Movie Review 2003
◇Movie Index

blue('01日本)-Mar 30.2003
[STORY]
高校三年生になった桐島カヤ子(市川実日子)は、同じクラスになった遠藤雅美(小西真奈美)のことが気になっていた。彼女は去年停学になっていて、クラスでも浮いた存在だった。そんな遠藤に桐島は声を掛けた──。急速に仲良くなっていく2人。桐島は遠藤に好きだと告白し、遠藤もそれを受け入れるが・・・。
監督・安藤尋(『deadBEAT』)
−◇−◇−◇−
原作は魚喃キリコの同名マンガ。第24回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に出品し、市川実日子が最優秀女優賞に輝いた。

原作は映画を見てからのほうが良さそうだなぁと思って、持ってたんだけど“積ん読”にしておいた。だから 映画を見てる時に比較することはなかったんだけど、見てすぐに原作読んじゃったので(笑)現時点では混じった感想になってしまってます。

市川&小西が高校生ってやっぱりちょっと無理があったのでは・・・。高校生っていうより二十歳過ぎて就職どうしようか?って悩む頃の女子大生の雰囲気なんだよね。クラスの他の子たちはみんな普通に高校生に見えたし、中野を演じた今宿麻美も2人と同い年なんだけど普通に高校生に見えたんだよね。2人はその中にいてやっぱりフケてる。映画の雰囲気にはすごく合ってたし市川の表情も良かったけど、10代の危うさとか痛々しさが全然感じられず、ただ綺麗なだけだった。しかも男性から見た女性同士の恋愛って感じのね。中原俊の『桜の園』もそうなんだけど、あれはわざと狙ってるように見えたからなぁ。こっちはそんなつもりはないけど出てしまってるというか。

でも原作を踏まえた上で、別のテーマもきちんと盛りこまれてるなぁと思った。短い高校生活の一瞬の友情と恋と別れを描くだけじゃなく、 好きな相手の好きなものを自分も好きになるんだけど、それを自分の“もの”にして、好きな相手を乗り越えていく。これを難なくやってのける桐島というキャラクターに痺れた。すごい。素晴らしい。

と、脚本を誉めたけど、気になったところがある。(ネタバレ)原作では、遠藤が中絶を告白→桐島がホテルに行く。なのに、映画ではそれが逆になっていたこと。これはやっぱり遠藤の告白を先にすべきだったのでは?冒頭に救急車のシーンがあるけど、そこから桐島が中絶まで想像するものだろうか。遠藤に近づきたいための桐島の行動が、この順番だと流されてしまうだけだ。(ここまで)だから痛々しさがないのかなぁ。

それからラストシーンはダメ出ししたい。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』みたいなあんな映像は嫌だ!・・・うぅ酔っぱらった(泣)
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エルミタージュ幻想('02ドイツ=ロシア=日本)-Mar 30.2003
[STORY]
気が付くとエルミタージュ美術館にいた映画監督(声:アレクサンドル・ソクーロフ)。彼の姿は周りの誰にも見えておらず、まるで幽霊にでもなったようだ。そこへフランス人外交官のキュスティーヌが現れて彼に声を掛けた。彼だけは映画監督が分かるようだ。2人は美術館内を巡りながらロシアの過去と現代を目撃していく。
監督&脚本もアレクサンドル・ソクーロフ(『モレク神』)
−◇−◇−◇−
デジタルビデオカメラ(ソニー製)での90分ワンカット編集なしで、エルミタージュ美術館内を撮影。総勢2000人ものキャストとスタッフで構成され、リハーサルに数ヶ月かかったという。そして本番は1回で成功。撮影は『ラン・ローラ・ラン』のドイツ人カメラマン、ティルマン・ビュットナーが担当した。また、NHKが出資をしているのでBSハイビジョンですでに放映済(これからも何度か放映するようだ。また見ようかな)

はっきり言ってミーハー気分で見て参りました。「ワンカットなんだ!へぇー面白そう。キャッキャッ」てな感じっすよ。ソクーロフの映画も見たことないし(でも見てみたいんだよね。ビデオ借りたくても置いてないだけで・・・)ロシアの歴史も全然分からない。ピョートル大帝とかエカテリーナとか、ところどころ知ってる名前はありましたが。高校で世界史選択だったんだけどなー。全部忘れた(笑)なので、映画見ててもどんなシチュエーションなんだかよく分かりませんでしたっ(完全に開き直ってるな)

