Movie Review 1999
◇Movie Index

シックス・センス('99アメリカ)-Nov 20.1999オススメ★
[STORY]
2回目なので割愛
STORYと1回目の感想はこちらにあり。
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今回は最初から見ることができた(笑)やはり思った通り、1回目はタイトルが出て少し経ったあたりからだった。だからストーリー的には何の問題もなかったわけだが、映画が始まる前にブルース・ウィリスから観客へのメッセージが映されるのだ。うーん、なるほどね。でも私個人的には1回目にこれ見なくて良かったかもしれない。一体何だろう・・・って深く考え過ぎてストーリーに集中できなかった可能性アリ。

2度目ということである程度落ち着いて見られたし、ポイントポイントで確認もできた。分かってみればその通りなんだけど、よくできてる。そんでもって同じシーンでまた驚き、また泣いた。自分でも不思議だけど身体が勝手に反応しちゃったみたい。

この作品の脚本&監督を手がけたのがインド人ということで(育ちは映画の舞台となったフィラデルフィアなんだけど)タイトルやストーリーがどこか東洋的な雰囲気があるが、うまくハリウッドと融合しており、さらに新鮮味がある。アメリカ人にとっても日本人にとってもハリウッド映画はそろそろ見飽きてきたから尚更だ。ハリウッドじゃないが、同じインド人のシェカール・カプールはイギリスで『エリザベス』を撮っており、これも既存の作品とは違った観点で楽しめたしね。香港アクションがハリウッドで採用されてる例もあるし、これからもますますボーダレスになりそう。

これは大事なことなんだけど、映画を見終わった後にトイレでネタばらしするのはやめましょう!話したい気持ちは分かるんだけど、そういうことは映画館を出てからにしてね。これから見る人だってトイレ行くんだから。今日もそういう人を見かけた。私は1度見てたからいいけど、見てない人にとってはねぇ・・・。映画館側にもトイレに張り紙をお願いしたいくらいです。
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シックス・センス('99アメリカ)-Nov 14.1999オススメ★
[STORY]
児童心理学の第一人者だったマルコム(ブルース・ウィリス)は、ある夜、自宅に侵入してきた10年前の患者から銃で撃たれてしまう。それから半年後、マルコムはコール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)という少年を担当することになった。コールはなかなかマルコムに心を開いてくれなかったが、やがてマルコムにあることを打ち明ける。
監督&脚本&出演M.ナイト・シャマラン(『Wide Awake』)
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朝早く指定券を買って、そのあと温泉入りに行ったらば、電車に乗り遅れその電車さえも遅れて、劇場に入ったらすでに本編が始まっていた(泣)でもたぶんオープニングタイトルが出た直後くらいだと思うんだけど・・・(ちょうどクロウ夫妻が自宅でまったりしてるところでした)

これだけ色々な要素が詰まった映画も珍しい。あんなに怖かったのに、こんなに泣いてしまうなんて、そして涙も乾かぬうちに思わずのけぞってしまうとは!(笑)決してアイデアを詰め込み過ぎることなく、自然と映画の中に入っていける。監督の表現力もさることながら、やっぱりハーレイ君の素晴らしい演技に尽きる!不安を無理やり仕舞い込んでる表情や、恐怖で震える様を見てこちらまで震えてしまった。そうして、いつのまにか私の視点はウィリスからハーレイ君に移っていった。こりゃ完全にウィリスを食ってるでしょう!!と思ったが、後の展開からして、これは意図したことだったかもしれない(とウィリスをフォローしてみたり(笑))

