Movie Review 2004
◇Movie Index

マッハ!!!!!!!!('03タイ)-Jul 29.2004
[STORY]
貧しい村の寺院に祀られている仏像の首が、この村の出身者で今は密輸グループの一員になっている男に盗まれた。ムエタイの達人ティン(トニー・ジャー)は仏像を取り返すと立ち上がり、村人たちは彼に希望を託す。バンコクにやってきたティンは、同郷のジョージの助けを借りながら、密輸グループたちと戦っていく。
監督プラッチャヤー・ピンゲーオ(『呪信999』)
−◇−◇−◇−
タイで大ヒットし、あのリュック・ベッソンがヨーロッパと南米での配給権を取得したというアクション映画。主演のトニー・ジャーは『モータル・コンバット2』のスタントで注目され、本作で初主演。現在は再びピンゲーオ監督と組み『トム・ヤン・クン』という映画(どんな映画だ?)を撮影しているらしい。タイトルにエクスクラメイションマークが8個もついているが、これは邦題で、原題は仏像の名前オン・バクがタイトルになっている。

映画館ではステキな主題歌がエンドレスで掛かっていたり、来日したトニー・ジャーが舞台挨拶で披露した素早すぎるキック(カメラが捉えきれずにブレまくってる)写真があったり、始まる前から期待させられまくり。でも期待しすぎてガッカリするのもイヤだなぁと、フラットな気持ちで臨んだのだが・・・大好き!とは言えないけど、面白かったっす。

昔のジャッキー・チェン映画みたい。この主題歌もそうだし、エンドクレジットでNGシーンを出して主演が大ケガとかね。ただトニー君はえらい真面目だ。アクションにしても演技部分(ほとんどないけど)にしても、もうちょっと余裕が感じられると見てて疲れないだろうな。今でも笑うと愛嬌はあるが、これに茶目っ気が出てくれば無敵だ。ティンを助ける少女ムエ役の子も、顔は悪くないが喋りかたが可愛くなくて、わめいてるシーンがうざったくてイヤだったな。

と、文句をつけましたがアクションはとにかくスゴイ!!!!!!!!(←8個つけてみた)普通、走りながらジャンプすると放物線状になるわけだが、彼は垂直に飛べるんですな。だから自動車を飛び越えられるし、有刺鉄線の輪くぐりもできる。自動車といえば、足を開いて車の下をザザーッとくぐることもできるわけ。もう何でもいいから今すぐオリンピックに出ろ!と心の中で何度も叫んでしまった(笑)
スゴイのは彼だけじゃなく、彼からキックを受ける敵役もスゴイと思った。トニー君がいくら上手でかするようにキックができるとはいえ、頭で受けるんだよ。タイミングを間違えると脳や耳をやられてしまうだろう。宣伝コピー通り早回しは使ってないのだが、見せ場で何度かスローが使われているのね。これを見ると敵役がトニーのキックを受けようとする体勢を取っているのがよく分かる。というか、分かってしまうので、スローはいらないなぁと思った。

タイ映画で彼の凄さをずっと見ていきたい気持ちもあるが、予算タップリのハリウッド映画での彼も見てみたい。今この身体能力のうちにぜひ。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

キング・アーサー('04アメリカ)-Jul 24.2004
[STORY]
415年ローマ帝国支配下のブリテン。ローマのために15年間戦ってきたアーサー(クライヴ・オーウェン)と円卓の騎士たちは、兵役を終えることと引き換えにサクソン人たちに狙われているローマ人貴族を助けよと司教から命令される。そして仲間を失いながら彼らを助け、ローマ人に捕えられていたブリテン人のグウィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)を救出する。
監督アントワン・フークア(『トレーニング・デイ』
−◇−◇−◇−
製作はジェリー・ブラッカイマーということで期待はしてなかったけど、とりあえず劇場にあった公式ガイドブックを読んだりして予備知識を少し入れておいた。でもせっかく配給会社が頑張って作った(であろう)このガイド、かえって読まなかったほうが良かったかもしれない。だってアーサー王伝説の名前を借りたオリジナルストーリーなんだもん。しかも、冒頭からすでに円卓の騎士はアーサーの下に集っていて、状況把握ができないまま「で、あんた誰よ?」ってな司教とやらがアーサーたちに任務を下し、誰が味方で誰が敵なのか分からないまま1時間くらい過ぎてしまうのだ。たぶんもう1回最初から見れば話についていけるんだろうけど、かといってもう1回見るのもね・・・。

