Movie Review 2003
◇Movie Index

ラスト サムライ('03アメリカ)-Dec 10.2003
[STORY]
明治維新後の日本。近代国家を目指す日本政府は、アメリカからネイサン・オールグレン大尉(トム・クルーズ)を招き、 軍隊を訓練する教官として雇い入れた。そして政府に反対する武士と戦うが、ネイサンは武士たちに捕まってしまう。 武士たちが暮らす村を治めているのは勝元盛次(渡辺謙)という男で、ネイサンは次第に彼や他の武士たちの精神に 心を動かされていく。
監督&脚本エドワード・ズウィック(『マーシャル・ロー』)
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第61回ゴールデングローブ賞にトム・クルーズと渡辺謙、作曲のハンス・ジマーがノミネートしている(2003年12月時点)

私の中ではトム・クルーズは“トム君”という表記で統一していますのでご了承下さい。バカにしているわけではありません。単に呼びやすいので。ちなみにヴィンセント・ギャロは“ギャロ様”です。

日本と日本人を題材にした映画の中で(自分が見た中では)一番熱の篭ったものを見たという感じ。ここまで日本人が高潔な人間として描かれると、誇らしいというよりも気恥ずかしいなぁ。これを作るための情報収集や勉強も相当したんだなぁと思わせるもので、日本の風景や生活に多少の違和感はあれど、激しく突っ込むような描写もなく、かえって自分の日本に対する知識のなさにガックリしてみたり。

日本人出演者にしても、日本のドラマや映画で見る彼らよりも相当上手に見えて愕然とした。子役もすごくうまくて驚いたよ。どうやって演技指導したのやら。渡辺謙は勝元という役柄で得してる部分も大きいが、何しろ迫力たっぷりで見事に存在感をアピールしている。アメリカ人にも評価されたのはとても嬉しい。

そしてトム君にもまた(個人的に彼の演技については、彼は大スターすぎて役者として見ることができないのでパスするが)所作や殺陣を相当努力して習得したのだなぁと感動してしまった。剣術の腕とともに着物の着こなしが次第にサマになっていくところも良かった。

しかしラストシーンを見て「やっぱりいつものトム君映画だ・・・」とガックリ膝を落としそうになったのも事実。本人の希望だったのか、監督が気を使ったのか知らないけど、あそこはナレーションだけで留めておくべきだった。あれが現実ではなく、グレアム(ティモシー・スポール)が想像したことだったとしても、わざわざ見せるもんじゃない。あれさえなければいい映画だったのに。クライマックスで流した私の涙を返せ!と思わずスクリーンに向かって叫びそうになりました。
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バッドボーイズ2バッド('03アメリカ)-Dec 7.2003
[STORY]
マイアミ警察のマイク(ウィル・スミス)とマーカス(マーティン・ローレンス)のコンビは麻薬密輸事件を担当するが、相変わらず派手にやらかしては失敗し、上司に叱られていた。ある時、連邦麻薬捜査局に勤めるマーカスの妹シドがこの事件に関わっていることを知り、彼女を止めようとするが、麻薬シンジケートに捕まりキューバに連れ去られてしまう。
監督マイケル・ベイ(『アルマゲドン』
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1995年の1作目から8年、1作目の3倍の制作費で作られた続編。見るつもりなかったんだけど、実は1作目もちゃんと劇場で見たことを思い出し(笑)これも見てきた。本当にお金掛かってるってことが実感できる映画だった。長い上にこれでもかとアクションてんこ盛りで、途中ですでにおなかいっぱいなのに、残りは無理やり口にぎゅうぎゅう詰められたという感じ。本当に疲れた・・・。

これでストーリーが面白ければ文句はないが、あんまり面白くなくてねー。2人掛け合いが面白いところもあるんだけど(マーカスがラリっちゃうところや電気屋でのお尻痛い話)死体をいじくりまわすところで下手に笑いを取ろうとしたところは失敗でしょう。あれは本当に笑えなかった。むしろ引いた。本当にあれが面白いと思ってるのかね?(と聞いてみたいよ)

アクションは高速道路でのシーンがすごかった!ここだけは何度か見直したいくらい。ウィル・スミスもこのシーンが一番カッコイイ。もうここで終わりにして良かったのにね。妹奪還シーンなんか全く別の映画になってたし。本当にこんなことができるならどうしてイラクは(以下規制)
死体のところとラストを削れば120分以内におさまって、面白いアクション映画になったと思うんだよなあ。やりすぎは本当に良くない。もしパート3ができたとしても、次は見ないと思う。

どうでもいいけど、麻薬シンジケートのボスがクリス・ペプラーそっくりなのが気になって、他にどんな映画に出てるんだと調べてみたら、『パズル』に出てた“カエル”だったんだ!全然顔が違うじゃーん。
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フォーン・ブース('02アメリカ)-Nov 24.2003
[STORY]
ニューヨーク8番街。携帯電話で次々にクライアントに電話を掛けまくるスチュ(コリン・ファレル)は、浮気相手と電話する時だけ電話ボックスに入って結婚指輪を外している。そんなある日、ボックスの電話が鳴り、思わず受話器を取ったスチュは電話の声の男から「電話を切ったら殺す」と脅される。
監督ジョエル・シューマッカー(『8MM』
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電話ボックスの中だけで展開する映画ができないか?という脚本家ラリー・コーエンのアイデアから生まれたという本作。場面が変わらない映画でどこまで引っ張るんだろう?と疑問だったけど、上映時間を81分にしたところがよい(映画の中の時間経過もほぼ同じ)でも最初と最後のCGはいらないと思ったなぁ。こんなところに金をかけずに作って欲しかったんだが。

