Movie Review 2000
◇Movie Index

バトル・フィールド・アース('00アメリカ)-Oct 22.2000
[STORY]
西暦3000年の地球。人間たちはサイクロ人によって支配されていた。勇敢な若者ジョニー(バリー・ペッパー)もまた彼らに捕まり、奴隷として働くことになる。サイクロ人のリーダー、タール(ジョン・トラボルタ)はジョニーに目をつけ、彼を利用して宇宙を支配しようと企みはじめるが・・・。
監督ロジャー・クリスチャン(『ノストラダムス』)
−◇−◇−◇−
原作はチャーチ・オブ・サイエントロジーの創始者L・ロン・ハバードの同名小説で、トラボルタはそこの熱心な信者なのだそうだ。自ら製作にも関わっている。また、一体どこに出てきたのか分からないんだけど、奥さんのケリー・プレストンも出てるとのこと。サイエントロジーがどういう宗教なのか知らないんで何とも言えませんが、同じくトラボルタ主演の『フェノミナン』もソレ系だったようで(そういえばフォレスト・ウィテカーも両作品に出演してるな。彼も信者なのか?)でも『フェノミナン』は私の大好きな映画だ。宗教とか関係ないと思ってる。今回のこの作品だって、面白ければ宗教だからと偏見持つのはなー・・・と思って臨んだんだが、ヒドい!(笑)

これだけヒドいっつーのは、ちょっと感動モノかも。中国の武将みたいな男(トラちゃん)がシンクロの鼻栓つけて厚底ブーツ履いて歩いてんだよ。そんで酒場でクダ巻いて、人間に知恵つけさせて逆にとっ捕まってんだもん。サイクロ人アホ過ぎ(爆笑)ほかにも「それ金の延べ棒だぜおい!」とか「1000年も使ってなかった飛行機になぜ乗れる?!」などツッコミ所満載です。よく恥ずかしげもなくこんな映画作ったもんだ。原作は読んでないけど、映画と同じくらいアホだったら別の意味で偏見持っちゃうかもしれん。

トラちゃんや鶴瓶F・ウィテカーは嬉々としてやってたけど、ただひたすら真面目に演じていたペッパーが見ていてだんだん気の毒になった。彼的にはどうなのよ?せっかく『プライベート・ライアン』や『グリーンマイル』と、少しずつキャリアを積み上げていって、ようやく2番目に名前が出るような大役で、本来なら大喜びのはずだよ。消したい過去にならなきゃいいが・・・つーかもうなってる?(がんばれよ)
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カオス('00日本)-Oct 21.2000
[STORY]
実業家の小宮山(光石研)の妻・佐織理(中谷美紀)が誘拐された。犯人から3千万円を要求する脅迫電話が掛かり、小宮山は警察の指示を受けて身代金を運ぶが犯人は現れなかった・・・。
しかしこの誘拐は狂言だった。便利屋の黒田(萩原聖人)が佐織里から依頼されて脅迫電話を掛けていたのだ。だが、実はこの狂言誘拐にも裏があり・・・。
監督・中田秀夫(『ガラスの脳』
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原作は歌野晶午の『さらわれたい女』 ずいぶん前に読んだので内容はしっかりとは覚えてないけど、確か小説ならではの叙述的な描写もあったし、人を切断する場面もあった気がする。それを一体どのように映像化したのか楽しみだった。

そうそう、初日の2回目に見たんだけど(本当は1回目に行って舞台挨拶を見たかったけど、諸事情により断念)出演者はもちろんいませんでしたが、目にも鮮やかな黄緑色のシャツを着たかばくん中田監督をロビーで発見。もともと出演者よりも監督の舞台挨拶を見たかっただけなので、見られてラッキー。何やらスタッフらしき人と話してたので、柱の影からこっそり見守った(←明子姉ちゃんかよっつーかストーカー?!)

