Movie Review 1999
◇Movie Index

フェアリーテイル('97イギリス)-Apr 3.1999
[STORY]
第1次世界大戦時代の英国ヨークシャー。父が戦争で行方不明になったため、8歳の少女フランシスが12歳の従姉妹エルシーの家にやってきた。ある時、2人は近くの小川で妖精を目撃し、それを大人たちに話すが信用されない。しかし彼女たちが撮った写真に妖精が映っていたので大騒ぎになる。写真はコナン・ドイル(ピーター・オトゥール)の手に渡り、本が出版されることになった。
監督チャールズ・スターリッジ(『ハンドフル・オブ・ダスト』)
−◇−◇−◇−
イギリス映画なのに何となくハリウッドくさいなぁと思ったら、製作がハリウッド映画を手がけた人達だったのね。しかも何て言うんだろう、最近は監督の意志がひしひしと伝わる映画ばっかり見てたせいか、久しぶりに没個性な映画を見た気がした。監督の熱意よりも製作者の思惑が強いというか商業的というか(劇場公開される映画はある意味、商業的でなくてはなりませんが)

実話を元にした話なのに、うやむやなところが多くてそれには首をひねった。実話だからそれ以上創作できない、とか個人のプライバシーが・・・というジレンマもあったんだろうけど(苦笑)普段は長すぎる!って息巻いてる私ですが、今回は短すぎる!と言いたい。1時間40分くらいの長さな上に、たらたらたらっと話が上っ滑りするように進んじゃうんだもん。妖精がいるか否か全世界を巻き込んで大論争になった!という大事件さもほとんんど伝わってこない。作るほうは事件性よりも2人の少女のピュアな心、信じる気持ちを重点に置いたんだろうなぁと分かるけど「a true story」なんてサブタイトル付けるんなら、もっと深く掘り下げて、信じること忘れた大人たちを見せてほしかったな。そのほうがもっと彼女たちの純粋さも際立ったように思うのだけど。

でも2人の女の子はホント可愛い。特にフランシス役のエリザベス・アールは将来が楽しみな美人だなぁ。衣装も私の好き〜な可愛さだし、いかにも妖精が出てきそうな小川の風景も美しい。こんなところ散歩してみたいよ。もちろん川は汚しません。それからマジシャン役のハーヴェイ・カイテルの最後の言葉はちょっとジーンとする。これを言わせるために彼を起用したのかしらね。

最後にどーしても言いたいネタバレなことが1つ(ここから)いや〜まさかホントに妖精を登場させるとは思ってなかった!少女たちにしか見えない、という設定なのかと思ってたんで出てきてびっくりした。びっくりついでにフランシスの父親役がメルギブだったとは!(ここまで)
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コキーユ〜貝殻('98日本)-Apr 2.1999
[STORY]
中学から30年ぶりに同窓会で再会した浦山(小林薫)と直子(風吹ジュン)。離婚して故郷に戻ってきた直子は「コキーユ」というスナックを営んでいた。30年前の想いを浦山に打ち明ける直子に浦山も彼女に惹かれていく。
監督・中原俊(『櫻の園』)
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え〜2年程前に『失楽園』という不倫な映画がありました。これもまぁ不倫な話ではありますが、あれよりも格段にいいっす。あっちがストレートに“欲望”なら、こっちはジワジワとした“想い”が伝わったかな。

私はモラリストというわけではないと思うけど、不倫な話は嫌いだ。奥さんや子供のことを考えろ〜!とたいていは頭にきちゃうんだけど、この映画ではそんなことは全く思わなかった。2人で幸せになっちゃいなよ!って応援しちゃいました。とにかく直子役の風吹さんがいいんだ。いかにも薄幸そうなんだけど、浦山君(←あえてこう呼ばせていただく)と再会し、30年前に戻ったかのような初々しい笑顔を浮かべる姿が可愛い。大人の女なのに少女みたいで、とても魅力的だった。小林さんは小林さんでした(笑)つーかこの人はいつも持ち味をそのまま出してる人だよね。

