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平原の待伏せ

レビュー

テキサスのメキシコからの独立とアラモ砦の悲劇を描く映画は、これまでに何本か撮られている。ジョン・ウェインの監督第一作『アラモ』(60)がとりわけ有名だが、その前にフランク・ロイド監督による佳作『アラモの砦』(55)が同じ主題を取り上げている。『アラモの砦』と同じ年に撮られたノーマン・フォスターの『デイビー・クロケット 鹿皮服の男』と翌年同監督が撮った『ミシシッピ決死隊』の二本も、直接アラモの砦を描いた映画ではないが、あの戦いで戦死した英雄デイビー・クロケットを描く一代記である。このアメリカ西部開拓史における名高い攻防戦は、つい最近も再び映画化されて話題になったばかりだ(『アラモ 特別版 』)。

アラモ 特別版

バッド・ベティカーが1953年に撮った西部劇『平原の待伏せ』は、邦題に「アラモ」という名前こそはいっていないが、The Man from the Alamo という原題を見ればわかるように、これもまたアラモの戦いを描いた映画の一本である。ただし、アラモ砦の悲劇自体を描いた映画というよりは、その後日譚を描いた作品といった方が正確だろう。

ジョン・ウェイン版もフランク・ロイド版も、テキサスの独立のために戦ってアラモ砦で全滅した男たちの悲劇を描く点では、同じだった。しかし、『平原の待伏せ』の物語が本当にはじまるのは、アラモの砦が陥落する瞬間からである。アラモ砦の戦いに参加したひとりである主人公(グレン・フォード)は、戦いのさなかに砦を抜け出す。その直後に砦は陥落し、彼は不覚にもひとりだけ生き残ってしまう。本当は、妻子の安否を確かめるためにほんの少しのあいだ砦を離れただけだったのだ。しかし、家族はすでにメキシコ人たちに殺されたあとだった。町の人たちは、彼がアラモの砦から来たことを知ると態度を一変させ、彼を臆病な裏切り者扱いし、挙げ句の果てにはリンチにかけようとまでする。身の安全を守るために牢屋に入れられることになった彼は、そこで妻子を殺した一味のひとりと知り合う。彼は男と一緒に脱獄して、一味の仲間に加わって復讐の機会をうかがうが……。

この数年後から撮られはじめるランドルフ・スコット主演の西部劇の傑作の数々を前にしては、この作品はまだまだ習作の部類にはいるかもしれない。とはいえ、余分なものをそぎ落とした簡潔な語り口はすでに完成されつつある。物語の内容の割には、どこかのびのびとくつろいだ感じがただよっているところが、この作品の魅力でもあり、また少し弱いところでもあるといえるだろうか。

データ

『平原の待伏せ』The Man from the Alamo
1953/アメリカ/35/カラー/79分

監督:バッド・ベティカー
出演:グレン・フォード、ジュリア・アダムス、ヴィクター・ジョリイ、ヒュー・オブライエン、チル・ウィルス

平原の待伏せ

 
画質: 普通
字幕・音声: 日・英・西・韓・中・タイ・ポルトガル
特典映像: なし
その他: 字幕が素人くさくて、読みにくい。フォントが見づらいのは他のDVDでもよくあることだが、改行にはもうちょっと気を配ってほしかった。

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