Movie Review 2000
◇Movie Index

グリーンマイル('99アメリカ)-Mar 27.2000
[STORY]
大恐慌時代の1935年、ポール(トム・ハンクス)は、死刑囚の独房の看守をしていた。ある時、そこに身長2メートルを越す黒人ジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が送られてくる。彼は2人の少女を惨殺するような凶悪犯には見えず、また不思議な力を持っていた。
監督&脚本フランク・ダラボン(『ショーシャンクの空に』)
−◇−◇−◇−
3時間を超える映画なので途中で飽きやしないかと正直思っていたけど、ほとんど集中力途切れることなく見られた。登場人物はそれほど多くないし刑務所内のシーンばかりだが、1つ1つのエピソードを丁寧に描き、人物たちの性格や位置付けを完璧に仕上げてるせいだろう。これだけ長い話なのに散漫な印象を与えない。

また、ハンクスや仲間の看守を演じたデヴィッド・モースのどっしりした存在感がいいんだろう。アカデミー賞候補になるには役柄として弱いが、この作品ではこれくらいがぴったりはまる。役に対する集中力はさすが。「アメリカの良心」みたいな役柄でもちっとも嫌味に見えないところもいいんだろうなぁ。

しかし、この作品を語るにはキリスト教を外すことができないところが私としてはちょっと、ね。キリスト教に詳しくない上に原作も読んでないのでテーマを伝えることができない。見ていて「奇跡と贖罪」について感じることはできるんだけど、感じただけだった。スピルバーグではないが4回くらい泣けたけど、変な話だが、泣けてスッキリ!って話じゃない。映画見て泣くことで、日ごろのストレスも一緒に流してしまおうって場合あるでしょう。でも流させてくれないんだ。最後に1番重要なテーマをドン!と落としてくれる。これを表面上は理解できても、深く理解できなかった自分が辛かった。キリスト教に詳しい人や信仰している人はどう感じただろう。

(ここからネタバレ)にしてもゲイリー・シニーズは相変わらずの悪人顔で(笑)コーフィの事件にもっと深く係わってるんじゃないかと邪推するほどだった(はっきり言ってこの人が真犯人かと思っちゃったよ(笑)<失礼)あとサム・ロックウェルがあんな役で出てるとはね。『キャメロットガーデンの少女』を見た人は結構複雑な気持ちになるのではないかな。(ここまで)
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トイ・ストーリー2('99アメリカ)-Mar 15.2000オススメ★
[STORY]
カウボーイ人形のウッディ(声:トム・ハンクス)や宇宙戦士人形のバズ(声:ティム・アレン)はアンディ少年の大切なおもちゃ。しかしひょんなことからウッディはおもちゃ屋のオーナーに盗まれてしまう。何とウッディはプレミア人形で、日本へと売り飛ばされることに。バズは仲間とともにウッディ救出に向かう。
監督ジョン・ラセター(『バグズ・ライフ』
−◇−◇−◇−
日本で唯一のDLP(デジタル・ライト・プロセッシング)シネマ、つまりフルデジタルで上映する劇場で見てきた。もぅ驚くほど綺麗な映像で大感動!本編上映前には夏公開予定の『ダイナソー』の予告や、PIXARのあの電気スタンドのキャラがコミカルに動くアニメも同時上映された(これは他の映画館でも一緒かな?)とにかく見て驚くのが映像のリアルさ。最初はあまりの凄さに字幕読むの忘れちゃったほど。プラスチック、陶器、布地と、モノの材質がちゃんと分かるのだ。それに人間の皮膚とそこに生えてる毛も生々しかったなぁ(笑)日々進化してるのねー。都内近郊に住んでる方は是非上記の映画館で見て欲しいと思う。

前作も大好きだったけど今回もいい。続編ってたいていダメだけど、これは別!面白さは甲乙つけがたい。映像だけでなくストーリーもいいのだ。前作ではウッディたちが近所の悪ガキからバズを救出する話だったが、今度はバズたちがおもちゃ屋からウッディを救出する話。つまり恩返しね(笑)それに加えてバズと敵対するおもちゃとのバトルや、ウッディ誕生の秘密も明らかになる。