さらにグウィネヴィア強すぎの衣装ヤバ過ぎ(笑)しかもシャクレ気味になってて大ショック。以前、ナイトレイがケイト・ウィンスレットみたいに太らなきゃいいなーと書いたが、逆に痩せすぎちゃって怖かった。いろんな意味で彼女のインパクトが強すぎて、アーサーもランスロットもすっかり霞んでしまった。三角関係になることもなかったし、ポスターの通りだよトホホ・・・。せっかくオーウェン主役になったというのに。ガタイはいいけどボンヤリしててカリスマ性もなくセクシーでもなく、白ランニング着用時のエロはどこへ行ったのさ!?と悲しくなった。でも好きだけどね。

登場人物の設定やストーリーは大いに不満だが、戦いそのものはけっこう面白かった。アーサーたちは少人数でサクソン人はその何百倍もいるのだが、知恵を使って次々と敵を倒していく。特に最後の戦いは黒煙が戦いにおいても映像としても効果的に使われていて良かったと思う。
また、キャストもいいところを突いていて、宿敵サクソン人セルディックにラース・フォン・トリアー映画でおなじみのステラン・スカルスゲールド、その息子シンリックに『レボリューション6』のティル・シュヴァイガー、円卓の騎士トリスタンを『しあわせな孤独』のマッツ・ミケルセン、同じくダゴネット役のレイ・スティーヴンソンは今回初めて知ったけど、なかなかいいじゃないですか。目をつけたぞ(笑)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

バレエ・カンパニー('03アメリカ=ドイツ)-Jul 24.2004
[STORY]
名門バレエ・カンパニー“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”の一員であるライ(ネーヴ・キャンベル)は、公私ともにパートナーだったフランキーと別れ、新しいパートナーとともに練習を始める。そして主役がケガしたことでチャンスを手に入れ、見事に「マイ・ファニー・バレンタイン」を踊り、芸術監督のミスターA(マルコム・マクダウェル)に評価される。また、私生活ではBARで知り合ったシェフのジョシュ(ジェームズ・フランコ)と付き合いはじめる。
監督ロバート・アルトマン(『ゴスフォード・パーク』
−◇−◇−◇−
ドキュメンタリータッチだが、ちゃんと脚本があるフィクションドラマ。とはいえ、出演しているダンサーはキャンベル以外全員“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”のメンバー。そしてキャンベルはナショナル・バレエ・オブ・カナダ出身で、そもそもこの企画を持ち込んだのがキャンベル自身であった。9年のブランクをものともせず、ダンスシーンはすべて彼女自身が演じたという。『スクリーム』をやってた頃とは体型がまるで違う、すっかりバレエダンサーの身体になっていてビックリした。嵐の中で踊るシーンはとにかく綺麗。見直しました!

初っ端から奇抜で驚く演目(リボンを使ってあんなダンスができるなんて!)に目を奪われ、スクリーンを使ったものやブランコを使ったものなど、工夫溢れる美しいダンスがとにかく楽しい。途中挿入されるキャンベルや団員たちのドラマも、ダンスに少し飽きたちょうどいいタイミングで入り、しかもストーリーにうざったさを感じなくて非常に見やすかった。演出に文句つけた団員や、降板させられた団員があれからどうなったのか?のオチがないのが少し気になったけど、続きを見せないところがかえってリアルでドキュメンタリーらしく見えた。また、クリスマスパーティーで団員たちが演出家のモノマネや演目をふざけて演じたりするシーンがあるんだけど、それがパロディ映画を見てるみたいで、1本で2度おいしいという感じで面白かった。

しかし、練習風景から本番までカメラがしっかりと追いかける“軸”となる演目が非常に微妙だった。「青い蛇」というやつなんだけど、演出家が企画を話す段階から微妙さ全開で不安になってたんだけど、本番見てその不安が的中。セットも衣装も良く言えば抽象的だけど、なんつーかダンスが目に入らなくなるシロモノで、作った人のセンスを疑いました。最初に蛇が踊るところは良かったんだけどね。演目がもっと素晴らしいものだったら、こっちの気持ちも盛り上がっただろうに、消化不良のまま映画が終わってしまった。これは本物のバレエを見に来いっていう“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”からのメッセージなんでしょうか?(笑)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

茶の味('04日本)-Jul 18.2004
[STORY]
春野家の長男である一(佐藤貴広)は片思いの女の子が転校してしまいふさぎこんでいた。しかし新しく転校してきたアオイ(土屋アンナ)に一目惚れする。一の妹で小学生の幸子はときどき巨大な自分が現れて自分を見下ろすのが憂鬱でたまらない。2人の母、美子(手塚理美)は引退したアニメーターのオジイ(我修院達也)にアドバイスをもらいながら自宅でアニメーターの仕事に没頭する。アニメとは無縁の催眠治療士である夫のノブオ(三浦友和)はそれが面白くない。春野家に泊まりにきた美子の弟アヤノ(浅野忠信)は、結婚した初恋相手に会いに行きたいが行けないでいた。
監督&脚本・石井克人(『PARTY7』
−◇−◇−◇−
映像レーベルGrasshoppa!制作映画の第二弾。2004年カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品。

