Movie Review 1999
◇Movie Index

ウェイクアップ!ネッド('98イギリス)-Oct 2.1999オススメ★
[STORY]
アイルランドの小さな村タリーモアに住むジャッキー(イアン・バネン)は、1等の宝くじを当てた人物が村人の中にいると知って、友人のマイケル(デヴィッド・ケリー)と一緒に調べ始める。そしてようやくそれが1人暮らしをしているネッドであるとつきとめた2人だったが、ネッドは当たりくじを持ったままショック死していた。2人はこれをネコババしようと企む。
監督&脚本カーク・ジョーンズ(初監督作)
−◇−◇−◇−
2人の老人が考えた「宝くじネコババ大作戦」が村人全員を巻き込む大騒動へと発展する・・・本来なら犯罪だし、普通ならそんなのダメ!許せない!って思うんだけど、可愛いおじいちゃんたちがまさしく裸一貫で(でも靴下と靴は履いてる(笑))がんばってる姿を見ると、かえってそれを告発しようとする者が悪者に見えてしまう。こっちまで一緒に作戦に荷担してる気持ちになり、賞金の分け前を貰ったような気さえしてくる。まさに2221万円いただいた気分♪

最近では同じくアイルランドの自然がふんだんに出てくる映画に『恋はワンダフル!?』があったけど(実はこの映画にもD・ケリーが出てます)本作品のほうが人々と風景がうまく溶けこんでいたし、ケルト音楽もすごく良く合ってた。あのリズムや歌が人々と自然を結び付けてるのではないかなぁ。それに場面場面でいい使い方をしてるんだよね。特にクライマックスの「ジャン!―ポヨ〜ン」「ドンッ!!」「なぬっー?!」っていうタイミングがばっちりで大好き(見れば分かります)ほかの映画ならヒドいシーンでも、この映画ならまあいっか!めでたしめでたし、と素直に拍手できてしまう。いつのまにか音楽のリズムに乗せられて一緒に踊っちゃったような感じかな。それで罪悪感まで吹き飛んじゃう。これを間違えるとすごくヤなブラックコメディになっちゃうところを、サラリと可愛らしく描いているところがこの映画のスゴイところだろう。

でも92分という短さを考えれば、パトリック神父とモーリス少年の会話や、偏屈ばあさんリジーの意地悪さ加減などをさらに突っ込んで描いても良かったのではないかと思う。それに個人的にはマイケルとキティ婦人の恋もさ(いやぁこの村の人達は老人力とは無縁だね)というか『フル・モンティ』でもそう思ったけど、面白い映画に限って短い(短く感じる)ね。あの村の人々をもっと見たかった。それが唯一残念なことだ。

この映画ではギネスビールがじゃんじゃん出てくる。そんで見た後にこっちまですっごく飲みたくなるんだ(映画館でも期間中はギネスを売っている)私もその夜ギネスを飲んだ。普段はギネスってそれほど美味しいとは思わないんだけど、この時ばかりはめちゃめちゃ美味しかった。まさに勝利の美酒の味だった。
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アナライズ・ミー('99アメリカ)-Sep 28.1999
[STORY]
ベン(ビリー・クリスタル)はちょっと気弱な精神科医。2度目の結婚を間近に控えて幸せな日々を過ごしていた。ある時、マフィアの車に自分の車をぶつけてしまい、慌てて名刺を渡してしまう。翌日、マフィアのボス、ポール・ヴィッティ(ロバート・デ・ニーロ)が病気を治して欲しいとベンのオフィスを訪ねてきた・・・。
監督ハロルド・ライミス(『クローンズ』)
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うんと面白いってわけじゃない。小ネタがちょこちょことちりばめられていて「くすっ」とか「ふふっ」と笑ってしまう程度。ただそれだけだから、せっかく気分が乗ってきてもすぐに引っ込んでしまう。その繰り返し。

でもその中ではやっぱりデ・ニーロでしょう。彼のマフィア役といえば『ゴッドファーザー』や『アンタッチャブル』でおなじみ。で、この人は泣き顔でも有名すね。テレビ東京のシネマ通信で、よくラスティがマネをしてる、アレね(笑)その両方が楽しめる。ものすごい顔で恫喝したかと思えば、TVCMを見ただけで号泣してしまうという、そんな情緒不安定ぶりが最高だった。

