Movie Review 1998
◇Movie Index

コレクター('97アメリカ)-Jul 1.1998
[STORY]
ノースカロライナで起こった女性の連続誘拐事件。このうち3人が死体で見つかっていたが、8人は行方不明のままだった。ワシントンDCの心理学者で刑事でもあるアレックス(モーガン・フリーマン)の姪もまた、その犯人によって誘拐されたらしい。そして9番目の被害者ケイト(アシュレイ・ジャッド)は、自力で逃げ出しアレックスに協力する。
監督ゲイリー・フレダー(『デンバーに死す時』)
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ネタバレはしないつもりだけど、これから見る予定の人は読まないほうがいいかな。

ん〜分かってるんだけど、相変わらず突然の音と銃声に弱い。すぐに身体がビクッ!となってしまう。分かっちゃうのはそれだけじゃなくて、展開も犯人もなんだけど(笑)何気なく登場した瞬間に「コイツだ!」と分かってしまいました。

美しい女性を誘拐するコレクターの、変質的なところがあまり出ていないような気がする。誘拐してどうしたいの?最終的な目的は?もっと踏み込んでくれ〜。それと女性を監禁する場所や部屋がいかにもな感じで、あまりいいと思わなかった。でも女性のベッドのカバーがキルトなのがちょっと可愛い。陰湿な部屋ではあるけれど、彼女たちへの愛がそこにあるような気がしたりして。

フリーマンが姪のために捜査するのだが、ワシントンDCの刑事がノースカロライナやロスに飛んで引っ掻き回しても、その土地の警察やFBIがあまり怒らないので、その辺の焦りや緊張感がほとんどない。天下のモーガン・フリーマンに盾突くとしたらシドニー・ポワチエとか出すしかないのか?(笑)

ジャッドはけっこう頑張っていたとは思う。犯人から逃げるシーンはドキドキしてしまったし、殴ったりするシーンもかっこいい。美人なだけの、添え物的な役ばっかりやってた人なので、これを期にもっと活躍してほしい。
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ライアー('97アメリカ)-Jun 30.1998
[STORY]
エリザベス(レネー・ゼルウィガー)という娼婦が殺害され、ウェイランド(ティム・ロス)という容疑者が浮かび上がり嘘発見器にかけられる。そこに立ち会ったのはケネソウ(マイケル・ルーカー)とブラクストン(クリス・ペン)という2人の刑事。彼らは次第にウェイランドの嘘に嵌まってゆく。
監督&脚本ジョナス&ジョシュ・ペイト兄弟(『共犯者』日本ではビデオのみ)
−◇−◇−◇−
『ユージュアル・サスペクツ』に引き続き「リピーター割引」がある映画で、1度で真相を見破れなかった人が見られるようになっている。これに惹かれて見たんだけど、私としては何度も見たいような映画ではなかった。かといって真相を見破ったわけじゃないんだけど、もう1回見たら分かるという確証が持てないからかもしれない。何度見ても同じような気がするというか。と、いうのも、私はもともとミステリ作品においては、謎や疑惑に対してちゃんと1つ1つ納得のいく答えが欲しい、整合性を求めるタイプなのだ(実際の出来事や事件に対してはそうは思わないけどね)が、この作品ではそれがきちんとなされていないような印象を受けた(ホントはされてるのか?)欺いている、というより誤魔化している、ように見えたのだ。かといってどうでもいいや〜という気分にもなれず、結局パンフ購入(笑)私は騙されたんだろうか・・・(笑)

パンフにはまぁ一応答えらしきものが書いてあり、またシナリオが採録されている。そして、作家の霞流一さんや恩田陸さんらの座談会が掲載されていて、これがけっこう面白い。なので、パンフというよりは1冊の読み物として読めたのでいいと思った。確かにこの映画は1人で悶々と考えるより、見た人同士で座談会を開くと楽しいだろう。みちのくミステリー映画祭でも、こういうことすれば楽しかったのにね、などと思った(この映画、コニャックミステリー映画祭で審査員賞だったらしい。ちなみにグランプリが『フェイス』

登場人物に関しては、演じている俳優たち自身も腹の探り合いをしているようで、かなり緊張感があって良かったと思う。
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ムトゥ 踊るマハラジャ('95インド)-Jun 27.1998オススメ★
[STORY]
大地主の屋敷で働くムトゥ(スーパースター・ラジニカーント)は、旦那様の命令で芝居を見に行く。そこで出会った女優ランガ(ミーナ)に旦那様は一目惚れ。しかし、ふとしたきっかけでムトゥとランガが恋に落ちてしまう。そこに旦那様の伯父による屋敷乗っ取り計画が絡んできて・・・。
監督&脚本K・S・ラヴィクマール(日本公開初)
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恐るべしマサラパワー!2時間46分という長い映画、ただストーリーだけ追っかけたら1時間半くらいで終わる内容を、歌って踊ってアクションして。でもそれがぜんぜん飽きなくて面白い。ベタなギャクが寒かったりするけどそれもご愛敬。推定1億人(それは大袈裟だけど)のエキストラに500頭の象(これも大袈裟)が圧倒する。主演のラジニカーントは、映画の始まりで「SUPER STAR RAJNI」というテロップが出るほど、インドでは正真正銘の大スター。そのテロップが出て客席から拍手。そして彼が満面の笑みで走って登場するだけでまた拍手。見たことないけど、昔の日本映画や芝居小屋みたいな雰囲気だ。その彼が、歌って踊ってカメラ目線でウインクするたびに、こちらも笑って悶えて脱力する。手ぬぐいや馬のムチを武器に、ブルース・リーばりのアクションを披露するシーンも迫力満点。

