Movie Review 2000
◇Movie Index

バトル・ロワイアル('00日本)-Dec 24.2000
[STORY]
子供たちの素行に業を煮やした大人たちは“BR法”なる、全国から無作為に選んだ中学3年生の1クラスに、最後の1人になるまで殺し合いをさせる法律を作った。そして今年は七原秋也(藤原竜也)のクラスが選ばれた。秋也は中川典子(前田亜季)と共に逃げ回っていたが、転校生の川田章吾(山本太郎)に見つかってしまう。川田は過去にもバトル・ロワイアルに参加した生徒だった!
監督・深作欣ニ(『仁義なき戦い』シリーズ)
−◇−◇−◇−
国会でも取り上げられたことで話題の作品。R-15指定になったことは監督も配給会社も不満だろうが、いい宣伝になったと思うよ。じゃなきゃここまで動員数見込めなかったでしょう。

R指定になったくらいだから、どれだけスゴイ話なんだろうと思ったら何てことはない。これなら中学生でも十分見られる話だと思う。だってこれ青春映画だもん。少なくとも原作より道徳的で、何でこれが問題なんだろう?と思わせるものだった(でも過去に『スワロウテイル』は、小学生のランドセルに大金詰めるシーンでR指定食らってるからね)

逆に私なんかは物足りなかったな。学芸会バリのクサい台詞は見てるこっちが恥ずかしいっての(笑)バトルシーンはさすがに迫力あったけど、所詮演じてるのは本当の中学生じゃないもの。中にはいるのかもしれないけど、主要メンバーの藤原竜也でさえ17歳だし、山本太郎に至っては20代後半じゃないか(笑)前田亜季くらいの子ばっかりが殺し合いしてたらもっと真に迫っていて、目を覆いたくなるような辛さがあったかもしれない。それに昨日まで友達だった者と殺し合いをしなくてはならない、人間の変わり行く様を描くべきだったし、それに対する戸惑いも表現すべきだった。原作と同じく、桐山や川田も最初からクラスにいて欲しかった。彼らを転校生にした意図は何だったんだろう?

そもそも“BR法”っつーのがよく分かんなかったな。殺し合いをさせて、1人残ったからなんなの? 原作では総統と呼ばれる人の愉しみ、みたいな感じだったけど、映画じゃそうじゃないよね。子供を減らすための措置?それとも子供を統制するためのもの?にしてはやっぱり変だよな。
あと教師役にたけしを配したことで、彼にも特別にスポットを当てなくてはならなくなったのも話を歪める結果になったのではないかな。彼のキャラクターは原作の坂持金発より存在感があり不気味で良かったけど、サブストーリーは邪魔だった。あとなぜに絵を描かせる?(笑)

好きなシーンは宮村優子の“BR法”解説VTR。『守ってあげたい』で学んだからか(?)この薄ら寒いおフザけがほかのシーンにもあればなぁ、などと思ってしまう私は不謹慎だろうか。あとは安藤君が一言も喋らないところ。かっこいいぞ殺人マシーン!
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6ixtynin9('99タイ)-Dec 23.2000
[STORY]
信販会社に勤めるトゥム(ラリター・パンヨーパート)は、ある日突然リストラされてしまう。翌日、彼女のアパートのドアの前に段ボール箱が置いてあり、開けてみると何と100万バーツもの大金が詰まっていた。
監督&脚本ペンエーグ・ラッタナルアーン(『FUN BAR KARAOKE』)
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彼女の部屋は6号室。しかし部屋のドアについている数字に打ちつけられた釘が外れていて、すぐに6から9にひっくり返ってしまうのだ(タイトルはそこからきている)実は大金は9号室に届けられるものだったのだ。そのまま金をネコババしようとするトゥムだったが、部屋を間違えたことに気づいたマフィアが彼女を訪ねてやってくる。気がつくとトゥムはマフィアを殺していた!随分簡単に死んじゃうんですけどね(笑)そんなわけで彼女はお金を死守するんだけど、頑張れば頑張るほど部屋に死体が増えてってしまうのだ。

