Movie Review 1999
◇Movie Index

ラストサマー2('98アメリカ)-Jun 6.1999
[STORY]
大学生活を送っているジュリー(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)はまだ去年のことが忘れられず、殺人鬼フィッシャーマンの夢を見てうなされたりしていた。ある日、ルームメイトのカーラ(ブランディ)がクイズでバハマ旅行を当てる。しかしバハマではフィッシャーマンが彼らを待ち受けていた・・・。
監督ダニー・キャノン(『ジャッジ・ドレッド』)
−◇−◇−◇−
前作『ラストサマー』の続編。

前作よりも怖いです・・・・・・原題が(笑)
邦題は「ラストサマー」に「2」をくっつけただけのしょーもないものだけど、原題は「I know what you did last summer(去年の夏、お前が何をしたか知ってるぞ)」から「I still know what you did last summer(去年の夏、お前が何をしたかまだ知ってるぞ)」になっている。怖いですね〜。執念を感じます。今後は、えーと英語力がないので(笑)英文では書けませんが「死んでも覚えてるぞ」なんてタイトルになるんでしょーか。(ちなみに私、見るまで「去年の夏、どんな映画だったか覚えてないぞ」状態でした)

前作以上に怖くなくって、誰が死のうが見てるこっちはどうでも良くって(たとえ主人公が死んでもね)ストーリーは想像通りのものだったわけ。さらに今回は監督も脚本家も別の人のせいか、そもそも彼らが犯人にどうして狙われるようになったかを忘れてやいませんかね?(ここからネタバレします)フィッシャーマンが死んでヘリでの救助がやってきた時、ジュリーとレイはどう説明したのか?2人が隠蔽した事件を触れずに説明できたんだろうか。そうしたらさらに2人にとって後ろめたさが残るハズなのにその辺の説明は一切なし。部屋でいちゃついてる場合じゃないでしょ。(ここまで)

でもこの手の映画にそんなツッコミ入れちゃ可哀相なので、これはこれ、それはそれとして納得しなきゃいけないんだろうなぁ。ま、笑いドコロとしては『スクリーム』のシリーズと同じく主人公が1作目より化粧の濃いエグイ顔になっているところでしょうか(笑)
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八月のクリスマス('98韓国)-Jun 6.1999オススメ★
[STORY]
写真館を営むジョンウォン(ハン・ソッキュ)は、病に冒され死期が近づいていた。駐車違反取締員のタリム(シム・ウナ)は違反車の写真を現像するため、店に度々訪れるうちにジョンウォンと親しくなる。しかしジョンウォンは病気のことを彼女に告げないまま入院してしまう。
原案&監督ホ・ジノ(長編初)
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韓国映画は初めて。前からぽつぽつ公開されてて気にはなってたのに見る機会がなかったんだけど、今年はたくさん作品が公開されるらしい。楽しみ。

その韓国の大スターがこの作品の主演ハン・ソッキュ。彼が主演すればその映画は必ず大ヒットするらしい。この作品の前の『接続』(E-Mail恋愛モノ)や、この後に公開された『シュリ』(韓国内では『タイタニック』を抜く興行成績だったとか)でもやっぱり主役。日本公開されたら絶対行くとも!!・・・というのも、ワタシ、彼のファンになりそうなの(ぽっ)←バカ

見た目はホントニどこにでもいそうな韓国な人です。目が細くて頬骨高いし、髪型も日本人から見れば古い感じ。でもメガネです!いや、そーじゃなくて(笑)優しい笑顔がいいんだ。まさにポカポカと暖かい日だまりのような人で、とても死期が近づいてるように見えない。といってもそれは演技が下手なわけじゃないし、悟りの心境でもない。酔っ払って「俺は死ぬんだ」と暴れてみたり、1人布団の中で泣いてみたりもする。でも日々を大切にして、淡々と穏やかに暮らしていく。

