デフレ
デフレを説明するとき、インフレを思い起こすとわかりやすい。感覚的な話ではないのだがこれらをはっきり定義する事は経済学者間でも意見が分かれ明確にはならない。いわば概略的な考え方だと認識して把握するしかない。
インフレとは物価上昇が続き,通貨価値の信頼が動揺する状況の経済状態であると一旦設定する。それは好況時の比較的物価が上がっているときとは区別する必要がある。厳密な分類は出来ないが、そのくらいは生活感覚で分かるものだ。要するにお金の価値が著しく低下していると思われる場合インフレと判断してもよい。
デフレはインフレの反対の作用であるという考えで対照的に現象を見直してみればよい。インフレと異なり、デフレは不況の代名詞的要因ではあるが、経済的麻痺状態がジレンマに陥ったときは、経済が構造的な問題が絡んでおり解決しなければ直らない。戦前戦後から日本において、数回あったデフレと同じかどうか見比べる事が大切である。
経済は循環することがその特徴であり、循環の様相を分析することやその現状から将来予想をする事がエコノミストの役割であるが、単なる評論家であってはならない。通常の経済分析では、インフレやデフレ等をストック調整という言葉で説明する場合がある。「儲かったので、設備投資をした」「不況なので機械の買い替えを延期した」というふところぐあいの結果の行動で経済が一定の循環システムの凝った現象を示す場合である。これはあくまでも通常の場合であって、節約や少し財布の紐を緩めるという個人や企業の些細なしかも正常な経済活動である。
経済で国民生活をおびやかすのはデフレが高じて、デフレスパイラルに陥る事である。デフレスパイラルとはらせん状に回転しながら悪循環を繰り返す最も悪い状況で正常な経済活動の一環のなかであってはならない現象であり、経済政策で陥ってはいけない事である。デフレスパイラルはその正常な経済ではなく、凶暴に荒れ狂う竜巻のように大きな弊害をもたらす。国家が正常なときにも注意深く制御していないと、しばしばこの傾向は現れ軌道修正されるが、どうにもならない状況が起きたとき社会は事実上破綻する。恐慌と言う現象になり、失業、倒産が相次ぎ、民衆に生活維持の不安感、政治不信が最高潮に達したとき暴動さえ起こる。