テンポはそれほど速くないけれど、クライマックスまでの展開はけっこう楽しめた。目にえらい力入ってる感じのトゥムがいい。人は死んでしまったらもう人ではなくモノなのだ。邪魔でしょうがないのよ!とばかりに死体をさっさと片付け、黙々と血痕を拭いてる姿はお金に対する執着心いっぱいで本能を垣間見た感じ。マフィアのキャラクターも個性的だったし、一番はトゥムの下の階に住んでる主婦でしょう。お約束のウザがられキャラだけど意外に可愛かった。

しかし、ワタシ的にラストが気に入らない。(ここからネタバレ)せっかくここまでやったのに、なぜ金を捨てる?みんな死んじゃって、もう追いかけてくる者などいないのに。親友の死が辛かったから?金を持っていてもいいことがないから?私としてはですね、最後にお金を持ってイギリスへ逃げ、今まで一度も見せることのなかった笑顔を見せて、見てる人をスカッとした気分にさせて貰いたかったな。そしたらこの映画、大好きになったと思う。(ここまで)

たぶん見た人の10人に9人は同じことを思うと思うんだが、マフィアのボスが桑野信義そっくりなんでっす。それだけ最後に言いたかった(笑)
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PARTY7('00日本)-Dec 22.2000
[STORY]
郊外のホテルにチンピラのミキ(永瀬正敏)がチェックインした。組の金を持ち逃げしたのだ。そこへ元恋人のカナ(小林明美)がやってきて結婚するのでミキに貸していた金を返してもらいたいのだという。さらにそこにカナの婚約者トドヒラ(岡田義徳)がやってきて揉め始める。その一部始終を覗き部屋からオキタ(浅野忠信)と謎の男キャプテンバナナが覗いていた・・・。
監督&脚本・石井克人(『鮫肌男と桃尻女』)
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『鮫肌』は劇場公開時には見なかったんだけど、あとでビデオで見た。今回これを見ようと思ったのは、オープニングのアニメに惹かれたから。本編のアニメは予告よりちょっと長い程度で、予告で流しすぎじゃないか!勿体無い・・・と思ったけどもやっぱり良かった。でも、このアニメで見せたようなノリを実写でも見せてくれるのかと思いきや、全然そうじゃなくて(『ルパン三世』みたいなのを期待してたさ)密室でちまちまコントのようなものをやってるだけの映画で肩透かしを食らった。あーあとね、お気に入りのフィギュアを弄んでるような印象を受けた。

『鮫肌』は監督がインスパイアされたという北野武やタランティーノがモロに出てて、その似たところを見つけることがそれなりに面白かったけど、今回は自前の『鮫肌』と自前のCM作品がモロに出てる感じ。ミキの恋人だったカナと婚約者トドヒラは、あのアスパラドリンクのリコーダー吹きメガネ青年と戸惑う女の子のキャラそのものなのね(←これは意図したもの)また、組の若頭が乱入してくるシーンは、スカパーの映画撮影バージョンにそっくり。我修院達也&堀部圭亮だからってだけじゃなく、カメラアングルまで似てると思った。これは意図したことなのかな〜。CMはTVをつけてれば見られるけど、映画はお金を払って見に来てるんだから、同じものは見たくない。それが持ち味というなら悪いことじゃないけど、これがずっと続くようだと飽きられちゃうかも。まだ2作目だからいいけどね。次が勝負でしょう。

そうそう、我修院演じる若頭と『鮫肌』の山田さんはイトコなのだそうだ。そういえばよく似てるよね(笑)ただし今回のキャラクター大賞は我修院でも原田芳雄でもなく森下能幸だろう。『鮫肌』であんなヘアスタイルだったのにあんまり目立ってなくて可哀想だったけど、今回大フィーチャーだ。
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初恋のきた道('00アメリカ=中国)-Dec 22.2000
[STORY]
都会で働くルオは父親が亡くなったために生まれ故郷の華北の村に戻ってきた。母は棺を病院から村まで担いで運ぶと言って聞かず、村の者たちを困らせていた。なぜそこまでしようとするのか?ルオは父と母の過去を振り返っていた。
都会からやってきた教師ルオ(チェン・ハオ)に恋をしたチャオ(チャン・ツィイー)は毎日ルオを見に行き、彼のために料理を作った。彼女の気持ちはルオに届いたが・・・。
監督チャン・イーモウ(『紅いコーリャン』)
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超感動!とかって世間ではかなり評価の高い映画のようですが、私からすると非常にコワイ映画でございました。私が持っていたはずの純粋な心は一体どこへ行ったのでしょう・・・(笑)この映画を見て、素直に感動した人はここから先は読まないほうがいいでしょう。

