川辺川ダム予定地の視察 4/5
- この低い橋は何だ?町並みを出て間もなくの所で、「何コレ?!」というほど低い位置に
橋が掛かっていました。付替道路より大分 低いように見えます。

もしも この橋を後まで生かす計画であれば、少し水位が下った
だけで簡単に五木の土地が水面から出るほど水位は浅いので
「無理に水没させないで、計画水位を少し下げたら?」という話も
出るのではないでしょうか。

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そんな高い所に道は要らんが…その先でも 斜面をガッポリ削って 延ばされる道路。
このままでは、例えダム工事が中止されたとしても、
山上から川辺に及ぶ 斜面の殆んど全域が道路の
コンクリート壁で分断されてしまいます。

それでは野生動物たちの行き来が阻害される上に
これから五木を尋ね歩く人々にも大きなマイナスの
要因と成ることが考えられます。

例えば ある芸術家が訪れるとしましょう。その人が
悠久を抱いた谷間や山姿から得る筈だったインスピレーションが、過去の過ちによって
延々と削り取られた姿に掻き消されてしまい、作品が生まれるにも到らなかった…(-_-)
そんな事態だって往々にして起こり得るのです。

こうして少し先を予見すれば、目先の利益だけ見た安易な考えで、取り返しの付かない
破壊行為を行っては成らないことが、簡単に導き出せます。

この視察から既に2年が過ぎ、もはや付替道路による斜面の分断は全域に及んでいる
かも知れませんが、まだ破壊されていない斜面が 僅かでも残っていることを祈りながら、
即刻中止すべきであることを、ここに念を入れて記しておきましょう。


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代替地も見える…更に進むと、高い所にムリやり造成された代替地が
望めます。既に家も建ちつつ有るようです。(26番は
元サイズ画像ですが、走行中に撮ったビデオなので
ブレも手伝って良く解像しません)

もしも私が五木で生れ育ったとしたら、故郷を潰して
沈めた人工湖を見下ろす地に移り住む…などという
「非人間的な生き方」など考えられませんから、仮に
多額の移転費用が出ようとも、お断りすることになり
ますねぇ…普通に。

代替地拡大そうそう…移動時の効率(主に燃費)を悪化させないために
高低差の大きな道や施設 等を むやみに作っては成らない
ことは、もはや常識と云えます。

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本当に無理な延伸だ…見ての通りですが、ここでも無垢の山肌は怖いほど
壊され、この惨状を知りつつも「待った」を かけられ
ないで居る私は、人として申し訳なく思います…。

後にダム計画が無かったことに成っても、こんなに
醜く、大きな遺物が両側の斜面に残ってしまうのは
どうしようもない大きな痛手です。(-_-;)

緑の季節の写真を見ると、いままで見たことがない
程の麗水が豊かに満ち、山の緑は川辺にまで至り、
深山の渓流が、そのまま ここに届いたかのような、圧倒的清流であることが判りました。
それは、緑と麗水の間を、優しく風が吹き抜ける(人間側の勝手な思い入れでしょうが)、
本当に美しく、慈愛に満ちた空間…。「日本に これほどの川が在ったのか…!」今まで
知らなかったことに歯がゆさを覚えるのでした。

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これ程の清流、他に在るのだろうか…?今や 川面から山上まで破壊されていない山斜面は
日本に どれだけ残っているのでしょうか…。
(四万十川にも、ごく一部しか残っていません)

破壊の波から辛うじて免れ、もはや「世界遺産」とも
呼べるであろう、この清流を壊してしまっては、古来
からの日本の風景をリアルで伝えることも より一層
困難になります。

そして未来の人々は、「当時から既に、自然破壊が
問題と成って久しかったのにも関わらず過去の過ちを繰り返し、本来なら私たちに引き
継がれている自然や風景が破壊されている…私たちの先祖は相当な馬鹿だった…」と、
過去の人々(つまり、2003年を生きる、愚行に満ちた私たち)を恨むことでしょう。(=_=;)

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