Movie Review 2005
◇Movie Index

ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]('05アメリカ)-Sep 17.2005
[STORY]
宇宙嵐の研究をしている科学者のリード(ヨアン・グリフィス)と相棒のベン(マイケル・チクリス)は、資金難から仕方なくライバルで億万長者のビクター(ジュリアン・マクマホン)に援助を依頼する。ビクターの会社にはリードの元恋人スー(ジェシカ・アルバ)が働いていて、彼女の弟ジョニー(クリス・エヴァンス)も加わり5人で宇宙ステーションへ飛び立つ。しかし予想より早く訪れた宇宙嵐に巻き込まれ、5人放射線を浴びてしまう。地球に戻った彼らはやがて不思議な能力を発揮しはじめる。
監督ティム・ストーリー(『TAXI NY』 )
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原作は1961年にマーヴェル・コミックから発売されたスタン・リーの同名コミックで、ピクサーアニメ『Mr.インクレディブル』の元になった作品。

アメコミ原作映画にアタリが多いのでこれもけっこう期待して見たんだけど、ちょっと微妙でした。特殊能力を身に付けてしまった5人の戸惑い、特に外見が変わってしまったベンの苦悩にかなりの時間を割いているのはいいんだけど、他のシーンがけっこういい加減。それに最初の騒動は自暴自棄になったベンと彼の外見を怖れた人との誤解から生まれたもので、敵の攻撃から人々を守ったというわけじゃない。それなのに終わってみれば人々は拍手喝采で4人は人気者になってしまう。いいのかそんなんで。ビクターとの戦いだって内輪モメの延長みたいなもんで、周りの人に迷惑かけまくりだし、せっかくのアクションの規模もそれまでのものより規模が小さくて、えらいあっけなく終わってしまった。思わずここで時計を見ちゃったもんね。クライマックスだから一番派手ですごいと思い込んでいただけに、物足りなさを感じた。

出演者の中ではジェシカ・アルバがとにかく可愛い。特にプリプリ怒りながら副を脱ぐシーンがたまらないです(自分女だけど)にぎやかし要員のエバンスも悪くないし、チクリスはシーンのほとんどが着ぐるみ(笑)だけど泣きも笑いも取れて尚且つ頼れる男といういいポジションだ。が、肝心の主役グリフィスと宿敵役のマクマホンが地味すぎた。せめてビクター役はもう少し存在感のある俳優に演じてもらいたかったな。こちらも物足りなかった。
それにしても『インクレ』のゴム人間ヘレンさんを実写で見るとかなりマヌケだし気持ち悪いもんだね。アニメだと面白いし可愛らしいのに。

パート2も決まってるみたいだけど、今度は能力を持ってしまった苦悩や過程に時間を掛ける必要はないんだから、とにかくアクションをたっぷり見せてほしい。あとどうせなら悩めるヒーローは他のアメコミ映画に任せて、こちらは笑える部分をもっとふんだんに取り入れたおバカ映画に徹してもいいんじゃないかな。ほら、サブタイトルも脱力気味なんだしさ(笑)
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銀河ヒッチハイク・ガイド('05アメリカ)-Sep 11.2005
[STORY]
銀河バイパスの建設に邪魔だからという理由で、突如現れた異性人ヴォゴン人によって地球が一瞬にして爆破された。しかし平凡なイギリス人アーサー(マーティン・フリーマン)だけは友人のフォードに助けられ難を逃れる。実は彼は人間ではなく異性人だったのだ。2人は宇宙船をヒッチハイクして地球を脱出し、銀河系大統領ゼイフォード(サム・ロックウェル)の宇宙船に拾われる。だが、その船には何とアーサーが恋していた女性トリリアン(ズーイー・デシャネル)も乗っていた!
監督ガース・ジェニングス(ミュージックビデオ等を経て監督デビュー)
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原作はダグラス・アダムスの同名小説。BBCのラジオドラマとして誕生した本作は、5部作の小説となり大ベストセラーとなり、テレビドラマやゲームにもなった。そしてアダムス自らが映画の脚本を書き上げるが、突然の心臓発作により他界。その遺稿を元に本作が完成した。

原作も読んでないしラジオもテレビドラマも知らなくて、ただ予告を見て面白そうだと思って見てみた・・・やっぱり原作を知っていたほうが面白かったかも。オープニングから地球爆破まではすごく面白かった。イルカの歌がまず最高だったし、フォードがビールをがぶ飲みしてる横でアーサーは寝巻き姿のまま恋した女性の悩みを話したりして、とても地球最後の日とは思えない緊張感のなさに見てるこっちがハラハラしてしまったほど。そしてなんのタメもなくあっさり地球爆破。うわーこれはすごく好きな映画になりそう!といい予感がしたんだけど、そこから先はエピソードがあちこちに飛んだり理解できないセリフがあったりして混乱してしまった。最後まで見て一応納得したけど消化不良気味。あとは原作を読めばいいんだろうけど、読もうっていう気にあまりならないんだよなぁ・・・。

