Movie Review 1998
◇Movie Index

スプリガン('98日本)-Sep 23.1998
[STORY]
古代文明を封印するための組織アーカムが発掘した“ノアの方舟”を、アメリカのペンタゴンが狙っていた。アーカムの特殊工作員スプリガンである御神苗優(声・森久保祥太郎)は“ノアの方舟”があるトルコへと飛んだ!!
総監修・大友克洋 監督・川崎博嗣(デビュー作)
−◇−◇−◇−
原作を読んでない(そもそも大友さんのオリジナル作品だと思ってたところがダメ過ぎだが)んで、原作ファンの人にはあんまり評判が良くないっていう噂は聞いてたけど、私としてはそれはどうでもいいや、って思ってたんですね。ただストーリーを読んだ時、舞台がトルコで遺跡発掘がどーのこーのって単語を拾い読みしただけで「トルコで遺跡といえばカッパドキア!そりゃ見なきゃ!」(カッパドキアは私がいつか見たい場所の1つ)ってものすごく単純おバカ早とちりな気持ちでラリラリ行ってしまったんだけど・・・出てこなかったんだなぁこれが。←当たり前だっつーの ペルシア絨毯は出てきたけどねぇ(残念)

内容はどうやら原作を端折ってるみたいっていうのは原作を読んでなくてもよく分かる。スプリガンっていう人が出てくるオリジナルストーリーでも良かったんじゃないかな?それか大変だろうけどあと30分くらい増やすとか。もともと人物描写よりもアクションシーンにウエイトを置いたような感じはしたけど、それが日本よりもアメリカのファンのための設定だとしたら、そりゃ日本人として悲しいのぅ。ま、優がどうしてスプリガンになったか、とかアーカムは何で遺跡を発掘してるのか、といった説明は分かったけどね。ただスプリガンなんていう大層な職業(?)に就いてんのに何で高校通ってんの?とか、子供の首から管いっぱい出てんのは何で?とか、工場と一緒で海外でセル画描きやらせると安上がりなの?とか下らないことばっかり疑問に思った(最悪な客だ)

アクションシーンは流れるような素早い動きで感動したけど、動きの遅いシーンはぎこちなくて気になった。それにCGなところとセル画なところがうまく融合されてないっていうか、合成のヘタな実写みたい、って思うシーンもいくつかあった。でもジャングルの中を優が走るシーン(最初のほう)は、全体的にダークグリーンなんだけど、ちゃんと微妙な色分けがされてて、思わず実写かと思ってしまった。ここだけでも見られて良かったな。

ちなみに私もどっちかっつーと優よりジャンのほうがカッコイー!とは思うけどもね、キャー!とかは言わないです(前にいた女の子たちは嬌声を上げていました)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

キャラクター 孤独な人の肖像('96オランダ)-Sep 23.1998オススメ★
[STORY]
1920年代のオランダ・ロッテルダム。町の有力者で執行人のドレイブルハーブン(ヤン・デクレール)の死体が発見され、最後に会ったと思われる青年ヤコブ(フェジャ・ファン・フェット)が逮捕された。実はヤコブはドレイブルハーブンの息子だった・・・。
監督&脚本マイケ・ファン・ディム(初監督作?)
−◇−◇−◇−
今年のアカデミー外国映画賞受賞作品だったけど、予告を見た限りではどんなストーリーなのか全く分からないし、きっと大した作品じゃないんだろうなと思って、見るのはパスって思っていた。だけど雑誌で粗筋と批評を見たら、私が弱い「親子の愛憎モノ」じゃないですか。これは行かなきゃ、と思って見たんだけど、見て大正解だった。こんなにいい作品なのに、あんな興味なくなる予告を作っちゃダメです!!

