Movie Review 2013
◇Movie Index

すべては君に逢えたから('13日本)-Nov 23.2013
[STORY]
クリスマスに施設で上演する舞台を最後に女優をやめて帰ることを決めた玲子(高梨臨)は、最後の東京の思い出に高級レストランで1人食事をする。そこで会社を経営する和樹(玉木宏)と出会う。その後、バーでも一緒になり玲子は和樹を追いかけてきたと勘違いされる。
デザイン会社で働く雪奈(木村文乃)は建設会社で働く拓実(東出昌大)と付き合っているが、震災復興で拓実が仙台に行くことにな遠距離恋愛となるが、すれ違うようになる。
新幹線の運転士だった正行(時任三郎)は不治の病で会社を辞めるが、息子にそのことを告げられずにいた。妻の沙織(大塚寧々)は家族の最後の時間を大切にしようとする。
監督・本木克英(『鴨川ホルモー』)
−◇−◇−◇−
2014年12月に開業100周年となる東京駅の開業記念作品。東京駅、JR東日本、東京ステーションホテルなどが全面協力し、撮影にも使われている。

実は私の勤務地は東京駅が最寄りだ。復原工事が始まる前から現在の綺麗な駅舎になるまで毎日見てきたので愛着がある。予告を見る限りストーリーは微妙かなぁと思ったんだけど、余命わずかの男の家族の物語はなかなかよかった。脚本を書いているのがTVドラマ『僕の生きる道』の橋部敦子だからかな、ベタベタしないけど泣かせるのが上手い。あと子役(山崎竜太郎)の演技が自然で、子役特有のセリフ回しじゃなくて驚いた。

6つあるストーリーのうち、メインは玉木がメインの話かと思ってたら違ったのね(ポスターの一番いい位置だったんで)遠距離恋愛カップルの話のほうが中心だった。うーん、こういう役って演じる役者の度量が試されるっつーか、キャラクターで差が出るもんだね。女の子の不安な気持ちは分かるんだけど、キーキーしすぎて同情しにくい。逆に男のほうは連絡しなかったりでやってることは悪いんだけど、モッサリしているせいかあまり憎めない。もう別れてしまえや、なんて思ってしまった(ごめん)
メインだと思ってたほうのストーリーはヒネリがあって悪くなかったが、キュンとするようなロマンチックさがちょっと足りなかった。そういうムードが出せないなら、秘書が全部仕組みました♪っていうコメディタッチにしちゃったほうがよかったんじゃないかな(笑)

どんな風に撮影しているのか楽しみだった東京駅は、思ったよりも出てこなかったな。確かに人が多いから撮影は大変だったと思う。終電後の夜中に撮影したり新幹線も特別列車を走らせたりしたそうだし。でも東京駅といえばこれ!の銀の鈴や動輪の広場、復原後にできた富士山壁画とか、有名な場所で出会いがあったり待ち合わせしたりするシーンが見たかったな。単に自分がよく通るから見たかっただけですが(笑)
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夢と狂気の王国('13日本)-Nov 17.2013
[EXPLANATION]
アニメーション監督である宮崎駿を中心に、『風立ちぬ』が製作されているスタジオジブリ本社の様子などが描かれるドキュメンタリー。
監督・砂田麻美(『エンディング・ノート』)
−◇−◇−◇−
宮崎駿監督の『風立ちぬ』と高畑勲監督による『かぐや姫の物語』を制作しているスタジオジブリの日常を描いている、とあったが、ほぼ宮崎に密着した映画だった。
宮崎についてはNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』でもさんざん密着を見ているせいか「ま〜た同じこと愚痴ってるよ」と思いつつも、相手が女性なせいか受け答えが柔らかくて茶目っ気出してるなぁと、その違いを楽しんだ(笑)それから映画の最後に宮崎が砂田に語ったこと、これだけでも見て良かったなと思った。彼のアニメはこういうイマジネーションからきてるんだって分かった。そういえば私も年齢がヒトケタの頃はこんな夢みたいなことを考えていた。でも今じゃいくら妄想族でも(笑)全くそんなことは考えない。70超えても窓の外の景色を眺めながらファンタジックなことを考えられるって凄いなぁと。

