Movie Review 2002
◇Movie Index

スパイダー('01アメリカ)-May 18.2002
[STORY]
ワシントンD.C.の一流私立学校から、上院議員の娘ミーガンが誘拐された。2年間も教師になりすましていた男ソンジ(マイケル・ウィンコット)は、自分を主人公にした本を書かせたいと、著名な犯罪心理捜査官のアレックス・クロス(モーガン・フリーマン)を指名した。クロスはミーガンの警護を担当していたシークレット・サービスのジェジー(モニカ・ポッター)とともにソンジの行方を追おうとするが・・・。
監督リー・タマホリ(『狼たちの街』)
−◇−◇−◇−
ジェイムズ・パタースンのアレックス・クロスシリーズの映画化第2弾。でも小説ではこちらが1作目となる。ちょっと分かりにくいので書くと

1作目『Along Came a Spider』(邦題『多重人格殺人者』) /映画は『スパイダー』(映画化第2弾)
2作目『Kiss the Girls』(邦題『キス・ザ・ガールズ』)/映画は『コレクター』(映画化第1弾)

となっており、小説は6作まで出ている(このシリーズ読みたいと思いつつ、まだ1冊も読んでない・・・)

映画は中盤までモタついてて面白くない展開にイライラ。こんなやる気のない演出でいいの?なんて思ったほど。それでもミーガンが何とかしてソンジから逃れようと、知恵と勇気を振り絞るところには惹き込まれるため、何とか乗り越えることができた。そして、1つの山を越えたのちの展開は面白かった。前作は序盤ですでに犯人が分かってしまったために物語まで面白くなかったが、今回は油断してたせいか、個人的には意外な展開だと思ったし、かなりビックリした。

(ここからネタバレ)私はモニカ・ポッターの存在というのは『コレクター』のアシュレイ・ジャッドと同じポジションだと思ってたわけよ。だから完全にノーマークだった。それがまさか犯人とはね。でもよくよく考えると、ソンジがパトカーで逃げるシーンなんかは完全にわざとなんだよね。そう思うとあのかったるい演出や展開もわざとということなんでしょうか?(ここまで)

2作見てみて思うのは、申し訳ないけどアレックス・クロスという人物にも、それを演じるモーガン・フリーマンにも、あまり魅力を感じないということ。今回のクロスは過去の事件に責任を感じており、それを引き摺りながら誘拐事件に取り組む設定だが、フリーマンの落ち着きぶりにはあまりそぐわないし、ラストの演技にも疑問を覚えた。でも次の作品が公開されたらまた見るつもりではいる。ストーリーが面白ければいいや。
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('01イギリス)-May 18.2002
[STORY]
イギリスの名門パブリック・スクールの生徒4人が行方不明となった。そして18日後、そのうちの1人リズ(ソーラ・バーチ)が戻ってくる。精神科医のフィリッパ(エンベス・デイビッツ)は、リスのカウンセリングを始める。彼女たちは森の中にある“穴”で過ごしていたという・・・。
監督ニック・ハム(『マーサ・ミーツ・ボーイズ』
−◇−◇−◇−
監督の前作は回想形式のラブコメディで、それが思った以上に面白かったったので、今回もかなり期待して見に行ってみた。同じく回想形式だったものの、ミステリ系ではありがちなものだったので、それほど新鮮さを感じることなく、ごく普通だという印象を受けた。

しかし主演のソーラ・バーチの存在はあなどれない。以前“ポスト クリスティーナ・リッチ”と書いたことがあるが、それ以上かも。あのブサなスタイルにブサな顔は、コンプレックスを持つ自信のない女も演じられるし、自尊心の強さゆえに衝動的な行動を取る女も演じることができるという強みを持っている。はっきり言ってコワイです(笑)彼女が持つ不気味さが映画を引っ張ってたと言ってもいいくらい。ただイギリス人には見えなかったけどね(そういう細かいところ気にしちゃダメ?)

