アヴリルの恋('06フランス)-Dec 8.2007 |
[STORY] 捨て子だったアヴリル(ソフィー・カントン)は修道院で育てられ、21歳になり修道女になるための最後の儀式を迎えようとしていた。ところが修道女べルデナット(ミュウ=ミュウ)が彼女に意外な事実を告げる。アヴリルには双子の兄がいて、その子は孤児院に引き取られたというのだ。アヴリルは修道院を抜け出し、途中で出会ったピエール(ニコラ・デュヴォシェル)の助けを借りながら兄ダヴィッド(クレマン・シボニー)の元へ向かう――。 監督&脚本ジェラール・ユスターシュ=マチュー(短編の監督を経て長編デビュー) |
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完全に出演者目当てで見た作品(笑)主演のカントンに共演のデュヴォシェル、ミュウ=ミュウも好きだし、そしてクレマン・シボニーの美形っぷりに萌え!は〜やっぱかっこいい。 ということで、尼僧コスプレ(コスプレゆーな)や水着姿もあり(ポロリもあるよ←おい)堪能しました。 なんてふざけて書いてるけど、ストーリーも悪くなかった。一言で言うと再生の物語。生まれた時から修道女になるために育てられたアヴリルが、初めて外の世界に出て、さまざまなことを体験していく。まるで生まれ変わったように。修道服を脱ぎ捨て裸で海に入るシーンが象徴的だったし、ラストにはちょっと戸惑ったけど(笑)生まれ変わったことを表現しているんだと分かった。 カントンは初々しさがあって修道女がとても似合うのだけど、ちょっとぽっちゃりしてるのが気になったな。もう少し華奢なほうが役柄に合っていたと思う。デュヴォシェルは最初に出てきた時はどう見てもヤンキーで(彼も美形なので個人的にはもったいと思った)胡散臭さ全開。彼を信用して大丈夫なのかとアヴリルが心配になったけど、優しく彼女を導いていく役でどんどん印象が変わっていった。ただ、アヴリルと出会ってそのまま避暑地まで一緒に行って、みんなとバカンスを楽しんでしまうので、彼が一体どういう人間なのかいまいち掴めなかった。そこが残念。「仕事はどうした?」とツッコミ入れるのはフランス映画的に禁句ですかね(笑) 本作を見ていて思い出したのが『クレールの刺繍』だった。ストーリーは全然違うし作品のカラーも違うんだけど、主人公が絵なり刺繍なりに集中している姿を美しく捉えているところと、静寂さを大事にしているところが似てるかもしれない。 |
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エンジェル('07イギリス=ベルギー=フランス)-Dec 8.2007 |
[STORY] 1900年代初めイギリス。幼い頃に父を亡くし、スーパーを営む母と暮らすエンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガライ)は上流階級に憧れ、ロマンス小説を書きためては出版社へ送っていた。やがて彼女の原稿はセオ・ギルブライト(サム・ニール)の目に留まり出版され、ベストセラーになる。エンジェルの小説のファンだった詩人ノラ(ルーシー・ラッセル)が彼女の秘書となり、エンジェルは次々と作品を世に送り出していく。だが、ノラの弟エスメ(マイケル・ファスベンダー)に恋をしてしまったことから、大きく人生を狂わせていく。 監督&脚本フランソワ・オゾン(『ぼくを葬る』) |
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原作はイギリス人作家エリザベス・テイラーの同名小説。オゾンにとって初めての英語作品かつ時代劇。 現実から目を背け自分の世界を築き、その中で小説を紡ぎ出していくエンジェル。その溢れる情熱が周囲を巻き込み、次々と夢を叶えていく。だがそれが長く続くわけがなく、結婚と戦争の始まりとともに激変していく。特にエスメという男に出会ったことが最大の不幸だったと思う。お互いにとって。嘘の中でしか生きられなかったエンジェルと、彼女と一緒では安らげなかったエスメ。全く愛し合っていなかったわけじゃないって分かるんだけど、本当に愛し合っていたかはよく分からない。 2人の新婚旅行のシーンが今時ありえないぐらい稚拙な合成映像で(その前のロンドンを馬車で駆けるシーンもそうだったけど)見てる最中は失笑モノだったんだけど、この嘘丸出しな映像こそ2人の結婚生活そのものを表現したものだったのかもしれない。なーんていいように解釈しすぎかな(どんだけオゾンスキーなんだよ自分) ただ、この作品べつにオゾンが監督じゃなくても・・・とも思った。というか、いつものヒネリや個性が出てなくて、見てて飽きはしなかったけど物足りなかったし、私が見たいオゾン映画じゃなかった。主役のガライがまさにオゾン好みの女の子だな〜と見て楽しんだくらいか。そんな中で、やっぱりシャーロット・ランプリングは出番が少ないながらも抜群の存在感だった。エンジェルを評するシーンに大きく頷いたのは私だけではあるまい。それからノラのエンジェルに対する気持ちは作家に対する尊敬や崇拝だけじゃなくて、やはりゲイ的なものがあったんだろうな。そういうチラッとしたところでオゾンらしさが出ていたといえば出ていたか。 |