また『プロフェッショナル』と違ったところは、他の人物もちょいちょい顔を出していること。プロデューサーの鈴木敏夫や『風立ちぬ』の主人公の声を演じた庵野秀明の出番も長かった。声を誰にするか決めかねている会議で鈴木が庵野の名前を出して、宮崎が「庵野か〜」って言いながらニヤニヤしているのを見て思わず2人に殺意が沸いたが(何か内輪ウケで決めたみたいでさ)庵野のことホントに買ってるんだな、好きなんだなって分かった。庵野も宮崎のこと慕ってるし。アテレコシーンも和気藹々で楽しそうで、出来がアレじゃなければ微笑ましいシーンだった。でも、このアテレコを先に見てたら『風立ちぬ』本編は見るのやめようかと思ったかも。先に見ておいてよかったな。

逆にこの映画を先に見てから本編を見てよかったと思ったのは高畑勲の『かぐや姫の物語』だった。公開延期となり鈴木やプロデューサーの西村義明らが会見を開いたり全国の映画館を巡業したりする中で、高畑はまったく表に出てこない。このドキュメンタリーにも1シーンしか出てこない(映画ポスターにはいるのに)鈴木たちにけっこうボロクソに言われていて、一体どうなんってるんだ?!それだけ進行がヤバいってこと?!と、あんまり見る気がしなかったんだけど俄然興味が出てきてしまい、結局見に行きました(笑)なんかドキュメンタリーってより宣伝番組だったか?見事に乗せられちゃったな。

あ、あとブチ切れてる宮崎吾郎が面白かったが、そんな理由で怒るなんてまだまだ甘ちゃんだのう。
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劇場版 SPEC〜結〜漸ノ篇('13日本)-Nov 4.2013
[STORY]
前の戦いで負傷した瀬文(加瀬亮)と青池里子(栗山千明)は病院に入院するが、里子は娘とともに病院を抜け出し行方不明になってしまう。瀬文は復帰して当麻(戸田恵梨香)と捜査を始めるが、上司の野々村(竜雷太)が休暇を取る。実は彼はSPECホルダーたちを全滅させる“シンプルプラン”作戦を阻止するべく1人で行動しようとしていたのだった。
監督・堤幸彦(『劇場版 SPEC〜天〜』
−◇−◇−◇−
2010年10月に全10回で放映されたTVドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』とSPドラマ、映画の前作『劇場版 SPEC〜天〜』の続編で完結編、の前編にあたる。本作は“結”を“クローズ”、“漸ノ篇”を“ぜんのへん”と読む。後編は“爻ノ篇”と書いて“こうのへん”と読む。

前作はテレビドラマの延長って感じの展開だったけど、ここにきてようやく人間VSスペックホルダーによる最終戦争、みたいなスケールが出てきたかな。が、わざわざ2本に分けてまでやる内容じゃなかった。はっきり言って前編つまらん!後編での爆発力に期待するしかないが、このままグダグダで終わりそうな予感もする。いろいろあった謎も残したままかもしれない。

というわけで特に前編について語ることはないので後編見てからすべての感想を書きます。以上。
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恋するリベラーチェ('13アメリカ)-Nov 1.2013
[STORY]
1977年。犬の訓練士のスコット・ソーソン(マット・デイモン)は友人に連れられラスベガスでピアニストのリベラーチェ(マイケル・ダグラス)のショーを見る。その後、楽屋でリベラーチェを紹介されたスコットはそのまま彼の恋人兼運転手となる。
監督スティーブン・ソダーバーグ(『サイド・エフェクト』
−◇−◇−◇−
原作はスコット・ソーソンの回想録『Behind the Candelabra: My Life With Liberace』で、映画の原題も『Behind the Candelabra(燭台の後ろに)』である。このタイトルはリベラーチェがピアノの上に燭台を置いたり自宅に大きな燭台をいくつも置いてあったので、そこからつけたのだろう。きらびやかな大スターが隠す真実、みたいな意味かな。

映画はスコットがリベラーチェと出会ってからリベラーチェが亡くなるまでが描かれている。私はリベラーチェってこの映画を見るまで全然知らなかった。調べてみたら日本との関わりって全然なかったみたいね。ゲイであることを隠してギシップが出そうになると潰してたようだけど、メイクして整形して派手な衣装で宝石ジャラジャラで、全然隠せてないじゃん!(笑)って今なら全員そう言うと思うんだけど、当時はそれでも誤魔化せてたのかねぇ(それとも彼の趣味が後のゲイの人たちに影響を与えたのか)