でも予告で惹きつけられた地球建設見学シーンは、本編が予想以上に素晴らしかった。まさか日本まで出てくるとはね。前から思ってたけど、日本列島ってやっぱり綺麗だわ。北から南へ弓なりになっている、そのバランスがめちゃくちゃイイと思うんです。奇蹟のような形だなぁって(ものすっごい贔屓目ですがね)改めて見て感激しました。これが見れたからあとはもうどうでも良くなりました(いいのかよ)あとはパン切りナイフは個人的に欲しいアイテムでした。以上。
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チャーリーとチョコレート工場('05アメリカ)-Sep 10.2005ダイスキ★
[STORY]
両親と祖父母の7人で貧しいながら幸せに暮らすチャーリー(フレディ・ハイモア)は、世界一のチョコレート工場に5人の子供を招待するという イベントに見事当選する。そして、かつて工場で働いたことがある祖父のジョー(デヴィッド・ケリー)と一緒に工場の入口に立ったチャーリーは、 風変わりな工場主のウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)に驚く。
監督ティム・バートン(『ビッグ・フィッシュ』
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原作はロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』で(未読です)
1917年に公開された『夢のチョコレート工場』のリメイクではなく、より原作に忠実に映画化したものだそう(『夢の〜』の脚本はロアルド・ダール自身が手掛けているのだが)ダールの未亡人フェリシティー・ダールが製作総指揮に名を連ねている。

『夢の〜』は、いい大人になってから見たのであまりワクワクできず、子供の頃に見たら大好きになってただろうなーと思ったくらい(でも子供の頃に見ていたら、あのウンパルンパがトラウマになったかも)
で、本作はさらにいい大人になって見たわけなんだけど(若返れませんからね(泣))すっごいハマりました。大好きだ。『夢の〜』は子供視点のファンタジーだったけど、本作はむしろ大人がグッとくると思う。ウォンカの生い立ちや父親(クリストファー・リー)との確執も描かれていて、天才で大成功しているにもかかわらず大人になりきれず孤独なウォンカがたまらなく切ない。特に工場見学が終わってからのエピソード(『夢の〜』は見学終了でラストを迎える)は泣けてしまった。ラストシーンも素晴らしい。デップは子供が見せるような表情が抜群に上手くて、チャーリーとウォンカが会話するシーンでは、かえってチャーリーのほうがしっかりしてて大人に見えるほどだった。

また、ウンパルンパの使い方も『夢の〜』より上手いと思った。5人の子供たちが言うことを聞かずにイタズラをして1人ずつ脱落していくのだが、そのたびにウンパルンパが着替えて出てきて歌を歌う。同じことが4回繰り返されてもこれなら飽きずに楽しめるし、次の展開へのいい繋ぎになっていた(サントラは買い)
ウォンカとウンパルンパとの出会いのシーンもあり、チャーリーの祖父ジョーおじいちゃん(デイビッド・ケリー)が昔ウォンカの工場で働いていたというエピソードもあり、ウォンカの過去も含めて登場人物が少ないながらも厚みのある映画になったと思う。チャーリー役のフレディ君も『ネバーランド』の時よりずっと上手くなったね。

ウンパルンパ撮影シーンや、リスの調教シーンなどがDVDに入っていたら是非見てみたい。本編以外もいろいろ楽しめそう。
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サマータイムマシン・ブルース('05日本)-Sep 9.2005
[STORY]
夏休み。大学のSF研究会の部員である甲本(瑛太)たちが部室のクーラーのリモコンをうっかり壊してしまう。翌日、部室を訪れるとそこにタイムマシンのような物が置いてあった。冗談半分でそれに乗ってみると、何と過去に行くことができるではないか!そこでとりあえず昨日に戻り、壊す前のリモコンを持って来てしまおうとするが・・・。
監督・本広克行(『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』
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原作&脚本は劇団「ヨーロッパ企画」の上田誠で、「ヨーロッパ企画」の舞台で上演されている同名作品の映画化。劇団に所属するメンバーが多数出演している。