ミーナちゃんは19歳とは思えないほど妖艶で可愛い。インドではふくよかな女性のほうが美しいらしいので、日本ではちょっと太めだけど、そのお腹の肉が踊るたびにプルプル揺れてそればっかり見てたりして(発言がおやぢっぽい?)この2人が1曲に6回も衣装替えして歌って踊るシーンも心から楽しめた。まさに1本で何度もおいしい映画だった。
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不夜城('98日本)-Jun 27.1998
[STORY]
新宿歌舞伎町で故買屋をやっている日本と台湾の混血の劉健一(金城武)一年前に上海マフィアのボスの片腕を殺して逃亡した昔の相棒・呉富春(椎名桔平)が歌舞伎町に戻ってきているらしい。健一は富春を探すよう命じられた。同じ頃、夏美という女(山本未来)が健一に「あるものを売りたい」と持ち掛けてきた。
監督リー・チー・ガイ(『世界の果てに』)
−◇−◇−◇−
原作を最近読んで(感想あり)映画が早く見たい!というのと、舞台挨拶も見たかったので初回に行ってきた。朝9時に行っても後ろから数えたほうが早いという列になったけど、映画がよく見えるポジションで良かった。舞台挨拶はフラッシュの嵐で凄かったなぁ。

さて感想。映画と原作は別物だから、比べないように心がけたんだけど、やっぱりねぇ。原作ではジリジリした焦りや暴力的なシーンが多く、そのたびにハラハラドキドキしてそこが面白かったのに、映画では緊張感がほとんど感じられなかった。健一は痛めつけられないし、悠長に温泉なぞ行っちゃうし(原作では行ってないけど行きたかったという設定。なので彼らを行かせたかった!という気持ちなのかもね)タイムリミットが3日間とは思えず冗長だった。ラブシーンも動物的な原作とは違って甘いし挿入歌も甘い。そして1番緊張するシーンでどうしてあんな笑いが起こる!?いや、理由は椎名桔平のヅラと表情と妙な動きなんだけど(笑)これがもう毎回登場するたびに劇場中の失笑を買っていて、緊張感はますます低下していった。

ほぼ原作になぞらえて作ってはある。桔平ちゃんと上海マフィアのボス元成貴(これもまた笑えるんだ)以外のキャラクターもかなりイメージに近かったし、インパクトはないけど夏美も葉月じゃなくて山本未来になって良かったと思う。葉月じゃこの映画に溶け込めなかったでしょう。そしてみんなも誉めてるけど、タイトルが出るまでの4分間はすごくいいと思った。
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シティ・オブ・エンジェル('98アメリカ)-Jun 25.1998
[STORY]
セス(ニコラス・ケイジ)は街と人を見守る天使だった。そんな彼がある時、死に行く人を迎えに行った病院で、1人の女医マギー(メグ・ライアン)に恋をする。マギーは簡単な手術で人を死なせてしまい、自己嫌悪に陥っていた。そしてセスは彼女のために人間になりたいと願うようになる。
監督ブラッド・シルバーリング(『キャスパー』)
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この映画はヴェンダース監督の『ベルリン 天使の詩』のリメイク作品だ。実は『ベルリン』は見た、はずなんだけどほとんど覚えていない。ので、比較することはできない、というかまぁ比較しちゃいけないとは思うんだけども、両方見てるとついしてしまうんだなぁ。

大勢の天使たちが海に佇み日の出を見る。みな同じ黒いロングコートなので、白い砂浜にそれが生えてとても美しい。また、天使たちは高い建物の上に立ったり座ったりしているシーン。これも幻想的で綺麗だ(ちょっと合成がダメなところもあるけど)図書館で人が本を読む姿を眺めたりするシーンも、彼らの黒と静寂さがあいまってビジュアルとしては最高だと思った。そして、天使役のケイジ。やっぱりうまい。相手の心を見透かす青くて深い瞳。こんな顔のむさ苦しい(胸毛あるし)天使なんていないと思うけど(失礼)目と、そして沈黙だけで画面を引っ張っていける人ってそうはいないでしょう。何も喋らなくてもいいんだ。 ケイジは瞬きしないように細心の注意を払って演じていたというし。

さて、それに対してメグちゃんは、毎度そうだけどシリアスドラマになると魅力が1/3になっちゃう。彼女が、恋人がいながらセスに惹かれてしまうところがこちらに伝わらないし「あなたを愛してるから」なんて言うのも、それは彼女の気持ちでなくセリフに聞こえる(まぁ英語だけどね)だから2人が恋に落ちて、それからどーのこーの(これは書けない)あるわけだが、クライマックスは感動できなかった。むしろ、おぃおぃそんなのあり〜?と憤ったりして。

“Los Angels”は天使の街という意味。だからあんなにいっぱいいるのかな?
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