あんまり書いちゃうと余計なことまで書きそうになるので、普段はダラダラ長く書く私だけど(笑)この映画ではここまでにしておこう。ただ、冒頭が見られなかったこともあるんだけど、これは是非もう1回見なきゃいけない映画だ。前から「もう1回見たくなる」という話は聞いてたんだけど、まさにその通り。そして1度も見てない人には「絶対に見るべし!!」と大きな声で言いたい。さらに1度でも見た人には「絶対に喋るな!」と念を押したい。
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白痴('99日本)-Nov 13.1999
[STORY]
過去か未来か分からない日本のどこか。ここでは戦争で毎日のように空襲が起きていた。TV局に勤めている伊沢(浅野忠信)は上司に叱られ、高飛車なアイドル銀河(橋本麗香)に振り回される毎日に疲れ果てていた。しかしある時、隣に住む白痴の人妻サヨ(甲田益也子)と出会い、2人で暮らしはじめる。
監督&脚本・手塚眞(『星くず兄弟の伝説』)
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伊沢の住む下宿は第2次大戦時のようで、TV局は今の時代よりもさらに近代的なセットになっている。そのコントラストの意味を考えてみたが、冒頭のシーン以外には完全に切り離されたものになっており、唯一そこを行き来している井沢の存在も含めて意味なんてないんじゃないかと思った。井沢の撮った映画や脚本はそれを繋ぐものになり得たはずなのに、そうもならない。で、結局何を言いたいの?という感じ。この手の映画ならば、セットや小道具、人物たちそれぞれに意味が込められていたり、何かを象徴していたりするが、それを考えるのが馬鹿らしくなった。単にスタイリッシュさを求めただけの映画なんでしょ、自分のイマジネーションがいかに素晴らしいのかを誇示したいだけでしょ、とどんどん投げやりになっていった。だからホントは触れてはいけないかもしれないところにツッコミも入れてみる。TV局はあんなに目立つ建物なのに何で爆弾落とされないかな?(苦笑)それ言ったらおしまい?どうせなら地下要塞みたいにしてくれたほうが面白いのに。あ、もしかして空襲警報鳴ったら地下に潜るとか?ってそれEVAか(笑)

登場人物にも全く心を動かされない。役者もCGか人形でいいじゃん?と思ってしまうほど。単に自分の撮りたい映像に合った人物を配置しているだけのような気がしてならない。サヨが涙を流そうが、銀河が本当の自分を吐露しようが「ふ〜ん」って感じ。1番のヤマ場で伊沢が言うセリフにもがっかり。原作の、危機に瀕した男と白痴の女の異様な気持ちの昂ぶりが映画では全くないのがつまらない。原作よりも井沢が優しくみえるのが唯一いいと思うけど。

こんなのが安吾の『白痴』にされちゃ堪らない。(ネタバレかもなので伏せ字)ラストで、いかにも安吾っぽい男が原稿を書いてるショットが入るのだが「僕と安吾の考えは同じだもんね」という風に私にはみえて腹が立った。同じなわけないじゃん!これさえなければまだ許せたけど、はっきり言って余計なシーンだ(ここまで)

蛇足だけど、クライマックスで「あれって綾波?」って思ってしまった。やっぱりEVAですかね?(笑)
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シュリ('99韓国)-Nov 6.1999オススメ★
[STORY]
韓国の情報機関に所属するユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)は恋人イ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)との結婚を1ヶ月後に控えていたが、最近多発する暗殺事件に頭を抱えていた。そんな時、パク・ムヨン(チェ・ミンシク)率いる北朝鮮の第8特殊部隊の工作員たちに移送中のCTX爆弾を強奪されてしまった!
監督&脚本カン・ジェギュ(『銀杏のベッド』
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冒頭の第8部隊の実戦さながらの凄まじい訓練シーンから目を奪われた。ほかの国の話だったら「まさかこんなこと・・・」と一笑に伏してしまうが、ニュース等で伝えられる情報を見ていると「本当にやってるかもしれない」と思ってしまう。訓練によって人間性を奪い、殺人マシーンを作り上げ、南へと送り込む。その強い使命感は一体どこからきているのだろうか。自分が日本という国のためにこんなことができるだろうかと考えたが、きっと何もできやしないだろう。

一応韓国側から描かれた話ではあるけど、決して北朝鮮に喧嘩を売ってるわけでもないし、敵とみなしているわけではない。ましてや自国の強さを自慢したいだけの某国とは違う(笑)あくまでもこの物語では、上からの指示ではなくて特殊部隊のクーデターなのだ。自国の貧しさを憂いでどうにかしなければならないという使命感の元に、部隊の面々は祖国統一のために韓国にやってくる。そのやりかたが過激で残虐なために結局は争うかたちになってしまうのだが、北朝鮮のことを一方的に憎む気持ちにはなれない。

戦闘シーンはハリウッド映画とは大きく違って驚いた。ハリウッドだと型が決まってるのか、誰がどう撃ってどう倒れるか、というのがとても分かりやすいんだけど、この映画ではとにかく撃って撃って撃ちまくってて、誰が撃ってるのか撃たれてるのかも分からなくなってくる。実際に戦ってる中に偶然カメラが入りこんじゃったような気さえしてくる。撃つほうも撃たれるほうも全身血だらけになってしまうのがリアルで恐い。ずっとドキドキしてしまった。

