Movie Review 2013
◇Movie Index

劇場版 SPEC〜結〜爻ノ篇('13日本)-Dec 7.2013
[STORY]
“シンプルプラン”のウイルスに感染してしまった当麻(戸田恵梨香)は体調を崩しながらもプロフェッサーJの正体を突き止め、瀬文(加瀬亮)と吉川(北村一輝)とともに急いでJがいる場所へ向かうが、既にJは消え、多くのSPECホルダーが殺されていた。当麻は最終手段として自分のSPECを使うことを決意する。
監督・堤幸彦(『劇場版 SPEC〜結〜漸ノ篇』
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感想は後日。
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遥かなる勝利へ('11ロシア)-Dec 1.2013
[STORY]
1943年ロシア。コトフ(ニキータ・ミハルコフ)は懲罰部隊の兵士としてドイツ軍の要塞に突撃しようとしていた。そこへスターリンの命令によってコトフを探していたドミートリ(オレグ・メンシコフ)が現われる。そして元妻のマルーシャ(ヴィクトリア・トルストガノヴァ)の元に連れていかれる。
一方、コトフの娘ナージャ(ナージャ・ミハルコフ)は従軍看護婦として戦地を巡っていたが、過酷な日々が続いていたため声が出せなくなっていた。
監督&脚本ニキータ・ミハルコフ(『戦火のナージャ』
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1994年の『太陽に灼かれて』、2010年の『戦火のナージャ』に続く三部作の完結編。

前作は戦地でのシーンが多かったが、本作ではナージャの出番は少なく、ドミートリによる贖罪の旅という内容だった。ドミートリはコトフを探し出し、彼に自分を殺してほしいと頼んだり、マルーシャに会わせたりする。自分のせいで幸せだった家族を引き裂いてしまったのだから。私はずっと彼が嫌でたまらなかったが、最後の彼は潔く見えた。ミハルコフもドミートリをただの卑怯な男にしたくなかったのだろう。それがよく分かった。

ロシアの歴史に疎いことと1作目が16年前だったこともあって、前作では見ていてもよく分からない部分があった。コトフが捕まってからのことやマルーシャのことね。それを前作ではあえて説明しておかなかった、ってことが分かってよかった(笑)もともと理解力が足りないんで、分からないなんて私ってやっぱりバカだなぁと思ってたんだ。コトフのあの手も、ああいうことがあったからなのね。

戦地でのシーンは本作でもナージャがいるところだけが生き残ったり、ドイツの要塞が倒れていく様は「そんなんで?!」とコミカルだったり、前作同様にご都合主義なところがあったのだが、それならラストもそうしちゃってよ!「何でラストだけそれなの?!」と裏切られたような気持ちになった。アンジェリーナ・ジョリー主演の『すべては愛のために』も似たようなラストシーンであれも凹んだけど、本作のほうがもっと見たくなかった。だって3作合計7時間以上も見せられてよ、最後にこれだなんてあんまりだわ(泣)あのシーンが実の親子だからこそさらに胸に迫るものがあって、今でも思い出すとちょっと泣けてくる。前作もラストがとても印象的な映画だったが、途中ちょっとなぁと思うところがあっても、ラストがきちんとしてると忘れられない映画になるもんだね。

見た映画館がシネスイッチ銀座だったんだけど、いつもはここオバサマ御用達っていうくらい年配の女性が多い映画館なのだが、この日は見事にオジサマばかり。女性客はあまりいなかった。ロシアで戦争映画だから?ミハルコフファンって男性の多いのかしら。
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グリフィン家のウエディングノート('13アメリカ)-Nov 30.2013
[STORY]
彫刻家のドン(ロバート・デ・ニーロ)は10年前にエリー(ダイアン・キートン)と離婚し、恋人ビービー(スーザン・サランドン)と入籍せず同居していた。子どもはモテるが童貞の長男ジャレド(トファー・グレイス)、子どもができずに悩む長女ライラ(キャサリン・ハイグル)、養子の次男アレハンドロ(ベン・バーンズ)がおり、その次男が結婚することになった。しかしアレハンドロの実母が式に出席することになり、厳格な母に離婚を告げられないドンとエリーと夫婦のフリをすることになる。
監督&脚本ジャスティン・ザッカム(初監督作)
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2005年のフランス=スイス映画『Mon frere se marie』を元に監督のザッカムが脚色したという作品。

