Movie Review 1997
◇Movie Index

エンジェル・ベイビー('95オーストラリア)-Jun 22.1997
[STORY]
精神科のセラピーで知り合ったハリー(ジョン・リンチ)とケイト(ジャクリーン・マッケンジー)恋に落ちた彼らは同棲を始める。やがてケイトが妊娠。お腹の子供のために2人揃って薬物治療をやめるが、精神は不安定になる。
監督マイケル・ライマー(?)
−◇−◇−◇−
最近は豪映画の勢いがいい。『プリシラ』や『ベイブ』そして『シャイン』と、ハリウッド的ノーテンキさが少しとペーソスを交えた作品が多くて面白い。

だけど今回のこの映画は今までとはちょっと違った。雰囲気は豪というよりちょっと英国映画っぽい作りだし、ストーリーもそんな感じかな。表現の仕方によってはものすごく感傷的な内容になったのだろうが、あくまでも乾いた映像で淡々と綴っていく。それは決して悪いことじゃないんだけど、一人よがりな感じもして(それは役者でなく監督が、です)主人公たちの気持ちがほとんど入って来なくて、最後までただの傍観者として2人を見つめているにとどまった。

まぁ後から考えると主人公達が精神を病んでることで、周りの人物も観客さえも拒絶しているように見えなくもない・・・んだけどね。ちょっと無理矢理かな。
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スターウォーズ〜特別編('77&97アメリカ)-Jun 22.1997
[STORY]
昔、遥か銀河系の彼方、全宇宙はデス・スターの独裁帝国に支配されていた。平和を望むレイア姫 (キャリー・フィッシャー)はダースベイダーに捕らえられたが、姫の命令を受けていたR2-D2とC-3POは逃げ出して、惑星タトゥーインに降り立つ。そこでルーク(マーク・ハミル)と出会う。
監督&脚本ジョージ・ルーカス(『アメリカン・グラフティ』)
−◇−◇−◇−
この映画がかつて上映されていた頃、私はまだほんの子供だったから映画館では見ていない。またTVで何度も放映されてからも、小さな画面だし映像もすでに色褪せて見えたので見る気がしなくて全編通してまとも見たことがなかった。それが今回特別編として上映されることになり、3本まとめて見る気になったのである。

今の私たちの目から見るとけっこうチャチだし話の内容の幼稚さを隠せないが、当時だったら大変なものだっただろうと思う。でも宇宙での戦いや銃撃戦は迫力があるし、あの宇宙船は模型だったとしても細か〜く作られていて感動した。そしてこの映画がのちのSF映画やTVゲームなどに多大なる影響を与えたことも肯ける。ラストシーンなどはまさに(スーパーのつかない初期の)ファミコンゲームのエンディングのようで笑ってしまった。いや、ゲームデザイナーはこの映画からエンディングを見出したのだろう。

続編の感想→『スターウォーズ・帝国の逆襲』 『スターウォーズ・ジェダイの復讐』
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八日目('96フランス=ベルギー)-Jun 14.1997オススメ★
[STORY]
ダウン症の青年ジョルジュ(パスカル・デュケンヌ)はママに会いたくて犬と一緒に施設から抜け出す。一方、仕事一筋の会社員アリー(ダニエル・オートゥイユ)は、妻子に家を出て行かれて落ち込んでいた。雨の夜、車を運転していたアリーは犬を撥ねてしまう。車から飛び出すと、その傍らにジョルジュが立っていた。こうして二人は出会った・・・。
監督ジャコ・ヴァン・ドルマル(『トト・ザ・ヒーロー』)
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人間性を忘れていた男と、ピュアで寂しがりやの青年が出会うことによって、お互いの人生が変わってゆく。『レインマン』に似ているかもしれないが、この映画ではダウン症の青年を健常者の俳優が演じるのではなく、実際にダウン症の俳優が演じている。そんなリアルな物語かと思えば、ジョルジュの空想部分はファンタジックな映像を駆使している。一見相反しそうなリアルさとファンタジックさに違和感はなく、素直にジョルジュの心を理解できる。またオートゥイユは私のとても好きな俳優なのだが、今回特に素晴らしかった。96年のカンヌでオートゥイユとデュケンヌは主演男優賞をダブル受賞するという快挙を成し遂げている。オートゥイユがいたからデュケンヌが活き、デュケンヌがいたからオートゥイユが活きている。2人の間に演技以上の何かがあったのかもしれない、とさえ思えた。