逆に言えばそんな彼女が物語のキーなので、この謎が一筋縄ではいかないことは明白だし、彼女の言うことを信じる気はさらさらない。だから、いくらいろんなエピソードを持ってきてもまどろっこしいだけ。問題は事実が明らかになった時だ。それがとってもあっけないし、彼女と対するのがエンベス・デイビッツでは物足りない。もう少し迫力ある女優だったらなぁと思う。ただ唖然とするだけなんだもん。それと、どんでん返しを狙ったためか、登場人物の性格がシチュエーションによってまるっきり違うのが気になった。どれが本当の彼らでも構わないが、ある程度一貫性を持たせて欲しかったな。
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スパイダーマン('02アメリカ)-May 12.2002
[STORY]
幼くして両親を失ったピーター(トビー・マグワイア)は伯父夫妻に引き取られ、NY郊外に暮らしていた。冴えない高校生活を送る彼は、隣に住む初恋相手メリー・ジェーン(キルスティン・ダンス卜)に思いを打ち明けることもできない。しかしある時、課外授業で遺伝子を組替えたクモに刺されたことで特殊能力が備わり、徐々に自信をつけていく。一方、ピーターの親友ハリーの父親ノーマン(ウィレム・デフォー)もまた、新薬の人体実験により特殊能力を身につけ、クビになった会社の役員たちに復讐を始めていた・・・。
監督サム・ライミ(『ギフト』
−◇−◇−◇−
スパイダーマンはアメコミの中で実は一番好き。昔、テレビで映画をやってて、その時に
「わ!スパイダーマンって普通の高校生なんだ。しかも生まれた時からスパイダーマンじゃないんだ!コスチューム着なくても壁よじのぼれるんだ!っていうかあれってお手製だったんだ(笑)」
と、ものすごい衝撃を受けたのね。
で、今回そのスパイダーマンが初の映画化・・・って初?!じゃあ私が見たあれは一体なんだろう?ということで調べてみたんだけど、劇場公開されたというTVドラマのパイロット版というやつだったのかな(判明せず)最後のほうとか全然覚えてないんだけど、あれももう一回見たいな。

さて、映画は“アメコミをCGで作ってみました”という感じのオープニングタイトルから始まった。音楽はそれほどインパクトないけど、画はカッコよくてワクワクさせられる。そして平凡な高校生ピーターが、スーパーヒーローのスパイダーマンになるまでの、お約束を踏まえまくった展開にもニヤニヤしっぱなし。特に、お小遣い稼ぎのために出場したレスリング大会シーンは、展開が分かってても面白い。そして巨大ビルの間を華麗にダイブ&スウィングする姿は最高だった。

しかし、ピーターがコスチュームが馴染むあたりから、映画も中だるみする。そしてノーマンがグリーンゴブリンとして登場した時も、申し訳ないが失笑。日本の戦隊モノっぽくないですか?これ。彼のコスチュームも自前なんですかね。さらにスパイダーマンvsゴブリンのガチンコ対決もだんだんショボくなっていくのがいと悲し。初対決シーンのほうが何倍も面白かった。

2人もブサだか美形だか分からないギリギリのマグワイアとダンストは妙にハマっていた。次第に成長していくピーターと、少しずつ駄目になっていくメリー・ジェーン、ピッタリだった。でもやっぱりガチャピンとニホンザルなカップル(すごい失礼)ハリーはちょっと伊藤英明っぽい。そしてデフォーはヒロミ似と(もういいって)

すでに続編が決まってるようだが、その時はノーマンの息子ハリーがライバル?!(でもハリー役の彼じゃ小物過ぎるよな。伊藤似だし←おい)もしくは亡くなった彼の両親絡みでも面白いかも。マグワイア&ダンストは続編にサイン済だそうで、敵にはシュワちゃんの名前も挙がってるようだけど、さてどうなることやら。

で、パート2はこちら
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ミモラ 心のままに('99インド)-May 5.2002
[STORY]
8歳のナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ)は、音楽家の父の弟子でイタリア人とのハーフのサミル(サルマーン・カーン)恋をするようになる。しかし弁護士のヴァンラジ(アジャイ・デーウガン)も彼女に恋をし、両親たちはヴァンラジとの縁談を勝手に進めてしまう。そしてサミルにはイタリアへの帰国を命じる。ナンディニはやむなくヴァンラジと結婚するが・・・。
監督&脚本サンジャイ・リーラー・バンサーリー(長編2作目で日本公開初)
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元ミス・ワールドがミスターマッスルと泣く泣く別れ、夫となった心優しき宇梶剛士のはからいで、2人でマッスルのいるイタリアという名のハンガリーへ行くお話・・・えー、マッスルと宇梶はウソ!(でもソックリなので以下このように書きます)けどハンガリーはホント。

ミモラっていうのはレモンのことで「ミモラミモラミモラ♪」と500回くらい言う歌が劇中流れるんですよ。それでこのタイトルがついたんじゃないかと思うんだけど、私はてっきりアイシュワリヤーの役名だと勘違いしてました。『ナンディニ 心のままに』じゃ確かにいまいちだけど『レモン』てのも・・・。

