Movie Review 1999
◇Movie Index

バジル('97アメリカ)-Mar 3.1999
[STORY]
19世紀イギリス。フレドリック家の長男が身分違いの娘を孕ませて父フレドリック(デレク・ジャコビ)の怒りを買って勘当された。そして次男のバジル(ジャレット・レト)が遺産相続人となる。ある時、彼はジョン・マニヨン(クリスチャン・スレーター)という商人と出会い、友人となる。またジョンの紹介でジュリア(クレア・フォーラニ)という娘に出会ったバジルは恋するが、それが悲劇の始まりだった。
監督&脚本ラダ・バラドワジ(『クローゼット・ランド』)
−◇−◇−◇−
そ〜んなに見る気がなかった映画だったんだけど、この時代のコスプレに弱いのでやっぱり見ちゃった(笑)映画の日だったし。

だけど出てる人には何の興味もなし。スレーターは何だか貫禄あるオッサンになっちゃったし、フォーラニはやっぱ顔がデカイし歪んでるなぁとか、美形で大注目らしいレトは確かに美形かもしんないけど私の苦手な美形で、彼が登場するたびに「うわぁやっぱダメ」と声を上げたくなった。唯一良かったのはジャコビかな。オッサンはヤダけどオヤジはいい〜(←この違いを分かってもらえるだろーか?)

物語は現在のバジルのナレーションから始まって、過去にさかのぼって起こった事件を語っていくもの。バジルがマニヨンと出会ってどんどん人生を狂わされていくシーンは、ありがちだけれど見ごたえはなかなかにある。バジル君はやっぱりお坊ちゃんで浅はかなヤツだというのもよくわかる(笑)どん底まで落ちて辛酸舐めた生活をすれどもやっぱりお坊ちゃんさが抜けないのは演技なのか役者さんが未熟なのかは分かりませんけどね(ぉ そういうところが目立っちゃってたせいか、いまいちストーリーにノリきれないところがあった。時間の経過もゆっくりだったり飛ばし過ぎたりして(そういう作品は多々あるけど)その間を理解するのに時間が掛かっちゃったせいもある。

いちおう父子の愛憎ってのもテーマの1つだったんだけど、『キャラクター』みたいな力強さもなかったんで泣いたりジーンとしたりすることもなかった。
ま、スレーターが主役というよりは鍵を握る人物を演じてるというのが面白いところかな。この人も中堅どころになってきたのかなぁと感心してみたりして。でもクレジットはやっぱり1番上だけどね。
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バグズ・ライフ('98アメリカ)-Feb 28.1999
[STORY]
バッタのホッパー(声ケビン・スペイシー)たちのために食料を集めるアリたちだったが、働きアリのフリックが大失敗。食料を全部川に落としてしまった。怒ったホッパーたちは大暴れして、冬が来る前にもう1度食料を集めなければアリの国を潰すと脅される。フリックは彼らを倒してくれる戦士を探しに旅立ち、そこでサーカス団の虫たちと出会う。
監督ジョン・ラセター(『トイ・ストーリー』)
−◇−◇−◇−
ケビン・スペイシーかっこいい〜・・・って分かるわけないっつーの!(笑)声だけだとホント分かんない。しかも声色使ってるというか普段より低めだから尚更。いや、瞬時に察知しないとファンとは言えないよね。う〜んがんばるっ!(←バカ)

やっぱりCGアニメは人形とか虫が合ってる。動きがカクカクしてても違和感ない、というか逆手に取ってそこがポイントとして見せているところがいつもながらうまい。3年経ってやっぱり『トイ・ストーリー』よりも映像も美しく動きが滑らかになっていて感動するね。夜のシーンの微妙な影の付け方や、ぼうっとした明かりなど、細かいところまで神経を行き届かせつつも、それを何の衒いもせず簡単に見せちゃうんだから、そこがピクサーの凄いところでしょう。