長いよ!!
のどかな田舎町と春という麗らかな季節に、ごく普通(でもないか?)に暮らす一家が、家族に相談できない内に秘めたモヤモヤ感を描いたストーリーで、テンポとしては悪くないしエピソードも面白いと思う。特にアヤノが話す呪いの森の話は最高だった。でもこれは映画の始めのほうのエピソードで、物語が進むうちにどんどんつらくなっていく。時々挿入されるオチのないエピソードにストレスを感じてしまい、ほのぼのした気持ちがどんどん殺がれてしまうのだ。ただでさえ長い上映時間(143分)が余計に長く感じた。

監督の中ではたぶん、映画で描かれるエピソードのすべてが家族と繋がっているのはおかしいんじゃないかと考えていて、普段私たちがいる日常でも自分と関係ないことがそこらじゅうで起こっているんだよ、ということを伝えたかったんだと思う(単にウケ狙いやスペシャルゲストの顔見せもあるだろうが)ただね、普段はその関係ないことを凝視することはない。あー自分の周りで何かやってるなーっていう感覚があるだけだ。それをいちいち気にして見ていたら疲れちゃうでしょ。その疲労感がこの映画にあった。

でもすっごくいいシーンもあった。一がアオイを好きになって、囲碁クラブに入ってだんだんと距離が短くなっていくところは、あ、石井さんもこういう映画が撮れるんだ!とびっくりしてしまった。アオイと雨の中を帰るシーンの一がカッコイイのだ。最初のシーンでデコに穴開けて呆けてた坊やとはまるで別人だった(佐藤くんて石井さんに顔ちょっと似てんのよね)

そしてオジイの仕事ぶり。ベタだけど感動してしまった。何を考えているのか分からない、おかしな歌を歌ってるだけの人かと思ったら、一番家族のことを分かっていたのがこの人だった、と。過去のことをちゃんと覚えていて、想像力が豊かで、未来までも見えていたスゴイ人だった。こういう気持ちの伝え方もいいもんだね。美子さんが一生懸命頑張ったアニメの仕事とのギャップが泣き笑いって感じだった。こっちはホントにトホホ。

サムかったり意味不明すぎなエピソードを削って、せめて2時間ちょうどくらいだったら・・・いや、やっぱり石井さんは短編でいい!CM並に短くてもヨシ(おいおい)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

スパイダーマン2('04アメリカ)-Jul 16.2004オススメ★
[STORY]
大学生になったピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は、アルバイトと勉強、そしてスパイダーマンとして闘うことに四苦八苦しており、女優になったメリー・ジェーン(キルスティン・ダンス卜)の舞台さえ見に行くことができない。ある時、大学のレポートを書くため親友ハリー(ジェームズ・フランコ)からDr.オクタヴィウス(アルフレッド・モリーナ)を紹介してもらう。そして彼の実験に立ち会うが、失敗して凶暴な姿に変身してしまう。
監督サム・ライミ(『スパイダーマン』
−◇−◇−◇−
まさかスパイダーマンを見て泣くとは思わなかったですよ。何度か泣かされちゃって、終いにはスパイダーマンがビルの間をスウィングするの見るだけで泣いちゃいました(マジで)こんなに感動的な映画だとはなぁ・・・。アクションもストーリーも前作以上!続編モノでパート1より良かったのって『X-MEN2』以来かも。

スーパーヒーローとなったピーターだが、ヒーローと普段の生活の両立ができなくて苦しい生活を送っている。自分のせいで叔父が死んだことを悔やみ、1人になってしまい生活が苦しくなった叔母のことで悩み、好きなMJのことで悩む・・・。おまけに要領が悪くて失敗ばかり。パーティーではお酒もオードブルも取り逃す。ヒーローとのギャップをしつこいくらいに描いていく。このシーンはホントにしつこくて、唯一マイナスだなーと点はココだけ(あとMJがやっぱりブ(以下略))人助けをすれば感謝はされるが、お金をくれるわけじゃない。でもね、見てる人はちゃんと見てるし、ヒーローがピンチになれば助けようとするのよ(涙)ドック・オクとの電車で闘うシーンは本当に素晴らしい。

そういえばスパイダーマンの動きもダイナミックで滑らかで美しくなり、クモの糸の扱いも上手になった。そんな超人がエレベーターに乗るシーンは最高に面白くて、ここだけコメディ映画を見てるようだったな。病院のシーンはホラー映画かと思うような怖さがあったし、1本でバランスよくいろいろ楽しめる映画だった。でも主軸はきっちりと青春映画なんだな。

パート1がいまいちだったと思う人も絶対見るべし!もうね、私はパート1のDVD買いますよ(笑)前作以上に伏線をバシバシと張ってて、今後どうなるのか目が離せない。早くパート3を見せてくれ。
home