Movie Review 2002
◇Movie Index

フレイルティー/妄執('01アメリカ)-Nov 23.2002
[STORY]
テキサス州ダラスにあるFBI司令部に、フェントン・ミークス(マシュー・マコノヒー)という男がやってきた。彼はいま全米を震え上がらせている殺人鬼“神の手”の正体が自分の弟アダムであり、そのアダムは自殺したと告げた。そして事の発端を話始めた。
1979年。フェントンとアダムの兄弟はすでに母親を亡くしてはいたが、父親(ビル・パクストン)と3人で幸せに暮らしていた。しかし父はある時、夢に天使が現れて悪魔を破滅させるよう使命を受けた言い出した・・・。
監督もビル・パクストン(初監督作)
−◇−◇−◇−
『アポロ13』や『タイタニック』などで俳優として出演していたビル・パクストンが初監督。また親の同伴なしでは小学生以下の子供は鑑賞できないPG-12指定を受けている。・・・いや、でもこれ自分が親だったら見せたくないな(笑)中学生だったとしても躊躇する。自分が子供の時に見たらきっとショックを受ける。

フェントンの目から見た父親の怖さが十分に出ている。ある日突然、父親が豹変して殺人鬼となってしまった。そして自分たちにも手伝いを強要する。弟のアダムはまだ幼いせいか父親の言いなりなっている。自分はどうしたらいいのか。フェントン役の子供が常に訴えるような目をするのね。それにどんどん引き込まれたし、父親の真意が見えなくて(本当に天使から言われたの?悪魔が見えるの?)この子が本当に可哀相だった。

しかし・・・見事にドンデン返しにやられました。こういう話だったのか!とね。すべてひっくり返されたような気がするよ。今まで見てきた私って一体・・・。いや、なかなかよくできた話でしたな、なんてね(負け惜しみか?)こういう、出演者が少なくて低予算そうだが、ストーリーが練られた作品を見ると嬉しくなるね。

ただ、オープニングのクレジットだけで“神の手”の説明をするのはちょっと無理があったような。フェントンがFBIの捜査官に説明をするシーンももう少し丁寧にしてほしかった。理解するまでに時間が掛かり、映画の中になかなか入り込めなかった。それからラストは、このままでも悪いわけじゃないけど、もう少し観客に緊張感を与える方法はなかったものか。過去のシーンが良かっただけに、現在のシーンの粗さが目についた。
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8人の女たち('02フランス)-Nov 23.2002
[STORY]
1950年代のフランス。クリスマスを祝うために集まったある家族。しかしその家の主人マルセルが何者かに殺されていた!容疑者は屋敷にいた8人の女たち。妻のギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)、マルセルの妹ピレット(ファニー・アルダン)そしてギャビーの母、妹、2人の娘、メイド、家政婦──屋敷にいた8人すべてに動機があった。
監督&脚本フランソワ・オゾン(『まぼろし』
−◇−◇−◇−
第52回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。フランスの名立たる女優たち8人が共演したミュージカル風ミステリー。ほぼ屋敷の中だけで話が展開するのは『焼け石に水』に共通しているが、こちらのほうがより舞台劇のようにみえる。

で、いきなりだけどワタシ的には今までのオゾン作品の中では一番ガッカリだったというか、寂しくなってしまった。オゾンのために出演する女優がこれほどまでにいて、近いうちに巨匠と呼ばれるようになってしまうのかな・・・という寂しさかな。それからこの映画の最大の売りはストーリーなどではなく、この女優たちをキャスティングできたこと、そして彼女たちに歌わせ躍らせることができたことだ。撮影前からもうこの映画が成功してしまったことに対して納得できないというか。
ギャビーの母を演じたダニエル・ダリュー(85歳!)に対してものすごくぞんざいに扱ったり、女優同士が大喧嘩するシーンがあったりと、途中途中での見どころはあるんだけど、もう少しオチに工夫が欲しかったなぁ。