デ・ニーロと比べてクリスタルが弱い。その存在感の差も確かにあるけど、これは脚本の問題もあるかもしれない。ベンもポールと同じように、父親に対してコンプレックスがあり、それを匂わすシーンがあるのに、彼自身の内面を吐露するシーンがないのだ。私はポールが全てを吐き出すシーンで、ポールにつられるようにベンも言いたいことを言うのではないかと期待していたが、それがなかった。お互いに言うことで自信をつけて、さらに友情が深まって欲しかったけどねー(その後のシーンで、これとは無関係にベンは自信をつけるし友情も深まるのだがね)

それにこれまたマフィアが得意なチャズ・パルミンテリが出てるというのに!こんな脇のさらに脇みたいな役でいいのか?!(笑)と思った。ポールと敵対するマフィアなハズなのに、扱いが雑すぎる。さらにマフィアを一網打尽にしようと企むFBIとの絡みもいい加減。しいて上げればポールを常にフォローするジェリー役のジョー・ヴィッテレッリが地味ながらいい味出してたくらい。

普通ならバランスを考えてドラマを作り出すはずなのに、これだけ差が出てしまうのは、やはり相手がデ・ニーロだからであろうか。でも今回の彼の過剰な演技は、私にはかなり可愛くみえました。
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シンプル・プラン('99アメリカ)-Sep 25.1999
[STORY]
大晦日、ハンク(ビル・パクストン)と兄のジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)とジェイコブの友人ルーは父親の墓参りに出掛けた。その帰り、偶然にも墜落したセスナ機を発見した。中には死体と440万ドルが詰まったバッグがあった。ジェイコブとルーはそれを警察に届けず、自分たちのものにしようとする。ハンクも1度は反対したが、このお金が何なのか判明するまで自分が預かると主張し、2人もこれに同意した。その夜、ハンクは妻サラ(ブリジット・フォンダ)にお金のことを告げると・・・。
監督サム・ライミ(『ダークマン』)
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田舎の豪雪地で繰り広げられる犯罪といえば『ファーゴ』を思い出す。が、あの不気味でやりきれないような雰囲気が、この映画ではそれほど感じられなかった。カメラは常に人物のそばを離れることなく、だだっぴろい大地にポツンと人がいる、というような映像がなかったからかもしれないな。それに音楽も不安を掻き立てるような感じしなかったし、寒々しくもなかった。

原作はまだ未読なので何とも言えないんだけど、これってこういう話だったのか、とちょっと拍子抜けしてしまった。この映画の脚本を原作者本人がやっているので、たぶん大幅な変更はないんだろう。が、私はもっと残酷で恐ろしく醜い話なのかと思ってたので、何だか所謂「悪銭身につかず」みたいな話でちょっとがっかりした。

テーマとしては、普通につつましく生活していた人間が、大金を目の前にして静かに狂わされていく。たった1つの秘密を隠すために嘘をついて、その嘘がもっともらしく見えるような行動を取り、さらに大きな嘘をつく、というもの。さらに予期せぬ偶然が悲劇を生んで、どんどん後戻りできなくなっていくのだ。そういう話は見るたびに怖くてハラハラドキドキしちゃうんだけど、この映画に関してはそれが希薄だった。

それは、それぞれの登場人物たちの内面がさほど描かれてないからかもしれない。まずハンクに入り込めない。どんどん深みに嵌っていってるハズなのに、ほとんど焦りや追い詰められた感がないのだ。そして彼とジェイコブ兄弟の、肉親ゆえの嫉妬などが過去のエピソードを語ることで表現されていくが、結局お互いにどういう感情を抱いているのかの表現に繋がっていない。さらにハンクの妻サラが実は狡猾な人間だったということが徐々に明らかになるのだが、その恐ろしさが伝わってこない。ハンクはただ彼女の言いなりになるだけで、自分の妻を疑ったり、その本性を垣間見て恐ろしい気持ちになったりしなかったのだろうか?

ストーリーはきちんと描かれていて、それなりに面白い。でも、それに囚われすぎて人間の内面を描くのが疎かになってしまったのかもしれない。シンプルだけど難しい話だからね。

