Movie Review 2002
◇Movie Index

リターナー('02日本)-Sep 8.2002
[STORY]
闇の取引現場に潜入して事件を解決するミヤモト(金城武)。ある時、横浜の港で宿敵である溝口(岸谷五朗)と偶然出くわし、激しい銃撃戦となる。しかしあと一歩のところで溝口を取り逃がしてしまう。その騒動の中、ミリ(鈴木杏)と名乗る不思議な少女を撃ってしまっていた!
運よく命拾いした少女は、ミヤモトならばと自分が未来からタイムスリップしてあと2日後に起こる大事件を未然に防いで欲しいと頼んできた。信じられないミヤモトだったが、ミリのペースに乗せられ、仕方なく手伝うことにしたが、それは地球の運命を左右するとんでもない事件だった。
監督&脚本・山崎貴(『ジュブナイル』)
−◇−◇−◇−
いろんな映画のキャラクターをちょっとずつパク・・・いや、リスペクトした作品。ロングコートで銃をぶっ放す主人公は『マトリックス』のネオであるし(有名なあのシーンのモロパク・・・いや、似たようなところもあり)敵の宇宙人は『E.T.』だし、宇宙人が乗ってるモビルスーツ?のようなものは『スターウォーズ』のドロイドみたい。何の映画から取られたものかチェックする意味では面白かったけど、目新しさはなかったね。予告でも出てたのでここにも書いちゃうけど、唯一おおっ!と思ったのは擬態宇宙船くらい。これぞ日本のロボットアニメという感じで(ロボットアニメに詳しいわけじゃないけど私はそう感じた)面白かった。

ストーリーはですね、まぁ深くは考えちゃいけませんね。突っ込もうと思ったらいくらでも突っ込めてしまう破綻しまくり穴だらけの話ではある。適当に流して見るが吉。そういえばちょっと騙されたところがあったな。あそこは面白かった。でもね、ミリが服を着替えるシーンだけは全く持って不必要!そんな時間ないだろーが。あとは意外と飽きずに見ることができる。それもこれもこの映画をぐいぐい引っ張っていった杏ちゃんのおかげ。

ところどころ子役臭はあるし声がキンキンしててウザイところもあるけど、やっぱりきちんと演技できるところに感心(当たり前なんだけど、この年代の子でまともな演技できる子がいないってところが邦画のマズイところじゃないのかな。これだけセリフが聞き取りやすい子は大人の俳優でもあまりいないし)ミヤモトにパスタ作ってもらって、黙々と食べるシーンはこの映画の一番の見どころ(ここかい)パスタの味が良かったってだけじゃないんだよね。作ってくれた人の優しさも一緒に貰ってつい泣いてしまうんだ。『千と千尋の神隠し』でも千尋がおにぎり食べて泣いてたでしょ。あれと同じ。ハッ!これもパクリなんですかー?!(だからパクリってゆーな)

金城くんは今まで出演した邦画の中では一番無理のないキャラクターで、あのソフトな声と喋りが逆に飄々とした男として形成されてたと思う。早口のミリとのやりとりもハマってたし。
一番ダメだったのは・・・書くまでもないと思うけど岸谷五朗ね。なんなんでしょうね。あんな分かりやすい悪役は見てるこっちが恥ずかしい。問答無用で銃をぶっ放すところはいいのだが、いちいち見栄を切るところで失笑してしまう。しかも最初から最後までずっと一本調子なので、登場するたびにうんざり。正直言って、さっさと死んで欲しかった・・・(おいおい)
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ドニー・ダーコ('00アメリカ)-Sep 8.2002
[STORY]
1988年アメリカ郊外。高校生のドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)は夢遊病に悩まされていた。10月2日、銀色のグロテスクなウサギが現れ、世界が28日と6時間42分12秒で滅びるという夢の中で告げられる。目覚めると彼はゴルフ場で横たわっており、家に戻るとジェット機のエンジンがドニーの部屋に落ちて大騒ぎになっていた。
監督&脚本リチャード・ケリー(初監督作)
−◇−◇−◇−
製作総指揮はドリュー・バリモアで、ドニーが通う高校の教師役でも出演している。

2001年のサンダンス国際映画祭に出品された作品で、本作のほかにあの『メメント』も出品されていた。そのせいか本作は“衝撃的リバース・ムービー!目を閉じた瞬間、答えは[反転]する”って宣伝打たれてるんだけど、それは全然違うというか、物語の整合性とかないのね。まぁはっきり言えば(ネタバレ)夢オチ、ですかね。もしくは多感な少年の妄想。SFっぽく考えるなら、エンジン墜落の衝撃で時空の歪みにドニーが落ちたが、そこはパラレルワールドだった、とかね。(ここまで)だから、ウサギだとか28日と6時間42分12秒に意味を求めないほうがいいと思う。というか深く考えすぎると肩透かし食らうでしょう。実は私は見る前に『メメント』みたいな映画じゃないことを知ってたので、もうただ普通に、何も考えずに見ることができた。

