダフル!?('98アメリカ)-Jul 16.1999
[STORY]
ボストンで上院議員マグローリーの選挙参謀として働くマーシー(ジャニーン・ガラファロ)は、彼から「私のルーツを探してこい」と頼まれ、アイルランドへと旅立つ。しかし目的の町バリナグラに到着すると、お見合いパーティーの真っ最中だった。マーシーは必死でマグローリーの血縁者を探そうとするがうまくいかない。そんな中、マーシーはホテルで働くショーン(デイヴィッド・オハラ)と衝突しながらも恋が芽生えていく。
監督マーク・ジョフィ(『ハーモニー』)
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原題は『マッチメーカー<仲人>』・・・それがこんなタイトルになりやがって(泣)

日本公開が決まる前から、主演がガラファロと聞いて「これは見なきゃ!」と思っていた映画だったのだ。ガラファロといえば『好きと言えなくて』この映画での彼女はホントに良かった。映画の中でも男性に恋される要因となる「声」が、私もたしかにイイと思ったのだ。喋り方もはっきりしてて耳に心地いい。実際もこういう人なのかな〜と思ったら、実は『ロミーとミッシェルの場合』の時の役に近いと聞いたことがあるが(笑)

だから初めて邦題を見た時に、最初は分からなかったさ。このタイトルは配給会社ではなく、一般の男性会社員が付けたらしいけど(そういうコンテストでもあったのかな)ちゃんと映画を見てから決めたんですかね?というか公開初日に某番組のワンギャルと呼ばれる人たちがイベントのようなものをやったらしくて、さらに悲しくなりました(苦笑)

映画自体は「ワンダフル!?」なんて言ってるわけもなく、独身者の多いアイルランドの田舎町で集団お見合いが繰り広げられている。日本で言う「沼島の春よふたたび」みたいなもの。これが現実でもかなり切実な問題らしい。そこに単身乗り込んだアメリカ人マーシーが、ギャップを感じながらも町の人々に次第に溶け込んでいく様子を描いている。また雄大で美しい島の風景や、仲人することに人生を掛けた人も交え、アメリカの選挙戦を皮肉ることも1つのスパイスとして取り込んでいる。もちろんユーモアも忘れない。

が、それが何となく噛み合ってないと私は思いました。どこがどうダメなのかうまく説明できないんだけど、いまいちノリきれなかった。ガラファロも今回はそれほど魅力的に思えなかったし、他の出演者もあまりパッとしない(唯一、ダーモットのビデオがしみじみ良かった)最初、失礼ながら新人監督が撮ってるのか、もしくは雇われてイヤイヤ撮ってるのかと思ったくらい、あまり気持ちが入ってないように感じたのだった。でもそんなことはなく、ちゃんと思い入れがあったようだけれど、それが私には響いてこなかったみたい。
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