だけどストーリーは『トイ・ストーリー』のほうが好きだな私は。人形に心があって、他のおもちゃに嫉妬したり持ち主の少年のことが大好きだったり、それがとても新鮮だった。だけどこの映画の、虫が喋って敵がいて・・・という設定はすでに使い古されたもの(日本じゃ『みなしごハッチ』だし米国じゃ『アンツ』もあったし)のせいか、目新しさがないのであまりワクワクしない。また「虫はこれだけ小さいんですよ〜」というのを強調しすぎてて、いちいち俯瞰な画像を見せなくてもいいじゃん、と最初はうざったかった。だけどだんだんそれが減って物語に集中したところで、いきなり雨が爆撃のように降るシーンにはびっくり。ああ、アリってやっぱりちっちゃいんだ〜と改めて感じたシーンだ。こういうのはとても効果的だと思う。そしてエンドクレジット後のおまけ映像には大笑い。うわ〜こう来たか!と思わず膝を打った<だから終わっても席を立っちゃダメだよぅ

虫のキャラクターではハイムリックという名前のイモムシが岡田斗司夫さん@オタキングそっくりで爆笑。プレスとハイムリック人形欲しさに前売りを買ったんだけど(券だけ弟に売りつけた極悪人)人形はオカダと命名して会社に飾っている。
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トップレス('97ニュージーランド)-Feb 28.1999
[STORY]
妊娠していたリズ(ダニエル・コーマック)は中絶する機会を失い、仕方なく産むことを決意する。同棲しているジェフはリズの子の父親ではなく、恋人が別にいる。そんな時、元彼のニールがリズの子の父親になりたいと申し出てくる。
監督&脚本ハリー・シンクレア(『ラウンジ・バー』(短編))
−◇−◇−◇−
元々この作品はニュージランドのTVで1話4分・全41話のミニドラマ(日本ではディレクTVで放映&ビデオ発売)が人気となり、その映画版が製作された。それがこの映画。抽選でビデオが当たる!というので申し込んだけどハズれて、ビデオを見ました。これでよく分かった!!というわけで解説&感想を作ってみました〜。ネタバレありです。

ちなみにここから下は映画版しか見てない時の感想になってます。

主人公リズを演じてるコーマックはホントに妊娠していて(撮影中に妊娠しちゃったからそういう設定にしたらしい)だから詰め物なんてしていなくて、まったくのナマ腹っつーかホンモノなわけ。しかしすごいなぁと思うのは、日本の妊婦さんてダボッとしたマタニティを着るでしょ。それが向こうの人っていうのは、お腹を平気で出すんだよね。ピタッとした服を着るし、ビキニだって着ちゃう。演技とはいえオールヌードもオッケイというのは単純にスゴイ!と思ってしまう(『プレタポルテ』然り)

リズのまわりにいる男たちというのがみんな何だか変。ジェフは毛糸フェチで口の達者なヤな男。友達の脚本家アントは精神を病んでるし、ニールもよく分からん。こんな変な奴しかいないのかよ、と思うけど、リズもいい加減な生活してるからしょうがないのかな。映像的にカッコイイとは思うけど、実際こんな生活はしたくないしこんな友達もいらない(笑)真っ当に生きるよりもずっと難しそうだなぁと共感できずに傍観して終わった。でも男への愛より子供への愛でしょ、やっぱり。続編もあるらしいのでちょっと楽しみにしてるんだけど、その後全く聞かないなあ。
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女と女と井戸の中('97オーストラリア)-Feb 21.1999
[STORY]
広大な土地を持つが孤独なヘスター(パメラ・レイブ)は父と2人だけの暮らしをしてきた。そこに家政婦として雇われたキャサリン(ミランダ・オットー)がやってくる。奔放な彼女に惹かれたヘスターは、父親が死んでから彼女のためにお金を使うようになる。
監督サマンサ・ラング(デビュー作)
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私の好きな女と女の関係を綴ったドラマ・・・なんだけど、はっきり言ってストーリーは思ったよりも大したことなくて残念。そのかわり映像がイイ!。映像をブリーチ・バイパスという技法を用いてわざと青くしている。チラシに「アンドリュー・ワイエスの風景画を思わせる云々」と書いてある通り、その青さが繊細で緻密で寂しげな映像に作り上げていて、どこを取ってもまさに「絵」になる。実はワイエスは私が1番好きな画家だから気に入ったのかもしれない。荒野も井戸も古ぼけたドアも、そして風景だけじゃなく2人の女の服や髪の色、髪型までもワイエスを思わせるようだ。だからパンフを買ってしまった。この写真のどれもがポストカードにしたいくらい、いい。写真集を出してくれたら買うとも!