でも、最初はカメラワークだとかエキストラの動きばかり気になってたんだけど、だんだんこの映画の世界に嵌っていって、裏のことなど気にならなくなった。ワンカットであることすら忘れたくらい!気にならなくなるくらい完璧に仕上げたということなんだろう。キャストもスタッフも緊張しまくっただろうに、それを感じさせなかったのもスゴイ。

これでストーリーもきちんと理解できたらもっと面白いんだろうけど、でも映像だけでも見る価値は十分。美術館とその美術品の美しさと、美しい衣装を纏った美しい人たちを堪能しましょう。
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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする('02イギリス=フランス=カナダ)-Mar 29.2003
[STORY]
精神病院を退院し、故郷ロンドンにある療養施設に入ったクレッグ(レイフ・ファインズ)は、両親と過ごした少年時代を思い出していく。最愛の母が父に殺され、父の愛人だった娼婦が継母として家にやってきたことを──。
監督デヴィット・クローネンバーグ(『イグジステンズ』
−◇−◇−◇−
イギリスの作家パトリック・マグラアの同名小説の映画化。

原作は読んでないけどストーリーは想像した通りだったし、手の込んだトリックを使ってオチを作るような作品でもなかった(正直言ってそっちを少し期待してたんだけど)至ってシンプル。現在のクレッグの様子をじっくりと描写し、彼の記憶を少しずつ手繰っていく・・・。あのですね、ワタクシ今までレイフ・ファインズが嫌いだったんです。演技も顔も合わなくて本当に苦手だった。でもこの映画で初めていいと思いました。タバコの吸い方や(ヤニで染まった指先もよい)細いロープを手繰るところなど手つきまできちんと演じているし、手帳にメモするシーンでは恐ろしいくらいの集中力が伝わってきた。レイフ・ファインズだってことを忘れたからね。『レッド・ドラゴン』の時も“悪役を「どうだ」と言わんばかりに演じているレイフ・ファインズ”にしか見えなかったくらいだし。

そして同じくらい良かったのがミランダ・リチャードソン。実はワタクシ、(ネタバレ)彼女が母親と娼婦の2役を演じてるってこと、エンドクレジットを見るまで(ここまで)気付かなかったんです。私がバカなだけ?そうだよねー、だからああなるわけだし。話は分かってたけど、違うと思ってたのよ。もうバカバカ!でもかえって良かったかも。最初から分かってたら面白さは半減してたと思うし・・・と負け惜しみを言ってみる。あ、でもさすがに(ネタバレ)ウィルキンソン夫人が変わったときには(ここまで)分かったけど。

と、一応いいところから誉めてきましたが、役者が良かったから飽きずに見れたけど、そうじゃなかったらかなりダルダルな作品だと思う。役者を信じてこういう風にしたのか元々そうだったのか知らんけど(無責任)現在のクレッグと過去とを交互に見せるにしても、彼にしか見えてない映像を見せるにしても、どれも野暮ったいし。この手の映画を見慣れてる人にしたら「何で今さら」な映画でしょう。
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン('02アメリカ)-Mar 23.2003
[STORY]
1963年ニューヨーク。16歳のフランク・アパクネイル・Jr.(レオナルド・ディカプリオ)は、事業家の父(クリストファー・ウォーケン)とフランス人の母(ナタリー・バイ)と幸せに暮らしていた。しかし父は事業で失敗し家を売ることになり、母との離婚も決まった。フランクは家を飛び出し、父から貰った小切手で偽造を働こうとする・・・。
監督スティーブン・スピルバーグ(『マイノリティ・リポート』
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16歳から21歳までの間に400万ドルを騙し取ったという実在の詐欺師フランク・W・アパクネイルの『世界をだました男』の映画化。本人もカメオ出演している(らしい。もちろん私は分からず)