子供のころ雷を怖がったんだろう、いい大人なのに(多分30代半ばの設定)嵐の夜、父親の隣で寝てみたり、現像機の使い方を紙に書いて父に残したり、自分の遺影を自分で撮影したりする。そう聞くと何だかとっても感傷的な映画かと思うだろうけど、不思議なことに見てる間はまったく泣けませんでした。それなのに今、思い出すと泣けてくるんだ(泣)感動がじわじわと身体の中に浸透していく感じ。見て3日目でようやくそれが満たされたみたい。見てる最中とか見た直後にはこんな風に思わなかったから。

彼とタリムの恋も、ものすごく淡い。まともなデートは1回だけだし、彼の病気を彼女が支えるわけでもない。あくまでも彼の最後の日常を静かに追っていくだけ。欲を言えば彼のモノローグはいらないと思った。それがなくても十分伝わる。またタリム役の子もいいんだけど、私にはちょっと物足りなく感じた。そんでもって申し訳ないがタイトルの意味が分からなかった(で、どういう意味?)
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ペイバック('99アメリカ)-Jun 2.1999
[STORY]
強盗のポーター(メル・ギブソン)は相棒だったヴァル(グレッグ・ヘンリー)と妻リン(デボラ・カー・アンガー)に裏切られ銃弾を浴びた。傷が癒えたポーターは自分の取り分7万ドルを取り返すため、再び街に戻ってくる。
監督&脚本ブライアン・ヘルゲランド(初監督作・脚本作品として『L.A.コンフィデンシャル』
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メルギブか〜、と思って見るのをためらってたんだけど、面白いという評判を聞いて行ってみた。したら思ったより面白いじゃないの!とびっくりした。

原作は読んでないけど、原作のいいところをちゃんと引き出してて、映画ならではの面白さになってるんだろうなぁと想像がつく。そしてポーターの役どころ、有無を言わさず殴ったり殺しちゃったりするところが『L.A.コンフィデンシャル』のラッセル・クロウ演じたバドに似てるなぁと思ったら、監督と脚本が『L.A.』の脚本を書いた人だったと気が付いた(前に聞いてはいたけど忘れてたのよ)なるほど!だから脚本の構成もなかなか上手いのか、と思った。

でもやっぱりメルギブはメルギブでした。悪役だけどあんまり悪役に見えない。人は殴るし殺すし大胆不敵な野郎なのに、汚さが見えなくてあくまでもクリーン。「俺が欲しいのは13万ドルじゃねぇ。7万ドルだ!」と言い放つところは、男のこだわりというより優等生な物言いに聞こえたのは私だけでしょーか(笑)

脇役はやっぱり組織の幹部役のジェームズ・コバーンですね。「7万ドル?俺のスーツ代じゃねぇか」って言うところ、カッコイイ!暴力嫌いって言って拷問シーンに目をそらして、どーやって偉くなったのか分からないけど(笑)いいキャラクターだった。出番が少なくて残念。

メルギブは置いといて、ポーターというキャラクターは好きなタイプだった。転んでもタダじゃ起きない。頭の回転が早くて、利用できるものは何でも利用し、生きてる人間を盾にして相手に銃をぶち込む。特にラストは拍手したくなった。私はアレをすっかり忘れてたから、まさかここで使うとは!と膝を打ちそうになった。
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レッド・バイオリン('98カナダ=イタリア)-Jun 2.1999
[STORY]
カナダ・モントリオールで開催されたバイオリンオークションで、伝説の名器「レッドバイオリン」が競売にかけられることになった。このバイオリンはイタリアで誕生し、オーストリア・イギリス・中国、そしてカナダへと渡ってきた。楽器鑑定をしたモリッツ(サミュエル・L・ジャクソン)はすっかりこの楽器に魅せられて・・・。
監督フランソワ・ジラール(『グレン・グールドをめぐる32章』)
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構成としてなかなか面白い。現代・オークション会場のほんの数分間のカットバック。17世紀・レッドバイオリンを作ったブソッディの妻アンナが召し使いにカード占いをしてもらうシーン、そして占いで5枚のカードが1枚ずつ捲られるごとに、バイオリンを手にした者たちの運命が語られる。1本のバイオリンとこの3つの軸が見事なアンサンブルで、なんつって気取ったことを書いてみたくなるよーなそんな映画でした(笑)

