Movie Review 2007
◇Movie Index

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序('07日本)-Sep 11.2007オモシロイ★
[STORY]
14歳の少年・碇シンジ(声:緒方恵美)は、特務機関ネルフで働く父のゲンドウから呼び出され第3新東京市へやってくる。だがそこへ“使徒”と呼ばれる巨大な生命体が現れ、迎えに来たネルフの葛城ミサト(声:三石琴乃)に助けられる。ネルフに着いたシンジはいきなりゲンドウから“人造人間エヴァンゲリオン初号機”をに乗り“使徒”を倒すよう命令される。無理だと断ったシンジだったが、代わりに乗るという綾波レイ(声:林原めぐみ)が重症を負っているのを見て乗ることを決意するが・・・。
総監督&脚本・庵野秀明 (『THE END OF EVANGELION』
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1995年にテレビ放映され社会現象にもなったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を、同じスタッフが新たに製作した映画で本作はその第1部。第2部は『破』、第3部は『急』、第4部のタイトルは未定。

なぜ今更また映画化?もうエヴァはいいやーと思ってたんだけど、見た人から絶対に見るべき!と薦められたので迷いながらも見てみた。うーーー面白いじゃないのよーーーー!(笑)

例によって事前にほとんど情報を仕入れないまま見たので、単にテレビ版をそのまま使っているのかと思っていた。テレビ版は何度も見たわけじゃないし、すでに記憶もあやふやだったしね。でもサキエルが第4の使徒と呼ばれているのを見て、自分の記憶では第3だったような気がしたんだけどおっかしいなぁ?と思ったり、エヴァや使徒の見た目が違うような気がしたりして混乱しまくり。後からテレビ版は全く使ってないと知って、もう一度テレビ版と映画版の両方を見たくなったのは内緒だ(笑)

そういえば見終わって感じたんだけど、テレビ版と前の映画版はとにかくシンジが中心にいて、製作側も彼に自分を投影し過ぎ、ひとりよがりになっているように見えた。けれど本作ではシンジを外側から客観的に見つめて描いているように見えたし、視野が広がったように感じた。ミサトがシンジとどう接したらいいか吐露するシーンがあったり、ヤシマ作戦では大勢の作業員たちが懸命に仕事をするシーンも挿入されていて、大人な視点がずいぶん増えている。

だから見てるこちらも大人目線で映画を見るようになり、大人以上の責務を負っている14歳の少年少女が健気に映った。戦いたくなんかないけど、自分にはこれしかとりえがないからと、負傷してもまたエヴァに乗り込む。テレビ版を見た時には全く感じなかった情が湧いてきて、ヤシマ作戦でのシンジとレイには何だか泣けてしまった。やっぱりトシ取ったのかなぁ製作者も自分も(笑)

前の劇場版を見た時には、もうエヴァはたくさんだと思ったけど撤回!最後までついていきます(笑)
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デス・プルーフ in グラインドハウス('07アメリカ)-Sep 2.2007オモシロイ★
[STORY]
テキサス州オーステイン。DJのジャングル・ジュリア(シドニー・ターミア・ポワチエ)は仲間たちとバーで楽しんでいた。そこにドクロマークがついた不気味な車に乗ったスタントマン・マイク(カート・ラッセル)がやってくる。彼は車で女の子たちをひき殺すのを趣味にしていて、店を出た彼女たちを追跡しはじめる――。
14ヶ月後、テネシー州で映画の撮影を終えたスタントウーマンのゾーイ(ゾーイ・ベル)やメイク係のアビー(ロザリオ・ドーソン)らは、売りに出されていた憧れの車ダッジ・チャレンジャーを試乗しに行く。ゾーイがボンネットに乗る危険なスタントをして楽しんでいると、スタントマン・マイクが彼女たちに襲い掛かってきた!
監督&脚本&出演クエンティン・タランティーノ(『キル・ビル Vol.1』
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アメリカでかつて流行した、B級映画ばかり上映する映画館“グラインドハウス”を甦らせようとロバート・ロドリゲスとともに製作した。本作はタランティーノ版のみだが『グラインドハウス』はロドリゲス作品とフェイクの予告編4本を合わせた191分ある。