舞台の映画化というと『スペース・トラベラース』もそうだったけど、あちらはクライマックスで感動させようと無理してて好きじゃなかったけど、本作は最初から最後まで下らなさをキープしてて面白かった。タイムマシンなんてスゴイものが目の前にあるというのに、壊れたリモコンを前の日から取ってくるという最高にもったいないことに使おうとするんだからね。見終わった後で“タイムマシン ムダ使い”というコピーを見てまた笑ってしまう。ホントに下らない。でもそこがいい。

けれど、最初にタイムマシンを見つける前日の出来事を見せるシーンがあるんだけど、ここの見せ方がワタシ的にはいまいちだったと思う。シーンをブツ切りにしたり効果音を入れたりせずに、できるだけ普通に見せてほしかった。その中で、何かがおかしいけれどどこがおかしいのか分からない、っていうちょっとした違和感を観客に与えてくれればよかったのに。それなのに非常に分かりやすいおかしさばかりだったので、翌日の甲本たちの行動やそれに伴う変化に驚きや意外性をあまり感じることができなかった(分かってるから面白いところはあるのだが)
『運命じゃない人』も本作と似たような構造(最初に主人公中心の出来事を見せ、後から他の登場人物中心の出来事を見せる)なのだが、あちらのほうがずっと構成力は素晴らしかった。

セリフのテンポの良さに笑いながらも、劇団の脚本らしいクドさもあり(「て、ゆーか」とつい自分も言ってしまうけど、映画のセリフで多用されるとけっこうイラつく)劇団出演者の演技はこなれているけど大袈裟で鼻につくところもあったり。瑛太は主役にしては地味だったけど、演技が自然で逆に良く見えてしまったり(笑)
それにしても升毅があんなに出てるとは気づきませんでした。ポスターだけしか気付かなかった。あの役もあの役もあの役も彼だったのね(笑)
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メゾン・ド・ヒミコ('05日本)-Aug 28.2005
[STORY]
塗装会社の事務員沙織(柴咲コウ)の元に岸本春彦(オダギリジョー)という男が訪ねてくる。春彦は父・照雄(田中泯)の恋人だった。照雄は母と幼い沙織を捨ててゲイバー“卑弥呼”の二代目を継いでいたが、今はゲイたちのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を経営しているという。そして癌で余命いくばくもない状態であるという。春彦は沙織にホームでバイトをしないかと持ちかける。
監督・犬童一心(『金髪の草原』
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脚本は『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あや。製作のきっかけはフィリピンに実際にある同性愛者のための老人ホームの新聞記事だそう。
『ジョゼ』は劇場では見なかったのでDVDで見たんだけど『金髪の草原』の時より映像もストーリーの進め方も上手くなっていてびっくりした(『いぬのえいが』での犬童監督部分は下手だったし、『死に花』はまだ見てないんだけど)

そして本作は『ジョゼ』よりもさらに良くなっていた。まず内容とは直接関係ないけど、この人は食べものを美味しそうに撮る人だね。フードコーディネーターの人が凄腕なのかもしれないけど、特に焼き魚が脂がのっててウマそう(笑)流しそうめんやお盆の準備など、日本らしい季節感の取り入れ方もいい。というか、これらは年配の人のほうがこういった行事をきちんとやる、さらにゲイがそれを几帳面にやっているというところが見せ場であり面白いところでもあるんだけど、それにしても改めて日本の風習っていいなぁと思わせる、美しい光景だった。

メゾン・ド・ヒミコという異世界の雰囲気を重視したせいだろうが、ストーリーについては沙織と父の関係はもっと掘り下げてほしかっし、卑弥呼になった父と母との関係も会話から窺うだけでは物足りなかった。卑弥呼と春彦の関係だって「こういう設定なんです」と見せられているだけだ。沙織と春彦との会話にドキッとしたり、卑弥呼がサクランボをもてあそぶシーンでのセリフにハッとさせられるが、同時にイラッともさせられた。狙いすぎというか、いかにもここがいいセリフですと宣言していて、それに自分がきっちり反応してしまったのが腹立たしかったんだな(笑)結局、そのセリフだけが頭に残っていて、そのセリフを発した人物たちからは切り離されてしまった感じがする。

柴咲コウはわざと眉を太くしたり顔にシミを作ったりし、ダサい髪型に仏頂面な役を演じていたが、私は今回初めて彼女を可愛いと思った。今までは怖くて近寄り難い印象だったけど、沙織のような役もしっかりハマるんだなーと感心。また、ゲイたちも有名でない役者や本物さんを起用したというのも正解だったと思う。有名な人だと私生活を知ってたりしてそちらに気をとられてしまうからね。しかしキャストのクレジットで“新宿 洋ちゃん”と出た時にはちょっとうろたえてしまいました(笑)
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