だから、最初に書いたけどストーリーが惜しい。女と女の微妙な関係を表現しきれてない。2人の女の性格は始まった時から分かる。そして展開もラストも読める。読めるのは別にいいんだ。もっと2人を追いつめて、心情や行動が鬼気迫るくらいに追いつめて爆発させるようなところがあれば〜と思う。そうすれば喪失感がより高まっただろう。そしてヘスターがキャサリンに感じているのは、友情なのか愛情なのか羨望なのか嫉妬なのか、何だかよく分からない。その全部かもしれないけど『バタフライ・キス』のような一途さが感じられない。諦めたような中年女の寂しさはよく表現されていたと思うけど。キャサリンもヘスターが執着するような強烈な個性をもっと出して欲しかった。こういう奔放な女の子って映画にありがちだからね。

そして最後に「井戸」これももっと不気味で恐ろしければと思う。ああ、そうか。キャサリンが轢き殺した死体の映像が1つも出てこないからだ(部分部分のみ。顔は全く分からない)だからその死体を井戸の中に捨ててしまうんだけど、死体がどういうものだったか見せられてないから、いくらその井戸の中に死体があると言われても、見ているこっちはピンと来ないわけだね(と自分に確認してみたりして)死体を見せないことで何か効果を狙ったのかもしれないけど、私は死体を(特に顔を)見せることで、その男が井戸の中で実は生きているのかもしれない、と不安を掻き立てたんじゃないかな?と思う。
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レッサー・エヴィル('98アメリカ)-Feb 14.1999
[STORY]
22年ぶりに集まった高校の同級生4人──神父のアイバン(コーム・フェオーレ)警官のフランク、弁護士のジョージ、製材所を経営するデレック。3人を呼び出したのはデレックだった。22年前に犯した彼らの罪が暴かれようとしていたためだ。
監督デビッド・マッケイ(初監督作)
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アイバンが雨の中、神父として葬儀を取り仕切っているところから始まる。そして「彼を殺したのは私だ」というモノローグが入る。ここですでに誰かが死んだことが分かる。そしてその葬儀から1週間前へと舞台は移っていく。山小屋に集まった4人の男たち。詳しくは書けないけれど22年前の犯罪がじわじわと観客に明かされていく。最初はほんの些細な悪事<レッサー・エヴィル>だったのが、焦ったり隠したりするほどに大きく膨らんでしまうところが面白い。そしてこの犯罪の秘密を守るために誰かが殺されてしまうのだろう、一体誰だろう?それを予想しながら見るのもいい。

残念なのは、22年前の犯罪の回想がひとしきり終わって、さてこれからって時からの展開が単調で緊張感がないこと。4人の思惑が入り乱れての心理戦とか葛藤とかがどうにも薄い。これからの展開は?得体の知れない罠が潜んでいるのか?という期待が持てないような流れだ。だから見てる方も息を吐き出して弛緩してしまう。そして思った通り・・・。

ここからはちょっとネタバレなんで色変えます(ここから)あれだけ自首を薦めていたアイバンが結局はデレックを殺してしまうというのは何でだろう。単なる保身のため?/単なるモラリスト?/そもそも銃を持っていたのがデレックで、そのために22年も苦しめられた怨み?/自分が神に変わって裁きたかった?/犯罪告白のテープを使って今度は他の仲間を強請りたい?(目的は金じゃなくて愉しいから<小切手燃やしたじゃん)/などなど思い付くことはたくさんある。だけどもうちょっとはっきりさせて欲しかった。 *見た方で明確な答えを出せる方は教えて下さい。もしくは意見でも可(ここまで)

こういう意欲的な作品はたとえ結果がダメだったとしても、その心意気は買うので嫌いではない。あんまりヒドイと怒るけどね(笑)
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