Movie Review 1997
◇Movie Index

EVANGELION DEATH AND REBIRTH('97日本)-Mar 21.1997
[STORY]
TV版ダイジェスト+続きを少し(笑)
監督・庵野秀明
−◇−◇−◇−
ファンには嬉しい作品かもしれないけど、単に続きが知りたかった私としては、これはちょっと詐欺じゃないかと正直思った。TV版ダイジェストに新しい画を入れながら、最後の最後でやっと本編が始まったと思ったら「続劇」なんだもん。劇場にいた観客もみんなしばし言葉を失ってた。なので感想らしい感想もなし!(笑)

結局のところ『THE END OF EVANGELION』だけ見ればいいんじゃない?(ダメ?)
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ジャック('96アメリカ)-Mar 7.1997
[STORY]
ジャック(ロビン・ウィリアムズ)は普通の人の4倍のスピードで成長してしまう特異体質だった。だからまだ10歳の少年なのに外見は40歳のオジサン。そのためジャックに学校へ通わせるのを躊躇っていた両親だったが、ジャックの寂しそうな姿を見て、ついに彼を学校へ通わせることにした。
監督フランシス・フォード・コッポラ(『ゴッドファーザー』)
−◇−◇−◇−
設定は面白いし、これはウィリアムズのためにあるような映画であることは間違いない。子供のように目をキラキラさせたり他の子と一緒に騒いだりするシーンに違和感ないし。でも寂しそうにしてたり拗ねちゃうようなところはちょっと気色悪くて「うげっ」となった。

彼が実は子供なのに、大人だと勘違いした人達と関わるシーンはそれほど面白いと思わなかったし、それから何十年後かの彼の姿は、痛ましく思えてならなかった。純然たるコメディというより、そういう人間に生まれてしまったがゆえの悲劇も描いてあるのだ。そういう部分を切り捨てて、単にウィリアムズのやんちゃさを表現するべきか、彼の「老い」の部分も描くべきか悩むところかも。

私はこのストーリーの流れからいって、その何十年後かのシーンは余計に思えた。今まで笑わせてきたのがフイになっちゃったような気がしたし、後味もあまり良くなかったから。でも、なかったらまた文句言ってたかもしれないし、難しいな〜。
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マイ・ルーム('96アメリカ)-Feb 20.1997
[STORY]
年老いた父を看病していたベッシー(ダイアン・キートン)は白血病に冒されていた。疎遠になっていた妹のリー(メリル・ストリープ)は反抗的な息子ハンク(レオナルド・ディカプリオ)を連れて来るが彼らの面倒を見ることを躊躇している。しかしハンクはベッシーに心を開いていった。
監督ジェリー・ザックス(初監督作?)
−◇−◇−◇−
あまり仲の良くなかった姉妹という設定のせいなのか、それとも元々2人の女優の熱き戦いなのか、演技過剰で寒くて恐かった(って思ったのは私だけだろーか)そもそもストリープは姉の役をやりたかったらしいんだわ。それが今度は妹のほうが良くなっちゃって、それはそれで済んだけどその姉さんだったキートンがアカデミー賞にノミネートでしょう。分からないもんだ。ストリープは歯ぎしりしてるかもね。

今をときめくディカプリオも、そんな2人に挟まれてか精彩がない。彼の場合は役柄が特殊なほうが合ってる気がするので、こういう等身大の微妙なお年頃の若者だと私としては物足りなく感じてしまう。ディカプリオでなくもっと無名に近い男の子のほうがリアルだったかもしれない。デ・ニーロもホントに友情出演だったしね。