さて映画のほうはというと、導入部分から中盤まではかなり楽しめた。例えば佐織里が犯人から脅されて泣きながら電話口に出るシーンがあるのだが、その直前では実はこういうことが・・・と回想シーンを挿入して少しずつ事件のあらましを観客に見せていく。こういうやり方は小説でも面白いけど、映像にしたほうがより面白くて効果的。それが何度も繰り返されていくと、次は何だ?この裏にも何かありそう、と期待しながらどんどん引き込まれていくのだ。

でも回想シーンをすべて出し切ったところから面白さもガックリ落ちる。ストーリー順に撮影したわけじゃないだろうが、心なしか役者や映像にも集中力が感じられなくなった。さらに多少アレンジしていた原作を離れ、完全なオリジナルになったところからが問題。今までやってきたストーリーと全然違う方向に進んでいってしまって、戸惑うばかりか、本来これがやりたかったのなら、わざわざこの原作を使うことないだろ?っていう疑問さえ出てきてしまった。

中谷美紀は得意の狂気の表情を出しまくっててこの作品には合ってるけど、少々鼻についてきた。そろそろイメージを変えてほしいところ。萩原聖人は逆にUP。気弱そうに見えて大胆な行動を取るキャラクターがいい。中谷以上に壊れても面白かったのでは。
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X-メン('00アメリカ)-Oct 18.2000
[STORY]
そう遠くない未来、アメリカ議会ではミュータント排斥運動が高まっていた。それを阻止しようとマグニートー(イアン・マッケラン)率いるミュータント集団が動き出した。対して人間との共存を望むプロフェッサーX(パトリック・スチュアート)は同じミュータントながらマグニートーたちと戦うことになる。
監督ブライアン・シンガー(『ゴールデンボーイ』
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アメリカで大人気のコミックが初の映画化。映画も本国では大ヒットだったようだけど、日本ではコミックも映画の出演者もあまり知名度がないせいか、公開して12日しか経ってない&レディースデイだったのに、あんまり座席が埋まってなかった。巷でも話題になってないし、宣伝の仕方もいまいちなんだよねー(なぜなら326が・・・)

そんな私も実は『X-MEN』のことは全く知らず、予備知識もないまま見に行った。何故見たかというと、監督がシンガーだったからという単純な理由でなんですけどね。原作ファンがこの作品に満足するのかどうかは分からないけど、とりあえず初心者な私でもすんなり入っていけた。勧善懲悪モノでなく単純なヒーローモノでもないところが好みだし、特殊な能力を持つ者ゆえの苦悩がしっかり描かれているところもいい。だけど逆にそれがネックなのかな。この手の映画にしてはかなり地味な印象。制作費が低いからというのもあるらしいけど(それでも日本の10倍くらい掛かってるみたい)ちょっとショボイところもあって

キャラクターとしては、まずプロフェッサーXとマグニートーの2人にイギリスの俳優を持ってきたところがマル(しかしクライマックスのマッケランは迫力不足)2人がチェスをする場面が好きだ。これをやらせたくて配役したのかも、っつうくらい。
それと過去の記憶を失っているミュータント、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)がスゲエカッコイイ。鍛えた身体は胸毛も含めて惚れるぞ。彼のセリフに「裸にするのが趣味なのか?」と女性に聞くほど裸のシーンが多いが、それは監督に言え!(笑)「うん(はぁと)」って言うと思う。・・・たぶん。
なので、同じくナイスバディのお姉さんミュータントも出てくるけど、興味がないのか全然せくすぃーじゃない(笑)男の人には物足りないだろう。女の私でもちょっと物足りなかった。かわいそうに。

さて、本作のアルティメット・エディション(DVD)買いました。未公開シーンは会話部分が多く、テンポよく見せるにはカットも止むを得なかっただろうけど、ここは入れて欲しかった、と思うところも多かった。
まず、ローグがウルヴァリンと会うまでに8ヶ月も彷徨っていたことが分かった。道理でお金も底をつき、おなかも空いてたのね。一言本編に入ってたら分かりやすかったのに。家を出てすぐにウルヴァリンと出会ったのかと思っていたので、何でそんなにひもじいのか不思議だったよ。彼女はずっと自分と同じミュータントを、噂をたよりに1人で探していたんだろうね。
それと、学校を飛び出したローグを追いかけたウルヴァリンが、列車の中でローグと話すシーン。ローグにパワーを吸い取られ死にそうになった時、死にたくないと思った。それを君に感謝している、本音を話すウルヴァリンがすごく良かった。普段は弱味を見せない男のこういう言葉はグッとくるなぁ。この一言も入れば女性ファンがもっと増えたかも(笑)

続編『X-MEN2』はこちら
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ことの終わり('99アメリカ=イギリス)-Oct 14.2000
[STORY]
作家のモーリス・ベンドリックス(レイフ・ファインズ)は、取材で知り合った高級官僚ヘンリー・マイルズ(スティーブン・レイ)の妻サラ(ジュリアン・ムーア)と不倫関係に陥る。その関係は2年続いたが、ある時サラは彼の元を去ってしまう。
監督&脚本ニール・ジョーダン(『クライング・ゲーム』)
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ファインズがキライなんだけど、監督がジョーダンということで2人を両天秤にかけた結果、ジョーダンが勝ったので見てきた(笑)一枚皮を被ったような顔が気色悪い(ファンの人ごめん)ファインズだけど、いつもよりは見られたし、この人ほど不倫が似合う人はいないんで文句ない。