リベラーチェは若い男の子が好きなようで、スコットと出会った時には既に弟子兼恋人みたいな男と険悪な仲になっていた。その時点でスコットも同じような道を辿るようになるんだろうなぁと思っていたら案の定そうなった。その時のシーンはカメラアングルから何から弟子と同じように撮っている。ドラッグに手を出すスコットも悪いんだけど、リベラーチェのほうにも問題があるんだよね。気に入っているうちは甘やかして、飽きてくると他のもっと若い男の子にちょっかいを出し始める。すると贅沢な暮らしに慣れてしまった愛人は捨てられるんじゃないかという恐怖と嫉妬でさらにボロボロになってしまうのだ。

男の嫉妬は見苦しいってよく言われてるけど、こういうものなのかーとスコットとリベラーチェの喧嘩を見てなるほどと思った。男だから無駄に体力あって、怒ると一気に爆発。相手も同性だから手加減しないし、さらに女性的なところもあるから口も立つという。原作が回想録なので映画も散漫なところがあったが、スコットとリベラーチェ2人だけのシーンはどこも見応えがあった。

リベラーチェはマイケル・ダグラスが演じてるってことを忘れるほどで、むしろ一瞬美輪サマに見えちゃう時があって困った(笑)あとロブ・ロウ演じた整形外科医が個人的にツボでした(笑)登場するたびに笑いが堪えきれなかった。
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グランド・イリュージョン('13アメリカ=オーストラリア)-Oct 26.2013オモシロイ★
[STORY]
マジシャンのアトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)オズボーン(ウディ・ハレルソン)リーヴス(アイラ・フィッシャー)ワイルダー(デイヴ・フランコ)の4人は“フォー・ホースメン”というチームを結成し、ラスベガスにいながらパリの銀行から金を盗み出すというイリュージョンを成功させる。FBIのローズ(マーク・ラファロ)とインターポールのヴァーガス(メラニー・ロラン)らは彼らの次の犯罪を阻止しようとするが・・・。
監督ルイ・ルテリエ(『タイタンの戦い』)
−◇−◇−◇−
オリジナル脚本による作品で、原題は『Now You See Me』これはマジシャンの常套句で“Now you see me,now you don't.(見えてますね、ほら消えた)”と使うらしい。私はタイトルの通り確かに見てました。見てたハズだったんだけどなぁ。見事に騙されたわ。

よく考えれば「こんなマジック本当にできるの?」って思うようなのもあるんだけど、テンポが良く勢いで押してくる演出なので余計なことを考えている暇がない。そもそもマジック自体がそういう隙を与えないものなので、これは正しい見せ方なんだと思った。マジックそのものも面白かったし、マジックの裏に隠された秘密についても面白かった。もう1回見るといろいろ分かって、違う面から物語を見て楽しめそうだ。

ただ、最初のとっかかりが分かりにくいのが難点。4人のマジシャンたちがあるカードを受け取るんだけど、これが何なのか詳しい説明がない。一流マジシャンしか加入できない秘密クラブみたいなもの?そこが出す課題をクリアしないと入れないのかも?などと想像で疑問を補って見ていたが、後でパンフを読んだところ“THE EYE”という古代エジプトの時代に誕生したマジック集団で、入会希望者はその指示に従わないといけないんだって。よかった、だいたい当たってるじゃん(笑)
さらに4人のマジシャンはマジックをやってるシーン以外の出番が少なく、彼らがどんなことを考えながらマジックをやってるのか分からないことにもモヤモヤした。あんまり彼らを描いてしまうとネタバレになる危険性もあるしテンポも悪くなるだろうし、バランスを取るのが難しかったと思うが。

逆に説明不足だったおかげで、ひょっとして4人の中に黒幕が?それとも彼らを追う側に?マイケル・ケインやモーガン・フリーマンという超大物もスゲー怪しいが、実は今まで一度も出てきてない奴かも?と、いろいろ想像が膨らんで自分の中で候補がどんどん増えていった。増えちゃったせいで予想を外したかもしれない。そこまで計算して作ってたら凄いな(違うような気もするが)
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