結婚式やお葬式を題材にしたコメディっていくらでも面白くできる題材だと思うんだけど、本作は結婚式を題材にして、なおかつこれだけ豪華キャストを揃えながら、はっきり言っちゃうけどよくもまぁこんな駄作を作ったな、と呆れた。

結婚式を直前にして、新郎の養父と元養母、母親代わりだった養父の愛人、出戻り姉、童貞兄、アル中神父、厳格な実母とセクシーな実妹、とキャラクターは悪くない。でもここまで用意しておいてどうして面白くできない?

まず1つめは、エリーとビービーがもともと親友だったっていう設定にしてしまったので、騒動が起きても大事にならなくなってしまった。これがもともと仲が悪かったりライバル同士だったら凄いことになっただろうに。2つめはジャレド。すごいヲタクだったり何か人に言えない秘密でもあって童貞なのかと思ったら、普通に女の子を口説いてるし。単に好みの女の子と出会えてなかっただけかよ!そして3つめは神父モナハンが元アル中っていう設定らしいのだが、すごい真面目ではないけど特にふざけるわけでもなく、ロビン・ウィリアムズを出しておきながら何もない。4つめは、ってもうキリがないけど、面白くなりそうな要素を自ら潰しまくっていた。

結婚式を挙げる新郎新婦だけをマトモに据えて、あとはもっとメッチャクチャにしちゃったほうが面白かったのにな。そのマトモな2人も影が薄かった。特に新婦メリッサを演じたアマンダ・セイフライドなんてほぼ空気。もったいない。せめて花嫁姿は綺麗に撮ってあげてほしかった。

デ・ニーロは積極的に約作りをしなくなって久しいが、やはり上手さを見せる場面があった。『世界にひとつのプレイブック』での息子との会話もよかったけど、本作でもライラと会話するシーンがすごくよかった。この映画、実質主役はライラだったな。つまんなかったけど、彼女が幸そうだったからそれでいいや。
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かぐや姫の物語('13日本)-Nov 24.2013
[STORY]
昔、竹を暮らす翁(声:地井武男)と媼(声:宮本信子)がいた。ある日、翁が竹林に出かけたところ、光り輝く竹があった。近づいてみると中から小さな可愛らしい女の子が出てきた。2人はその子を育てることにする。やがて娘は美しく成長し、豊かになった夫婦とともに都で暮らすことになった。そして娘はなよ竹のかぐや姫(声:朝倉あき)と名付けられた。
監督&脚本・高畑勲(『おもひでぽろぽろ』)
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原作は言わずと知れた日本最古の物語と言われる『竹取物語』で、監督の高畑と脚本家の坂口理子が共同で脚本を手がけた。
翁を演じた地井は2012年に亡くなっているが、先にセリフを収録するプレスコ形式を採用していたため、前年に声の収録は完了していた。また、製作の氏家齊一郎も完成を待たずして2011年に亡くなっている。

高畑の前作『ホーホケキョ となりの山田くん』と同じく、水彩画・水墨画のような手書き調の映像のため作画数が通常の3倍となり、しかも上映時間は137分。最終的に約50万枚を超える作画数となったそうだ。『崖の上のポニョ』で17万枚だというから凄まじいものがある。2005年から制作が始まったということで期間も長かったこともあり、制作費は52億円と日本アニメ史上最高額となった。

