Movie Review 1999
◇Movie Index

りんご('98イラン=フランス=オランダ)-Feb 3.1999
[STORY]
97年のテヘラン。12歳の双子の姉妹を生まれた時からずっと家に閉じ込めたとして、福祉局から注意を受けたナデリー夫妻。2度と閉じ込めないと約束したにもかかわらず、父親はまた鍵を掛けて出掛けてしまう。母親が盲目という理由があったが、約束を破ったということで逆に夫妻が閉じ込められ、娘2人は外に出された。
監督サミラ・マフマルバフ(長編第1作)
−◇−◇−◇−
イラン映画といえばキアロスタミ監督──『桜桃の味』 フィクションとノンフィクションの境目みたいな映画が得意な(つーかそれしか見たことない)監督なんだが、この映画もそんな感じ。サミラちゃんは18歳の女の子だけど父親がイランでは高名なモフセン・マフマルバフ監督で、長編初だが短編は何編か撮っているらしいし、父親の作品の助監督なども務めたことがあるという。来日した際のインタビューを見て「大人の中で育った子だな」という印象を受けるほどしっかりとしていた(だけど日本で1番気に入ったのがカルピスなんだって。かわいい)

で、サミラちゃんの父ちゃんもキアロスタミみたいな映画ばっかり撮ってるのかどうかは知らないが、イラン自体そんな映画ばっかし撮ってるのか?という疑問が当然浮かぶ。知り合いのKさんに聞くと「普通の映画もあるけど日本で好まれるのはこのタイプ」だそう(笑)

さて、この映画がフィクションだかノンフィクションだか分からないのは出演者がほぼ全員本人で(姉妹と遊ぶ女の子たちはサミラの従妹で、時計屋は祖父らしい)内容も実際にあった事件の再現のようなものだからだ。まぁ全部その通りではないけどね。初めて外に出て買い物をしたり友達と遊んだりするマスメとザーラ姉妹。りんごという果物を巧みに使いながら彼女たちの表情を追っていくところがいい。こうやって社会のルールを覚えていくのかもしれないな。彼女たちがどう成長していくのか、この続きがもっと見たくなった。しかしりんごを凶器にして殴るっていうのはスゴイ(笑)

でも、いつも思うけどイランの人って頑固なの?(笑)この姉妹の父親もそうなんだけど、何か尋ねられると人の意見を聞かずに同じことしか言わないんだよねー。素人だからなのか、イスラム教徒だからなのか。母親はスカーフを頭からすっぽり覆っていて顔は見せない。彼女も頑固そうで怖いが、ラストで父親も娘達も買物に出掛けてしまい、彼女が1人ブツブツ言いながら少しずつ外に出てくる。男の子が階上から紐で括ったりんごを彼女の前にぶら下げていたずらする。目が見えないからりんごをなかなか掴めないが、最後にパッとそれを掴む。映画はいきなりそこで終わってしまうが、姉妹がりんごを買って人に分け与えることができたように、母親も目が見えなくても掴むことができるんだ、だから外の世界に出て行きなさい、という意味のような気がした。それにしてはアッサリし過ぎてて感動も何もないけど、そこがイラン映画のいいところ。
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メリーに首ったけ('98アメリカ)-Feb 3.1999
[STORY]
高校生のテッド(ベン・スティラー)はみんなの憧れの的メリー(キャメロン・ディアス)から卒業パーティのパートナーに選ばれるが、当日とんでもないアクシデントに遭ってしまう。13年後、まだメリーを諦めきれないテッドは探偵のヒーリー(マット・ディロン)にメリーのことを調べてもらうが、ヒーリーがメリーに一目惚れ。テッドに大嘘をついて諦めさせようとする。
監督ボビー&ピーター・ファレリー兄弟(『ジム・キャリーはMr.ダマー』)
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キャメロン・ディアスかわいい〜。男じゃなくたって首ったけになりそう、というか私ならなる!美人でスタイル良くて優しくて、おまけに医者ときてる。医者にはあんまり見えないけど(うむ)でもそういうキャラクターをベタにセクシー過ぎず、のびのびと演じてて見ていて気持ちがいい。『マスク』の時には単なるお飾り美女だったのに、変われば変わるもんです。あの頃より若く見えるのも気の所為じゃないでしょう。今1番ノリノリなんだろうなぁ。