ラストの展開は、普段の私なら「何だよそりゃ!」って怒っちゃうと思うんだけど、でも今回は泣いちゃった。今もまた思い出して泣いているという。もし、浦山君の右耳が聞こえていたら(昔、高熱を出して以来、右耳が聞こえないという設定なのです)と思うとまた泣けてくる。

ただし浦山君と直子の中学時代の映像が美しくないし、エピソードもそれほど良くない上に撮りかたもあまりうまくないと思った。TVでやってる再現VTRみたいな感じがしちゃった。これが良かったらなぁ〜と惜しい気持ちでいっぱい。
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悦楽晩餐会 または誰と寝るかという重要な問題('96ドイツ)-Mar 30.1999
[STORY]
ミュンヘンにあるイタリアレストラン「ロッシーニ」に毎晩集まるのは、人嫌いの有名作家、離婚歴3回の映画監督、1人の女を争う映画プロデューサーと詩人、整形外科医など曲者ばかり。ある晩、白雪姫と名乗る金髪の女が店にやってくる。オーナーは彼女に一目惚れし、彼女を食事に招待するが・・・。
監督ヘルムート・ディートル(『シュトンク』)
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レイトショーだし『悦楽晩餐会』なんてエロチックなタイトル、しかもこんなサブタイトル付けられちゃったらいろんなことを想像しちゃいますが(いろんなってどんな?(笑))そういうのをめちゃ期待して行った人は見事に裏切られると思う。まぁでもねぇ、原題の『ロッシーニ(レストランの名前)』ではお客さんはなかなか入らないかも(笑)

私はレストランが舞台で金髪美女が男を手玉に取る話と知っていたので、きっと美味しそうな料理がたっぷり出てきて、なおかつ様々な愛憎が見られる。食欲と愛欲が乱れに乱れるんだろうと思っていた。が、これも裏切られた(笑)

何しろ料理がほとんど出てこない。何か食べてるようなシーンはあるけれど、料理そのものが映らないのだ。あとは酒を飲んでるか喋ってるだけ。最後の最後にオーナーがパスタを食べるシーンが出てくるけど、これがあんまり美味しそうじゃない。また、金髪美女もストーリーの3/4を過ぎたあたりでやっと活躍しはじめる。誰が主役というわけじゃなく、いろんな人物がほぼリアルタイムでレストランの中を行動する。己の欲望を満たすため、富を名声を得るために、時には突拍子もない行動に出る。しかもたった一夜で事態はコロコロと変わる。しかし彼らのバイタリティにはついていけない。こんなレストランにいたら気が狂いそう(笑)

裏切られたでもう1つ。(ここはネタバレかもしれないんで色変えます)有名作家とレストランのウェイトレスが、ほのかな恋を実らせる。彼らだけが一時の清涼剤かしら、と思っていたら最後はやっぱりそんなことに・・・(笑)でも私は彼らが1番好きだったな。(ここまで)

面白い話ではあるけれど、本国ドイツで記録的な大ヒットを飛ばし、各賞総ナメにしたというのはちょっと理解できないなぁ。
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エブリバディ・ラブズ・サンシャイン('97イギリス)-Mar 27.1999
[STORY]
服役していたギャングのテリー(ゴールディ)とレイ(アンドリュー・ゴス)が出所した。しかし彼らが刑務所にいる間、中国系マフィアが勢力を伸ばしていた。中国人を潰そうと息巻くテリーはレイに協力を求めるが、レイは足を洗おうとしていた。
監督&脚本もアンドリュー・ゴス(初監督作)
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スキンヘッド、ヒゲ、金歯、ピアス、銃、ダンス、黒い服、黒い車・・・金歯は笑っちゃうけどヴィジュアルがカッコイイ。そんでもって特にゴス萌え。スキンヘッド似合うし、頭ちっちゃいのにガタイがよくて、そのアンバランスさがまたステキ。彼の場合はギャングというよりお坊さんみたいで、精悍な顔つきがいいっす。