物語はベンドリックスの恨みつらみを綴った手記から始まる。女に捨てられてか?女々しい奴!なんて思っていると、そこからベンドリックスとヘンリーが偶然再会するシーンに移る。さらにベンドリックスと夫妻が初めて出会ったシーン、サラとの情事へと次から次へと時間がさかのぼっていく。そしてまた手記を綴るシーンへ戻っていく。

こういう手法は今までにも何度も見てきたので特に新鮮味はないし、サラがベンドリックスの元を去った理由はだいたいだけど想像できていた。だから途中で飽きてきちゃったというのが正直なところ。「何故?」と思う部分に引き込まれなければ面白味は半減なんだな。だってあとはベンドリックスとサラの情事シーンが美しい〜とかって感動するしかないじゃん。ファインズが苦手な身としてはこれに萌えるはずもないし(苦笑)あと同じシーンの繰り返しで長く感じた。

でも冒頭で感じたことが最後に覆えされた時には関心した。感動はしなかったけど(笑)こういう小さなネタでも少し驚きがあるのはいいな。それからヘンリーを見ていて『サン・ピエールの未亡人』でダニエル・オートゥイユ演じるジャンを思い出した。妻のすべてを受け入れて、とにかく愛して尽くす夫。でも女はベンドリックスみたいなのに惹かれちゃうんだろうなあ。ちぇっファインズのくせに(←しつこい)
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五条霊戦記―GOJOE('00日本)-Oct 9.2000
[STORY]
平安時代末期、京に出ては平家の武者を斬り捨て“鬼”と恐れられている者がいた。彼は平家を倒すべく育てられた遮那王(浅野忠信)のちの源義経である。そんな京の町に破戒僧・弁慶(隆大介)がやってきた。夢の中で不動明王から鬼退治を命じられたためだ。弁慶は鬼に詳しい刀鍛冶の鉄吉(永瀬正敏)に刀を研がせ、鬼が現れるという五条橋で待ち伏せるが・・・。
監督&脚本・石井聰亙(『水の中の八月』)
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永瀬正敏と浅野忠信という、キャラ被ってる役者同士の初競演を話題にしようとしている「新世紀サイバーアクション超大作」(←コピーより)そして格闘家・船木誠勝の映画初出演も売りの1つ。しかし蓋を開けてみてビックリ。永瀬は完全に脇役で、主役は地味な隆大介なのだった。いや、それで正解だったよ。常に緊張感があって、物語が引き締まって見えたもの。あ、そうそう永瀬と浅野のカラミはほとんどないよ〜ん(笑)

『シックス・ストリング・サムライ』を見た時に、立ち回りシーンが単調でちょっと飽きたと書いたが、この作品はそれ以上。人物に寄りすぎて何をしてるのか全く分からないし、変化に乏しくちっとも面白くない。おまけに1回の立ち回りが長くて、それが3回も4回も繰り返されるのでいい加減うんざりする。そしてクライマックスでの遮那王と弁慶の一騎打ちはマジでひど過ぎる・・・。そんな火花なんかで誤魔化すなー!牛若丸の八艘飛びくらい見せてくれよ。いま流行り(笑)のワイヤーとか使ってもいいじゃん。その方がサイバーアクションらしいんじゃないのかね。

なんか不満ばっかしなんだけど、石井監督は好きなのよ。ただ、この映画に関しては「何で?」と思わざるを得ない。でも月の映像が出るところは監督らしくてちょっとホッとしたりして。それと逢魔ヶ森へ入っていくところは、人間を惑わす森の恐ろしさがうまく表現されていて1番好きなシーンだった。見てるこっちまで異界へ踏み入ったような感覚を味わえた。

元服前のくせに歳取り過ぎな上に無表情すぎる浅野君には全く魅力なし。白装束から覗くボーボーの腕毛が眩しいだけ(笑)っつーか遮那王の影武者を演じた細山田隆人君のほうが、綺麗でよっぽども牛若丸なイメージなんですけど。同じ無表情でも色気があって、なかなかよかった。ま、最終的には彼があれだからこれでいいのか(笑)と1人で急に納得。気になる人は見に行きましょう。
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