2002/12/07、某ネットオークションで、1990年式のJ53から新車時に外して保管していたという、 純正のシートを、なんと運転席と助手席の二脚揃いで、めでたく落札した。
私のジープJ54のシートは、助手席はまあまあなんとか見れる状態なのだが、運転席は背もたれと座面が大きく裂けて、中身まで裂けて、ハラワタ丸見えになってしまっている。
シート表皮がビニールレザーなので、経年劣化による縫い目からの破れは宿命的といえ、しかたないのだ。ところが、復活のために部品の価格を聞いてみたところ、シート表皮だけで、しかも背もたれだけでも約\14,000-もするという。座面もほぼ同じで、運転席の表皮を交換するだけでも\30,000-がとこかかってしまうというのだ(2002年12月現在)。
これはかなり大きい。あんなシート(笑)なのに、高いではないか。ジープの部品価格は防衛庁レートなのか?ともかく、今のウチの経済状態では、はっきり言って、痛い。
新車状態にまで復元する「完全レストア」をめざす、というのであればともかく、私としてはジープを実用上支障のない程度に整備して、とにかく自動車として復活、再生させるのを目的としているし、現実問題として金もないので、それならば、と、中古部品の活用を考えたわけだ。当然といえば当然の論理的帰結である。
ネットオークションのサイトをチェックしていると、たまにだが、程度のいいジープの部品が出品される。
今回のシートは、J53のものだったが、まあウチのJ54にも、おそらくたぶんなんとか付くに違いない、と入札したのだ。
J50系列であれば、エンジンのバリエーションにかかる部分はともかくとして、車体部品の多くは、年式によりわずかな違いこそあれ、流用できる場合が多い。
そもそもボディ形状が1977年以来生産終了まで基本的に変わっていないのだから、当然ともいえる。
とはいえ、たとえば幌は何度か大きな改良があって、1979年式の私のJ54には、たとえば1981年式以降の幌は、ドアすら合わない(1981年式のドアで試したことがある)。テールゲートのリミッターや、スペアタイヤキャリアなどもその時期に一度変更されているようだし、J53以降は排気管の位置が左右逆になったので、これまたいろいろと違いがある。
メーカーの三菱は、「部品番号の異なる部品に互換性はない」という立場をとっている(メーカーに確認した)ため、公式には、たとえば1974年式の幌ドアと1975年式の幌ドアは互換性がない。窓の形状等が違うため、同じ骨を使っていても、部品番号が違うのだ。しかし現実には、社外品の幌では、1977年から1981年までは、同じ幌が使用できたりする。
だから、メーカーの言うことを鵜呑みにするのも利口ではなさそうなのだ。つまり、異年式間の部品の互換性は、試して見なければ分からない世界なのである。
そんなわけで、私のJ54にJ53のシートがすんなりつくかどうかは、まだ試していないが、試してみなければ分からないのだ。
しかし、もしだめでも、ある程度は修正もできるだろうし、最悪、表皮だけ流用することだってできる。
どうしてもだめなら、また誰か必要としている人に売ったっていい。
なんといっても、程度のいいシートが二脚で送料まで入れて背もたれの表皮一枚分の半分ほどで買えたのだから、文句を垂れては罰があたるような気もするのである。
さて、2002/12/11に、シートが届いた。
わくわくしながら梱包を解くと、ほとんど新品同様の、ものすごく程度のいいシートが現れた。
運転席側の背もたれ後面の鉄板に傷がある程度で、表皮はまったく破れてもいないし、汚れすらほとんどないに等しい。クッションなど、まったくへたっていない。
「ウチのジープに付けたら浮くんじゃない?」とかーちゃんに笑われたが、もっともなご意見である。
入手したシートは黒とグレーのツートンの表皮で、厳密にはウチのジープの1979年式には存在しないタイプなのではないかと思う。たぶん1980年式か1981年式以降は、ゴールデンブラック仕様を除いては標準だったと思うが、そのへんはまだきちんと調べたわけではないので、定かではない。
ちなみに、ヘッドレストは付いていなかった。しかし、それは今のJ54のものを付ければすむ。
真の「レストアラー」なら、そのような「年式違い&型式違い」の部品を取り付けるなど、許されない暴挙、言語道断!と憤慨し、涙するであろう。
しかし私が目指すのは、「復元」ではなく、「復活」なのだ。だから、走れるようにすることこそ第一の目的であり、中古部品を生かすのも、再生→復活という視点でとらえれば、それなりに重要な意味があるではないか。
さあ、実際に金も使い始めたし、いよいよ本気で「復活作戦始開始」を宣言しようかな。
まあ、とはいえ、いついつを目標に、と胸を張って言えない状況なのが、我ながらはなはだ弱気ではある。
まだまだ復活に必要な部品はあり、中古では不安なものもあるので、すべてを中古部品で復活させるというのは、ちょっと無理があるように思う。
たとえば、シートベルトなどは、中古はちょっと、と思うではないか。
しかしまあ、安全を確保し、合法性を確保しつつ、いかに安く上げられるか、というのも、腕の見せどころ、というものだろうし、なにより、この部品は流用できるかどうか、などといろいろ考えながら合わせてみたりして、最終的に車検を通すのが、私には大きな楽しみでもあるのだ。
この「安全と合法性の確保」こそ、クルマをちょす上で忘れてならない鉄則である。
一見合理的な「異年式中古部品の流用」や、なぜかやってみたくなる「改造」は、実は大変なことなのだ、というお話は、次のページで。