Movie Review 1998
◇Movie Index

バンドワゴン('96アメリカ)-Feb 20.1998
[STORY]
シャイで人前で歌えないヴォーカルのトニー、ラリってるギターのウィン、ケンカっ早いベースのエリック、エコロジーかぶれでマザコンなドラムのチャーリー、この4人が「サーカスモンキー」というバンドを組んだ。そして伝説のマネージャーと呼ばれるライナスと共にアメリカツアーに出かけたが・・・。
監督&脚本ジョン・シュルツ(デビュー作))
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バンドメンバー4人のキャラクター設定は面白い。ドラムより下がり後ろを向いて歌うヴォーカルなんて聞いたことないもの。ただ、面白いのは最初だけ。監督もバンドをやっていたというから、きっと実体験が織り込まれているのだろう。それってその時に偶然経験したことなのだから面白いのであって、再現してもそれほど面白くはないものだ。作っている本人たちは、そのシーンを撮りながらきっと自分が体験したことを思い出して「これは面白いエピソードだ」と思っているに違いないんだろうけど。

オンボロワゴンでツアーに行くなんて普通ならもっとワクワクする設定なのに、それもなかったし。これならドキュメンタリーの方が面白いんじゃないかな(アマチュアバンド追跡日記みたいな)ちょっと厳しいことを書いたけど、まぁ笑えるシーンはちょこちょこあるし、バンド経験者ならもっと楽しめて「あるある」なんて同感するんだろう。。
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桜桃の味('97イラン)-Feb 16.1998
[STORY]
自殺志願の中年男バディ(ホマユン・エルシャディ)は「明日の朝、自分が生きていたら助け、死んでいたら土をかけてくれ」と人々に頼んでいくが、誰も聞き入れてくれない。最後に1人の老人バゲリがその願いを聞きいれてくれるが、自分もむかし自殺しようとしてできなかったことを語った。
監督アッバス・キアロスタミ(『友達のうちはどこ?』))
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またしても友達を眠らせてしまった(苦笑)以前クエイ兄弟の『ベンヤメンタ学院』をこの劇場に誘って眠らせたことがある。それ以来ここには誘ってなかったんだが、イラン映画見たい!というので連れて来たんだけど、あの子にはこの映画館は鬼門かも(笑)

確かに前半だらだらしていてつらいことはつらい。映画というよりはドキュメンタリーに近い。セリフもアドリブみたいだし、出てくる人も素人っぽい。そこがキアロスタミの持味でもある。『友達のうちはどこ?』では本気で子供を叱って泣かせて困らせて、そこをカメラに撮るなんて面白いけどあざとい、と思っていた。今回は泣かせたりはしなかったが、少年兵士はホントに困ってたぞ。ちなみにイスラムの世界では自殺は御法度。なのでみんな断るのね。

友達も起きた中盤、老人のセリフにジーンとした。サクランボ、味わいたいね。最近空なんて見てないや。なら今日見よう、明日も見よう。何気ないことも生きる糧なんだ。いつ死んでもいい、なんて人生はないんだ。私は見ながら一緒にそう思った。バディがどうして自殺したくなったのか、また彼はラストで自殺したのか?それは語られない。でも語られなくてもいいと思った。見た人に委ねられているように感じた。
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グリッドロック('96アメリカ)-Feb 10.1998
[STORY]
同居人の女の子がドラック中毒で意識不明になる。スプーン(トゥパック・シャクール)とストレッチ(ティム・ロス)は彼女のためにも自分たちのためにもドラック断ちを決意するが、更生施設や保健所をたらい回しにされ、麻薬絡みの殺人事件にも巻き込まれてしまう。
監督&脚本ヴォンディ・カーティス・ホール(俳優・本作に出演もしている))
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2人の男がドタバタしながらも更生する話なのかと思ってたんだけど、そうではなかった。単に更生しようとする途中まで、だった。このあと更生するかどうかも分からないってこと。そこが予想と違ったのがいまいちだったけど(私が勝手にそう思ってただけなんだが)病院やお役所の杓子定規な規則を風刺していたり、何となくドラッグがやめられないところが描かれていてそれは面白かった。

