Movie Review 1998
◇Movie Index

恋するシャンソン('97フランス)-Jun 12.1998
[STORY]
オディール(サビーヌ・アゼマ)の前に昔の恋人ニコラ(J・P・パグリ)が現れる。オディールの夫クロードは面白くない。オディールの妹カミーユ(アニエス・ジャウィ)にシモン(アンドレ・デュソリエ)は恋していたが、カミーユはシモンの上司の不動産屋マルク(ランベール・ウィルソン)に夢中になった。
監督アラン・レネ(『去年マリエンバートで』)脚本は出演もしているパグリ&ジャウィ。
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フランス映画祭の報告あります。ここでは感想のみ。

しょっぱなから登場人物が唐突に歌い出す。歌うというより口パクだ。歌自体は歌手が歌っているものを使用している。最初は面食らったが、慣れてくると(何と36曲!慣れるハズだ)次はどこで歌い出すのかな、と楽しみになってくる。しかもいい年したオッサンが可愛い女の子の声を口パクしたりするので笑ってしまう。そう、男女問わずそのシーンの、自分の気持ちを表現した歌なら何でも口パクするのだ。フレンチポップスを知らない私でも聞いたことがある曲がたくさん出てきて面白い。中で1曲、自分のテーマソングにしたい歌があったが、どんな歌かはナイショ(笑)

ただ、唐突なのは歌だけでなくストーリー展開も。昔はこの唐突さがイヤでフランス映画が嫌いだった。最近ではそれに慣れたけど、やっぱりちょっと唐突かな。それに最初は人間関係を把握するのが大変だった。シモンがマルクのところで働いていることなんて半分過ぎてやっと分かったくらい(苦笑)ニコラの存在は今でも謎だったりするんだが(笑)

登場人物の中で1番はやっぱりシモン。中年の冴えない男が若いカミーユを好きになるけど、嫌われちゃったり彼女に恋人ができちゃったり。私も最初はちょっと迷惑な男だなぁくらいにしか思ってなかったんだけど、だんだんキュートさが伝わってきて最後はすごく好きになった。
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ラストサマー('97アメリカ)-May 31.1998
[STORY]
ジュリー(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)ら高校生4人が独立記念祭の夜、あやまって人をひき殺してしまう。死体を隠して1年が過ぎた時、彼らに謎の手紙が送られてくる。「去年の夏、お前が何をしたか知ってるぞ」彼らは犯人を捜そうとするが、次々に不可解な出来事が起こる。
監督ジム・ギルスビー(初監督)脚本ケビン・ウィリアムソン(『スクリーム』
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怖いかな〜ここは怖いよね〜え?!何で怖くないの!!の繰り返しだった。あまりにも肩透かしばっかり食らうので、途中でダレながら見ていたらストーリーが分からなくなった(ダメすぎ<自分)

ストーリーを複雑にした分、怖くなくなったり残酷でなくなったのか、その逆なのか分からないけれど、ちょっとこねくり回しすぎでは?意味のない行為とか意味のない殺人が多すぎた。これがもっとスピーディで考える隙を与えないくらい展開が早ければ、そんなこと気にならないのだが。それに『スクリーム』みたいに誰が犯人なのか?!という探る気持ちにはまったくなれなかった。犯人が真夏にレインコートなぞ着てウロウロされても困るし、登場人物も印象に残る人がいなかったし、続編やるって言われてもねぇ。

なんて書いていたのに、結局続編も見てしまいました 『ラストサマー2』
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シューティング・フィッシュ('97イギリス)-May 31.1998
[STORY]
孤児だったディラン(ダン・フッターマン)と、ジェズ(スチュアート・タウンゼント)は、自分たちの豪邸を手に入れるため、人を騙してはお金を手に入れていた。バイトで2人に協力していた医学生ジョージーも何時の間にか彼らの手伝いをするようになる。
監督&脚本ステファン・シュワルツ(初監督?)
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口の達者なディランとメカおたく(笑)なジェズという2人の男に、ジョージーという可愛い女の子が絡めば必然的に恋の鞘当て(死語?)なんかあっちゃったりするんだが、この2人の男の友情が壊れないところがいい。

人の騙しかたはあまりにもちゃっちいので騙される方が悪いよバカだねと、いちいちツッコミ入れたりした。こんなコテコテな騙しに最初はついていけなかったんだけど、最後の方はあまりにもベタなドリフのようなことをするので思わず笑ってしまった。ほかの人もそうだったみたいで、後半はけっこう笑いが巻き起こっていた。こうなると前半もっと馬鹿馬鹿しくするかスピード感を出しても良かったと思う。