無骨で無口だが存在感の大きいドレイブルハーブンの影に常に怯え、しかしどこかで血の繋がりを感じ愛情を求めているヤコブ。メイドだったヨバを愛していたが半ば強姦することでしか愛情を示せなかったドレイブルハーブン。ヤコブに対しても愛情があるんだけど踏み込めない。その2人が対峙した時の緊張感はすごいし、うまく表現されているので分かりやすい。だけど、ヨバの気持ちは画面から伝わりにくい。ドレイブルハーブンのことを本当はどう思っていたのか?彼からの求婚を断り続けたのは本当に彼のことが嫌いだったからなのか?彼とヨバの対峙も緊張感がある。私としては「こうすることでしか愛情を示せないドレイブルハーブンをもっと理解してやってよ。彼は孤独な人間なんだよ。あんたが愛してやってよ」って心の中で応援してたんだけどなぁ(苦笑)息子ヤコブに対しては、ある程度の距離を置いてはいるものの愛情はあるようだが、やはりこの母子の間にも気まずさや緊張感がある。全体的に煉瓦色の画面も不安と緊張感を盛り上げていて効果的だ。何となく日本の昭和初期の文芸作品を見ているような感じがした。設定を日本に置き換えてもOKな話だと思う。

途中でもうっすらと涙を浮かべてしまったが、ラストはボロボロ泣いてしまった。20年代のオランダ情勢とか共産党とかはよく知らないし、肝心のドレイブルハーブンの職業がいまいち分からなくて困ったけど(おいおい)久しぶりに感動した。これからは予告だけで決めるのはやめるよ(笑)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

CUBE('97カナダ)-Sep 15.1998オススメ★
[STORY]
男女6人が突然、立方体の部屋に閉じ込められた。各部屋ごとに6つのハッチがついた同じような部屋がたくさん連なっており、その中から1つを選んで出口を探す以外になかった。正しい部屋以外には様々なトラップが仕掛けられており、それを解く鍵は謎の数字の意味とは?
監督&脚本ヴィンチェンゾ・ナタリ(デビュー作)
−◇−◇−◇−
午後3時からの回を見ようと行ったら、ものすごく混んでいて最終午後7時までの回の座席まで満席と言われてしまった。仕方なく午後5時からの立見(階段に座った)にしたけど、一体全体どういうこと?と思った。だって私とまさゑちゃん的には「盛岡の『大中』でクッション買ってた監督さんの映画」くらいの知識しかなかったのに・・・(笑)「これほどの満員御礼なら大中まるごと買い占めもできるぞ!」などとさらに突飛なことを言って笑ったのでした。

だけど冗談じゃなくてこの映画、面白い!トラップが仕掛けられた立方体から脱出するというゲームやアニメらしい設定を、実写でやることもすごいし(今までどうして誰もやろうとしなかったのかしらね)さらに「一体誰が、何の目的でこんなものを作り、どうして人を閉じ込めたのか?」といった基本的ともいえることを一切排除してしまったところがすごいと思う。テーマであるところの「どうやって脱出するか?」に絞られていて、しかも映像は閉じ込められた人々を淡々と映していく。

始まりはすでに立方体の中。男女にはそれぞれ特技のようなものを1つは持っているんだけど、それが活かされる場合もあり、裏目に出てしまう場合もある。絶望の中でも希望を捨てない者や、次第に本性をむき出しにする者もいる。その過程はちょっと物足りないような気もするけど、ほどよい恐怖と焦燥感があった。だけど見ていて私は、誰1人として共感したり感情移入できる人がいなかった。そこがまた面白いところなんだろうな。確かにハラハラするし、全員助かってくれるといいな、とは思うんだけど、助からなかったとしても、そこで切り捨てることもできるという。閉じ込められた人間もトラップの1つなのかもしれない。ラストもこんなもんでしょ(というかある程度予想通りだった)

ただし数学が苦手なので、謎解きに関してはお手上げ(笑)聞いてても全然分からなかった。数学の得意な人はこの謎がすぐに解けるのかな?ぜひ見て教えてほしいものです。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ライブ・フレッシュ('97フランス=スペイン)-Sep 10.1998
[STORY]
1970年正月フランコ独裁政権末期、売春婦イザベルが産気付き、バスの中で男の子を生む。それから20年後。イザベルは死に、息子のビクトル(リベルト・ラバル)は年上の女エレナ(フランチェスカ・ネリ)と関係を持つが、ほんの些細な出来事からビクトルは投獄される。刑期を終えたビクトルは復讐しようとするが・・・。
監督&脚本ペドロ・アルモドバル(『キカ』)
−◇−◇−◇−
スペインの歴史を全く知らなかったのでちょっと調べてみた。フランコという人の独裁政権が39年から75年の死去まで続いていて、その後は民主化が進み労働党が政権を握って、92年にはバルセロナオリンピックが開催された。けれど内政は不安定で96年の春にも野党だった民衆党に政権交代があって現在に至る。らしい。