だが今回のメインテーマは重たい。子供に乱暴に遊ばれも捨てられてもいいからそれまではおもちゃとして生きたいか、それともレア物としてケースに入れられ見られるだけのお宝として生きるか、というおもちゃたちにとって究極の選択を、ウッディは突きつけられるのだ。これは難しい。ウッディの仲間の話を聞くとお宝にされたほうがいいんじゃないかと思うし、バズたちが必死で助けに来れば早くアンディのところへ帰れればいいなぁと思うし、ホントにどっちがいいか分からない。これは子供よりも大人が懐かしみ、反省し、考えさせられる話だと思う。そして子供はきっとおもちゃを大切にするだろう。私も今持ってるやつ、大切にしよう(ってイイ年して持ってます(笑)<自分)

エンディングタイトルは『バグズ・ライフ』に引き続きNGシーンで笑わせてくれる。確かに面白いいけど、同じことやってもしょうがないんじゃないかなーとちょっと思った。もっと違うカタチで面白くしてくれればいいのに。例えば実は人形たちは着ぐるみで、撮影終わったらチャックが開いて中から汗だくの人が出てくるとか。あ、それだと子供がガッカリするか(笑)
NGシーンの声だけは字幕版でも日本語吹替版となり、ウッディを唐沢寿明が、バズを所ジョージが担当している。最初はちょっと違和感あったけど吹替版でも見てみたくなった。
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ケイゾク/映画('00日本)-Mar 12.2000
[STORY]
「死を契約する呪いの樹事件(TV特別篇)」解決後、柴田純(中谷美紀)は弐係の係長として戻ってきた。すると早速、未解決事件の調査依頼がやってきた。
15年前、沈没した客船に乗船していた7名が、この事故で亡くなった霧島夫妻の娘・七海(小雪)から厄神島への招待状を受け取ったという。柴田と真山(渡部篤郎)は彼らとともに島へ向かったが・・・。
監督・堤幸彦(『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』)
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事件前まではいつもの「ケイゾク」、事件発生からは『金田一少年』、そして事件解決後は『EVANGELION』だった。これってネタバレ?!(笑)

元々監督は『金田一少年』だし、プロデューサーがエヴァ好きらしいのでしょうがない。トリックも犯人も中盤ですぐに分かってしまうし、後半の朝倉絡みの展開は飽きちゃった(TVドラマの時も朝倉絡みのところがあんまり好きじゃなかったからな)

で、どこが面白いかというと、柴田と真山コンビのボケとツッコミ。それに係長から降格になってしまった野々村係長待遇(演じるは竜雷太)の私生活だ。ドラマでは明かされなかった野々村の奥さんも初登場。これはちょっとビックリした。さらにコギャルの雅ちゃんの顔が一瞬映るサービスもあり。けど、柴田と真山が島へ行ってしまったせいで、本土は本土で描かなければならなくなったのが不満だ。やっぱりみんな一緒に事件に関わって欲しかったし、そもそも島の景色や気候がケイゾクが合ってないように思う。やっぱり暗い都会の街で、息が白くなるような寒さの中でやってほしい。柴田は島でもコート着てたけど(笑)

エンドロールになっても席を立ってはいけない。最後に監督の名前やTBSのテロップが出てもまだ立ってはいけない。さらに続きがある。でも、このシリーズももういいよ。あ、まだいろいろと謎は残ってるのか。でも、普段の私なら『ツインピークス』や『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』なみに燃えそうな作品のはずなのに、そこまで固執するような作品じゃないみたい。
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マグノリア('99アメリカ)-Mar 4.2000
[STORY]
人気TVクイズ番組のプロデューサー、アールは病床で音信不通だった息子フランク(トム・クルーズ)に会いたがった。アールの妻リンダ(ジュリアン・ムーア)は財産目当てで彼と結婚したが、実は夫を愛していたことに気付きうろたえる。
一方、クイズ番組の名司会者ジミーもまた病に冒されており、娘クローディアとの仲を修復しようと試みるが失敗する。
監督&脚本ポール・トーマス・アンダーソン(『ブギー・ナイツ』
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相変わらず長いですね、この人の映画は。このテのストーリーでこれだけ長いと、ついついそれぞれの登場人物たちが最後にどう繋がるんだろうか?とか、どんな驚く結末が待ってるんだろうとか、そういうのものすごく!!(←強調)期待してしまうんだけど・・・驚くことは驚くけど、そんだけ。期待した以上の面白さはなかった。それとあれだけのことしといて、その後のフォローというか、結末をもっとしっかり見たかった。かえってオープニングの、本編とは関係ない逸話のほうが面白かったね。こういうのまとめてやってくんないかなー(笑)