だけど如何せん前半のダラ〜ッとした展開が辛かった。話が進んでるんだか進んでないんだか分からないし、何をやろうとしてるのかも理解するまで大変だった。あとセリフが説明的なところも気になったし(だけど説明的なおかげでストーリーを理解できた(笑))。後半の中国人マフィアとの対決や、テリーがレイに異常なまで執着している、という設定は面白かったけど、それをもっと早めに持ってきてさらにエスカレートさせてくれれば良かったのにな。それにギャングの参謀役でデビッド・ボウイが出演してたんだけど出番少なくて残念。でもその掴み所のない感じ、彼ってどういう存在?一体何を考えてるの?と見てるほうが終始気にしている人物という意味では、あの程度の出番で良かったような気もする(おいしい役だなぁ)あれ以上出てたら、いくら金歯でもゴールディは霞んでたかもしれない、などと思った。一応主役だし顔もゴッツイのに、それほど存在感を感じなかったのはどうしてなんだろう。レイへの執着心は一体どこから来てるのか、その気持ちをもっと出してくれれば彼にももっと注目したのに、私はレイを中心に見てたから、彼がただの邪魔者に見えてしまった。

ゴスは「みんなに知られていないイギリスの厳しい現実を描きたかった」と言っているけど、そういうのを描いているように思えなかったな。1度ギャングの世界に身を投じてしまったら堅気にはなれないという怖さは感じたけれど。日本のヤクザ映画っぽいのかしら。
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バンディッツ('97ドイツ)-Mar 20.1999
[STORY]
投獄されたエマ(カーチャ・リーマン)は、ドラムを探していたルナ、エンジェル、マリーのバンドのメンバーとなった。彼女たちはバンディッツ−悪党−というバンド名で警察のパーティーに出演することになったが、会場へ向かう途中で逃げてしまう。警察に追われながら彼女たちは友情を深めていく。
監督&脚本カーチャ・フォン・ガルニエ(日本公開初作品)
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『テルマ&ルイーズ』を思い出した。この映画も2人の女が警察に追われながら友情を深めていくし、途中でB・ピット演じるコソ泥と出会うんだけど『バンディッツ』で人質にされる男(ヴェルナー・シュライヤー モデル出身)がちょっとピットに似ているのだ。監督のガルニエは一時期ピットと噂になったんだよね。グィネスと別れて、今のアニストンと付き合う前に。やっぱし顔の好みとか傾向ってあるんでしょーか(笑)

それと(ここからネタバレします)ラストはどちらも「手」なのだ。『テルマ〜』ではテルマとルイーズが手をしっかり握り合って谷底へ落ちていくところで終わり。この作品では、船に乗り込もうとする3人だったが撃たれてしまう。その時、先に死んでしまったマリーと3人の手が触れようとするところでやっぱり終わる。似てない?(笑)
個人的にこういうラストは好きじゃない。何だかズルイ〜!って思ってしまうから。
(ここまで)ピットが出演してたから監督は絶対見てると思うけど、あの映画のオマージュなのか対抗して作ったのかどうかは分からない。

似てるところばっかり見つけてきてもしょうがないので内容の方を。はっきり言っちゃえば現実離れしている。逃げてる4人がそこらじゅうでライブやっちゃうし、CDは発売されちゃうし、なかなか捕まらないし、警察もマヌケだし「おいおいおい!」とツッコミたくなるところはたくさんある。そこが面白いところではあるけれど、自分達は犯罪者なのだ、という自覚が無さ過ぎ。ダラダラし過ぎ(苦笑)警察から必死に逃げながら「演奏だけはやめられない!」「歌わずにはいられない!」というウズウズした気持ちやパワーもそれほど感じられない。犯罪者としてのそれぞれの過去もあるにはあるけど中途半端だし・・・。クライマックスからの疾走状態はなかなか面白かったけど、もうちょっとしっかり作って欲しかったな。でもエマ役のリーマンがカッコよくて、女でも惚れちゃうね。
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