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ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた('06アメリカ)-Nov 17.2007 |
[STORY] アメリカ南部の小さな町のダイナーでウェイトレスをしているジェンナ(ケリー・ラッセル)はパイ作りの天才。しかし独占欲の強い夫のアール(ジェレミー・シスト)からは毎日小言や暴力を振るわれていた。我慢できなくなっていたジェンナは家出を決意するが、妊娠していることが分かりショックを受ける。そんな時、新任の産婦人科医ポマター(ネイサン・フィリオン)と出会い互いに惹かれ合う。 監督&脚本&出演エイドリアン・シェリー(『I'll Take You There』) |
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監督のエイドリアン・シェリーは、ジェンナが働く店の同僚ドーン役で出演し、彼女の実娘ソフィ・オルトレイもジェンナの娘役で出演している。そして本作の完成後に他界してしまった。エンドクレジットで彼女へのメッセージが捧げられている。 食べ物を扱った映画が大好きとしょっちゅう書いているけど(笑)予想してたより料理が出てこなかったり美味しそうに見えなかったりと、ガッカリさせられることもよくある。だけど本作は本当に本当にたくさんパイが出てくる。期待を全く裏切らない。アメリカですから中には毒々しくてどう見ても美味しそうじゃないのもあるんだけど、激甘だろうが何だろうが食べてみたいパイもたくさんあった。帰りにキルフェボンで買い込んだのは言うまでもない(笑) ストーリーは途中まではちょっと変わっていて会話も面白い。ジェンナはアールと話す時には、相手の言った言葉を繰り返すだけで自分の意見を言わない。アールはジェンナから賃金を取り上げ、気に入らなければ暴力を振るい、子供が生まれても自分が一番というどうしようもない野郎で、過去に何度も失敗して痛い目に遭っているらしいジェンナはそういう対応しかできないのだ。店のオーナーであるジョー(アンディ・グリフィス)もかなり口うるさい爺さんで同僚たちは苦手にしているが、ジェンナにとったらアールよりヒドイ男はいないからへっちゃら。それにジョーは本当は彼女のパイが大好きで、彼女のことも好きで心配しているが言葉からにじみ出ていて、私はジェンナとジョーの会話が一番好きだった。 自宅とダイナーしか行く場所がなかったジェンナが産婦人科医院という新しい場所に来て、ポマターという新しい人と出会いその抑圧された感情を大爆発させてしまう。ここはちょっと唐突で引っかかったなぁ。だけどここまで不倫をアッケラカンと描かれてしまうと「不倫なんていけない!」と思う観客も驚いているうちに話が進んでしまって考える余地を与えないだろう。主人公だから嫌われたらおしまいだしね。なかなか上手い演出かもしれない。 出産シーンも、出産直前の激痛に怒る様と直後の放心状態、赤ちゃんと初めて対面した時の周りの人も雑音もすべて聞こえなくなってしまうほどの感激、それらもデフォルメされた演出で思わず笑ってしまうのだが、経験者が描いただけあってリアルに感じられるところもあった。だがそこから先はありがちな、想像通りの女性が自立する話になってしまったのは残念。どうせなら最後まで突き抜けてほしかった。 |
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バイオハザード III('07アメリカ)-Nov 16.2007 |
[STORY] ラクーンシティでT-ウィルスが拡散して数年後、感染は世界中へ広がっていた。その間、アンブレラ社のアイザックス博士(イアン・グレン)はアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のクローンの血から新薬を作ろうとしていたが失敗続きで、オリジナルのアリスを捜索していた。そのときオリジナルのアリスはある廃墟で、アラスカが感染の及んでいない地であるというノートを手に入れる。そして離ればなれになっていたカルロス(オデッド・フェール)たちに会いに行き、アラスカを目指すことにするが・・・。 監督ラッセル・マルケイ(『ハイランダー』) |
