ジープの中古新規ユーザー車検@2003

私の通勤車であり、趣味のクルマでもあるジープJ54は、1979年式だ。1989年にワンオーナー中古車としてワケアリで前オーナーから譲り受け、1994年からはユーザー車検で継続していたが、1997年、私の出来心による通勤車の交替でお蔵入りとなった。
以来レストア復活を夢見つつも放置状態となり、2002年にはついに廃車と通称される抹消登録によりナンバーを失った。
そして2003年の春からやっと復活作業を開始、とうとう10月には再び車検を受け、めでたく復活 を果たしたのだった。
復活作業自体は「VOJ復活作戦」のコーナーに詳しいのでここでは述べないが、復活の最終ステップとなった車検のことだけに絞って書いてみよう。

ジープは一度廃車したので、再び車検を取って走るには、再び登録しなければならない。
その場合、以前に登録していても、以前のナンバーの復活再登録ということにはならず、中古車の新規登録という扱いになる。
新規登録だから、新車ならば出荷時に予備検査証なりがあって、特装車などの改造車でなければ型式指定がついた車検証が登録時に交付される。しかし中古車では、実際に現車を検査、測定し、型式指定時の設計と変更がないと認められなければ、再び交付される車検証の型式指定の欄は空欄になってしまう。
私のJ54は型式指定自動車だった。型式指定が空欄になってもクルマ自体がどうにかなるわけではないが、部品の発注やディーラーへの修理依頼などでちょっとややこしいことになったりする可能性は(実際どうかはわからないが)少しだけあった。
だから、できれば型式指定は残したかったのだ。
復活作業では、類似型式からの中古部品の流用(たとえば私のJ54の後継型式であるJ53のシートを使ったりとか)や、J54よりも古いJ3Rのウィンカーを部品加工により保安基準に適合させたりといった小技を使っていた。それは経済的な事情だったり、デザインの好みだったりしたが、いずれにしても、その時点で型式指定時の設計とは厳密には異なっており、改造が為されているという解釈が成立する。ただ、手を加えたのはいずれも「指定部品」であり、それらが保安基準に適合しており、取り付け方法などで一定の条件を満たしてさえいれば、現在は改造扱いとはならないこともまた確かだった。しかし、今回は継続検査ではなく、新規検査なのだ・・・。

もちろん、それらを含め、再び公道を走らせるに足るだけの安全性を確保するための整備点検は、きっちり行った。
ばらせるところはばらして整備し、交換すべきものは交換した。燃料タンクがさびて穴があいていて、新品に交換したのが一番大きかったと思う。ブレーキやクラッチの油圧系統は、ホースも含め完全オーバーホールした。フィルターと名のつくものはすべて交換もしくはクリーニングしたし、液体類は全部取り替えた。整備解説書を入手していたので、ホイールアライメントも基準値ぴったりに調整できた。
フロントウィンカーをJ3Rの丸いやつにしたが、そのままでは現行の保安基準に適合しないため、加工を行った。J3Rのは後ろのレンズが赤だったので、それをオレンジのレンズに取り替え、側方から視認できるように、側面にバイク用のオレンジのウィンカーレンズを加工して取り付けた。また、ウィンカーの変更によりフロントポジションランプがなくなったので、KIJIMAのバイク用ウィンカー、「バネットスモール」のクリアレンズのやつを加工して、24V5Wの球に入れ替えたものをフロントバンパー両端付近に取り付け、ポジションランプとした。いずれも、保安基準に要求される条件で取り付けられ、要求される環境で要求される範囲から視認できることを実際に確かめたので、保安基準には完全に適合している自信はある。
バックアップランプは純正では小さなものがリアバンパーに付いているが、今回は以前シボレーのステーションワゴンにつけていた大きなものを24V球に入れ替えて取り付けた。球はウィンカーと同じ25Wを入れたので、ずいぶんと明るくなった。
ヘッドランプは、ずっと以前、お蔵入りのもっと前に、純正のシールドビームでなく、IPFのハロゲンに交換していた。配線を加工してリレーを通すようにして、パッシングも使えるようになっている。少なくとも当時は、車検には問題はなかった。
以前付いていたフォグランプやピントルフックなどの外装装備は、再び装備した。しかし、ロールバーやスコップホルダーまでは、工期の関係で化粧直しに手が回らず、装着できなかった。もっともそれらは後付けで車検にも問題ないことはわかっているので、慌てることはない。