トム君は絶賛するほどの(オスカーにノミネートされるほどの)演技とは思えない。『ザ・エージェント』の時とさほど変わらないじゃないか。前半のフェロモン出しまくりなシーンは面白かったけど、むせび泣くところは相変わらず暑苦しくて引いた。他の出演者もヒステリックな人ばかりで、それぞれのエピソード同様に入り込めなかった。あ、でもウィリアム・H・メイシーが演じる、元天才クイズ少年で今はダメホモオヤジの話は、エピソードの中でも特にダメでかえって好きだ。

そしてアールを看病する看護士フィルがいい!F・S・ホフマンって『ブギーナイツ』では、太った気持ち悪い役だったし『ビッグ・リボウスキ』はもちろん『ツイスター』などでも常に異彩を放ってて(あまりいい意味じゃなく)ついつい注目してしまう人だ。それが今回はガラリと違う役で最初は分からなかったもの。さらにこれがイイ役なんだなー。アールに頼まれてフランクに連絡を取ろうと、エッチな雑誌をたくさん注文してしまうシーンや、アールとの会話も優しくて救われた。助演ならトム君じゃなくてこの人でしょう(実際ナショナル・ボード・オブ・レビューなんかで取ってます)
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アメリカン・ヒストリーX('98アメリカ)-Mar 3.2000オススメ★
[STORY]
父を黒人に殺されたことが原因で、ネオナチの活動にのめり込むようになったデレク(エドワード・ノートン)は、ある時、黒人を殺して刑務所に入れられた。そして、そんな兄に憧れた弟のダニー(エドワード・ファーロング)は、自らも同じ道を進もうとしていた。3年後、デレクは出所するが以前とは全く違う兄にダニーは戸惑いを隠せなかった。
監督トニー・ケイ(初監督作)
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とにかく「ノートン先生、一生ついていきますっ!」というくらいの素晴らしさだった。1人でこれだけ見せてくれるとは・・・もぅ流石です。父親が殺される前の無邪気な高校生から、ネオナチに傾倒してからの顔つきの違い、特に殺人シーンの迫力は凄まじい。さらに罪悪感のカケラもない嬉しそうな顔で警察に掴まるとは!そして刑務所から出所した時の顔はこれまた全然違う。もう唸るしかないっすね。今まで作品全部見てるけどファンじゃないもん、などと言ってたけど撤回してファンを名乗ることにしました(笑)ノートンの軌跡を追いかけ続けてよかったですホントに(涙)

ノートンが素晴らし過ぎてほかの登場人物たちは霞んじゃった。ストーリーは、ちょっと気にならなくはないけどいいと思う。ネオナチといってもそれほど大きな集団でもなく、普段は白人以外が経営するスーパーを襲撃したり、バスケで黒人と対戦したりと、思ったよりも過激じゃない。さらにその集団の元締みたいなオッサンにはカリスマ性もないのだ。だからこそかえってリアリティがある。これが恐ろしいほどの残虐集団だったらかえってウソっぽかったかもしれない。

しかし、1つだけあるとすれば、デレクが送り込まれた刑務所でのシーンは何だかあっさりしてたような。というか、もっと酷い暴行を受けたのかと思ったのよね。や、あれでも十分酷いと思うけどさ、もっとビリビリ伝わるほどの緊張感や危機があったり、思いっきり肉体的にも精神的にもズタズタにされるところを観客に見せても良かったのでは。

撮影に関しては過去をモノクロにし、現在をカラーで撮るという、まぁありがちではあるんだけど、同じ過去の映像でももっと幼い頃の映像はモノクロではなく、ちょっとザラっとしたカラーで撮られており、その違いが兄に対する弟の思いを表現しているようで切ない。またシャワーの水が落ちる映像も好きだ。

気になるのはこの映画の「その後」だ。唖然としてしばらく放心状態になってしまったが、これほど辛いこともなかろう。デレクがどういう生き方をするのか、続編が見たいというわけじゃないが、ノートンがこれをどう演じるのか、見てみたいと思った。
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