ただ、ストーリーとしてはどれも盛り上がりに欠ける。現代のオークションシーンはちょっとクドイ。同じシーンを別々のカメラがバイオリンを狙う人々のそれぞれの思惑や表情を捉えていて面白いけど、あまりにも繰り返されるので少々飽きてくる。そしてバイオリンの旅も、国から国へ移る時は面白いけど、肝心のドラマがあんまり面白くない。特にジェイソン・フレミング演じるバイオリニストとグレタ・スカッキ演じるその恋人との話はダメです(笑)素人目に見てもフレミングの演奏シーンはヘンだと思ったんだけど実際どうなんでしょうねぇ。でもあの人の場合は手元よりグニャリとしたその唇に注目しちゃうのでどうでもいいんだけど(ハハハ)

逆に私がこれは!と思ったのは中国でのお話。文化大革命で西洋の音楽がすべて禁止され、年端も行かないような女の子が声高に演説する。町では暴動やデモ行進が行われ(けっこうエキストラ使っててリアル)レッドバイオリンを持っていた女性はそれを破棄するかどうかの選択を迫られる。と、ここまでは盛り上がったんだけどねーやっぱりそのあとが尻つぼみなのね(苦笑)短い時間にいろいろ話を詰め込もうとするからこうなっちゃうんだろうけど、短い話だっていくらでもドラマチックにできるハズなんだけどね。

ま、でも綺麗なカオの天才バイオリニストの兄ちゃん(ジョシュア・ベルだっつーの(笑))が弾いてるというその音色は、音楽に造詣のない私でも感動しました。フレミングの代りに出れば良かったのに(笑)
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カラー・オブ・ハート('98アメリカ)-Jun 2.1999
[STORY]
双子の兄妹ディビッド(トビー・マグァイア)とジェニファー(リース・ウィザースプーン)はTVのチャンネル争いをしていて何故か昔のTVドラマ「プレザントヴィル」の中に入り込んでしまった!そこは白黒の世界だったが、いつも天気が良く火事も起きない平和な街。しかし2人がその秩序を乱したことから白黒に色がついてきてしまった。
監督&脚本ゲーリー・ロス(『ビッグ』の脚本家)
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1950年代の古き良きアメリカのTVドラマの中に、現代の高校生が入り込んで、しかも日本で言うコギャルのジェニファーが男の子や母親(ジョアン・アレン)にいろいろ手ほどきしちゃったからサァ大変!母親はバスルームで自慰にふけっちゃうしハンバーガー屋のおっちゃん(ジェフ・ダニエルズ)と不倫もしちゃう<そういえばダニエルズは『カイロの紫のバラ』でやっぱり白黒映画スターだった。銀幕から抜け出してミア・ファローと恋に落ちる役。それで今回キャスティングされたのかしら(笑)

そんな軽くて笑えるコメディーかと思えば、テーマは割にしっかりしている。平和で愉快なだけの世界にそれ以外のものが入り込み、いきなり世界が変わってしまう。それにガッチリついていける人(彼らはカラーだ)と、ついて行けずに戸惑い保守的になってしまう人(彼らは白黒)その対立はかなり激しい。これは「プレザントヴィル」だけの話ではあるまい。白黒な人が経営する店には『色付き人間はお断り』の張り紙。これを見てユダヤ人迫害と変わらないではないか、と思った。

そして人々に色が付くのは性に目覚めたためだけではない。今まで自分が演じてきた役柄を超えたとき、自分の持っていた能力や感情が昇華して1つ成長したときにその現象が起こる。まるで脱皮だ。そういうシーンにはちょっと感動する<特にジェニファーが変わったところがスキだなぁ。そして白黒とカラーが混在した映像が綺麗!

・・・とまぁアイデアや設定はかなり好きなんだけど、ラストが物足りない。ちょっと素直過ぎるというか分別臭すぎるというか。終わってから「ま、こんなもんか」という気持ちになっちゃったのが残念。うまく纏めようとしたのがアダになっちゃったんでしょう、きっと。
白黒からすべてカラーに変わった途端に、この映画そのものが色褪せちゃったように思います。
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