見終わったあと、久しぶりに大女優ではなく『海をみる』や『ホームドラマ』に出演していたマリナ・デ・ヴァンが見たくなった。彼女のような奇妙な(失礼)顔の人でオゾンらしいおかしな映画を!・・・と、思ったら彼女は本作や『まぼろし』でオゾンと脚本を書いてたのね。知らなかった。ぜひとも彼女にはまたスクリーンでお目にかかりたい。

付け加えると、面白くなかったのには自分にも責任がある。どうやら過去の名作映画たちへのオマージュがたくさんちりばめられているらしいのね。ドヌーヴのセリフやらエマニュエル・ベアールのブーツやらアルダンの手袋に(そういえば劇場で、アルダンが手袋を外した途端に笑った人がいた)それが分からなかったのが悔しいねえ。

どうでもいいけどドヌーヴってどんどん美輪明宏化してるような気がする。もうちょっと痩せてほしいなぁ(痩せてほしいのは美輪様もだが)それからベアールってひょっとして音痴?!(笑)
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ストーリーテリング('01アメリカ)-Nov 16.2002
[STORY]
【フィクション】
1980年代のニュージャージー。女子大生のヴァイ(セルマ・ブレア)は、脳性小児マヒの彼氏マーカスと一緒にピューリッツァー賞受賞の黒人教授のゼミを受けていた。ある時、教授から自作の小説を酷評されたマーカスはヴァイに八つ当たりし、2人は喧嘩別れしてしまう。
【ノンフィクション】
現代のニュージャージー。靴屋でバイトしながら映画制作を計画しているトビーは、母校で出会ったスクービー(マーク・ウェバー)という無気力な少年に目をつけ、彼を主人公に映画を撮り始める。
監督&脚本トッド・ソロンズ(『ハピネス』
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前作は、笑ったら不謹慎だよな、こんな映画が好きって思ったらヤバイかな、と思いながらも好きになってしまった映画だった(本当は見そびれていた『ウェルカム・ドールハウス』も見たいんだけど、近所のビデオ屋にはないのよ!)

本作もまた最初っからヤバイ。障害や人種差別、性癖を臆することなくさらけ出していて、あえてタブーに触れることで「タブーに触れないやつが実は差別してるんだよね、へへん」って自分は差別してませんというポーズを取っている、のか?それともホントに差別してる?

そして一転してアメリカのユダヤ一家を描いた【ノンフィクション】だが、これがまたのっけからトビーがイタイ。スクービーの顔だってよくもまあ見つけてきたよな、というくらいとても“いい顔”をしている。この映画の象徴ともいうべき顔だ。すべてに無気力そうな暗い目をしながら、人気トーク番組の司会者になりたいなどとたわけたことを言ってる子で、見るだけで殴りつけたくなるような奴だ(おいおい)彼の家族も、特に母親が気持ち悪いんだこれが(笑)子供に対していい母親ぶりを演じながら夫に依存しまくってるセレブ気取りの女で、映画に出てくる主婦の特徴をすべて詰めこんだようなキャラクターなのだ。これは夫も然り、ほかの子供たちも然り。そういう薄ら寒い家族を【ノンフィクション】として描くということは【ノンフィクション】と呼ばれる本や映画などの創作物たちを嘲笑しているのだろうか?それとも【フィクション】を嘲笑している?