車を走らせながらダラダラと会話をする3人の女の子。彼女たちがどういう人間で、何の目的で車を走らせているのか最初はなかなか掴めない。フィルムに傷があったり音が急に大きくなったり、繋ぎがおかしな箇所がふんだんにある映画で(これはわざとね)最初はそんなところが面白くて飽きないが、それに慣れてくると彼女たちの会話のつまらなさに退屈してくる。

バーに到着してようやく全体が理解できるものの、一体いつ話が盛り上がってくるんだろう?と思っていたところにスタントマン・マイクが登場。ここからようやく面白くなってくる。そして思わぬアクションに度肝を抜かれ、お約束なスプラッター映像に思わず笑いがこみあげてしまう(残酷なのは好きじゃないんだけど、これは笑うしかなかった)

14ヵ月後は同じように4人の女の子が車を走らせていて、スタントマン・マイクが彼女たちに目をつける。だが、そこから先は14ヶ月前とは違う。CGなしのカーアクションに手に汗握り、興奮して、最後はスカッと爽快な気分になる。なるほど、14ヶ月前のエピソードはこれの壮大な前フリだったわけだ。
ラストは普通の映画なら「え?これで終わり?!」とビックリしてしまうけど、この映画ならこれでいいんだと納得してしまう。ひょっとして、 このオチのためにこういう映画にしたんじゃないかと勘繰ってしまったほどだ(笑)

登場人物ではラップ・ダンスを踊ったアーリーン(ヴァネッサ・フェルリト)が個人的に一番気になる存在だった。美人じゃないけど唇が魅力的。あとダンス中の出っ腹が(笑)それから意味なくチアガールの格好をさせられ、最初から最後まで特に何もせず、最後は放置されるままのリー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)も気になった。どっかで見たことある子だなぁと思ったら『ダイ・ハード4.0』のルーシーだったか。
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恋するマドリ('07日本)-Aug 26.2007
[STORY]
美大生のユイ(新垣結衣)は一緒に暮していた姉の結婚を機に、2人で住んでいた部屋から小さなアパートに引っ越した。だが、元の部屋に忘れ物をしたユイは、新しい住人のアツコ(菊地凛子)が何とユイが住む部屋の元住人だったことを知る。一方、新しく始めたバイト先には、アパートの上の階に住んでいるタカシ(松田龍平)がいた。彼は森林の研究をしていて、ユイは次第に彼に好意を持つようになる。だがタカシは突然消えた恋人のことをユイに話した。彼女は以前ユイが住んでいた部屋にいたと・・・。
監督&脚本・大九明子(『意外と死なない』)
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インテリア雑貨ブランドFrancfrancの創立15周年記念作品。同じく15周年記念でエクササイズ・フィットネス用品を立ち上げたそうで、そのチーフデザイナーがKABA.ちゃん。最初なんでKABA.ちゃんが映画に出てるんだろう?と思ったんだけど、そういう繋がりがありましたか(笑)ホントにチョイ役だったけど、裸の男たちの中で仕事ができて本人的には嬉しかったり?