『八月のクリスマス』でいいなぁと思い、TVでやった『接続』を見てやっぱりいいなぁと思ったハン・ソッキュだけど、この映画に関してはあまりインパクトはなかった。それよりも北朝鮮工作員を演じたチェ・ミンシクの存在感に圧倒されっぱなしだった。彼の発する言葉にはズンと重みがあり、悲しみを覚えた。

ドラマとしては荒唐無稽だし、最初から想像つくような展開ではあるんだけど、それを補っても余りある迫力と力強さ、それにメッセージも十分に伝わる。タイトルの「シュリ」とは朝鮮半島の川に生息する淡水魚で、南北を自由に行き来できる自由と統一の象徴だそうだが、シュリのように人も自由に行き来できる日はいつのことだろう。
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ガラスの脳('99日本)-Nov 6.1999
[STORY]
飛行機が墜落し、妊娠9ヶ月の飯田昌子だけが生き残った。彼女はまもなく死亡したが、お腹の中の子は奇跡的に誕生し由美と名づけられる。しかし由美はずっと眠り続けたまま。喘息で入院していた7歳の少年・長沢雄一は、同じ病院に入院していた由美を見つける。由美のことを「眠り姫」だと聞かされた雄一は王子を真似て由美にキスをし続けるが・・・。10年後、雄一(小原裕貴)は、偶然見たテレビで由美のことを思い出す。慌てて病院へ向かった雄一は、眠り続けている由美(後藤理沙)と再会する。
監督・中田秀夫(『リング2』
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中田さんの描くラブストーリーってどんな感じなんだろうと思っていたら、冒頭の事故シーンは暗くてちょっと怖かったし、雄一少年が病院内を歩いてるシーンは『リング』かと思いました(笑)いつこの子が「ともちゃん呪いのビデオ見たんだよ〜」と言うのかとドキドキしちゃいましたぁ(←ちょっとウソ)

すごく純粋で綺麗な話なんだけど、見てる間じゅう照れてしまった。また、あるセリフやシーンでは笑いさえ起こっていた。でもそれも仕方ないと思う。原作が(手塚治虫の)漫画だからというだけじゃない。それは全体を支配する違和感にある。まずファンタジックさが見てて足りないと思うのだ。雄一のキスで目覚めるシーンは、まるで『眠り姫』で魔法が解けたかのように描いて欲しかったし、式のシーンだってもっと可愛らしく描けたはず。上に書いたように「ちょっとホラー?」と思えてしまうシーンや現実的なシーンもあったため、どう見たらいいのか戸惑ってしまったのだ。だから可愛いセリフだけが妙に浮ついててむず痒くなってしまったようだ。雰囲気に酔いしれていれば、どんな気障なセリフだって受け入れられるのに。

そしてもう1つの違和感は、ファンには申し訳ないけど小原君が1970年代の少年には見えなかったこと(苦笑)可愛いんだけど、顔や髪型も含めて無理があったような気がする。ファンの子だって彼を雄一として見ることができなかったんじゃないかな。だから笑ってしまった。ファンじゃないけど、私もやっぱり彼を雄一として見ることができなかった(「サイコメトラーEIJI」の時はちゃんと葛西裕介に見えたんだけどね)そしてさらにアパートの外観や遊園地も現代的過ぎて、急に醒めたような気分になった。

あと(ごめんねかばくん)2人を取り囲む大人たちをもっと汚くしてくれたほうが良かったかも。病院の斐川院長や、マスコミの由美に対する好奇の目もいやらしくすべきだったのでは。するとそこで17歳の雄一と由美の恋がいかに純粋で美しいものか浮き彫りになったのに。何だかとっても中途半端で、特に斐川院長のポジションが分かりにくかった。

雄一が中年になってからのシーンほうが、正直言ってジーンときた。熱烈に愛し合った5日間よりも、その後の20年間のほうが重たい。もう2度と由美が目を覚まさないと分かっていても、変わらない気持ちで愛し続ける。永遠の愛ってこういうことなのかもしれない、と。特に雄一が昔のビデオを見てるシーンは泣けた。これで見ると小原君と理沙ちゃんもすごく可愛くて違和感がないんだが――ってやっぱりビデオが出ないとダメなんでしょうか?(泣)これも貞子の呪いじゃ・・・(ってそんなオチつけてどうする(笑)<自分)
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