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文化・歴史 ◆龍神沼(軍旗奉焼の地) |
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天皇統率の日本軍において、陸軍では軍(連隊)旗を天皇の象徴として仰いでいた。終戦のとき、連隊には軍旗の奉焼が命じられた。歩兵第158連隊は連隊長の着任までと奉焼の厳命も1日延ばしに避けていたが、断片的に伝わってくる情勢は中隊長に奉焼を決心させた。8月26日、僅かに利尻の頂が見える朝、龍神沼に細く悲しく鳴るラッパの音、中隊全員の捧げ銃の中に、菅野中隊長は軍旗に火を点じた。燃え尽き残った竿頭の菊のご紋は永遠の奉安の場を底知れぬ沼の中央部に選んだ。
それから23年後の44年同月同日、やはり利尻の頂が見える日であった。菅野元中隊長は、遥々山形から足を運び軍旗を奉焼したことの赦しを乞う神事が、沼畔の龍神沼で厳粛に執り行われ、子息が携えた木柱を笹の密生する奉焼跡に建てその標とした。 |
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