1988年で高校生というと、私と同じくらいか少し上くらいなのね(使われている歌が懐かしくてサントラがちょっと欲しくなった)でもアメリカ人でもなければ男でもないので当時の自分とドニーが重なるところはなかった。ただ、世界が滅びるというところでチェルノブイリ原発事故(1986年)を急に思い出した。放射能の雨が日本にも降るって学校で大騒ぎしたんだよな。あの時、確かに世界が終わってしまうかもしれないってビクビクしてたんだ。まぁ監督はこの事故じゃなくて、映画内に出てきたようにアメリカの大統領選挙に不安を感じてたみたいだけど。

そんな10代の不安を、大人の目線から見たのではなく、ちゃんと10代の頃の気持ちで映画を撮れているところが良かったね。いい意味でも悪い意味でも、稚拙で支離滅裂で、伝えたいことをうまく伝えられない、でも不安と孤独が伝わる映画。ドニーという、自分は他のバカでガキみたいな奴らとは違う選ばれた人間で、嘘と欺瞞に満ちた大人を懲らしめることができるヒーローだって信じているが、端から見ればちょっと変わってるけどたまにいるよね、こういう子。というキャラクター(まわりくどくて長い文章ですみません)をしっかり作り上げている。

いいところはそれくらいかな。どっちかっていうと、一人よがり、とバッサリ斬り捨てることもできる作品であると。ヘタすると次回作は作れないかもしれない。いや、作ったとしてもこれ以上の作品は無理かも・・・。
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ('01アメリカ)-Sep 7.2002
[STORY]
ロイヤル・テネンバウム(ジーン・パックマン)は有名な法律家。妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)と3人の子供がいた。長男チャス(ベン・スティラー)はビジネスマン、養女のマーゴ(グウィネス・パルトロウ)は劇作家、次男リッチー(ルーク・ウィルソン)はテニスプレイヤーとそれぞれ才能を発揮し、天才家族ともてはやされたが、ロイヤルの身勝手により夫婦は別居、子供たちも離れ離れになった。しかし22年後、ロイヤルがもう一度やり直したいと家に戻ってきた・・・!
監督&脚本ウェス・アンダーソン(『天才マックスの世界』)
−◇−◇−◇−
脚本はリッチー役のルーク・ウィルソンの兄で、本作にもテネンバウム家の向かいに住む作家イーライ役で出演しているオーウェン・ウィルソンも執筆している。またナレーションはアレック・ボールドウィンが担当。

狙いすぎっちゃぁ狙いすぎなんだけど、なんかツボな映画だったなー。ユルい笑いと脱力加減がたまりません。登場人物たちはいつも着てる服が同じだし、性格付けにしても類型的で記号みたいな存在。そんな彼らを撮るカメラもほぼ固定で一方方向から(しかもバストアップばっかり)しか撮らないから平面的でポートレイトを見せられてるような感じ。でもそんなところが、テネンバウム家のうわべだけの関係や各々の孤独を分かりやすく表現していると思う。

そしてこんな効果もあった。(ここからネタバレ)今までずっと平面的だったのが、エセルの結婚式にラリったイーライが突撃したシーン。ここで始めて映像に奥行きを出した。消防車、突っ込んだ車、壊れた家、そしてテネンバウム家の人々を順番に見せていくシーン。普通の映画なら普通の映像なんだけど、この映画ではこんなシーンがなかったので逆にものすごく新鮮なのだ。な〜んかズルイよな(笑)あの映像見て「わぁ〜」と思っちゃった自分が悔しい!(ハハハ)
それにしてもテネンバウム家の隣が日本大使館だったとは。庭には玉砂利に盆栽で、料亭の女将みたいな大使館員まで出てきちゃって『オースティンパワーズ ゴールドメンバー』かと思った(笑)
(ここまで)

また、見入ってしまったのは記号化された中にもどこか本物らしさがあるからだろう。ベタだけど泣きそうになったシーンがあるもんなぁ。役者の選択も良かったんだろう。やっぱりジーン・ハックマン。設定や性格をきちんと決められてたと思うんだけど、その中で自由に動き回っててとても生き生きしてる。ムカつくところもあるけどお茶目で憎めない。そしてグウィネス・パルトロウ。やっぱ彼女好きだなー。今回もまたブスだか美人だか分からない微妙な顔なのに、なぜか魅力的だった。
惜しいのはルーク・ウィルソンだ。お兄ちゃんのバーターとは言わないけどさ、この物語の影の主役とも言うべき人物なのに、記号以上のものになってなかった。なまじ他の人が芸達者だっただけに凡庸さが(暴言)チャスの次男のほうがよっぽども上手かったですな(笑)リッチーにもっと惹きつけられるものがあったら、本当に面白い映画になっていたと思う。惜しい。
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オースティン・パワーズ ゴールドメンバー('02アメリカ)-Aug 24.2002
[STORY]
ドクター・イーブル(マイク・マイヤーズ)は新たに“プレパレーションH”という隕石を地球にあてて世界征服するという計画をすすめていた。しかしその情報を聞きつけたオースティン・パワーズ(これもマイヤーズ)にあっさり捕まってしまう。ところがその騒ぎの隙にオースティンの父親ナイジェル(マイケル・ケイン)が誘拐されてしまう。犯人はゴールドメンバー(やっぱりマイヤーズ)というクラブ経営者のオランダ人で“プレパレーションH”計画の鍵を握る男だった!
監督ジェイ・ローチ(『オースティン・パワーズ』 『オースティン・パワーズデラックス』
−◇−◇−◇−
オープニングが某映画にそっくりだったので「何だパロディかー」と気を抜いて見ていたら、何と!うっそーマジっすか!な展開に慌てて身を乗り出した。さらに驚く展開がたった5分ほどの間に繰り広げられ、もうこれだけでおなかいっぱい(笑)これだけでも見といて良かったなぁホント・・・と思ったらラストにまたビックリ。みんなスゴイよ。う〜ネタバレしたいけど、これはもう映画見てくれとしか言えないな。

