Movie Review 1998
◇Movie Index

オースティン・パワーズ('97アメリカ)-Aug 8.1998
[STORY]
1967年のロンドン。オースティン・パワーズ(マイク・マイヤーズ)はカメラマンの傍らスパイとして、世界征服を企むドクター・イーブル(マイク・マイヤーズ2役)をやっつけようとしていた。しかしイーブルは冷凍冬眠に入り逃げ切ってしまう。パワーズも同じく冷凍冬眠に入る。
1997年、イーブルもパワーズも解凍して戦いが再開されたが・・・。
監督ジェイ・ローチ(初監督作?)
−◇−◇−◇−
チラシと予告を見ただけで脱力したし、もともと吉本新喜劇系の笑いとアメリカのコメディアンの笑いが嫌いだから、多分ダメな映画だろうと思って全然期待してなかったら、思ったよりも面白くて驚いた。期待してたらダメだったかもしれないけど。

確かに下らないことは下らない。ストーリーもないようなもんだし。これはこういう笑いだろうって予測できるところや、狙い過ぎなところはやっぱりつまらなかったけど、こういうことは思い付くけど実際やらないよね、とかタイミングがバッチリ!っていうところは面白かった(回りくどい言い方だけど、これを具体的に私が書いても面白くないもん。実際見なくちゃ)

大雑把なようで細かいところにも実はこだわってるし、名前もないような役にふとスターが出てたりしててそれも楽しい。オースティンとイーブルの2役も一瞬同じ人だと忘れてしまうくらい。ただ、97年でオースティンのパートナーになるエリザベス・ハーレーは人形のように綺麗なんだけどそれだけ。面白くもないし、どんなに過激な格好しようが裸(に近い状態)になろうが色気もないしね。マイヤーズみたいに率先して「オレって面白いだろう?ホラホラ」ってやられちゃうのも食傷しちゃうけど「あたしホントはモデルだし、これはやらされてるだけなの」っていうのも何だかなぁ(ホントはどうだか知らないけど私にはそう見えたのだ〜)

続編も公開になった 『オースティン・パワーズ・デラックス』そして3作目は『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』
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チェイシング・エイミー('97アメリカ)-Aug 8.1998
[STORY]
漫画家のホールデン(ベン・アフレック)はコミックのイベントで同じく漫画家のアリッサと出会い恋をする。しかし彼女はレズビアンで衝撃を受ける。ホールデンの相棒バンキーも彼女と付き合うのはやめるように言う。しかしそれでも彼女を諦めきれずに告白するが・・・。
監督&脚本&出演ケヴィン・スミス(『クラークス』)
−◇−◇−◇−
“チェイシング・エイミー〜エイミーを探して”――これはスミス監督自身が演じるホールデンの友人サイレント・ボブが、昔の彼女エイミーについて語り、ホールデンがそれで大事なことに気が付き、アリッサのために「チェイシング・エイミー」という漫画を描くことから付いたタイトルだ。だったら最初っからヒロインをアリッサじゃなくてエイミーって名前にすればいいのに、理解するのに時間掛かったじゃん。と思ったけど何か監督の思い入れでもあるのかな。

大事なのは過去ではなくて今。そして今、愛してる人が大事で過去の男や女なんて関係ない、というアリッサ。そしてその経験豊富な彼女に対して自分は乏しいために自信が持てないし、つい嫉妬もしてしまうホールデン。これは女の子が傷つくだろう、ってこともつい言ってしまったりする。彼のその不器用さと一途さは見ていて可愛い。アリッサだって、過去はどうであれ今はホールデンを愛しているし、彼だからこそ過去も語る。彼女もやっぱり一途で可愛い(ちょっと舌足らずなところも)

過激な会話がたくさん出てくるけどラブシーン自体はぜんぜんそうじゃない。裸にもならないし。これは純愛映画と言っていいんじゃないかな。ただ、ストーリー運びがあんまり上手じゃないから途中までが少しダレたし、テンポも良かったり崩れたりという感じだった。
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スライディング・ドア('97アメリカ)-Aug 6.1998
[STORY]
ヘレン(グウィネス・パルトロウ)は突然、広告代理店をクビになった。失意の中、地下鉄に乗ろうと閉まりかけのドアに飛び乗ろうとする。乗れたヘレンは車内でジェームス(ジョン・ハンナ)に出会うが、家に帰ると同棲中の恋人ジェリー(ジョン・リンチ)が浮気をしているのを目撃する。
しかし乗れなかったらヘレンはジェリーの浮気現場を見なかった・・・。
監督&脚本ピーター・ホーウィット(初監督作?)
−◇−◇−◇−
グウィネスという女優は本当に不思議。顔のパーツは悪くないのに配置が悪いというか、いびつな顔をしている。そのせいか表情によってすごく綺麗に見えたり、うんと不細工に見える。でもトータルで見るとやっぱり変な顔かな。いや、でもそこが可愛いと思ったり、思わず画面に彼女が出ると凝視してしまう。ずっと見ていて飽きないのだ。つまりは私は彼女のことが好きらしい(笑)その彼女の魅力が今回も十分発揮されている。