結末言って申し訳ないけど、結局は問題は何の解決も見せていない。離れ離れだった家族が集まりました。そして仲良くなりました。そんだけ。それでいいのか?!1番の問題から目を逸らしてしまっている。最後は臭いものに蓋をしちゃうわけ?家族の件は通過点にすぎず、これからが大事だというのにそこで終わられても見てるこっちはどうしたらいいか分からない。
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フェティッシュ('96アメリカ)-Feb 10.1997
[STORY]
幼い頃に血まみれの死体を見たことから殺人と死体に興味を持つガブリエラ(アンジェラ・ジョーンズ)は、殺人現場の清掃会社に就職し、女性連続殺人犯の被害者宅を掃除するチャンスがやってくる。しかしそこに当の犯人ポール(ウィリアム・ボールドウィン)がやってきて・・・。
監督&脚本レブ・ブラドック(長編初)
−◇−◇−◇−
ガブリエラは死体はもちろんなんだけど、1番興味をそそられているのが生きたまま人間の首を切った時、切られた直後の首は喋ることができるか?なのだ。トカゲの尻尾を切ってその尻尾が動くかどうかっていうのと一緒の発想ですね(そうか?)だからガブリエラはありがちなフェチとは違って、好奇心の塊のような、まるで子供のように純粋さがある。芝居がかった加虐的な笑いとかしないしね。片方の眉と大きな口をクイッと上げて考えてる顔が可愛い。ガブリエルの彼氏もぼっちゃんぽくて可愛い。

ボールドウィンブラザーズの三男ウィリアムは、私はすんごい苦手なんだけど今回はオッケイだった。女性によってはこういう甘いマスクな男に気を許しがちよね。油断してるとグッサリズブズブやられちゃいそうだ。何で連続殺人を犯してるのかはっきりした理由はよく分からないけど、ストーリーがストーリーなのでそういうことはあまり気にならなかった。

上でグッサリとか書いたけど、グログロなシーンはまったくない。血痕とか死体がちょこっとは出てくるがスプラッターでは決してないのだ。どちらかというとコメディだね。

ラストが面白いけど、途中はちょっとダレる。もともとこの作品は短編だったのを長編に書き換えているせいか短いストーリーを無理矢理引き伸ばしたような感じがするのだ。短いなら短くてもいいのに。むしろその方がもっと面白かったんじゃないかな。
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リディキュール('97フランス)-Feb 10.1997
[STORY]
1780年代のベルサイユ。貴族たちは王の寵愛と権力を得るため、洒落た会話ができるかを競い合っていた。田舎者の貧乏貴族ボンスリュドン(シャルル・ベルリング)もまた、ベンガルト侯爵(ジャン・ロシュフォール)の計らいで社交界にデビューするが・・・。
監督パトリス・ルコント(『髪結いの亭主』)
−◇−◇−◇−
ダジャレを言って金持ちになろうとする貴族たちを皮肉った作品。また当時の衣装やメイクも不気味としか言いようがない感じでこれも皮肉ってる。男もあの巻き毛のヅラに顔を真っ白に塗り頬紅なんかつけちゃって、そんな顔でニヤ〜と笑われた日にゃバカ殿ですよ。女性は女性で全身に白粉をつけるシーンがあったり、髪の毛をでっかく結い上げて仮面舞踏会に出たりするわけだ(日本の平安時代もこんな感じだったかも)。今の時代から見ればお笑いとしか思えないことを真剣にやっているから恐い。機知(エスプリ)を求める者こそ滑稽(リディキュール)であった。と、それを皮肉った作品なわけなんだけど、でも今のこの時代の流行だって、後年笑われるかもしれないんだなぁと思ったりして。

でもまぁ相変わらず監督は女性を撮るのがうまい。プラヤック侯爵夫人役のファニー・アルダン、年齢はちょっといっちゃってますが円熟した魅力というか、気品の中に欲望を秘めた大人の女というか、迫力ある美しさだ。特にラストの彼女の顔が忘れられない。

ただ内容的にもっとドンデン返しを期待してたんだけど、ちょっと拍子抜けはしてしまった。表現したかったことをちゃんとできたのかどうかもちょっと疑問。皮肉るならもっと強烈にして欲しかった。最終的には綺麗過ぎたのかもね。もっと醜悪にしても良かったと思う。
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