よく考えればおかしな話だ。偶然が重なることについては無視したとしても、ユイとアツコの引越しに時間差があるならまだしも、同時期に部屋が入れ替わるというのは物理的に無理じゃない?荷物を出して部屋をクリーニングして鍵を付け替えて、っていう作業が1日で終わるとは思えない。と、根本的なところの疑問がないわけではないが、こういうシチュエーションは嫌いではないので(似たようなので『ターンレフト ターンライト』とか)なかなか楽しめた。

繊細というよりは、ちまちまっとした演出に女性らしさがにじみ出ていて『犬猫』を見た時と同じような印象を受けた。本作は特に主人公がこまごました作業が好きな性分らしく、それが映画全体のカラーになっている。私はこういうテンポの作品も好きなので、心地よく見ていたが、クライマックスは盛り上げようとしたのか、ユイがアツコを追いかけて空港へ行くシーンだけは違和感たっぷり。せっかくいい流れできてたのになぁ。屋形船まではギリギリだけど、立ち入り禁止区域への侵入はやりすぎだった。

私が一番いいと思ったのは、アツコの居場所を知りたいタカシに対して、タカシを好きになりはじめたユイが言い出せないところ。意地悪とか邪魔したくて言わないんじゃなく、どうしたらいいか分からず困り果てているというのがよく分かる。むしろ、お人よし過ぎる!タカシを奪ってしまえ!と応援したくなるほど(笑)だからタカシがユイのことをちょっと意識するシーンも好きだ。タカシという役に龍平では若すぎるような気もするが(「先生」って呼ばれるようには見えない)ボソボソ喋るところや、仕事に夢中になりすぎて他に神経が回らないところはハマってたかな。ちなみに私もこういうタイプの人は好きです(聞いてない)

実はこの映画、私は見る気が全くなかったんだけど、Francfrancが好きな友達に誘われてお付き合いで見た。友達はFrancfrancの雑貨がもっとフィーチャーされると期待していたらしく、それがほとんどなかったためにガッカリしていたが、私は内容が楽しめたので誘ってくれて良かったな、と思ってます。
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厨房で逢いましょう('06ドイツ=スイス)-Aug 26.2007
[STORY]
南ドイツで小さなレストランを営むグレゴア(ヨーゼフ・オステンドルフ)は、休憩時間に行くカフェでウェイトレスのエデン(シャルロット・ロシュ)を見るのを楽しみにしていた。エデンは夫クサヴァー(デーヴィト・シュトリーゾフ)とダウン症の娘レオニーと暮らしていて、夫婦仲は悪くなかったが倦怠期に入っていた。ある時、グレゴアが噴水に落ちたレオニーを助けたことから親しくなり、彼の料理の虜になってしまう。そして毎週グレゴアの店に通うようになるのだが・・・。
監督&脚本ミヒャエル・ホーフマン(『Sophiiiie!』)
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劇中の料理はドイツ人シェフ、フランク・エーラーが担当。第35回ロッテルダム映画祭で観客賞を受賞した。

レストランが出てくる映画は大好きなので、この映画ももちろん楽しみにしていた。けれど最初にグレゴアが料理するシーンで唖然。鳥の羽をむしるシーンはいいんだけど、ソースに手を突っ込んだり顔になすりつけたり・・・。もしかしてこの映画ダメっぽい?と嫌な予感がしつつ見終わって・・・もうダメどころの話じゃない。腹が立った映画だった。

料理する映像も汚かったけど、出来上がった料理もあまりおいしそうに見えなかった。映像が暗いので全部茶色に見える。そして食べ方も汚い。いくらいおいしいからって鍋から直接食べたり、舌で皿をペロペロするのはいかん!グレゴアが作る料理は“エロチック・キュイジーヌ”と呼ばれ、食べた人を官能の世界へ誘うという設定らしいが、単に動物的な本能がむき出しになっちゃうだけに見えた。どこが官能なのかと。もうガッカリ。

そして一番腹が立ったのはエデンという女。厚かましいにも程がある。グレゴアの料理に触れて彼の本質を理解して好ましく思うようになるというより、彼の気持ちを知りながら予約がいっぱいのレストランに押しかけてタダ食いしまくってるだけにしか見えなかった。さらに夫とうまくいってるとか妊娠したとか、よくしれっとした顔で言えるね。彼女の旦那もアホ(バッサリ)グレゴアに怒りをぶつける前に自分の意地汚い嫁を何とかしなさいよ。