何が怖いって、はっきり言ってこれはストーカー映画っす。都会育ちの若い教師に一目惚れした少女は、毎日学校へ通っては彼の声をこっそり聞いたり、学校から帰っていくところを付けたり、雪の中を一日中待ってたり、しまいには彼の実家まで歩いて行こうとさえする。一途といえば一途だけどさ、これが可愛い女の子だから許されるのであるし、男のほうも好意を持ってるから嬉しいことであって、言っちゃ悪いがこれがブチャイクな子だったらどうよ?想像してごらん。顔で得してるよな。
いや〜でも個人的に『グリーン・デスティニー』の時もツィイーが嫌いだったけど、この映画でもやはりむかつく存在だったな。確かに可愛いと思う。笑ったところなんてすごくいい。でも喋るとやっぱ小生意気。まさに「小悪魔」だね。でも男性はこういう子に弱いんだろうなあ。

少女時代のチャオもだが、老人になったチャオがまた頑固ババアで、人の言うことなんて1つも聞いちゃいないし周りに迷惑かける存在で、ここまでくるともう笑うしかない。回想シーンを踏まえると気持ちは分からないでもないし、ここらへんは私でも感動してしまったよ。けれど何しても許される、やってもらって当然と思ってるところがやっぱ腹立つんだな。

現在の映像がモノクロで過去の映像がカラーな映画は『あの娘と自転車に乗って』もそうだった。この映画で私は現在がモノクロで過去がカラーなことに疑問だと書いたが『初恋〜』ではこのやり方は効果的だと思う。ルオと出会い、恋をしたあの頃は見えてるもの全てが色鮮やかだったろう。そしてルオがいない現在は、きっとチャオにとってモノクロの世界でしかないのだろう。
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バーティカル・リミット('00アメリカ)-Dec 21.2000
[STORY]
ロッククライミング中に父を亡くしたピーター(クリス・オドネル)と妹のアニー(ロビン・タニー)。その後、ピーターは山に登らずに過ごしていたが、アニーは山に登り記録を作っていた。ある時、資産家のボーン(ビル・パクストン)と共にK2に挑戦していたアニーが遭難してしまった。ピーターは妹を救出するため再び山に登ることになる。
監督マーティン・キャンベル(『マスク・オブ・ゾロ』)
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『ホワイトアウト』に続くミレニアム雪山三部作(勝手に命名)の第2弾がこれ!(第3弾は『クリムゾン・リバー』ね)やはり日本のダムより迫力は全然違います。しかし予告でビックリした両手にピッケル大ジャンプシーンは、本編ではあまり感動せず。それ以上にドッキドキなシーンがいっぱいあって麻痺してしまったみたい。

話は意外にシンプル。冒頭は『クリフハンガー』っぽいが犯罪絡みなどではなく、山頂付近の溝に落ちちゃった妹たちを助けるだけのストーリー。しかし雪崩によって溝が埋まってしまったために、雪を爆破しなければならず、そのためプルトニウムを背負って救出に向かうことになる。無謀!このプルトニウムの存在が曲者で、取り扱いに注意しないとすぐ爆発しちゃう。これのおかげで一気に事態は複雑になり、無駄死に要員が増えてしまいました(←書くなよ)・・・かなり納得いかないところだったなーこれは。

オドネルは今時珍しい典型的なアメリカ人好青年で、喩えるなら昔のディズニーアニメの王子様タイプ(今のディズニーの王子様は個性的っつーか早く言えばブサイクだからねっ)だからいまいち役柄に面白みや深みがなく、感情移入もしにくい。ほかのキャストも含めて全体的に地味めだからわざとなのかもしれないけど、主役は雪山そのものであって、ピーターの存在感なんて薄いのよ。だから妹アニーとの関係も弱いし、一緒に登山したモニクなんて「何でこの人が?」と最後までよく分からなかった。あとは無駄死に要員だしね(←だから書くなって)ただボーンの存在はちょっと恐かったなぁ。生への執着は雪山よりも恐い。
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