Movie Review 1997
◇Movie Index

エビータ('96アメリカ)-Feb 9.1997
[STORY]
貧しい家庭に生まれたエバ(マドンナ)が、自らの美貌を武器にして次々と男を乗り換え、そして運命の男ホアン・ペロン(ジョナサン・プライス)と出会う。エバはペロンの妻となり、そして大統領夫人となったが・・・。
監督&脚本アラン・パーカー(『フェーム』)
−◇−◇−◇−
映画を見てる時に眠ることってあんまりないんだけど、これは耐えられなくて途中寝てしまった。もともとミュージカルをどうして映画で見なきゃいけないんだろう?って思うんだけど(『サウンドオブミュージック』や『アニー』は好きですが)マドンナやバンデラスが直に歌ってくれるわけないから、やっぱり映画しかないのか(何だか支離滅裂ですんません)

エビータというのは向こうの言葉で「エバちゃん」という感じの愛称になるらしい。そのエバちゃんの野望とマドンナ本人の「主演女優賞は私のものよ!」という野心がオーバーラップして、ある意味当たり役ではあったんだけど、エバちゃんとして歌うたびに「主題歌賞も私のものよ!」と歌以外の声も聞こえてきて食傷気味になる。確かに民衆の前でDon't cry for me Argentina〜♪と歌う渾身の力を込めた場面は美しい。でも同時に「うわ〜これがやりたかったんだろうな〜」っていうのがありありでまたゲッソリしてみたり。

そもそも何で私はこの映画を見たのでしょう?(え?)と思ったら、バンデラスの歌が聞きたかったからなのだった。だって歌うまいんだもん。いい声してるし。映画のポスターではバンデラスの背中にすがり付くマドンナの図、だったので2人は恋に落ちたりしてどーのこーのだと思っていたら、バンデラスとの絡みはほとんどなし!バンデラスは庶民であり革命家な役で名前はチェ。つまりチェ・ゲバラなわけです(これは後で知った)でも映画では英雄としてではなく、あくまでも1人の庶民として描いている。意図的にそうしたらしいけど私には物足りなかったなぁ。どちらかというと語り手というか進行役として歌ってるだけだったという。エバちゃんが実は浪費家だったということもサラリと描きすぎ。2時間以上もあった作品なのに格好いい上辺だけをなぞったように思えた。

本当にエビータという人を知りたいと思う人には向かないと思う。
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ある貴婦人の肖像('96オーストラリア=イギリス)-Feb 9.1997
[STORY]
19世紀。両親の死によって米国から英国へやってきたイザベル(ニコール・キッドマン)は、自由を手にする一方、男たちの求婚に戸惑っていた。ある時イザベルはマダム・マール(バーバラ・ハーシー)に出会う。そして紹介されたオズモンド(ジョン・マルコビッチ)に惹かれてゆく。
監督ジェーン・カンピオン(『ピアノレッスン』)
−◇−◇−◇−
予告やCMではずいぶん官能的なシーンだと思っていたあのシーンが、実はぜんぜんそうじゃなかった。ちょっとこれには騙されたぞ(←何を期待してたんだ<自分)結局何が言いたいのか私には最後まで理解できませんでした。揺れ動く女の気持ちを微妙にこう、表現しようとしたのかねぇ。この年代の女性としてはどうなんだろうな。私は『ピアノレッスン』くらいストレートで分かりやすい作品のほうが好きだな。

キッドマンはよく見ると正統派の美人なんだけど、特徴も個性もなく“トム君の奥さん”という括りだったように思う。でも実は野心だけは十分あり余っていて『誘う女』ではかなり頑張ってはいた。けれどこれも期待以上の活躍はしてくれなかった(原作のイメージとはピッタリ合ってたんだけど、あれは作品自体があんまり良くなかったからなぁ)今回のコスプレ系衣装も似合ってはいたけれど「私は芯は強いけど脆い貴婦人なんです」っていう演技が鼻についちゃった。今後に期待。

カンピオンはH・カイテルといいマルコビッチといい、おっさん系が好きですな。もうちょっと若くていい男も出してほしいねえ。おっさんをセクシーに見せる技量はスバラシイと思うが。
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身代金('96アメリカ)-Jan 26.1997
[STORY]
実業家トム・ミューレン(メル・ギブソン)の9歳になる息子が誘拐された。FBIが必死に捜索するが手がかりさえ掴めない。そこでトムはTVを通じて身代金の200万ドルを懸賞金とすると宣言した!
監督ロン・ハワード(『アポロ13』)
−◇−◇−◇−
監督がロン・ハワードだったし、主演が『ブレイブハート』のメルギブだったせいか『アカデミー最有力候補!』とポスターにドカーンと書いてあったけど、実際に見てみて「そうか?」と首をひねった作品。したらやっぱり候補でも何でもなかったですね(笑)スケール的には2時間ドラマでも十分な内容だった。常に緊迫感はあったけれども、特にこの役者が素晴らしいというのもなかった。メルギブ激昂し過ぎ。嘆くシーンは本来同情しなきゃいけないのに、すごく気分が悪くなった。