彼女が恋する2人の男性はどちらもハンサムとは言えない。どっちかというとチンケだ(俳優の名前がどちらもジョンっていうのは狙ったのか?)だから見る人によっては不細工な男女のラブストーリー見ても楽しくないよ、と思うかもしれない。私ももう少し男性がステキだったら揺れる女心ももっと高まるでしょうに、などとロマンチックなことを考えちゃったけど。

ストーリーは面白い。こういうアイデアは楽しい。地下鉄に乗れたヘレンと乗れなかったヘレンがどういう運命をたどっていくのか、これがほぼ同時進行される。乗れたヘレンはジェリーの浮気現場を見て1人自棄酒。乗れなかったヘレンはジェリーと一緒に失業したことで自棄酒。お酒飲んで気持ち悪くなるでもこうも違うとは。失恋したヘレンは髪を切るので、2人のヘレンで見間違うこともないし、時々話がクロスしそうになってそこも面白い。クライマックスもちょっと意外だった。細かく言えば納得できないところやストーリーに無理があるかな、とは思うけど2つのストーリーの切り替わりは良かった。
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レインメーカー('97アメリカ)-Aug 6.1998
[STORY]
法学部の卒業生ルーディ(マット・デイモン)は大手保険会社を相手取り訴訟を起こそうとしている家族の弁護を引き受けた。また、夫の暴力によって入院しているケリー(クレア・ディーンズ)に出会い恋をするが・・・。
監督フランシス・フォード・コッポラ(『ゴッドファーザー』)
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ジョン・グリシャム作品は『ザ・ファーム』以外は全部見ている(でも実は原作は読んだことない)けど、監督は違えど映画化される毎に良くなっているような気がする。あれだけ長い作品をうまく2時間程度に纏めるコツみたいなものを製作者が掴んだのかな。今までの中では1番いい出来だと思った。

内容も、今までの中で1番親しみが持てる。低所得者を狙った悪質な保険の内幕をルーキー弁護士が暴くストーリー。刑事事件のような派手さはないけれど、もしかしたら日本にもこういうのがあるかもしれない、と思わせるリアルで興味深い事件を、観客もルーディと一緒になって「どうすりゃいいんだ?!」と悩んだり「ルーディがんばれ!!」と応援したくなる。頭はいいけど初々しいルーディはデイモン以外に考えられない。『グッド・ウィル・ハンティング』のウィルよりもこっちのほうが彼には合ってるし、典型的アメリカ人な顔は私の好みではないけれど好感が持てる。彼の機転やダニー・デビート演じる相棒役の奔走による事件の暴きかたもワクワクした。

だけど保険訴訟にウェイトを置き過ぎたのか、若い人妻ケリーとの恋や彼女の夫との問題がかなり杜撰だ。特に1番大きな問題があっさり解決してしまって思わず「そんだけ?」とツッコミ入れたくなった。もう少しきちんと描いてくれればもっと面白かったのに。それにこれは多分原作通りだろうから突っ込めないけど(ここからネタバレ)弁護士辞めるなよ!もっと弱者を助けてあげて!(ここまで)とルーディに言いたい(笑)
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キリコの風景('98日本)-Jul 31.1998
[STORY]
函館の街に村石(杉本哲太)という男がやってくる。そして西川(勝村政信)のタクシーに乗ると、マンションを探すために貸し切りにしたいと申し出る。西川は戸惑いながらも友人の不動産屋・海田(利重剛)を紹介して3人でマンションをまわる。仲良くなりはじめた3人。実は村石は別れた妻の霧子(小林聡美)を探しに来たと告白する。
監督・明石知幸(『免許がない!』)
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『ミステリー映画祭』の講演会で、京極さんが「見て下さい」と言ったので、一緒に見に行った。ミーハーなんです、はい(笑)

瞬きもせず、権藤さん元・横浜ベイスターズ監督ポーズをしながらマンションの不幸を、まるで超能力のように見つける村石。最初は訝しく思いながらも次第に彼に吸い寄せられていく2人の男と、彼から離れた1人の女。男たちの不自然でズレた会話に、およそ演技らしからぬナチュラルな小林聡美とのアンサンブルが面白かった。そしてバックには函館のようで函館らしからぬ風景がピタリと嵌まっている。風景だけでは何かが足りないけど、彼らがちょうどいい配置で立つことによって、初めて風景が完成したようだった。

だけど、観客が平衡感覚を無くすようにという意図があるんだろうけど、カメラをブレさせたり、登場人物の周りをぐるぐるまわったりするのはやりすぎじゃないかな。上から村石たちを撮ったところはいいと思ったけど。それにセリフも含めて凝り過ぎたというか、作り込み過ぎたような印象を受けた。で、結局何が言いたかったのか?まさに“霧”のように見えなくなってしまったような・・・ってそれが意図したことだったりして(笑)
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