個人的にはジェズ役のタウンゼント@ホアキン・フェニックスをさらに不細工にしたような男(ものすごい不細工みたい←おい)が着ていた犬のTシャツが可愛くて好きだ(懸賞で当たったものらしい(笑))ジョージーの赤いコートも可愛い。そう、全体的に可愛い仕上がりなのだ。

よく見るとストーリーがしっかりしているし、複線もきちんと張られていて驚く。ささやかだけど幸せ〜なラストはこれまたイギリス風なんだろうな。
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ドライ・クリーニング('97フランス=スペイン)-May 29.1998
[STORY]
フランスの田舎町でクリーニング店を営むジャン=マリー(シャルル・ベルリング)とニコル(ミウ=ミウ)夫妻。ある日2人はクラブで女装して踊るロイック(スタニスラス・メラール)という美しい青年に出会う。ニコルはもちろん、ジャン=マリーまでも彼の魅力に取り付かれていく。
監督&脚本アンヌ・フォンテーヌ(『おとぼけオーギュスタン』)
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とにかくメラールの美しさに注目!なんて宣伝やら何やらで騒がしいので見たけれど、私の好みではなかった(笑)蝋のような肌の白さとツヤというか滑らかというかそこは普通じゃない(笑)けど、唇が紅くて変な厚みがあるのがいただけない。性格や仕種やらにも魅力があるとは思えなかったなぁ。彼に対して優しく振る舞う夫妻に対するロイックの気持ちがよく分からない。優しくされてるのにわがままで、そこが魅力なんだろうけど私にはただの子供に見えた(それも魅力か?)

オヤジ好きの私としては生真面目なジャン=マリー役のベルリングが良かった。彼は『リディキュール』で野心家な男を演じていたけれど、あの時より随分老けてて驚いた。でもこの役の彼のほうが私は好き(髭だからというわけじゃないよ(笑))青年のことは気になるが日常を壊されたくない、男に惚れてしまう自分が恐い、といった動揺を隠そうとする姿がストイックで私にはとても魅力的でした。それに比べてニコル役のミウ=ミウはちょっとな。田舎町の暮らしに慣れたとはいえ居心地は良くない、そんな時に現れた青年に心も身体も奪われちゃって、グラグラしてる中年女はいいけど、もうちょっと拒んだりしてもいいんじゃないすか?(笑)

いろいろ書いてきたけど、ラストはうまい。これからどうなってしまうのか?いろいろと想像力を掻き立てられる。
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アサシンズ('97フランス=ドイツ)-May 29.1998
[STORY]
仕事をしながらもコソ泥をしている25歳のマックス(マチュー・カソヴィッツ)は、ある時、射殺死体を発見する。防犯ビデオに映っていた老人ヴァグネル(ミシェル・セロー)は暗殺者で、マックスを自分の後継者として指導する。しかし1人では仕事の出来ないマックスは13歳の少年メディを仲間に引き入れてしまう。
監督&脚本もマチュー・カソヴィッツ(『憎しみ』)
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前作『憎しみ』は劇場に行きそびれたのでビデオで見た。全体に漂う苛立ちや焦燥感がうまく描かれていたとは思うけど、ラストシーンを描きたくてダラダラと引っ張ってきたようなストーリー展開がちょっと私には飽きた。それに比べたら、この作品は纏まりがあるし登場人物がいい。人を殺すことは職人芸だと思っている老人、無気力だが繊細で人を殺すことに罪悪感を感じる青年、シューティングゲーム感覚で、TVのリモコンを押す感覚で銃の引き金を引ける少年。同じ暗殺者でも世代の違いや感情を表現するのがとても上手いと思った。私は特にヴァグネル老人の、仕事に対するプライドやこだわりが好きだ。人を殺すことは決していいことではないのだけれど、彼を見ていると妙に納得させられる。

最近報道されることが多い、少年がナイフで人を殺す、海外では銃を乱射する、そんな問題に取り組んだ意欲作だ。人を殺すこと、暴力を振るうことを決してカッコイイものとしては描いていないが、かといって教訓めいていたり押し付けがましくはない。私としては、もっと残酷で暴力なんて絶対できない、人を殺すことが絶対できないような映画にしてくれても良かったと思うが。
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