でもね、パッと見、そんなにお金がかかったって分からない。余白(白い部分)が多くて色が薄く、絵はラフスケッチみたいだもの。何も知らない人が見たら手抜きに見えちゃう。よく見ると細かいところまでこだわった映像だって分かるんだけど、そこをこだわったからといって全体がよく見えるわけでもないしね。予告で使ったシーンだって、何でそれ(かぐや姫が着物を脱ぎ捨てながら走るやつ)選んで見せちゃったのかなー。本編で通しで見ると何の違和感もない、むしろ強く印象に残るシーンなのに、予告でそこだけ見ると「なんじゃこりゃ」って見る気が失せちゃうじゃない。悪いけどいろいろ勿体ない映画だなと思った。

私も『夢と狂気の王国』を見てなければ、見なかったかもしれない。でも見てよかったと思う。最高ではないけど、宮崎と同じく高畑の最後の作品としては満足。個人的に『おもひでぽろぽろ』が好きなんだけど、女性の心の変化とかちょっとしたところを描くのが上手い人だと思う。そこまで描かなくても、と思うところもあったが、知らず知らずのうちに泣いてしまったところもあった。
絵も余白が多いって書いたけど、あれベッタリ塗られた映像だったら見てて疲れたと思う。ちょうどいいバランスで、もう『かぐや姫』といえばあの絵以外考えられなくなってしまった。自然の風景も美しくて、さすが男鹿和雄だ。あとやっぱり、声優がどの人も違和感ないっていいよね(しみじみ)声優選びについては、はっきり言って宮崎より高畑のほうが上だわ。
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悪の法則('13アメリカ=イギリス)-Nov 23.2013
[STORY]
弁護士(マイケル・ファスベンダー)は恋人ローラ(ペネロペ・クルス)との婚約に高価な指輪を購入した。金が必要になった弁護士は実業家のライナー(ハビエル・バルデム)、ブローカーのウェストリー(ブラッド・ピット)とともに新しいビジネスに手を染める。しかし思わぬトラブルが発生する。
監督リドリー・スコット(『プロメテウス』
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原作はなく、小説家コーマック・マッカーシーによるオリジナル脚本。マッカーシーといえば映画化されて大きな話題となった『ノーカントリー』がある。その作品で殺し屋シガーを演じたバルデムが本作でもヘンな髪形(笑)で出演。今回はシガーみたいな迫力ある役ではないが、彼が弁護士に「ローラはいい女だ」って言うところが一番の見どころかな(笑)

大まかなストーリーも『ノーカントリー』とよく似ている。どちらも舞台はアメリカとメキシコの国境地帯であり、麻薬取引でトラブルが発生して次々と事件が起こっていくというもの。『ノーカントリー』はシガーに殺しを依頼したボスは全く登場せず、ストーリーの全体像はよく分からなかった。本作もまた、弁護士が裏の仕事に手を出すのだが、その裏の仕事がはっきり分からない。さらにその仕事を巡って殺し合いが起こるんだけど、誰が命令してどっちがどうなのか分からない(最後に一方の黒幕が分かるので、そこで辿っていくしかない)それでも『ノーカントリー』はシガーという圧倒的な存在があったから作品が成り立っていたが、本作はそういう存在がいないため、全体的にぼんやりしてしまった。主役の弁護士は右往左往してるだけだし。キャメロン・ディアスが演じたライナーの恋人マルキナは女豹メイクとタトゥにインパクトがあり、ライナーも驚くような行動を取るキャラクターだったが、怖くはなかったし出番がそれほど多くないため物足りなかった。

登場人物は怖くなかったけど殺人シーンはどれも「こんな死に方、絶対ヤダ!」っていう酷いものだった。街中で起こるやつは特にキツかったなぁ。まともに見れなくて思わず目を背けてしまった。あとDVDは前フリがあったせいか、すぐに「あれか!」と分かってしまった。あのシーンは上手かった。他はいまいちでも殺しのシーンにはどれも力が入っていたように思う。見せ場がそこしかないからか?(失礼)
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