しかしストーリーは思ったよりもテンポが良くなくてちょっと意外だった。予告やCMではちょうどその面白いところだけを流してるからかもしれない。アメリカ的な笑いで日本人にはあんまりウケないギャグも満載だったし。それに確かにバカで下品だけどそれだけじゃなくて、ドジな男が一途に真剣に高嶺の花に想いを伝えようとする、そういう1本マジメな線がピッと通ってるからだろう。笑ってばかりもいられない。このドジ男テッドが、私はナイナイの岡村くんに見えてしょうがなくて(似てると思うんだけどな)だから余計にメリーと釣り合わない感じでもどかしかった。

だけどほかのキャラクターがみんなダメ過ぎ。テッドの強力ライバルと言えそうな男が1人もいなくてちょっと面白くなかった。ディロンは私生活でディアスをゲットしたけど(でも別れちゃいました)映画ではメリーに対して粘りが足りないし、最後に出てくる元フィアンセという男だって、期待した割にはガタイがいいだけのブッサイクな(!)奴でげんなり。ひょっとしてメリーってマニア受けするタイプだったのか?!(笑)いくらモテモテでもそれは全然嬉しくない<いや、モテるだけマシか?やっぱり(自問)

ポスターや予告で見られるメリーの逆立った髪の毛も実は下ネタなんだけど、はっきり言ってバカです(爆笑)バカ過ぎて悶えました。このネタ思い付いた人、どうかしてるよ(笑)でもひょっとしたら男の子同士の猥談とかで使い古されたネタかもしれない。ありそうだもん、こういうの。
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リング2('99日本)-Jan 30.1999
[STORY]
古井戸の中から発見された貞子の死体。30年前に殺されたはずだったが死亡時期が1、2年前だったことが判明する。一方、浅川玲子(松嶋菜々子)と陽一母子は行方不明になっており、死んだ高山(真田広之)の教え子だった高野舞(中谷美紀)は母子を探しはじめる。
監督・中田秀夫(『女優霊』)
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『リング』と『らせん』は劇場で見てなくて、この前やっとTVで『リング』を見ただけ。この『リング2』は『らせん』とは何の関係もなく(というより『らせん』はなかったことにして(笑))『リング』の続編として作ったらしい。ごっちゃになるから『らせん』は見なくて良かったかも<でもあとで見なきゃ

みんなが騒ぐほど『リング』は恐くなかったけど『2』もやっぱり恐くはなかった(私はやっぱり『女優霊』のほうが怖いですよ)日常の中にふと現れる怖さじゃないからかな。映画を見て怖いと思うのは、純粋にその映画を見て怖い!というのと、あとで思い出して怖い!というのがあると思う。後者は例えば「自分の撮ったビデオに怖い映像が映ってたら」とか「写真を撮って顔が歪んでたら」などと想像力逞しくした上で「ああ怖い〜」ってなるわけだ。だけど今回のようなサイキックな感じになっちゃうと日常から離れすぎててそういう想像はしなくなってしまう。映画を作る側も単に映像で怖がらせようという気持ちしかなさそうな印象を受けたけどね。ストーリーも無理矢理引き伸ばしたみたいでいいとは思えなかった(貞子は井戸の中で30年近く生きていたという設定が怖い、かな?)

私が怖いと思ったシーンは1個所だけ。深田恭子がインタビューに答えているビデオを消去しようとするシーンだ。やっぱりビデオの荒い画質がいいのかも。顔もはっきり分からないほうがやっぱり怖い。そんでもって別の意味で怖いのが中谷美紀の顔(笑)ああいうはっきりした顔の人が「ぎゃっ!」と思いっきり顔を歪ませるのってヤダなぁ。特に目のアップで瞬きもせず白目が血走ってて松嶋菜々子より迫力あります。