(はい、ここから余談ですがネタバレでーす)ゲイリー・コールがニセFBIで出演してるんだけど、彼はTVドラマ『アメリカン・ゴシック』(サム・ライミが製作総指揮)で悪徳保安官やってたんだよね。出てきた瞬間に「コイツ、絶対ワルモノ!!」と分かって笑っちゃった。(ここまで)
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ディープ・ブルー('99アメリカ)-Sep 24.1999
[STORY]
医学博士のスーザン(サフロン・バローズ)はアルツハイマー病治療薬開発のため、海上研究所でサメを飼育し実験を続けていた。しかしなかなか成果が上がらないために投資が打ち切られそうになっていた。投資家のフランクリン(サミュエル・L・ジャクソン)が研究所を訪れ、最後の実験が行われた。結果は大成功。しかし突然サメが暴れ出し、人間を襲いはじめた・・・!
監督レニー・ハーリン(『クリフハンガー』)
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監督のハーリンと、サメ飼育として雇われた前科者カーター役のトーマス・ジェーン、コックのプリーチャー役のLL・クール・J、製作のアキバ・ゴールズマンの4人が会場で舞台挨拶した。2階席からみてもハーリンはデカくて赤ら顔だったが、いつも写真や映像で見る汚らしい感じ(失礼)がなく、髪をきちんと束ねて妙にこざっぱりしたスーツ姿で現れ、ちょっとびっくり。芸能人もたくさん招待されていたこともあり、かなり物々しい警備体制でドキドキしちゃった。

出演者は有名だけれど主演を張るような人がほとんど出演してなくて、意外に地味だなぁと見る前は思っていた。S・L・ジャクソンはともかく、バローズとジェーンは出演作は見てるものの、きちんと名前を認識したのは今回が初めて。LL・クール・Jは名前しか知らなかったし。マイケル・ラパポート(『誘惑のアフロディーテ』)、ジャクリーン・マッケンジー(『エンジェル・ベイビー』)そしてステラン・スカルスゲールド(『奇跡の海』)は私けっこう好きだったりするけど、みんなそれほど有名じゃないもんね。

でも突然あの人があんなことになってしまい、この人もいきなりそんなことになってしまった時(思わせぶりでゴメンね)こうなると誰が最後まで生き残るか分からんなー!と思った。
この手の映画では全員が生き残ることはない。誰かが必ず命を落とす。しかも1人ずつ。この映画でもそれは同じで、1人ずつ食われてしまう。でもその食われっぷりが素晴らしく素早くて、悲しむ余裕さえ与えてくれない。おまけに何の前触れもなくいきなりやられちゃったりするので、むしろ思わず笑っちゃったりする。こうなるとだんだん感覚が麻痺してくるのね。「さて、次は誰だろう」と、まるでそれを待ち望んでるかのように考えてしまう。人間がただのサメのエサに見えてくる、それがこの映画の怖さかもしれない(ちょっと無理ある?でも実際、驚きはすれど恐怖映画じゃないのよねー)

(はい、ここからネタバレしまーす)さて、映画も終わってフト気がついた。舞台挨拶したトーマス・ジェーンもLL・クール・Jも、映画の中の生存者なのである(笑)生き残ったのは何とこの2人だけなのだ。これって偶然なのかなー。それともホントに食われちゃったんで、ほかの人は連れて来られなかったか?(笑)この試写会に参加し、映画を見た人にだけ分かるブラックジョークとして笑っておこう。(ここまで)
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アルナーチャラム 踊るスーパースター('97インド)-Sep 23.1999オススメ★
[STORY]
・・・は『アルナーチャラム』(1回目)を見てね。
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昨年、映画祭で1度見てるんだけど、CD付き前売券に惹かれたので、また買って見てしまった(このCDが実はヒドいシロモノだったんだが)

1度見てるとはいえ、やっぱりラジニに釘付けになった。この映画では特にそう。2人の女の子が出ていてもラジニしか目に入らない(『ムトゥ』ではミーナちゃんが可愛かったので両方に釘付けだったけど)笑ったところ、怒ったところ、悲しんだ顔などどれも可愛くてカッコ良くて最高だ。

今、ラジニ主演以外でもインド映画が続々と公開している。女優さんは可愛い人たくさんいるけど、主役を張る俳優で1番なのは、私が見たいって思うのはやっぱりラジニだけ。ほかにどんなに若くてハンサムな俳優が出演してても心変わりしない自信がある!(鼻息)なんてね。でもホント。

パンフはもちろん買った。これにはなかなかイイ情報がたくさん。例えばラジニといいコンビを組んでる通称ヅラヲ(私達の間ではそう呼ばれている)がインドでは「かえるちゃん」の愛称で人気らしい(笑)とか、あの恐怖のおばあちゃん役の人は映画公開後、ラジニファンから脅されたり、ほかの映画を降板させられたり大変だったらしい。日本ではこのおばあちゃんが出てくるたびに笑いが起こってるのにね。インド人、本気だ(笑)
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