もうちょっとスゴイえげつないのを想像してたのが、思いのほかまとまりのある映画だったので、個人的には『ハピネス』のほうが好きだな。ところで【ノンフィクション】のほうって『ドニー・ダーコ』に似てると思ったんだけど、なにか揶揄してるのかな?(『アメリカン・ビューティー』へのオマージュではある、というのは聞いてるが)それから劇中に少し流れた『アメリカン・スクービー』の完全版が見たいよ〜。
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マーサの幸せレシピ('01ドイツ)-Nov 16.2002オススメ★
[STORY]
ドイツ・ハンブルクにあるフレンチの店でシェフとして働いているマーサ(マルティナ・ゲデック)は、料理の腕は一流だが 客とのトラブルも絶えない。そんな彼女をオーナーは“街で2番目のシェフ”と呼び、精神科のカウンセリングを受けさせるほどだった。 そんなある時、マーサの姉クリスティン(サンドラ・ネットルベック)が交通事故で亡くなってしまい、一人娘のリナを預かることになってしまった。
監督&脚本もサンドラ・ネットルベック(劇場公開作品初監督)
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とても女性監督らしい作品だった。主人公へ自分を投影しすぎて浮わついたようなところが無きにしもあらずなんだけど、マーサの微妙な表情まできちんと追っていて細やかさが窺える。ドイツ人らしい几帳面さもね(笑)それから他のシェフやオーナーも女性であるのは、フェミなのかドイツの雇用制度のせいなのか、など本編とはあまり関係ないことも気になったりして。

リナやイタリア人シェフのマリオと出会うまでのマーサは、料理の腕はすごそうだけど美味しそうに見えない料理ばかり作っているし、食べるシーンが全くない。それが徐々に変わっていって、笑顔を見せたり、ずっと結っていた髪を下ろしたりする。ちょっと痒いけど可愛らしい表現が満載。分かりやすさが物足りないと感じた部分もあったけど嫌味がないし、マーサがリナに対する愛情を示すところは泣けたし、女性は必見でしょう。

主演のゲデックはすごい美人。プロフィールに『悦楽晩餐会』に出演してたのね・・・覚えてないや(笑)それにしても40歳近いとは。綺麗でカッコイイ人だ。そしてマリオ役のセルジオ・カステリットは顔も声もジャン・レノにちょっと似ている。声だけ聞いてたら分からないかも。
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TRICK 劇場版('02日本)-Nov 9.2002
[STORY]
自称天才奇術師の山田奈緒子(仲間由紀恵)は、300年に一度大きな災いが起こるという糸節村の村人たちから不安を取り除くために“神”を演じてほしいと依頼を受ける。だが村にはすでに3人の自称“神”がおり、村人たちは4人をテストするという。奈緒子はなぜか村にいた自称天才物理学者の上田(阿部寛)に助けられながら勝ちぬいていくが、脱落した“神”が次々に殺されていった。
監督・堤幸彦(『溺れる魚』
−◇−◇−◇−
2001年のDVD売上ナンバー1だったTVドラマの劇場版。

ドラマ2回分を見せられた、という感じで映画としての感想は特にないのだが(これで1000円以上払うのはちょっと損した気分ではあるものの)逆にドラマのままで良かった。『ケイゾク/映画』の時のような「なんだこりゃ!」な映画じゃなくて良かった。さらに竹中直人がしつこくなくて本当に良かった。映画になると変な色気を出していた堤氏もやっと分かってくれたかと(笑)『TRICK』というドラマのファンになった人が映画館まで足を運ぶわけだから、ファンを裏切っちゃダメよね。まぁクライマックスがこの作品にしては普通に真面目に纏めすぎてて、少し飽きちゃったところあり。もうちょっと奇想天外なところがあれば良かったな。

あとはツボネタを箇条書き。
 ●ナポリタン(食べたいような食べたくないような)
 ●ニセモノのカミ(これが一番)
 ●石原のストラップ(デカッ)
 ●「ええんですかいのぅ」(しかし『溺れる魚』と同じネタを使ったのにはムカ)
 ●くわっぱ!(可愛いな仲間)
 ●上田の脱ぎ(バカだね〜)

テレビでもやってたネタでお習字ネタがあったけど、パート3っすか。やったら見るけどラブはなぁ・・・。ああいう奈緒子も可愛いし、上田とのやりとりもいいけどラブはなぁ・・・ラブは(しつこい)
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