冒頭のシーンを見た時の印象では、もっとテンポのいいポップな作品だと思ってたけど、かなりベタベタでしたね。騙す・騙される映画じゃなくて、子供が「お父さん、お母さん、仲良くしてよ!」って駄々を大掛かりに(笑)こねる映画。フランクとFBI捜査官ハンラティ(トム・ハンクス)との関係も、ルパンと銭形警部の関係というよりはだんだん擬似親子みたいになっていってたし。

でもディカプリオは久々に見直した。船の映画に出て以降、海岸とか暴力団とかの彼は全然ダメだった。有名人に至っては、もう彼はダメかも・・・なんて思ったほど。それが今回彼は見事に本領を発揮した。せめて船のあとにこの作品と出会っていたらね。そしてこの役をやってくれていたら・・・そしたらもっと最高だった。なぜなら体型が(以下略)本物のアパクネイルはフケ顔だったようだけど、本作のベースが父を想う子供の話だからね。もっと大胆かつ繊細で傷つきやすいフランクを見たかったな。

フランクが詐欺を始めるまでのところは面白いのだけれど、偽造して捕まりそうになって逃げての繰り返しなので、途中でちょっと飽きたし疲れた。2時間くらいにまとまらなかったのかなぁ。冒頭のクイズ番組はなくても良かったんじゃないかな。上にも書いたけど、あのシーンを見て私はポップな作品だった勘違いしたし、見終わって一番違和感あったのがあれだった。また、現在と過去のパートの見せ方をもうちょっと工夫してくれればね。何かヒネリがあるんじゃないかと期待しちゃったけど、ただ回想していくだけだったのね・・・。

私の見方が悪いんだろうけど(ちょっとネタバレ)フランスで捕まった時の状態がものすごく酷くて、アメリカに戻ってからはFBIの仕事の手伝いまでさせちゃう。っていうかフランクの離婚の原因はフランス人の母親の浮気もあるわけで。破産してもなお夫に尽くす妻だったらフランクもここまでグレなかった(笑)かもしれないわけで。かなりフランス人が悪者にされてない?これはアパクネイル本人の私怨なのかそれとも・・・。(ここまで)考えすぎですかね。
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タキシード('02アメリカ)-Mar 19.2003
[STORY]
タクシー運転手のジミー・トン(ジャッキー・チェン)は、ある女性客を乗せたことから億万長者クラーク・デヴリン(ジェイソン・アイザックス)の運転手として雇われる。しかしデヴリンは何者かに命を狙われ大怪我をして入院してしまった。ジミーはひょんなことからデヴリンから触るなと言われていたタキシードに袖を通してしまう。そのタキシードはダンスから格闘技まで何でもできてしまうタキシードだった。
監督ケヴィン・ドノヴァン(長編デビュー作)
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予告が面白かったのでつい(騙されたように)見に行っちゃったんだけど・・・予告で見たところ以外あんまり面白いところがなかった(あ、言っちゃった)しかも予告の「下半身だけ防御モード」っていうテロップがツボだったのに、本編の字幕は全然違ったしね(それはよくあることだし、予告のテロップの訳は正しくない場合が多いんだけどさ)

そんなわけでちょっとガッカリしたものの、今回のジャッキーはいつもよりも可愛いかったのでまぁいいかな。タキシードを着てない時のダメさ加減とか、タキシードの機能にビックリしてる顔がキュート。ただちょっと吊られ過ぎだったかも。操られてるっていう設定だからいいんだけどさ、見ててちょっと悲しくなったな。ストーリーももうちょっとどうにかしろよと言いたくなるような出来だし、ピーター・ストーメアの使い方が勿体無さすぎてムカムカしたが、ジャッキーが可愛かったので(以下略)

デヴリン役のアイザックスがジェームズ・ボンドばりにスマートでカッコイイけど、どこかで見たことあるなぁと思っていたら『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に出てきたドラコの父ちゃんだった!気がつかなかったよ。
それとジミーとコンビを組むCSAエージェントを演じたジェニファー・ラブ・ヒューイットだけど、だんだんメイクがケバくなってませんか。『ラストサマー』の時は可愛かったのになぁ。『スクリーム』のネーヴ・キャンベルと同じような道を辿ってるような・・・(と無理矢理ホラーで繋げてみる)ただし、コメディセンスはあると思うので今後が楽しみ。
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