序盤から警察に包囲されるまでは息もつかせぬ展開で面白かった。でもそこから詰まってしまったのが残念。なんかね、スチュのほうが有利になりそうになると必ずスチュの奥さんが狙撃者の射程圏内に入ってくるのよ。それでまた形勢逆転。犯人と奥さんとの素晴らしい連携プレイです(笑)最初グルかと思ったほど。途中で浮気相手は放置されちゃうし、この2人の女性の使い方はもうちょっと何とかならなかったんだろうか。あとボックスの天井のアレにも興ざめ。そこはまるごといらなかったと思う。

短いとはいえ81分を1日で撮影できるはずもなく、20日くらい掛かったようだけれど、ファレルのヒゲの伸び具合をきちんと確かめながら撮っていたようで、違和感なかったところに妙に感心してしまった。スチュはこの体験によって心を改めたが、ファレル自身も一度体験してみてはどうだろうか?(と毒を吐いてみる)
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ブラウン・バニー('03アメリカ=日本)-Nov 22.2003
[STORY]
バイクレーサーのバド(ヴィンセント・ギャロ)は、ニューハンプシャーでのレースを終え、次の開催地であるカリフォルニアへと車を走らせていた。途中、花の名前を持つ女を見かけては声を掛けるが、満たされることなく再び車を走らせるバド。彼は恋人デイジー(クロエ・セヴィニー)との幸せだった日々を思い出していた。
監督&脚本&撮影&編集などもすべてヴィンセント・ギャロ(『バッファロー'66』
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私の中ではヴィンセント・ギャロは“ギャロ様”という表記で統一していますのでご了承下さい。大ファンというわけではありません。単に呼びやすいので。ちなみにトム・クルーズは“トム君”です。


2003年カンヌ国際映画祭コンペティション出品作品。オープニングクレジットからラストまで大ブーイングを受けたという問題作。日本は世界に先駆けての上映となっており、劇中のボカシもギャロ様自身の手によるものらしい(笑)

初日の1回目に見ようと30分前に行ったところすでに長蛇の列で、係員からお立ち見ですと言われてビックリ。まぁそれほど長い映画じゃないから立ってみてもいいかと並びつつ「カンヌでブーイングを受けたって日本じゃ大人気だよ。良かったねギャロ様!」なんて喜んでいたのに、入ってみれば埋まった客席は3分の2程度。ただし限定Tシャツはあっという間に売り切れ。もしかしてTシャツだけのために並んだ奴いる?(ヤフオクにも出てるし〜)

映画はギャロ様全開映画でしたね。ブーイングが起こっても別に不思議ではないかな(でもオープニングクレジットからブーイングってのは単に嫌がらせだと思う)主人公は一体何をしたいのか?どういう人物なのか分からないから、じれったくてしょうがない人もいるだろう。そして後半のボカシもね。ギャロ様自身に寛大(?)でないと受け入れられないかも。私はもちろんギャロ様に甘い(笑)だって茶色いウサギをタイトルに持ってきちゃうような乙女心を持つ人だよ!ヒロインにデイジー・レモンなんて名付けちゃうようなポエマーな人だよ!そんな人をどうして嫌いになれようか(ってこれがギャロ様の作戦だったら相当なもんだな)

バドの旅は終わらない。『メメント』の主人公の如く、他人を傷つけ自分を傷つけては、いつのまにかまたふりだしに戻る――(とギャロ様に倣いポエムって終了)
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マトリックス レボリューションズ('03アメリカ)-Nov 21.2003
[STORY]
『マトリックス』『マトリックス リローデッド』の続き。
現実世界でパワーを使って意識を失ったネオ(キアヌ・リーヴス)は、マトリックスと現実の間に取り残されていた。トリニティー(キャリー=アン・モス)とモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)はセラフの助けを借りてネオを助け出す。ネオはザイオンを救うため、マシン・シティの中心部へ行くことを決意するが、人間に乗り移ったスミス(ヒューゴ・ウィービング)の妨害に遭う。
監督&脚本ラリー&アンディ・ウォシャウスキー(『マトリックス』)
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三部作の完結編。監督はこれ以上の続編はないと(今のところ)断言している。

やはり一部、二部を超える面白さはなかった。一番はやっぱりネオとスミスが強くなりすぎたせいだろう。二部ではネオが登場する前までの高速道路のアクションシーンが一番の見どころだった。そして三部はナイオビとミフネの活躍に息を飲んだ。しかしクライマックスがネオとスミスの戦いだったため、そこでテンションが一気に落ちて終わってしまった。組み合ってる2人を見て「早く終わりにせえよ」としか思わなくて。単に人形同士がやりあってるみたいなんだよね。いくらすごい映像を見せられても、やっぱり観客は(敵が機械だとしても)生身の人間が戦う姿に感動するものだ。

これに加えて、話の纏め方もこれしかなかったというか、しょうがないよね・・・としか言いようがないものだった。(ますますテンション下がってるじゃん!)一部ぐらいの規模なら良かったのに、二部で登場人物も話も広げすぎてしまったツケが三部で一気に襲ってきたという感じ。まぁ一部公開から4年も経ってて、この手のストーリーに観客が慣れすぎて新鮮味がなくなったせいもあるんだろうな。技術的に今でないと作れないシーンもたくさんあるんだろうが、やはり鉄は熱いうちに打てというか、人々が新鮮に感じているうちに続編を作っておくべきだったのかもしれない。

ところでネオとスミスの対決が『ドラゴンボール』みたいだと思ってたけど、最後は『風の谷のナウシカ』みたいでびっくり。そう思った人は多かったようで、ネットで検索かけてみたらいっぱい出てきました(笑)『攻殻機動隊』にはじまり『ドラゴンボール』を経由して『ナウシカ』で締めですか。フルコースをありがとう。さて次回作は?
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