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『バイオハザード』 『バイオハザードU アポカリプス』の続編。ジョヴォヴィッチのパートナーで1作目を監督したポール・W・S・アンダーソンは、2作目と同じく製作と脚本を担当した。 個人的にはもう見なくてもいいかも・・・と思ってた作品なんだけど、本作で一応ケリがつくんじゃないかと期待して見てみた。うーん、中途半端といえばそうだけど、私はこれで終わっても全然構わないです(笑)パート4なんていらん。だってアリスがさらに強くなってて向かうところ敵ナシなんだもん。相手に触れなくて倒せるんですよ。負ける気がしねえ!ってやつです。だからもういいでしょう、と思うわけです。彼女が戦っている間は安心して見ていられるというのはいいんだけど(ワタシ的にはね)ハラハラドキドキを期待している人には全く面白くないだろう。アリス以外の人間がアンデッドに襲われるところで怖がるしかない。 ジョヴォヴィッチは本作のアクションが一番上手く見える。前2作と『ウルトラヴァイオレット』ではアクションがいまいちだったけど、本作のアクションはかなり良かった。特に二刀流がカッコ良かったな。 物語の冒頭でパート1の回想シーン?と思わせてそうではないというところが一番面白かった。パート1で一番怖ろしかったレーザーが再び登場。よほど好評だったのか、本作では重要なところでこのレーザーが活躍します(てゆーか、こんな使い方はゲームファンには許せないだろうな) パート1と2の間はたった36時間後だったけど2と3では数年の開きがあって、その間に地球は取り返しがつかないような状態になってるんだけど、まるで『マッドマックス』みたいだった。荒廃した世界というとやっぱりこういうイメージなのかねえ。このあたりはワンパターンな感じがする。まぁ日本に住んでいると砂漠化というのがあまりピンとこないからね(逆にほっとくと雑草だらけになっちゃうという)ラストで本作の元を作った日本に敬意を表してくれているのか東京が出てくるんだけど(だが東京メトロの駅名は中国風)砂漠ではなかった。あの人たちがいるということは、世界の中では日本は比較的マシなほうなのかねえ。ハッ!もしかしてパート4は日本が舞台に?!だったらやっぱり見なきゃダメ?(まんまと引っかかる奴) パート2の感想でアイザックスがラスボスかも〜と冗談半分で書いたら本当だったのでちょっと嬉しかった。でもそう思ってた人はたくさんいるか(笑) |
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ディスタービア('07アメリカ)-Nov 11.2007 |
[STORY] 1年前に父親を交通事故で亡くしてから、ケール(シャイア・ラブーフ)はいまだに立ち直れず、学校で教師を殴る事件を起こして3ヶ月間の自宅軟禁処分を言い渡される。家の敷地内から出ると警察へ通報される機械を足首に取り付けられ、外に出られないストレスで参っていたケールは、双眼鏡で周りの家を覗き見することに夢中になっていく。そんなある日、女性が行方不明になる事件で不審な車が目撃されたというニュースを見たケールは、その車が隣人ターナー(デヴィッド・モース)の車にそっくりであることに気が付く。 監督D・J・カルーソー(『テイキング・ライブス』) |
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原案・脚本を担当したクリストファー・B・ランドンは『大草原の小さな家』のマイケル・ランドンの息子。タイトルの『Disturbia』とは、Suburbia(郊外、郊外居住者)とDisturb(乱す、妨げる)を合わせた造語だそうだ。 現代風『裏窓』ということだが、本作での主人公は怪我で外に出られないのではなく教師を殴って自宅軟禁というところがとっても現代的。そして足首に取り付けられた機械はエリア外に出ると警察に通報されてしまうというところがさらに現代的。そして使用料1日12ドルを本人が支払わなくてはならないなんて・・・まさに現代的(笑) 映画はかなり変化に飛んでいて、シーンによって違う映画を見てるような気分になった。父親とケールが絆を確かめ合うヒューマンドラマのような冒頭から一転、アクション映画のような激しい事故シーンへと続き、ギクシャクする母子関係と軟禁状態で追い詰められる主人公――このまま荒んだ雰囲気で進行していくのかな?と思いきや、おバカな親友や近所の悪ガキが登場したり、水着の女の子を舐めるように映したり、一気にお気楽ティーンズムービーへ。だが隣人が殺人鬼かもしれない疑惑が浮上すると、今度は本格スリラーへと移行していく。はっきり言って途中までは気を抜いて見てたんだけど、ケールたちが調査を始めてからはターナーが出るたびに飛び上がるほど驚いたし、クライマックスもめちゃくちゃ怖かった。バカにしててごめんよ。 『トランスフォーマー』を見た時はシャイア・ラブーフの良さが全く理解できなかったけど、本作を見てちょっと分かった気がする。どちらの作品でもちょっと冴えないオタク風味な男の子で、あんまり爽やかじゃない。そんな子が事件に巻き込まれるも、戦って成長しヒーローらしくなり、同時にモデルみたいなナイスバディの女の子をゲットする。ラストがキスシーンってそこまで同じかよ!とツッコミも入れたくなるが(笑)まさにアメリカ男子の夢を見せてくれるわけよ。同性から見るとカッコ良すぎもせず悪すぎもせずで共感を得やすく、異性からは近寄りがたくなくて母性本能をくすぐられるタイプ、なのかなと。日本人の好みからはやっぱり外れてる気がするんだけどね〜。 |
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