このしょーもない夫婦のおかげでグレゴアは相当酷い目に遭う。でも今まで料理にしか興味が持てなかった彼が、女性を愛することや新しい経験をしていることに喜びを感じているので悲壮感がなくて、見てるこっちも救われる。でもやっぱり嫌な映画だったなぁ。思い出すだけでも腹が立つ。もう忘れよう!
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トランスフォーマー('07アメリカ)-Aug 22.2007
[STORY]
中東カタールの米軍基地。突如、未確認ヘリコプターが基地に着陸し、ロボット型へと変形し無差別に攻撃し始める。何とか逃げることに成功したレノックス大尉(ジョシュ・デュアメル)ら数人の兵士たちは、このことを報告しようと街へ向かうが、そこでもロボットに襲われてしまう。
一方、高校生のサム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)は、探検家だった祖先の遺品を売って車を買おうと躍起になっていた。そして念願の車を手に入れ、憧れの女の子ミカエラ(ミーガン・フォックス)を助手席に乗せることにも成功。しかしそのその車が何とロボットに変形してしまい・・・。
監督マイケル・ベイ(『アイランド』)
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タカラトミーの変形ロボットおもちゃトランスフォーマーがアメリカでヒット。その後マーベル・コミックによってマンガやアニメ化され、本作はその実写版。アメリカ国防総省やアメリカ軍が全面協力している。日本は製作に係わっていないが、映画の中でロボットを見て「きっと日本製だ」というセリフがあったりして、日本人が見たらニヤリなシーンがある。

予告ではメガトロン(反乱軍)が人間を襲うシーンばかりで、オートボット側(地球人の味方)のロボットがほとんど出てこなかったが、やはり登場させてしまうと「オモチャっぽーい」と思われてしまうからだろうか(笑)あのカラフルなところがチープなんだよね。メガトロンと並ぶと弱そうに見えてしまう。
でも芸人としてはいい腕もってるわ〜彼ら(芸人て)ていうか、こんなに笑える映画だとは思わなかった。サムの家族に見つかりそうになって巨大な身体をムリヤリ折り曲げて隠れたり、庭で自動車に変身してサムに怒られたりして、なんだか可愛くなっちゃった。もう戦いはいいから、彼らが苦労しながら地球で日常生活を送る続編を作ってくれないかな、もちろん実写で(笑)で、オチはいつもサムに怒られるという。ボケとツッコミも完璧だ(だから芸人にするな)

ドラマとしてはものすごく大味。地球に落ちたキューブ(機械に生命を与えるエネルギー体)を巡ってロボ同士が対立。キューブのある場所の鍵を握る高校生が戦いに巻き込まれるというもので、戦っては逃げての繰り返しでヒネリがない。一緒に行動を共にするうちに徐々にサムとロボットには信頼関係が、そしてサムとミカエラは愛情が・・・なんだけどこれも“お約束”以上のものがない。

映像では、戦うシーンがごちゃごちゃしてて何をやっているのか分かりにくく、興奮できずにボーッと見るだけになってしまった。特にロボット同士の戦いはやっぱりオモチャっぽい動きになり、ロングショットが多いので「勝手にやってくれ」という感じ。もう地球人にとってはいい迷惑だわ〜ホントに(苦笑)

ラブーフは次々と大きな作品への出演が決まっているらしいけど、タレ目気味で私は苦手な顔だ。それより大尉のほうが男前。ただ演技は引っかかるものがなかったなぁ。他の役者も同じようなもんだけど。ギャラの高い役者は使わずに、そのぶん映像にお金を掛けたらしいが。そんな中でジョン・タトゥーロが演じたセクター7の捜査官は楽しませてくれた。下着姿を晒したり嬉しそうにキューブの説明したり。作品のいいアクセントになってました。アクセントといえば、ラジカセや携帯に変身するトランスフォーマーがこの映画で一番いい働きをしてたかもしれない(笑)
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