今回設計変更と判断される懸念があった箇所は、

車体色は変更されているが、すでに車検証の記載事項ではないので問題はない。

中古新規検査で、それらがどのように判断されるか。原則はあくまでも原則であり、実際の判断は現場の検査官に任されているのが実情だ。したがって、実際の判断を見るまではまったくわからないのだ。
準備が整った後も、一抹の不安が拭い去れぬまま、車検当日を迎えた。

新規登録になるので、登録済みの継続車検とはやや手続きが異なる。
事前に用意するものは、車検証はないので抹消登録証明書、いつもの整備記録簿、自賠責証書は継続なら12ヶ月でよいが新規なので13ヶ月が必要になる。自動車税は検査の後で支払う。
登録を受けるために、自動車保管場所証明書、いわゆる車庫証明を、住居地の管轄警察署から受けておかなければならない。これには何日かかかるので、車検のめどがたったら早めに申請し、交付を受けておかないと間に合わなくなったりする。ただし、車庫証明には有効期間が1ヶ月しかないので、あまり先走って申請しても無駄になるかもしれない。たしか\2,500-くらい払ったように思う。
あと、登録がらみで、ハンコとその印鑑証明書が必要になる。私は抹消登録時と所有者、使用者の情報に変更がないのでこれですべてだが、変更のあった場合はそれをトレースできるだけの書類が必要になる。
また、私のように希望ナンバーが欲しいなら、あらかじめ申し込んでおく必要がある。希望するナンバーによっては、抽選になるものもある。その場合、当たるまでナンバー予約はもらえない。この予約にも有効期間があるので注意だ。
私のように車検のないクルマで自走で車検場まで来るなら、自動車の臨時運行許可証を住居地の市町村役場などで交付を受け、ナンバープレートの代わりに表示しなければ公道を走れない。いわゆる仮ナンバーだ。私の住む砂原町では仮ナンバーの事務は行っていないので、隣の森町役場で交付を受けた。交付を受けるには、運行期間をカバーする自賠責の証書が必要だ。私は車検の前日に、13ヶ月の自賠責に加入し、その足で仮ナンバーを手続きしに行った。仮ナンバーの交付手数料は\700-くらいだったと思う。正規のナンバーと異なり、仮ナンバーは借り物で、何度も使いまわされるものなので、必要がなくなったら返却しなければならない。また、積車で車検場にクルマを持って行くなら仮ナンバーは不要だ。車検場内は、ナンバーなしのクルマも走れる。
任意保険は会社によって扱いが違うかもしれない。私はJAの自動車共済だが、ナンバーが付いていないと受けられない建前とのことだった。車検が終わり次第連絡すればその時点から有効になるように話をつけ、前通勤車のミゼットツーから外してあった保険を移したのだ。

車検場に着いたら、まず窓口に行き、中古新規でユーザー車検であることと、予約番号をを伝えた。あとは窓口の指示に従い、車検場の近くの自家用自動車協会などで検査書類を購入し、重量税を支払う。検査票は継続なら協会で買えるのだが、新規は車検場の窓口の自販機で買うようになっていた。書類の記入は、車検場の窓口で説明を受けながら行った。
検査の申し込みさえ済めば、あとはいつもの車検ラインだ。今回は新規なので、外観検査がヤマになる。

