鉢の選択


 
鉢を選択する基準にはどのようなものがあるでしょうか? 以下に思いつくままあげてみます。

  1. 通気性
  2. 保温性
  3. 保水性
  4. 強度
  5. 重量
  6. 見栄え
  7. 価格

これらの特性を、GAMIの主観も交えて各種の鉢について比較してみると、

素焼き鉢

駄温鉢

プラスチック鉢

ファーマーズポット

通気性

×

保温性

△−

保水性

強度(寿命)

×

重量

重い

重い

軽い

超軽量

見栄え

△?
(注:○>○−)

 

●ファーマーズポット

この表を見ると通気性、保温性等の生育に重要な項目ではファーマーズポットが断然優れていることがわかります。ファーマーズポットというのは、古紙を原料にした紙製のポットで、タケダ園芸鰍ナ扱っています。「寿命」が「×」なのは、紙製なのでしかたありませんが、バラに使用した場合は、もって2年ですので、価格的には他の鉢よりも割高になります。ただ、いやでも2年に1回は植えかえせざるを得なくなりますのでサボリ虫には良いかも...。植えかえはポットを破いて株を取り出せるのでとても簡単です。また、「保水性」が「△」なのも、通気性と引き換えになるわけですが、これのおかげで根腐れはまず起こりません。10号サイズの鉢を10個かついで電車に乗れるのも楽ちんです。もちろん問題点もあります。そのひとつは見栄えでしょうか。好みにもよりますが、芝生の上では、あまりパッとしないようです。そして最大の問題点は、メリットでもあった「超軽量」なこと。通気性の良さが「災い」して、生育が極めて良好な地上部はちょっとした地植え並みになります。で、風が吹くと重心が非常に高いのですぐコケる。風の強い日は、あらかじめ倒しておく配慮が必要になります。
使用にあたっての注意は、絶対に地面に直置きしないこと。鉢底がフニャフニャになって、寿命が縮むと同時に、ますますコケやすくなります。私は人工芝の上に置いていました。転倒防止の裏技は、一回り大きな素焼き鉢にはめ込んでしまうことです。

鉢寿命について追記
10号相当のNP-10型は、なんとかもたせれば2年いけますが、それより小さいNP-8以下では、良くて1年しか持ちません。厚さが薄いためです。NP-8では、元気のいい新苗を5月に植え付けると、秋までには根が鉢底を破って出てきます。
最近、GAMIは新苗をNP-8に仮植えして雨よけ出来るテラスで秋まで育て、根が鉢底を破壊した頃に、鉢をビリビリ破って根鉢を取り出し地植えにしています。

●素焼き鉢

ガーデニングの楽しみのためにバラ栽培をされるのなら、美観的には、やはりこの鉢がもっとも適しているのではないでしょうか。素焼き鉢のメリットで重要なのが、夏場の保温(冷却)性です。御存じのように、素焼き鉢は粘土を900℃前後で焼いたものです。比較的低温で焼いているので、強度が十分ではありませんが、同時に多孔質になっています。非常に微細な穴がたくさん開いているわけです。通常、毛細管現象によって鉢土から移動した水分でこの微細な孔は満たされています。夏場にはこの水が鉢の側面からしみ出しつつ蒸発して気化熱を奪い、鉢土の温度上昇を抑制します。このような効果はプラスチック鉢では皆無、駄温鉢でもほとんど期待できません。なお、この微細孔によって通気性も良好になると思われがちですが、先にも書いたように、通常この穴には水分が含まれているので、穴を通じてガスが自由に出入りできるわけではありません。ガスは微細孔中の水にいったん溶けてから拡散によって移動することになりますので、通気性はファーマーズポットにはおよびません。長期間使用していると、鉢壁に苔などがつきますが、これが微細孔を塞がないように手入れする必要があります。

●駄温鉢

駄温鉢は、1000℃前後で硬く焼いたもので、素焼き鉢よりもずっと丈夫な反面、緻密な構造のために水やガスの透過性は遥かに劣っています。夏場の保温(冷却)性の点では素焼き鉢よりはプラスチック鉢に近いかもしれません。私の場合は、6〜7号鉢程度までの使用にとどめています(理由下記)。

●プラスチック鉢

私の個人的な印象では、バラ栽培におけるプラスチック鉢の使用は、6号鉢程度までに抑えた方が良いかと思います。鉢が大きくなるほど、鉢土の露出面積に対する土の体積が増し、水分蒸発の点で不利になるからです。10号以上でプラ鉢を使うのは、鉢の移動を頻繁に行う必要がある場合などをのぞき、メリットはありません。水やり技術的にもずっと難しくなります。


ちょっとした工夫

●通気性の良い鉢の保水性制御

鉢の内壁にビニールシートやサランラップを部分的に貼りつける。スチレンペーパーを使うと断熱効果もでる。ファーマーズポットの場合には、部分的にニスやワックスを浸みこませると、強度アップにもなる(やり過ぎると高通気性のメリットが死ぬ)。

●プラ鉢の保温対策

上記スチレンペーパーや梱包用のエアキャップ(プチプチつぶせるシート)を鉢内壁全周に貼る。鉢側面への直射日光による温度上昇が緩和できる。冬場の保温にも有効。


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