"この世の始めは無だった。あったのは音楽だけ。一日目、神さまは太陽を作った。二日目、神さまは海を作った。"――というナレーションから物語は始まる。ラストで八日目に神さまが何を作ったか明らかになった時、私は涙が止まらなかった。
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うなぎ('97日本)-Jun 7.1997
[STORY]
サラリーマンだった山下拓郎(役所広司)は、浮気した妻を殺して刑務所に入っていた。8年後、山下は1匹のうなぎを持って仮出所し千葉に床屋を開業する。近所の者は山下に興味を持つが山下はうなぎにしか心を開けない。ある時、山下がうなぎの餌を取りに河原へ行くと1人の女(清水美砂)が睡眠薬を大量に飲んで倒れていた。
監督・今村昌平(『楢山節考』)
−◇−◇−◇−
97年のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞。

はっきり言ってスケール的には小さい作品だ。正直言ってどうしてこの作品が受賞したの?って思う。でもこれは、人間を、日本人を描いている作品なんだ。

寡黙で、過去の犯罪に引きずられながら生きる男を演じた役所がとても良かったし(ただしこれ以降、役所が演じる役すべて同じように見えてイヤになった)また獄中で知り合った高崎(柄本明)という、幸せそうに暮らす山下に嫉妬し執拗な嫌がらせをする男がのちに登場するのだが、この感情むき出しの高崎と山下の対比が面白いと思った。どちらかというと高崎のほうが人間らしくて興味深い。好きかと聞かれれば嫌いだけども(笑)達観している人間なんて本当はいない。常に欲望があり嫉妬に狂っているものだ。そういう人間に出会って山下も閉じ込めていた感情を爆発させて、人間らしく振る舞うようになるのだ。だから清水美砂演じる桂子はおまけって感じがしたな。

パルムドールを取っていなければこんなに大きな劇場でやることもなかっただろうが、私としてはミニシアターで見たかったっす。
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マイケル('96アメリカ)-Jun 3.1997
[STORY]
タブロイド紙の記者フランク(ウィリアム・ハート)は「我が家に天使が住んでます」という読者からの手紙をたよりに、新聞社の人気犬と飼い主の記者、そして天使に詳しいというドロシー(アンディ・マクダウェル)の3人で取材に向かう。天使がいるという寂れたモーテルには病弱な老婆と、太っていて不潔でヘビースモーカーの天使マイケル(ジョン・トラボルタ)がいた。
脚本&監督ノ−ラ・エフロン(『めぐり逢えたら』)
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好きなトラボルタ出演ということで張り切って行ったのに期待外れでした。とにかくストーリーの流れが悪い。それにトラボルタ演じる特殊な天使のエピソードも何だかお粗末。マイケルを連れてシカゴの新聞社へ車で行くというロードムービーっぽい設定の中で、お約束通りフランクとドロシーが恋仲になっていくわけなんだけど、それがマイケルのおかげなんだかそうじゃないんだか分からない。

そして死ぬほどヤ〜なエピソードが1つ。ネタバレかもしれないけど大したことないから書いちゃう!(ごめん)大事な犬が死んじゃってそれをマイケルが生き返らせたりするシーン、これがもぉサイテーで陳腐!(おすぎが憑依したか?<自分)トラボルタが天使っていう設定はいいのだから、ハートとマクダウェルという知名度の高い俳優じゃなくて、もっと若くて無名に近い男女にした方が良かったんじゃないかな。その方が新鮮だったかも。特にマクダウェルは何だったんだ?!というくらい邪魔くさかった。
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