ロスのショボショボ加減はうまかったし、トゥパックも演技経験が浅いとは思えないくらい良かった(ていうか自然体なのか)これからもっといろいろな映画で活躍してくれる、と皆も期待していただろうに、惜しいことをしました。
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G.I.ジェーン('97アメリカ)-Feb 7.1998
[STORY]
海軍情報部のジョーダン・オニール(デミ・ムーア)は女性上院議員(アン・バンクロフト)の政治的策謀により、苛酷な海軍特殊部隊に参加することになった。しかし軍は彼女を女性として扱う。それに耐えられないオニールは髪を剃り、同等に扱うよう志願するのだった。
監督リドリー・スコット(『ブレードランナー』))
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映画のコピーをもじって、私はこの言葉をデミに捧げたい。
 “彼女は、そして女性人間を超えた”
つまりサイボーグね(笑)いや、本人めちゃくちゃ本気なんだから笑っちゃいけないんだが、丸坊主になってトレーニングしているところはもう作り物って感じ。『素顔のままで』のストリップもサイボーグみたいで色気がなかったけど今回もそう。デミの場合、ヌードも坊主も同じに見えるってことか(笑)

茶化すのはこれくらいにして、彼女の訓練シーンにはやはり舌を捲いた。特に敵の捕虜になって拷問を受ける訓練シーンは「もうやめて〜」と思いながら痛ましさに泣いてしまった。でも手加減しない上官にもシビれた。ここで手加減したら彼女はいつまでたっても男性の仲間になれない、まさに男性と彼女の垣根を取り払ったシーンだった。セリフも笑えるがいいぜ!(あれが言いたかったんだろーなぁ)

ただ、軍の上層部だの上院議員の問題だのそういったことが解決されないままに終わったのが納得できないところ。さて、これからどうなるんだろう?と待っていたらエンディングロールが流れちゃうんだもん。そりゃないでしょう。それじゃあ単にデミが身体鍛えたかっただけの映画じゃないか、ってやっぱ鍛えられればあとはどうでもいいのか・・・(脱力)
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ミミック('97アメリカ)-Jan 31.1998
[STORY]
近未来のニューヨーク、そこでは子供達が伝染病により死の危機に貧していた。疾病対策センタ部長のピーター(ジェレミー・ノーサム)は昆虫学者のスーザン(ミラ・ソルヴィーノ)の協力を得て、伝染病の媒介となっている虫を殺す新種の虫を生み出し成功した。しかし3年後、その新たな虫は独自の進化をし、人を襲うようになった・・・。
監督&脚本ギルシュモ・デル・トーロ(『クロノス』))
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オープニングタイトル担当が『セブン』『ザ・ファン』などを手がけたカイル・クーパー。私はすごく好きなのだが、今回も新聞の文字の部分や子供の顔写真を細かく切って虫ピンでとめた(ポスターを見てね)映像を早いカット割りで写したりなどアイデア抜群である。しかしその部分と映画本編とがあまり合っていないような気がした。本編が始まった時に違和感を感じた。

また、どうして新種の虫が進化して人間を襲うに敵した擬態<ミミック>をするようになったのか?そういう科学的な疑問を解き明かして欲しかった。ソルヴィーノはハーバード出の才女だし、アカデミックなセリフを言っても説得力あるだろうに、ただのアクション女優みたいで惜しい。他の俳優陣もF・マーレー・エイブラハムやジャンカルロ・ジャンニーニなど渋い人使ってるんだが活かされてない。ノーサムもあんましカッコ良くなくてガッカリ(お目当てな人だったのにぃ)

それと肝心の虫をもっとよく見せて欲しかった(暗いところでしか出てこないんだもん)
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