全編アイシュワリヤーにうっとり映画なのですが、物語半ばでマッスルとの仲を引き裂かれてからは、ふさぎ込むシーンばっかりで、それがかなりイライラさせられた。あれだけ美人でも不機嫌な顔というのは見ていて腹が立つ。特にせっかく宇梶が自分の気持ちを抑えてまで彼女をイタリアに連れてきたというのにむっつりしてるとはどういうことだ?!マッスルに会えるかもしれないと心を弾ませるなり、宇梶の優しさにときめくなり、そういう演技を見せるべきだったんじゃないかな。

さらに(ここからネタバレ)インドでのシーンで、彼女の祖母が結婚してから夫に恋をしたという話をするエピソードがあったけど、これが後半への布石なわけだよね。でもナンディニが夫に恋する瞬間というのが描かれていなかった。さらに劇場でナンディニとマッスルが再会するまで、彼女はマッスルを選ぶような演出がなされていた。これらは観客をびっくりさせるための演出だったんだろうが、ワタシ的には中途半端でガッカリ。ここは宇梶とイタリアを旅するうちに彼に心が動きはじめるところを描き、つきっきりで看病されたことを知って恋をし、マッスルに会いに行くところで夫の後姿をせつなく見つめなきゃ。そして会った時にはキッパリと心が決まって、夫に対する愛をしっかりマッスルに伝えて欲しかった。七つの海だの七歩だのよく分からん説明されてもなぁ。あなたが好きだけど私は人妻だから夫を裏切れないわ、って言ってるようにも取れるんですが。(ここまで)

ベタベタでもいいので、恋愛映画のツボを押さえたストーリーだったら、アイシュワリヤー鑑賞以上の映画になったかもしれないが、とにかく彼女の美貌とダンスと衣装を楽しむための映画でございました。
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ハッシュ!('01日本)-May 5.2002
[STORY]
ペットショップで働く直也(高橋和也)は母親も公認のゲイ。土木研究所で働く勝裕(田辺誠一)はゲイであることを隠しており、同僚の女の子に迫られても優柔不断な態度を取ってしまう。同棲する2人の間に、歯科技工士の朝子(片岡礼子)が関わってくる。そして勝裕がゲイだと知った上で、ある相談を持ちかける。「結婚とか、付き合うとかでなく、あなたの子供が欲しいの」と――。
監督&脚本・橋口亮輔(『渚のシンドバッド』)
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自らゲイであることをカミングアウトしている橋口亮輔の長編3作目。前2作は見てないんだけど(←時間があれば見てみるつもり)本作が一番面白いという噂を聞いて見てきたんだけど、評判通り面白かった。

ゲイカップルの間に割り込むくたびれまくった女との奇妙な三角関係を軸に、さらに輪をかけて個性的な同僚や友人たちが事を複雑にしていくストーリー。ちょっと『きらきらひかる』の設定とかぶるところがあるけど(田辺誠一≒豊川悦司だし、秋野暢子≒加賀まり子なところとか)でも、あっちは夢みたいな綺麗な話だったのに比べて、こっちは会話が生々しくてリアルだ。だから多少無理な展開になっても惹き込まれてしまった。特に直也と朝子のライバル?なやりとりはテンポが良くて好き。

逆に言えば、喋らないシーンや、勝裕がしどろもどろになるシーンは少々退屈でもあった。急にテンポが崩れるからね。しかも上映時間2時間15分だよ?長いって。こういう話でこの長さはないんじゃないかなー。どこで話の決着をつけるのか全く見えなかったので、余計に長く感じたのかもしれないが。さらにパンフを見たら映画にはなかったシーンの写真があったりして「まだあったのかよ?!」と思わず言っちゃいました(笑)そういえば『僕たちのアナ・バナナ』も男2人女1人話だったけど長かったな。話は全然違うけど急に思い出したので書いてみたりして。

評判通り高橋和也のゲイっぷりが自然でいい。だってゲイなんだもん、と少々の諦めと開き直りでうまく生きてて羨ましいくらいだ。そして片岡礼子のボロボロぶりもステキ。目の下の隈は本物だし、勝裕に「あなたの子供が欲しい」と持ちかけるシーンは演技とは思えない言い方で、それまで何だこの女は!と思っていたのが一気に消えてしまった。田辺誠一は役柄のせいだろうが、ちょっとイライラさせられた。
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