ちなみに巷で話題になっている洞窟でのシーンで、出演者のセリフでない「リカコ・・・」と言う渡部篤郎の声も残念ながら聞こえなかったみたい(笑)
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死国('99日本)-Jan 30.1999
[STORY]
15年ぶりに四国・高知県矢狗村を訪れた比奈子(夏川結衣)は、幼馴染みの莎代里(栗山千明)が10年前に事故死していた事を知る。莎代里の母・照子(根岸季衣)は、莎代里を生き返らせようと四国霊場八十八個所を逆に廻っていた。そんな中、比奈子は幼馴染みの文也(筒井道隆)と再会し恋に落ちたが・・・。
監督・長崎俊一(『ナースコール』)
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比奈子も莎代里も照子もイメージに近くてOKだったけど、どうにもこうにも筒井道隆がダメ過ぎ。田舎っぽい雰囲気を持った人ではあるけれど、比奈子と同い年にはとうてい見えないし(実際も年下だ)眉毛ないし(ははは)、ぼーーーっとした感じで何も考えてなさそう。これじゃあ莎代里に呼ばれたらホイホイついてっちゃうだろうなぁと思ったらその通りだし(苦笑)愛だの恋だの言う前に単なる迂闊な男なのであった(合掌)

また、クライマックスを迎える場所も人物も作り物すぎて興覚め。ここだけ現実から遠く離れてしまって単なるゴーストバスターな映画になってしまったような気がする。土着の文化だの因習だのお遍路だのそういうのは一体どこへ行ってしまったのでしょう?ノスタルジックなオープニングからもかけ離れたものになってしまったのが残念。それに監督が男性だからかな、女の怨みも出てません。抱き付いて脊髄をバキバキ折るのは面白くて笑うだけだっつーの。

私は原作もホラー作品だとは思ってないしこの映画もホラーとは思ってないけど、監督や製作に携わった人たちも最初はそういうつもりじゃなかったかもね。だけど「『リング』と同時上映だからこれもホラーらしくして下さい」などと周りからとやかく言われてムリヤリ方向転換してしまったかもしれない。だったらちょっと可哀相かな。

でも中盤に出てきた、カンカン照りの畑にポッと出た黒い人影にはゾワーッとした。夜ではなくて昼間に、顔がはっきり見えない得体の知れないものが突如現れる、こういうのが1番怖いのだ。わざとらしい効果音もなかったのがさらに良かったのかもしれない。

それと別の意味で恐いのは米良美一の主題歌だったりする(笑)
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ワイルド・シングス('98アメリカ)-Jan 27.1999
[STORY]
高校生ケリー(デニス・リチャーズ)が、教師のサム(マット・ディロン)からレイプされたと訴えた。 そしてサムに追い討ちを掛けるように不良のスージー(ネーヴ・キャンベル)が自分もレイプされた経験があると訴え出る。しかしそれが狂言と分かりサムは釈放され大金を手に入れるが、それもまやかしだと嗅ぎ付けた刑事レイ(ケビン・ベーコン)は彼らをマークした。そして・・・。
監督ジョン・マクノートン(『ヘンリー』)
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カッコイイんだか悪いんだか分からない微妙なポジションに立っているディロン、たぶん20歳はゆうに超えてるのにティーンエイジャー役をやってるキャンベルとリチャーズ、そんでもって製作総指揮もやってるベーコン。このちょっとチープなキャスティング(失礼)に、ノーテンキなフロリダの太陽もよく合っている。下手に上級サスペンスを目指してないところがGOOD!<TV放映するとしたらぜひともテレビ東京の木曜日によろしく(笑)→テレ東的サブタイトルを付けるならば「女子高生の危険な誘惑・秘められた関係に浮かぶ殺意」って感じでしょうか。

まぁストーリーの軸は語りつくされたようなものだし、見せ場のドンデン返しも1度見てしまうと次に何が起こってもあんまり驚かなくなってしまうきらいはある。「さて次は?」「まだあるでしょ?」と待ち構えてしまうのだ。だからラストにいきなりガラリと変わってあれよあれよという間にエンディング、というほうがサスペンスとしては効果的だと思う。エンディングロール流しながら事件の見えていなかった部分の映像を見せるというのも面白いが、エンドクレジットが出る前にほとんど真相解明されてるにもかかわらず、それをやるのはちょっと無駄ではないかな?と思った。だったら全部流れた後にもう1回やっても良かったんじゃないかなぁ。エンディングが流れた途端に席を立つ人に仕返しできるし(笑)

いやぁしかし今回はベーコンですよ。制服スーツ好きとしてはあのパリッとした白いシャツがいいっす。サングラスとちょっとした私服もいいぞー。それとシャワーを浴びるシーンで振り向き様にボカシなしで見えちゃったところで、私の前に座っていた女性が思わず「ダハッ」と言ったのが忘れられない(爆笑)
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