で、外観検査からだ。いつものように、抹消登録証明書と現車の適合を確認され、保安部品関係の作動を確認。灯火類はまったく指摘なしのクリア。室内の検査では、シートベルトを見て、検査官が、
「んっ、2点式か?・・・これいつのクルマだ?」
・・・と年式を見て「昭和54年か、うわー古いねー」と感心されてしまった。まったく問題はなかったが、リアシートが最初わからなかったようで、座面を下ろしてやっと納得してくれ、へぇー、とまた感心された。その後、検査官はメジャーでざっとスリーサイズを測って、
「なんも変更ないなぁ・・・」
とちょっとつまらなそうに言いながら、型式指定番号を検査票に赤で記入した。めでたく型式指定も復活の瞬間だ。検査官は重量測定は不要と判断したようだ。一応説明資料は一通り用意してあったのだが、結果的には必要なかった。
検査ラインはサイドスリップ、ブレーキ、スピードメーター、と順調にクリアしたが、ヘッドランプの左眼がやや高めにずれていた。下回りもクリアだったので、ヘッドランプのみ再検査となった。
光軸は事前にスクリーンに映して調整していたのだが、きちんと車体の水平が出ていなかったかもしれない。一人で庭先でやってれば仕方ないのかもしれないが、けっこう悔しいのだった。
駐車場の塀を使って調整し、再検査。高さは良くなったが、なぜか今度は右にずれてしまった。あらら。
苦笑いしつつもう一度調整し、再々検査。今度は合格した。やれやれ、だ。
窓口に書類を返し、待つことしばし、新しい車検証をもらう。やったやった。

しかし、これで終わりではない。こんどはナンバーの交付と封印の作業を委託されている自家用自動車協会に戻り、ナンバープレートの交付と封印を受けなければならないのだ。申し込んであった希望ナンバーのプレートを受け取り、協会の前で仮ナンバーを外し、新品のプレートを取り付ける。リアのプレートホルダーを何度か曲げ伸ばして調整。この調整はこれがラストチャンスなのだ。プレートの取り付けはステンレスのキャップボルトをおごった。取り付けたら係を呼んで封印を受ける。封印にキャップボルトが干渉しそうとの指摘を受け、見ると頭が確かに少し飛び出していた。一度そのボルトを外してワッシャを抜いて、よさそうだったので、封印を受けた。めでたしめでたし。 で、JAの保険担当者に連絡し、うれしかったので函館の友人にジープを見せに寄り、それから仮ナンバーを森町役場に返納しに行き、JAで保険の手続きの残りを済ませ、自宅にちょっと寄ってから、そのまま嬉々として仕事に向かった。しかし・・・だったのだ。

仕事場に着いてそういえば、と思い出した。自動車税はどうするんだろう。渡島支庁に電話で聞いてみたら、車検場の近くの整備振興会だかに窓口があり、そこで月割で支払うとのこと。本当は払い忘れるといろいろ手続きがあるそうだが、その日のうちならまあいいでしょう、とのことだった。あらららら。仕方ないので、昼休みにまた出向き、自動車税を払ってきた。自動車税は「グリーン税制」なので、年式が確認される。私のジープは完全に割増対象車だ。その窓口でも、
「おお、古いですねぇ」
と感心された。

いやーまいったまいった。大ボケかましてしまった。でも早く気づいてよかった。これで本当に手続き完了だ。けっこう自分でできるもんだな。


なお、ここで紹介したケースに伴う検査官の諸判断は、このケースについてのみ有効であると思わなければならない。上記は私が検査を受けたときはこうだった、という記録に過ぎず、決して、こうすればあなたも車検に受かる、というハウツーではないし、そういう風に書いたつもりもない。
したがって、あなたや他の誰かが同じように作業して、車検に臨んでも、同じ判断、同じ結果が出るとは限らないので誤解なきよう。
本来検査というのは一律の明確な基準に沿って運用されるべきで、そういうことでは困ったものなのだが、現にそうなのだからいまのところ仕方がない。
俺はダメだといわれた、などと私に文句を言われても私は検査官でもないし、まったくどうにもできない。
もし上記を読んでご自分も中古新規車検に挑戦しようなどというヒマな方がおられるなら、どうぞ各位の責任100%でがんばっていただきたい。
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