内容は相変わらず。見ててどんどんストーリーを忘れていくのは何故だろう?(笑)イーブルがどんな計画を立てていたのか、クライマックスが来るまですっかり忘れていたりして。それもこれも余談が多すぎるからなんだが。いつもながらギャグが長くてしつこい。どこでカットをかけたらいいのか、またシーンをどうやって繋ごうか、そんな悩みが映画から見て取れた。スタッフのみなさんお疲れさまです(笑)それに今回予想通りまたマイヤーズの役が1役増えて大暴走。彼は訛りが上手いことを自慢したいんだろうな(と毒を吐いてみる)

今回は日本の東京が舞台の1つとなっている。高層ビルのすぐ後ろにやけに大きな富士山、おかしな漢字、正しくない相撲、間違った日本だと分かっててあえてやっている。でも日本企業の社長を本当の日本人が演じてるのが意外だった。今まで見てきた映画は「どう見ても日本人じゃないじゃん」って人が演じてたからさ。といっても演じてるのはあのレストランNOBUの松久信幸さんなので英語は喋れるわけだけど、でも発音は日本人そのものでした(笑)
ああっそういえばヘンなコギャルが出てたな。コギャルというか30歳超えてそうな日本人じゃなさそうなコスプレの双子が!すごいインパクトだったのにこれさえも忘れてたなんて。やはり恐るべしオースティン・パワーズ。今までありがとう。忘れないよ・・・作品名だけは。
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バイオハザード('02ドイツ=イギリス=アメリカ)-Aug 19.2002オススメ★
[STORY]
製薬会社の地下研究所に何者かによって新型ウイルスがばら撒かれた。防衛コンピュータはすぐさま研究所を封鎖し、職員全員を死に至らしめた・・・。
古い屋敷で女(ミラ・ジョヴォビッチ)は目を覚ました。自分が何者なのか、どこにいるのかもさっぱり覚えていない。屋敷を調べていると、スワット隊員らしき人物たちに取り押さえられた。彼らは製薬会社の特殊部隊で、この屋敷が地下研究所の入口だという。そして女は入口の警備を担当する隊員だというのだ。そしてコンピュータによって一時的に記憶を消されたのだという。これから地下へ行って、コンピュータを停止させるという彼らとともに、女もついていくが・・・。
監督&脚本ポール・アンダーソン(『イベント・ホライゾン』)
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はっきり言ってバカにしてたんです。ゲームが元になった映画で(自分が見た中では)良かった作品て今までなかったからね。バイオハザードというゲームは自分でプレイしたことはないんだけど(トロいのでシューティング系は苦手)やってるのを見たことはあるので、まぁ何となく雰囲気は分かってたんだけど、映画となると「どうなのよ?」と思ってたわけだ。

それがもう・・・何これ!(笑)ものすごく怖いじゃないの。まずキーンとした金属音にナーバスになり、それかららドン!というぶつかる音で飛び上がる。すべての音が怖い。そして研究所を防衛するコンピュータが怖い。なんでこんな設定にしたのか製作者を問い詰めたいほどのイヤなコンピュータだ。さらにバイオお約束のゾンビ。いや、実はこのゾンビが一番怖くないんだ(笑)私は彼らが出てきて逆にホッとしたよ。動きも緩慢でコンピュータの見えない動きより安心して見れた。逆に言えば、ゲームファンにとってはゾンビがチャチでガッカリしただろうな。ゲームしてない人のほうが楽しめる映画かもしれない。

そしてミラ・ジョヴォビッチ演じるアリスの消された記憶、屋敷にいた刑事の企み、研究所にウイルスを撒いたのは何者なのか?といった謎もあって、全然飽きなかった。上映時間が1時間40分と短いのもいい。というか正直言って早くこの怖さから解放されたくて早く終わってほしかった。見終わった後、手は緊張で冷たくなってたし、膝も震えてました。

ラストがこれまた衝撃的でビックリしたんだけど、続編アリなのね。絶対見よう。怖かったけど今となってはこの怖さがすごく面白かった!と満足してる。ミラ・ジョヴォビッチは綺麗でカッコ良くてハマり役だが、アクションが若干少なめだったので、次に期待。
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