黒点病(Black Spot)/病菌名:Diplocarpon rosae Wolf


症状

最初に、2〜12mm程度の黒点が葉面に発生。黒点と言っても円形とは限らない。また紙の上のインク染みのように、境界が明瞭でなかったり、放射状に黒色部分が拡がる場合もある。黒点部分の周囲は、黄変し始め、黄変が葉全体にわたって、落葉する。病菌は黒点部分にのみ存在しており、葉の黄変は、病菌・葉双方の代謝活動(エチレンの生成等)に起因する。耐病性の高い品種の場合は、黒点のみが発生し、黄変とそれに続く落葉が生じない場合もある。 
また、若いシュートの表面に、赤紫の斑点が現れることがあるが、これがもとで枝が枯れることはめったにない。しかし、
この変色部分で病菌が越冬するので注意がいる。

感染経路・条件

胞子(分生子)は、22〜26℃で、湿った葉面上で9〜18時間で発芽する。ここで重要なのは、黒点病菌の胞子が発芽するためには、かりに湿度が100%であっても、実際に「濡れ」ている時間が5分間以上必要なことである。また、葉に感染するには、さらに7時間以上の「濡れ」時間が必要となる。マンションのベランダや、温室内のように葉が濡れにくい環境では黒点病の発生が問題とならないのは、このためである。続いて、発芽した胞子から「発芽管」が伸び出し、葉の表面保護層を貫通して保護層と葉の表面細胞との間で生育し始める。さらに、菌糸が葉面に垂直方向に葉面細胞壁を貫き、感染後15時間で宿主細胞内に「吸器」(寄生根)を形成する。翌日には、二次菌糸が形成され、6〜7日目には宿主細胞あたり5〜8個の吸器が形成される。以上は、葉の表面の場合だが、裏面の場合も同様である。ただ、裏面の場合は、吸器が葉肉中を進展し、葉の表裏で生育する点が異なっている。症状が現れるのは、温度や宿主にもよるが、3〜16日目からである。

分生子層(胞子の生産現場)は、葉面保護層の下で、葉表面側で11日、裏面側で1カ月で形成される。このとき、相対湿度が低下して、葉面保護層が破れ、胞子が露出する。この胞子が雨水や灌水などで飛散したり、昆虫の体表に付着して拡がっていく。

黒点病菌は土中では生存できないが、落葉した感染葉内では生き延びて胞子を飛散させる。温度条件がよければ越冬も可能。また、宿主以外のもの(トレリス等)に付着した胞子の生存期間は1カ月以内である。

黒点病菌の殺菌剤感受性は、最初の90時間しかないといわれている。つまり症状が視認できるようになってから薬剤散布しても、手遅れということになる。

防除

・まず、なるべく葉を濡らさないようにする。水やりの際も注意が必要。ハダニ対策でシリンジする場合も、数時間以内には乾くような条件下で行う。夜間や夕方は最悪。

・感染した葉は直ちに取り除く。落葉したものも同じ。また、感染がひどい場合は、茎にも症状が現れるが、これは越冬胞子の巣となるので剪定する。


防除用散布液

木酢液(+ニンニクエキス)

電解酸性水

重曹

重カリ剤

Neem Oil

化学農薬

HOME 戻る