また、アイデアとしても身代金を懸賞金として犯人を捕まえてやる!というのは面白い。だけど実際にそれがストーリーとして活かせたかどうかというとそれは疑問だ。結局トムが1人で動き回ってて、懸賞にした意味がなかった気がする。金目当てにいろんな人物から犯人が狙われたほうが面白かったのに。というか、それを期待してたんだよ私はさ。予告で見てずっとそう思ってた。西部劇じゃないからそういうことする人いないのかしらね。つまらん。

犯人を捕まえるべく警察やFBIまで動くんだけど、ことごとく失敗するのはそういう機関に対する皮肉とも取れるけど、結局勝つのは子供への愛情だ!というのも何だか陳腐な感じがする。押し付けられてるような気分すらする。最後は大団円だからいいものの、これが失敗したらどうしたんでしょうね〜。
でもね、悪口っぽく書いてきたけど、うまく纏まってて決して悪い作品じゃないんですよ(笑)ただ纏まりすぎててかえって個人的に面白くなかっただけ。安心して見られる作品なことは間違いない。
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評決のとき('96アメリカ)-Jan 9.1997
[STORY]
アメリカ南部の町で2人の白人が10歳の黒人少女を強姦するという事件が起きた。少女は一命を取りとめ犯人は逮捕されたが、少女の父親カール・リー(サミュエル・L・ジャクソン)は裁判所で犯人たちを射殺してしまう。若い弁護士ジェイク(マシュー・マコノヒー)が彼の弁護を引受け、法学生エレン(サンドラ・ブロック)も彼の手助けをするが・・・。
監督ジョエル・シューマッカー(『依頼人』)
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ジョン・グリシャム原作の法廷サスペンス。『ザ・ファーム』と『チェンバー』以外の映画化は全部見てるけど、これはかなりいい出来だ。監督も脚本家もグリシャム作品のツボが分かってきたのかも。原作はもっと長いんだろうけどそれを2時間半にまとめあげ(それでも長いが)弁護士ジェイクの活躍を際立たせている。ジェイク役のマコノヒーがすんごいイイっす。ちょっとニヤケ気味のボールドウィンブラザーズ顔ちっくなところを無視して(笑)がんばれ!がんばれ!って応援しながら見た。今回は検察側のケビン・スペイシー(この人スキなんだけど)がちょっとばかり憎らしく思えたくらい。

そのジェイクが無罪になることはありえないようなこの事件に取り組み、まわりの妨害に耐えながら法廷に立つ。そしてカール・リーの無罪を訴え、彼の最後の一言で評決が決まる・・・いや〜この一言にはやられました!今まで苛々してたのが一気になくなった感じ。まさに土俵際でうっちゃりです。ここは実際に見て欲しいな。

ただ黒人の人種差別については難しくてついていけなかった。KKK団って一体ナニ?(相変わらずダメ人間だ<自分)分かる人には分かるのかなぁ。そっちの人間にキーファー・サザーランドとか出てるんだけど、なんか出たり出なかったりすぐにフレームアウトしちゃってよく分かんない存在だった(私だけか?)

それとちょっと疑問に思うのは、カールは紛れもなく人を殺している。それは事実なんだけど、それに対して有罪か無罪かを争うというアメリカって不思議な国だなぁと思った。日本なら殺人は殺人で有罪確実なわけなんだけど、争点は情状酌量の余地があるかないかなわけで(法律や裁判に詳しくはないけど)故意に人を殺して無罪になることなんてないと思うんだけど。これで無罪になった場合、じゃあ因果応報ってことでこれからはこういう犯罪はいいんだな、っていうことになったらそれは恐ろしいことだと思う。実際はどうなんでしょうかね。あくまでもこれはフィクションとして考えるべきなんだろうか。
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誘惑のアフロディーテ('95アメリカ)-Jan 4.1997
[STORY]
子供のいないレイニー(ウディ・アレン)たち夫婦は養子を迎えることになった。最初は気乗りしてなかったレイニーが親バカになってしまい、彼の実母に会いたいと思うようになる。しかし探し当てた母親は、娼婦リンダ(ミラ・ソルヴィーノ)だった。
監督&脚本もウディ・アレン(『ブロードウェイと銃弾』)
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アフロディーテの神話を知らないんだけど実はこの話、神話になぞらえた話らしい。そのあたりの面白さは分からなかった(勉強不足)。アレンはショボショボしたり慌てたりするところがホントにうまいし、女優の使い方もうまい。でもソルヴィーノの演技って、助演女優賞取るほどのものなのかな?って思った。前に『バルセロナの恋人たち』と『ビューティフル・ガールズ』を見ていて、確かにあれとは違うというのは分かった。でも、いかにも頭悪そうなカン高い声で喋ったり「これが娼婦です!」というファッションで平気で歩いたりしてる姿くらいしか印象にない。そういう役をハーバード出の才女が演じたところが意外性ということで取ったのか?役柄的には娼婦なのにピュアな心を持ったチャーミングな女性ってやつなんだけど(結局男はそういう女性が好きなんだろうね)うんと魅力的にも思えなかったな。

ストーリーも思ったよりも面白くはないんだけど、軽快なテンポで進むので見てて飽きない。インテリアも娼婦が好んで使いそうなものが散りばめられてるようだし(知ってたらもっと面白かっただろうけど、詳しいのも考えものか)細かなところまでこだわりが入ってるらしい。見る人が見ればニヤニヤしっぱなしだったかもしれない。
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