映画は独裁政権時代の暗くて寒い正月から始まり、たぶん97年、の明るくてにぎやかな正月で終わる。また、投獄されたビクトルが刑務所内でバルセロナパラリンピックを見ているシーンがある。そのバスケットの試合に出ているのが、ビクトルが投獄される原因となった元刑事のダビドであり、その妻になってしまったエレナもTVに写っており、ビクトルはそれで2人が結婚していたことを知るのだ。メインは男女5人による愛憎劇って感じなんだけど、スペインの歴史もそこに絡められている。監督は今まであえてフランコ時代を無視するかたちで映画を作ってきたらしいけど、今回はじめてそれを表現しようと思ったらしい。スペインといえば闘牛とかパエリアくらいしか思い浮かばなかったけど、私が生まれる前後にいろいろあったんだなぁと思った。

さて内容はというと、ビクトルの陰湿極める復讐劇かと思いきや、何のことはない。そういう気持ちがあったにも関わらず周りの状況に左右されちゃて、本能のおもむくままに行動しているという感じ。6年間の辛酸舐めた生活を忘れたかのような陽気さというかノーテンキさがあって、もっとドロドロしたものを想像していた私にとっては肩透かしを食らったんだけど、でも逆に面白いと思った。深刻だなぁと思えるシーンは、フラメンコ調の不思議な歌が流れた時だけかな(笑)この歌が気分を盛り下げてくれる(歌詞がヘンすぎるけど)

ビクトル役のラバルは第2のバンデラスと言われてるらしいけど、もっと野生味を欠いた甘い感じ。唇がボッテリしてるからかな。エレナ役のネリはすっごいイイ女!おしりのかたちがめっちゃいいです(笑)そしてダビドはジョージ・クルーニーそっくりで笑った。登場人物は少ないけれど、みんな個性的で良かった。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

スクリーム2('97アメリカ)-Sep 5.1998
[STORY]
2年前に起きた殺人事件で生き残ったシドニー(ネーヴ・キャンベル)は女子大生になっていた。レポーターのゲイル(コートニー・コックス)は事件を本にして出版し、それが映画化された。その映画の試写会中、2年前の事件の再現のように殺人事件が起こる。
監督ウェス・クレイヴン(『スクリーム』
−◇−◇−◇−
そんなにネタバレしてないけど、見ようと思ってる人は見てから読んだほうがいいかも。

前作品に比べると怖さはそれほどない。ていうか慣れちゃったのかな。でもやっぱりドキドキはした。来る来る来る来る・・・やっぱり来たー!(泣)っていうのが今回も何度もある(それで肩透かしっていうのもあるけど)だけど、どうして逃げるほうはわざわざ恐いところに逃げるのかなぁと毎回思うんだけど、実際自分がそういう目に遭ったらきちんとした行動取れる自信がないのでなんとも言えません。

『1』でホラー映画談義をしたランディが、今回は「続編」に関する講釈を垂れたりするんだけど、このあたりにちょっとヒントがあったり、保安官補のデューイが前回背中を刺されたにも関わらず足と右手が麻痺しているとかミスリードはたくさんある。でも1番のケッサクは『1』で「この事件が映画化されたらシドニーの役は誰がやるか」っていうのを話し合うシーンで「トーリ・スペリング(ビバ高のドナちゃん)かも」と答えていたけど、ホントに映画化された作品でスペリングがシドニーの役をやっていて爆笑した。ここらへんはシャレがきいててすごく面白い。

そしてちょっとばかり意外な犯人。まぁ犯人当てがメインの話じゃないと思うからいいけど。前回は見ながら「誰だろ?誰だろ?」って考えてたけど、今回は犯人なんて誰でもいいや、と最初から思って見ていた。この違いが自分でもよく分からないんだけど、結局はどういうシチュエーションで誰がどういう風に殺されるかが見物、なのかもしれない(アブナイ?)

さらに続編『スクリーム3』 これで完結。
home